ザ・ライヤーズ・ジャーナル

yoshimax

文字の大きさ
135 / 157
21世紀

tk11 エジプト・究極の冒険野郎の土地、SIDE-D

しおりを挟む
サイモンフレイザー大学は、バンクーバーの隣り町バーナビーにある。
そこは、グリーンのあふれる町。
美しい湖、ディアレイクもある。
ディアレイクは、こころを落ち着けさせてくれる。
天国のような湖だ。
わたしは、BFA時代をサイモンフレイザーで過ごし、文学を学び、カイル・ゴダード教授に師事した。
サイモンフレイザーはバーナビーの山の方にあるから、夏はすずしいが、冬はちょっと寒い事もあった。だけど、カナダのホスピタリティは温かく、不思議と冬も、こころがあたたかくなったのを、私は覚えている。

今回、カイル・ゴダード博士とは、ディアレイクのハートコートレストランで会食した。
そこで、ドクター・カイル・ゴダードは、彼が若いときにエジプトで出会った冒険を語った。

彼と、彼のアシスタント、スティーブ・バーグマンが、1992年にエジプトで体験したこと。

エジプトの極秘ゾーン、SIDE-Dで。。。。。

SIDE-D
そうさ、エジプトはいつだって、冒険の世界さ。
風が砂丘を鳴らし、細かな砂がカイル・ゴダードのブーツに絡みついた。古代地図が風でめくれる。ひどい砂嵐だ。だが、ここを外せば、十年の研究が無駄になる。カイルは自分に言い聞かせるように呟いた。カイルは知っていた。古い写本の誤植のような余白に、必ず歴史の影は潜んでいる。
「カイル、これを見ろ」砂にまみれた防護ゴーグルを上げ、助手のスティーブ・バーグマンが大きな声で言った。元軍人の彼にしては珍しく、声に震えがあった。スティーブが見つけた粘土板の破片には、不格好な、しかしどこか計算された文字が刻まれている。カイルの背筋に冷たい震えが走った。これは、どの語族にも属さない。だが、似ている。すべての文明が生まれる前、言語が枝分かれする以前の……。「まさか……“原初文字”の派生系だと?」
胸が熱くなる。指先が震えた。そのとき、砂丘の向こうから、金属を擦るような異音が響いた。スティーブが即座に腰のホルスターへ手を伸ばす。カイルは息を呑んだ。
敵か? 此処迄来る間にも、世界支配を再度計画していたネオナチの一派と戦い、やつらを撃退した。やつらの要塞を爆破し、壊滅させた。だが、まだ残党がいるのか?
しかし、今度の異音は何かが違う。何か、地球上のものではない。そのとき、地中から見たことも無い材質の建造物が、巨大な建造物がせりだすのだった。
驚愕だ。
カイル・ゴダードは、砂漠の地平に沈む夕陽を背に、巨大な石の壁を見上げていた。ギザから遠く離れた、政府の地図にも載らない──封鎖区域。
それは“失われたピラミッド”と呼ばれ、存在自体が学会では噂扱いされていた。
「本当に、入る気か」スティーブ・バーグマンは低く呟いた。彼の視線は、壁面にわずかに露出した黒い金属のラインに向けられていた。「ピラミッドの内部構造と合わない材質だ。しかも配置は……星図に一致している」カイルの声は興奮とわずかな恐怖で震えていた。
エジプト文明が形成される以前。地球に知性が芽生えるよりも早い時代。人類は“始まり”ではなく、誰かの“続き”なのではないか。
カイルは幼少期、父に連れられて見た夜空を思い出していた。父はNASAの技術者だった。科学を信じた男。だが、ある日突然、狂気を宿した目で言った。「古代の記録は、空から来た“建築者”を語っている。」
誰も信じなかった。父は学界から追放され、失意のまま姿を消した。
……カイルが真実を求める理由は、それだけで十分だった。
「入口、見つけたぞ」スティーブが指さした岩壁には、砂で隠れた三角の溝。それはまるで、光を待つ“鍵穴”のようだった。カイルは携行したレーザー装置を溝に照射した。瞬間、岩盤が光を吸い込み、空気が震えた。
ズゥウウウン……
低い、地鳴りのような音。
砂が落ち、壁がゆっくりと開いていく。
現れたのは、古代の石ではなかった。光沢のある、未知の金属で覆われた回廊だった。
「まるで……宇宙船だ」スティーブの声がかすれる。
「ピラミッドは墓じゃない。」カイルは懐中ライトを構え、ゆっくりと足を踏み入れた。その瞬間、通路の奥に灯がともり、青白い光の線が走った。壁面の文字が、まるで生きているかのように脈動する。地球ではありえない、数学と音階のような記号。
歓迎されているのか。警告されているのか。
背後で入口が静かに閉じはじめた。
「カイル、戻れ!」
「いいや……ここが本当の歴史だ。」
暗闇の奥から、なにか音が響いた。人間ではない、規則的すぎる、金属音。スティーブは銃に手をやり、カイルは息を呑む。
風が吹き抜けた。この場所には、何かが眠っている。
通路の奥から、青白い霞が流れ出す。
光は形をとり、滑らかな金属──だが同時に有機的な“筋肉繊維”のような構造を露わにした。
それはメタリックな四足獣だ。
瞳はなく、頭部中央に一つ、脈打つ光球。
カイルは凍りついた。
「バイオ……メカニカル・ガーディアン……?」
それは四肢を爆発的に動かし、スティーブへ飛びかかる。
「来やがったかっ!」
スティーブは瞬時に身体をひねり、ベストの裏から軍用携行レーザー砲を引き抜いた。光の鞘が空を裂き、青い閃光が獣を正面から貫く。
ズガァァッッ!
外殻が割れ、金属片が飛び散った。だが獣は倒れない。裂けた場所を黒いナノ繊維が蠢き、即座に再生を始める。
スティーブが眉をしかめた。「再生型かよ。くっそ、厄介だ!」
怪物が口腔のような裂け目を開く。内部には歯の代わりに振動する結晶の刃──音と光の兵器。
咆哮。
衝撃波が通路を走り、カイルは壁へ叩きつけられた。
「ガッ……!」
「触るな、カイル!」
バーグマンは姿勢を低くし、照準を“光球”に定める。守護者が再び跳躍──空間を裂く爪。
バシュッ!
レーザーが直撃。光球が破裂し、獣は音もなく崩れた。残骸が、蒸気とともに床へ散る。動かない。スティーブは息を荒らしながら、武器を下ろした。
「……さすがに、宇宙の番犬ってとこか」
カイルは震える手で壁を支え、立ち上がる。残骸を見つめるその目は、恐怖と狂おしい情熱で輝いていた。
「見たかスティーブ……これは設計された生命だ。
 ピラミッドは人類の想像をはるかに超えている。」
スティーブが肩越しに振り返り、苦笑した。
「言っとくが、俺は考古学者じゃない。戦場出身だ。ここはやばい。もう、脱出しよう。」
カイルは首を横に振った。
「いいや、ここで引くわけにはいかない。ここには“起源”がある。父が追っていた答えが……」
スティーブが舌打ちする。
二人は暗闇へ進む。
 通路の光が、急に色を変えた。蒼から、柔らかな金の光へ。
 カイルとスティーブは足を止めた。
 壁に刻まれた文字が、まるで呼吸するように波打ち、巨大な図面を描き出す。
「……船だ」
 カイルは呟いた。
 ピラミッドの内部構造は、地球のどんな建築にも似ていなかった。
 それは艦体だ。
 中央に巨大反応炉、周囲に推進器。
 惑星間移動用の恒星航行船(スターブリッジ・アーク)。
「まさか……ピラミッドそのものが、宇宙船?」
「4万年前だ……」
 カイルの声は震えていた。
 図面に記された時間軸──それは地球の氷期の年代と一致していた。
母星爆発──脱出者1000名──航行時間:18年──目的地:Sol-3(地球)
 光が脈動し、ホールの中心が静かに開く。
 霧が舞い、透明なカプセルが並ぶ冷却区画が現れた。
 だが、開いているカプセルはすべて空だった。
 内部には、わずかな灰と、かすれた遺跡のような布片。
 1000人の“旅人”は、すでにこの世界で消えていた。
「彼らは……人類の祖先?」
 スティーブが呟く。
「可能性はある。でも……全部じゃない」
 カイルは唇を噛んだ。
 「創られた」可能性が、脳裏に過ぎった。
 人類の進化に、何者かの干渉があったとしたら──。
 奥で、小さな音が響いた。
 まるで誰かが眠りから目覚めるように。
 光に包まれた最後のカプセルが、ゆっくりと開く。
 中で横たわるのは、宇宙の女性。
 胸がわずかに上下していた。まだ生きている。
 長い髪は黒曜石のように光り、額には細い金属の輪。
 瞼が震え、ゆっくりと開いた。
 その瞳は、星の光のような色だった。
 彼女はカイルを見た。
「……キ・ルア・セレイア……?」
 異星の言葉。けれど不思議と意味が流れ込む。
“我々を見つけた者よ、あなたは覚悟を持つ者か”
 カイルは息を呑んだ。
 女性は、人間ではない。
 人類より長い知性の歴史を抱いた者だ。
 スティーブが銃を下げ、わずかに身構える。
「通じるのか?言葉が……」
「いや……違う。思考で理解させられてる」
 女性はゆっくりと身を起こした。
 その動きには、機械のような精密さと、生き物の柔らかさが同居していた。
 彼女は胸に手を当て、名を告げる。
「ネフェル=アリア」
 続けて彼女は、ゆっくりと周囲を見渡す。
『……仲間は?』
 カイルは目を伏せた。
「……君だけだ」
 ネフェル=アリアの目が冷たい炎で光る。
「彼らが来る。私を護れ。さもなくば──地球は滅ぶ」
 スティーブはレーザー砲を構え、ニヤリと笑った。
「……やっぱりロマンより地獄だな、考古学ってやつは」

この冒険の記録映像は、QRリンクでも見れる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

野球部の女の子

S.H.L
青春
中学に入り野球部に入ることを決意した美咲、それと同時に坊主になった。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

処理中です...