ザ・ライヤーズ・ジャーナル

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インドチャイナ・ペニンシュラ

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『ザ・ライヤーズ・ジャーナル』



<インドチャイナ・ペニンシュラ>
 湾で獲れたイカをビネガーで味付けしたものが旨い。パリのリセを卒業した後、ロンドンに暫らく居た。


博物館・地下保管庫のリストを作成する傍ら、ゴールドスミスで学んでいた。保管庫の隅であの仮面を見つけた。ゴールドスミスのライブラリーでそれについて探ってみた。それはアジアに起源があるらしかった。私自身もアジア系ルーツを持つ生れであったが、リセは多民族学生で構成されていたから、殆どそれを思い出さなかった。もちろん私は泥棒ではない。あの仮面は突然消えてしまったのだ。あの仮面に興味を覚えた私は、リスト作成のパートタイム・ジョブの空き時間に研究していただけだ。
「あの仮面は何処にいったのですか?」私は上司調査学芸員に尋ねた。


 そんなものは始めから無いわ、彼女はそう言う。実におかしな話だ。誰もあの仮面のことを覚えてもいない。私は幻覚でも見ていたのだろうか? もう一度、保管庫を探した。いくつかの木箱を申請して開封したが、いずれも空っぽだった。だが、その中のひとつが、あの仮面のサイズと一致していた。木箱には元の持ち主の住所らしきステッカーが貼ってあったが、消えかかっていた。中国語とタイ語の混じった記載だ。この世界で中国とタイ文化が混在するゾーンは、そう、ヤワラートだ。バンコックの中にある中華街、ヤワラート。
 ゴールドスミスに休学届を出した私はバンコック入りすべく、インドチャイナ・ペニンシュラ行きのプロップ・ジェットに乗った。



 1955年、BKK(バンコック)。
 BKKはインドチャイナ・ペニンシュラの中では特別な都市だ。東南アジア最大のコスモポリタン・シティと云う人もいる。バンコック湾は古代は陸地であった。かつてそこはスンダランドと呼ばれた。湾やチャオプラヤ川の岸辺には美味しい店も多い。

 一風変わった店で、イカをビネガーで味付けしたものを食しているという訳だ・・・。

 私がビネガー味を好むのは、リセを出た後にロンドンに住んだことが理由だと思う。かの地では白身魚フライ、フライドポテト、・・・これらビネガーかけが普通だ。結局ゴールドスミスを休学してからロンドンに戻ることはなかった。

そんな私は、のちに、ある財団に入会し、『TK』と名乗ることになる。
グローバル・コードネーム、TK、と。
だが、それは、もっと先のこと。
私は、いくつかの名を名乗って来た。
「名乗らぬ男」となったこともある。
それが、私。
そして、『須久麻ショーン』もまた、わたしの別名だ。
そして、わたしは世界冒険家だ。

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