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犬と獣(ケダモノ)
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「……や……やめて……!!」
やっとの思いで消え入るような掠れた声を絞り出した愛美の体を、泰士は尚も乱暴にまさぐる。
「ん、もっとか?愛美はこうされるの好きだったよな?」
泰士は乱暴にブラウスと下着をたくし上げ、露になった愛美の胸にヌメッとした舌を這わせた。
「いやっ……!」
「強がんなって。すぐに気持ち良くしてやるから」
どんなに身をよじって抵抗しても、女の愛美の力では男の泰士の力には敵わない。
いやらしく太ももを撫でられ、下着に手を掛けられて、愛美の目から涙がこぼれ落ちた。
(いや……!!お願い、助けて……!!)
緒川支部長は愛美の部屋のチャイムを鳴らした。
待ってると言ったはずなのに、少し待っても愛美は出て来ない。
おかしいなと思いつつ、もう一度チャイムを鳴らしたけれど、なんの反応もない。
入れ違いになったのかもと思い愛美のスマホに電話を掛けると、ドアのすぐ向こうで着信音が聞こえた。
すぐそこにいるはずなのになぜ出て来ないのかと不審に思った緒川支部長は、もう一度チャイムを鳴らすが、やはり愛美は出て来ない。
緒川支部長は妙な胸騒ぎがしてドアを開いた。
「愛美?!」
玄関先で着衣を乱され、男に組み敷かれて涙を流している愛美の姿を目にした緒川支部長は、慌てて駆け寄り男の襟首を掴む。
そしてすごい力で愛美から男を引き剥がし、腕をねじり上げて押さえつけた。
やっと解放された愛美は、乱れた衣服を震える手でかき合わせる。
緒川支部長は男を押さえつけたままの体勢で、ポケットからスマホを出して警察に電話を掛けた。
しばらくすると警察がやって来て、緒川支部長に代わって男を取り押さえた。
警察に事情を聞かれると、愛美はうつむきながら小さな声で、男の名前や、昔の恋人である事、付き合っていた当時も何度も暴力を振るわれていた事などを話した。
今日のところは精神的なショックが大きいだろうから、詳しい聴取はまた後日と言って、警察は男を連れて去って行った。
二人きりになると、緒川支部長は愛美を抱きしめて、優しく頭を撫でた。
「かわいそうに……。怖かったね……。でももう大丈夫だよ」
愛美は緒川支部長の腕の中で震えながらボロボロと涙を流して泣き崩れた。
緒川支部長はしばらくそうして愛美を抱きしめた後、愛美の手を引いて部屋に連れていくと、ベッドにもたれて座った。
そして、愛美にも隣に座るように促し、肩を抱き寄せて頭を撫でた。
愛美は顔を見られたくなくて、黙ったままうつむいている。
「気持ちが落ち着くまで、少しこうしていよう」
愛美は緒川支部長の温もりと優しさを感じながら、ぐるぐると思いを巡らせる。
泰士の顔を見た瞬間、忘れたい、忘れようと何度も思っていたつらい記憶が蘇った。
散々傷付けるだけ傷付けて、愛美を捨て他の女を選んで去って行った泰士が、いまさら現れるとは思ってもみなかった。
泰士の自分勝手な態度や、強引に押し倒し乱暴に体をまさぐる手の感触はあの頃と同じで、また殴られて犯されると思うと、恐怖で声が出なかった。
そして、助けてもらったとは言え、好きな人にあんなところを見られてしまった事は、愛美にとって大きなショックだった。
(でも……政弘さんが来てくれなかったら今頃……)
愛美は蘇る恐怖に身震いする。
玄関のドアを開ける前にちゃんと確認すれば良かったとか、嫌われたらどうしようとか、いろんな思いが愛美の頭を駆け巡った。
「ごめんなさい……」
愛美の口から、自然とその一言がこぼれた。
「愛美は何も悪くないのに、なんで謝るの?」
「ドア開ける前に、ちゃんと確認すれば良かった……」
「俺が来たんだと思ったんだよね?」
愛美がうなずくと、緒川支部長は何度も優しく頭を撫でた。
「ごめんね。会社から直接来れば良かったな……。そうすれば、愛美を怖い目に合わせずに済んだのに……」
「あんなところ見られたくはなかったけど……助けてくれなかったら……今頃、私……」
また愛美の目から流れた涙が、頬にいくつもの筋を作った。
緒川支部長は愛美の髪飾りをはずし、乱れた髪を手櫛ですいて優しく撫でる。
「愛美、もう大丈夫だから……。なんにも考えないで、少し休もう。俺はそばにいるから」
やっとの思いで消え入るような掠れた声を絞り出した愛美の体を、泰士は尚も乱暴にまさぐる。
「ん、もっとか?愛美はこうされるの好きだったよな?」
泰士は乱暴にブラウスと下着をたくし上げ、露になった愛美の胸にヌメッとした舌を這わせた。
「いやっ……!」
「強がんなって。すぐに気持ち良くしてやるから」
どんなに身をよじって抵抗しても、女の愛美の力では男の泰士の力には敵わない。
いやらしく太ももを撫でられ、下着に手を掛けられて、愛美の目から涙がこぼれ落ちた。
(いや……!!お願い、助けて……!!)
緒川支部長は愛美の部屋のチャイムを鳴らした。
待ってると言ったはずなのに、少し待っても愛美は出て来ない。
おかしいなと思いつつ、もう一度チャイムを鳴らしたけれど、なんの反応もない。
入れ違いになったのかもと思い愛美のスマホに電話を掛けると、ドアのすぐ向こうで着信音が聞こえた。
すぐそこにいるはずなのになぜ出て来ないのかと不審に思った緒川支部長は、もう一度チャイムを鳴らすが、やはり愛美は出て来ない。
緒川支部長は妙な胸騒ぎがしてドアを開いた。
「愛美?!」
玄関先で着衣を乱され、男に組み敷かれて涙を流している愛美の姿を目にした緒川支部長は、慌てて駆け寄り男の襟首を掴む。
そしてすごい力で愛美から男を引き剥がし、腕をねじり上げて押さえつけた。
やっと解放された愛美は、乱れた衣服を震える手でかき合わせる。
緒川支部長は男を押さえつけたままの体勢で、ポケットからスマホを出して警察に電話を掛けた。
しばらくすると警察がやって来て、緒川支部長に代わって男を取り押さえた。
警察に事情を聞かれると、愛美はうつむきながら小さな声で、男の名前や、昔の恋人である事、付き合っていた当時も何度も暴力を振るわれていた事などを話した。
今日のところは精神的なショックが大きいだろうから、詳しい聴取はまた後日と言って、警察は男を連れて去って行った。
二人きりになると、緒川支部長は愛美を抱きしめて、優しく頭を撫でた。
「かわいそうに……。怖かったね……。でももう大丈夫だよ」
愛美は緒川支部長の腕の中で震えながらボロボロと涙を流して泣き崩れた。
緒川支部長はしばらくそうして愛美を抱きしめた後、愛美の手を引いて部屋に連れていくと、ベッドにもたれて座った。
そして、愛美にも隣に座るように促し、肩を抱き寄せて頭を撫でた。
愛美は顔を見られたくなくて、黙ったままうつむいている。
「気持ちが落ち着くまで、少しこうしていよう」
愛美は緒川支部長の温もりと優しさを感じながら、ぐるぐると思いを巡らせる。
泰士の顔を見た瞬間、忘れたい、忘れようと何度も思っていたつらい記憶が蘇った。
散々傷付けるだけ傷付けて、愛美を捨て他の女を選んで去って行った泰士が、いまさら現れるとは思ってもみなかった。
泰士の自分勝手な態度や、強引に押し倒し乱暴に体をまさぐる手の感触はあの頃と同じで、また殴られて犯されると思うと、恐怖で声が出なかった。
そして、助けてもらったとは言え、好きな人にあんなところを見られてしまった事は、愛美にとって大きなショックだった。
(でも……政弘さんが来てくれなかったら今頃……)
愛美は蘇る恐怖に身震いする。
玄関のドアを開ける前にちゃんと確認すれば良かったとか、嫌われたらどうしようとか、いろんな思いが愛美の頭を駆け巡った。
「ごめんなさい……」
愛美の口から、自然とその一言がこぼれた。
「愛美は何も悪くないのに、なんで謝るの?」
「ドア開ける前に、ちゃんと確認すれば良かった……」
「俺が来たんだと思ったんだよね?」
愛美がうなずくと、緒川支部長は何度も優しく頭を撫でた。
「ごめんね。会社から直接来れば良かったな……。そうすれば、愛美を怖い目に合わせずに済んだのに……」
「あんなところ見られたくはなかったけど……助けてくれなかったら……今頃、私……」
また愛美の目から流れた涙が、頬にいくつもの筋を作った。
緒川支部長は愛美の髪飾りをはずし、乱れた髪を手櫛ですいて優しく撫でる。
「愛美、もう大丈夫だから……。なんにも考えないで、少し休もう。俺はそばにいるから」
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