俺の推し♂が路頭に迷っていたので

木野 章

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左江内編

まだ付き合ってないし…

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会社の昼休み

変わらず俺はデスクでスマホを弄りながらご飯を食べていた

左「…~♪」

ぽちぽちとフリック入力を繰り返し、絶え間なく返信を送る





返「………佐江先輩、やっぱ怪しいっスよね」

渉「ああ…最近の様子含め、あれは確実に黒だ」

返「しかも、何時もコンビニのパンだったクセに今日はとうとう弁当スよ」

渉「……ぐぅっ!!!!左江内!!お前まで裏切ったのか!!!!!」

左「うるせぇよ」

というか、ヒソヒソ話を本人挟んでやるのは全く無意味だよな

ギャーギャー騒いでる渉に苦情を吐くと、こっちを悲壮感たっぷりの目で見つめてくる


渉「お前…っデキたんだろ!!この俺を差し置いて!!!!」

左「デキたって…何がだよ」

渉「とぼけんなっつーの!!!コレだろ!」


そう言って小指をピンッと突き立てる

言いたいのはそういう事だろう



左「……恋人、居るように見えた?」

返「ハイ、見せつけてんかなって思いましたけど」

渉「そうだよ!!!その弁当もだよ!手作りなんだろ!?あと友達いねーお前がずっとLIN3開いてんのも有り得ないんだよ!」

返「佐江先輩流石に五月蝿いっす」

渉「ごめん」


社内の目を集めているのに気づいたのか、静かになる渉


……そうか、恋人いるように見えたのか

…………んふふ

渉「…おいニヤケてんじゃねーよ左江内、もういるって言ってるよーなもんだろうが!」

左「……まだ付き合ってねーよ」

渉「嘘つけ、その弁当は何処から出てきたんだよ!」

左「作って貰ったけど、まだ同居なだけだしな」

返「同居ッスか…身体から入った感じスね?」

左「違うわ!!色々あったんだよ」

返「そっスよね、左江内先輩が身体からのお付き合いとか無理っぽいですもん」


くだらない会話の中、俺のスマホがピコンッと通知を知らせる


左「あ、…」

渉「どれどれ、名前でも見てやるわ…」

左「おいやめろって」

渉「あちょ、隠すなって!!」


渉が必死に覗き込んで来るのを阻止しながら返信する


『割引されていたお野菜追加で買っておきました!!』

『ありがとうございます、こはく君はお昼何食べました?』

『僕はパンケーキ作りました!あ、お弁当美味しかったですか…?』

『すっごく美味しかったですよ!元気出ました』

『良かったです…!!』


渉を阻止しながらぽちぽちと入力していたら

返「あ、一瞬見えた」

左「あ、っちょっと勝手に見るなって」

渉「名前何だって!!?教えてくれ~!」

左「分かったから!!!俺が言うから!」



他人から名前を言われるのは何だか癪で、慌てて止める

…まだ付き合ってないし…まだって希望持ってるのもアレだけど

もしかしたら紹介する日が来るかもだからな…


はあー…と長い溜息を吐いてから

すぅ、と息を吸って口を開いた



左「…水無瀬みなせ さんって人だよ」
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