悪役令嬢の妹(=モブのはず)なのでメインキャラクターとは関わりたくありません! 〜快適な読書時間を満喫するため、モブに徹しようと思います〜

詩月結蒼

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第一部

25.なんですと!?

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「ふふ、ふふふっ、……ごめんなさい。ユリアーナ様の回答があまりにも速くて、それでいて本心から来てる言葉なんだと思うとおかしくて……ふふっ」
―――よ、よかった。面白がられてるだけだ。

 最悪牢獄行きになるところだったので安堵の息をつく。
 それにしても、レティシア様が笑ったところは初めて見た。
 こっちの方が可愛い。
 主要人物メインキャラクターの(一人の腹黒野郎を除いて)笑顔は絵になる。
 さすがだ。

「もし、ユリアーナ様がノーブル様に近づかないと約束してくださるのであれば」
―――あれば……?
「わたくしは毎月、ユリアーナ様に新しい本を三冊以上提供し、そして、ブライト様からユリアーナ様が逃げるための情報を与えます」
―――なんですと!?
「もっと詳しく!」
「かしこまりました」

 のるかのらないかは別として、どのようなものなのかをよく聞かなければ!
 ブライト様から逃げる方法は絶対に知りたいし、それでいて本を三冊ももらえるだなんて、ものすごく美味しい契約だ。
 裏がないかも含め、私はレティシア様の話を詳しく訊くことにした。

「先程も言いましたように、わたくしはノーブル様に好意を寄せております。ノーブル様の婚約者になるため、できる限り敵は減らしたいのです」

 そりゃそうだ。
 敵は少ない方がいい。
 婚約者争いは女を賭けた戦いなのだとエリアーナから聞いたことがある。
 色々と大変なんだろう。
 面倒そうだし興味ないけど。

「今現在、ノーブル様に一番近しいのはユリアーナ様。あなたです」
―――え、ないない。そんなことあるわけ
「先日、」

 レティシア様は若干の間を空けて言った。

「王宮図書館へ行ったのは事実ですよね?」

 有無を言わせないレティシア様の真剣な表情に気圧される。
 これは嘘をつくと非常に後々面倒なことになるやつだ。
 私はそう悟った。

「……はい」
「あの時、ノーブル様はわたくしと一緒にいました。あの日は前々から約束していたのです。なのにノーブル様はわたくしから離れてユリアーナ様の方へと向かった。……到底許せることではございません」
―――わー、怒ってる。一応やっとくか。……【透明】【拒絶】【防御】

 念のため【透明】な【防御】を展開する。
 【拒絶】も付与することで物理攻撃も防ぐことが可能だ。
 女子は怒ると怖いらしいからね。

「なのでわたくしはユリアーナ様に今後ノーブル様に近づくことをやめていただきたく思います。あくまでユリアーナ様から近づくことをやめていただきたいだけなので、ノーブル様からの接触は契約違反にはなりません」
「ノーブル様からだったらセーフということですか?」
「はい。そういうことです」

 なるほど。
 じゃあはどうすればいいのだろう。

「あの、ノーブル様からいただいたペンダントを使って王宮図書館に入ることは許してくださいませんか? ペンダントがないと、お忍びで来れないんです」
「王宮図書館に行くだけなら構いません。ただし、ユリアーナ様にはをしていただきたく存じます」
「だ、男装?」

 まさかの要求に動揺する。
 男装……男装かぁ……。
 やったことはないが、練習しなくてはなんとも言えない。
 それに少し抵抗があるのだが……

「ブライト様対策にもなりますよ?」
「やります」

 即決だった。


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