俺の推し♂が路頭に迷っていたので

木野 章

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左江内編

こはくくんだ

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今日は激務で、深夜まで残業する羽目になった

別に帰っても寝るだけだしいいんだけれど…


パソコンをシャットダウンして、同僚と部下への挨拶もそこそこにして帰路に着く

俺の住んでいるアパートは歩いて数十分の近場だ

道中で晩飯とつまみとビールを調達して、食べて寝てしまおうと思う


左「はぁ…琥珀君…元気かな……」


無意識に口から漏れて、慌てて周りを見るが特に気にしている人間は居ないようだ

というかこの時間に歩いている人って俺と同じように残業帰りだろうから、みんな死んだ目をしている


今までは推し活の為に足早に帰っていたのに

もうそんな事も無くて、なんなら帰りたくなくてよろよろとカタツムリレベルの速度で歩く


……

…なんだ?道の端っこで喧嘩してる人がいる

この道って少し治安悪いから嫌なんだよな…



「いーじゃん、キミこんな時間に出てるってそーゆー事でしょ?」

「い、いえ、そんなんじゃ…」

「んなこと言わないでさぁ、ねっお金弾むよ??」

「いや、その………や、やめてください」

「は?んだよ、金やるんだから着いて来いって」

「や、やです……その、離してください」




ナンパ?でも、聞こえる声は男と男だ

まぁ、酔っぱらいが若者に絡んでいるんだろう

みんな見て見ぬふりをして足早に通り過ぎていく

俺も余り関わりたくないし…悪いけれど、通り過ぎよう


と、歩くスピードを上げたが





チラリとナンパされている人を見た瞬間、全身が硬直した






左「こ、こはく、くん………?」



「…!!!!あ、!あの!!僕待っている人が来たので!!!!」

「は、?おいちょっと」



琥珀君とそっくりな人が、俺の方へ向かって走って来て

腕にしがみついてくる

街灯の明かりが彼を照らして
近くで見て確信した

このあどけない顔、黒くて重めの前髪、少し高めの声


これは、俺の推しだ


こはくくんだ
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