ザ・ライヤーズ・ジャーナル

yoshimax

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ラブスターミッション17

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*** *** ***
 だが、しかし、どうやって持ち込んだにせよ、『箱』の中に核兵器が入っている。
 そうか、そういうことか・・・。
 仮面の男は、一種の教祖であり、そのグループはこの核兵器を、いわゆる御神体・本尊として神格化し崇拝しているのだ。そういうカルトなのだ・・・。
 分かった。そういうことだったのか。そしてゆくゆくは、村民らを奴隷化し、核兵器を神と仰ぐ独裁国家を建設しようという企てだったのだ!
 何と申しましょうか、これはやばい奴らだ・・・。言葉も無い・・・。だが、危険すぎる。核兵器がこの世に登場したとき、すでにこのような集団が現れ出ることを懸念すべきだった・・・。クレイジーだ。そうだ、クレイジーなのだ。人間のもっとも狂気の面がここに顕われているではないか・・・。

 私とオレンジボーイは、プロとしてのミッションの只中にあってさえ、震えた。
「仮面の男についてゆく者ら、・・・・それらは、エリックフロムが描いた人間たちだ。彼らは、自由であることを恐怖し、ディクテーターである仮面の男についてゆく・・・。いや、これは他人事ではないのだ、ポピュリズム政治ともいえる。アメリカ合衆国のなかでさえ、それに近いことが起こり得るのだ・・・」私はそう言って、オレンジボーイの方を振り向いた。
 そのときの光景に、この事件をメモノートに記録していた私の手が止まった。

 オレンジボーイがホールドアップしている!
 彼に敵の銃口が向けられているのだ。その敵は、仮面の男の手下だ。その構えから、もともと軍隊にいたであろうことは推測出来た。その兵士は言う、「きさまら、ここで何をしている!?!」
 オレンジボーイは手を上げながら、少し微笑を見せ、ジョークを飛ばすのだ、こんな風に。
「あんたらさぁ、ねえ、その銃、フェイクだろ? そうだろ? あんたら、香港映画のムービーピープルだろ? ロケ撮影だろ? ベリー・クールだぜ。はぁ!? ね! でしょ?」
 オレンジボーイを少し見直した瞬間だ。おもしろい男だ。だがジョークは全く通じなかった。まあ、だいたい、独裁者に洗脳された奴にはジョークは通じない・・・。
「お前もだ。手をあげろ!」兵士は私にもそう言い、私とオレンジボーイに手錠をはめた。

 ---{牢屋}---
 結局われわれは、牢屋につながれた。
「オレンジボーイさんよ、君のジョークは楽しかったぜ。でも、やつには通じなかったな。」
 私はそう言うと、牢屋の窓から見える光景に驚愕して、牢屋の壁にへたれこんだ・・・。
 牢屋は、遺跡から二百メートルは離れていた。そこから、窓を通して、仮面の男の一個師団が見えたのだ。かなり強固な戦車や爆撃機さえ持っているようだ。基本的には、国連調査員でしかない我々はこんなものに対応できる軍事力を持ち合わせていない・・・。
 しかたない、今は観念して今夜はここで寝よう・・・。
 オレンジボーイはもう眠ってしまったようだ。
 私は溜息をついた。
 そして目を閉じた・・・。
「ジョーさん、もう寝たのかい?」
 オレンジボーイはまだ寝ちゃいなかったようだ・・・。彼は話しはじめた。
「いろいろ思い出しちゃってさ。十七の頃、あちらに親戚が居たもんだから、南アメリカに暫らく住んだことがあるんだ。圧倒的な自然だった。ジャングルの山あいに親戚の家があった。夏だった。十七の夏。そこではいろんな体験があった。世界って、いろいろだと知った。ほとんどの事は面白かった。こっちは砂漠が多いのに対して、あっちはジャングルだ。自然の力はすごい。人間の及ばない巨大さだ。朝、木々、草木を分けながら、すこし森のなかに入って行った。そうしたら、かえりの夕方には、その草を分けた道は完全に塞がれてしまうくらいに緑が茂るスピードは速かった。自然は神様が司る領域だ。人間などどうすることも出来ないことばかり。十七のそんな経験のお陰で、自然、そう、神の力の大きさをはっきり知った。どんな傲慢な人間だって、その傲慢さはやがて打ち砕かれる。今回もそんな気がする。仮面の男のことさ・・・。神は平和の神だし、すべてのひとの神なんだ。仮面の男は、その節理を破ろうとするなら、打ち砕かれるだろう。」 





 
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