ザ・ライヤーズ・ジャーナル

yoshimax

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ラブスターミッション8

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*** *** ***

 ギャルソンはパニーニをかじりながらキャッフェを飲み、一息つくと、繰り返した、「井上さん、すべてが貴重なストーリーでした。つまり、現在の魔の仮面の男とは、もはや人間ではないかもしれず、大富豪で、テロリストで、アナーキーで、へんたいの独裁者だということですね。」
 井上は頷く、「よくわかりましたね。そのとおりです。それが、これからあなたがたが対峙するであろう男です。へんたいです。」
 私は云う、「じっさいに、へんたいっていたんですね。」
 井上はこう云う、・・・つまり、だれしもの心のどこかに、へんたいが住んでいるとも言える、と。むかしから、人々はモンスターを恐れる。モンスター、つまり、・・・ドラキュラ、フランケン、オオカミ男、そういう類のモンスター。人間の心のなかにも、へんたい、モンスターが住んでるがゆえに、それらを恐れるという考え方もある・・・と。
 
 ローマを出て、トルコへ。

 フライングジープはわりと乗り心地がいい。ドライブシステムは日本のハヤカワ・システムが採用されているようだ。ハヤカワ・システムの製造拠点は台湾高雄らしい。ハヤカワ・システムは独自の電脳自動運転装置を作り出していて、モニターのアピアランスがこれまで見た事もないようなグラフィックになっている。まあ、わたしはその道のプロではないのでこれ以上の意見はないが・・・。わたしは乗り心地に満足していた。私はそれまで、ギャルソンのことを殆ど知らなかった。ギャルソンは話してくれた。



 ギャルソン。バックグラウンドは特殊だ。いや、彼の時代の亜細亜諸地域では、さまざまなバックグラウンドが乱立していた。人間のそれぞれの育ちが複雑だった。彼が記憶を辿ると、ものごころついたときは、ウランバートルのストリートで生活していたという。 祖父は軍に居たらしい。(両親はソビエトで兵器開発に関係していたのではないか、といううっすらした記憶があるともいうが、失踪している)。 彼自身は羊飼いとしてパオ生活共同体でレイトティーンを過ごした。 のち、ウランバートルで商売をしながら独学で多言語を身に着ける。 ストリート生活中に知り合った、自称ブルースリーの隠し子からユダヤ格闘技クラブマガを教わったらしい。



マーシャルアーティストとして大会に出たこともある。 商い中にウランバートルでリクルートに会い、アジアにある国際平和&環境保護団体エメラルドピースに就職。 その後、「ザ・ファウンデーション」へ(ヘッドハンティング)。 「ザ・ファウンデーション」はこの地球上で起こる超常現象を探求する最後の砦と言われている。ザ・ファウンデーションは南アジアで石油採掘に成功した。巨大クルーザーで近海の難民を保護もしている。いくつかのコネクションから国連軍に関係するようになる。
 トルコ・イスタンブールに降り立つが、そこでランチを取ったあと、すぐに事件が起きているという或るビレッジへと出発した。フライングモードは目立ちすぎるので、スタンダードドライブモードで地上の砂地を、現場へと向かい走った。トルコの多くはイスラム教が主流だが、トルコは、非常に聖母マリア様に関係しているエリアでもある。アジア世界、その発祥はインドであるようだが、盂蘭盆会という期間があるが、その期間の最後の日は八月十五日である。そう、八月十五日は、聖母マリアの被昇天日であるわけだが、聖母マリアが被昇天された土地はトルコのイズミールである。私自身は考古学をかじってはいるが、プロというわけではないので、あまり深くは分からないが、聖母マリア様と阿弥陀様は同一の存在であるとする研究もある。そうかもしれない。
 砂地を行く。
 砂嵐かと思うほどの風。
 われわれのジープもかなりまいっている感じだ。
 三十年先を行くというGPSシステムが狂い始めた。我々はどこへ向って進んでいるのかわからなくなってきた。これもまた、仮面の魔力かもしれない、とさえおもう。仮面の不思議に近づくことが賢明なのか。分からない。だが、前にすすむしかない。我々がどこに居るのか分析が出来なくなって八時間後くらいだろうか、砂嵐のような砂ふぶきが晴れた。視界のわるいゾーンを抜けたのだ。すでに陽が落ち、夜のトバリが降りて来ていた。やや、夕日の名残もあった。地平線が薄紫だった。周囲を見まわしてみた。どこか、中国の風景にも似ていた。山海経や聊斎志異に描かれたような魔物、妖怪、怪物、モンスターが出てもあり得るな、という光景だ。人外の世界にやってきたかのような気分だ。ここはトルコであってトルコでない地域かもしれない。へんなことを考え始めた。計算によれば、カッパドキアからそう遠くないはずだが・・・。

 ---ビレッジ---
 村の入り口か・・・? それらしきゲートが見える。我々は、しばらくそのゲートを見つめた。三十年代の映画キングコングに登場するような門だ。
 モモが人影を見つけた、「見て! 誰かが、こっちへ近づいてくるわょ!」
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