8 / 57
1章
8
しおりを挟む「予約してあるから。」そう言われて連れてこられたのは高そうな料亭
お店の外観に圧倒されていれば、既に中に入っていたかずさんに呼ばれ慌てて俺も中に入る
個室に案内されしばらく待てば出てくる料理に目を輝かせる。
そんな俺を見てかずさんが笑顔で「食べようか。」そう言い手をあわせる
それに続いて俺も手をあわせてから口に運べば思わず口が綻ぶ
そんな俺を手を止めながら見るかずさんに「食べないんですか?」そう聞けば「いつも美味しそうに食べてくれるから、その姿が見たくて誘ってるから僕の事は気にしなくていいよ。」そう言いながらニコニコで俺を見るから「そうなんですね、、、」とちょっと照れてしまう。それを隠すように目の前の料理を口に運べばむせてしまった。
そんな俺の姿にかずさんは慌てて「あぁ、ごめんね。俺が変なこと言っちゃったから。」そう謝りながら水を渡してくれる
「大丈夫です。」そう言い何とか落ち着いた後にお互い目が合えば思わず吹き出す
「食べよっか。」そんなかずさんに「かずさんもちゃんと食べてくださいね?」そう言えば「分かりました。」と素直に応じる姿にまた笑みが零れた
食べ終えお店を出て駅へ向かう
かずさんと過ごす時間は楽しくて落ち着く
かずさんとは、電車で痴漢にあっていた俺を助けてくれた事がきっかけで知り合った
俺の8つ上のお医者さんでベータだ
聞いた時に「凄いね。」と言えば「研修医だからまだまだだけどね。でも嬉しい、ありがとね。」そう言っていた
かずさんには親が働くのが難しくて学校に行かずにバイトをして過ごしてると説明していた。だからそんな俺を心配して、たまにこうしてご飯だったり買い物に誘ってくれる優しい人だ。
かずさんに嘘をついているのは苦しいけど自分の体を売っているなんて知られたくなかった
俺が唯一、信頼出来て頼りになるお兄ちゃん的な存在のかずさんに嫌われたくなかった
「明日もバイト?」
「うん、、、」
「そっか、、無理はしないでね。」
「ありがとう」
「また連絡する。」
少し寂しそうになる俺の頭を撫でながらそう言った
かずさんも忙しい中こうやって俺の為に時間を作ってくれてるんだから頑張らないとな、、
そう思って笑顔で「またね。」と呟いた
どんなに嫌でも朝はくる
今日もいつも通り待ち合わせて肌を重ねる
待ち合わせまでの時間つぶしの為にあの公園に行きベンチに腰掛ける
"今日は天気がいいな" なんてぼんやり思っていれば足元に何かを感じる、、、
ふと見れば犬が1匹
辺りを見渡してみるが飼い主らしき人が見当たらない
どこからか逃げ出してきたのか、、、
「お前どうしたんだ?」
思わずそう声をかけた、、、
"何してんだ犬相手に..." 自分の行動に思わず笑う
「 1人寂しくないか?、、、よく見たら首輪してんな、、まだ時間あるし一緒に探してやるよお前の飼い主。」
そう言って抱き上げれば足を怪我していた
"マジか、、、近くに動物病院なんてあったか、、、?"
そう思っていたら近くにおにいさんの姿を見つけた
「あっ、おにーさん!こいつケガしてるから病院連れていきたいけど場所知らねーし調べようにもこいつだっこして手ふさがってるからさ、代わりに探してくれない?」
おにいさんの元に行きそう言う。
嫌がられると思っていたが俺の腕の中にいる犬を心配したのかすぐに調べて案内してくれた。
すぐに診てもらえた上に、首輪には飼い主の名前と連絡先があり、先生が知っていると言うのでそのまま任せる事になった。
「よかったなお前。」
そう言って犬の頭を撫でてから病院を出た。
「おにーさんもありがと!助かった。」
横にいるおにいさんにお礼を言えば時間を知らせるアラーム音が鳴り響く。
"あー。せっかく会えたのに行かなきゃいけないのか、、、"
「じゃぁ俺行かないと、、、」
そう言って待ち合わせ場所へ向かおうとした時
「あのさ、、、」
おにいさんが何かを言いかけた、、、
不思議に思い顔を向けるが黙ったままだ
「いや、何でもない。」
そう言うと行ってしまった。
気になったが次の待ち合わせ相手はこの前遅れたことでうるさく言われた人だ.......仕方なくおにいさんに背を向けて歩き出した
翌日。いつものようにベンチに座っていれば声をかけられる。
「 となり.......いい..? 」
見上げればおにいさんが立っていた
初めて声をかけられた驚きで反応が遅れる
「 無理なら.....別にいい.....。」
そう言って去ろうとするおにいさんの腕を咄嗟に掴み
「別に平気。無理じゃない。」
そう言って引き止めた。
急な事でいつもと違う話し方になってる事に気付き
「おにーさんから声掛けてくれるなんてどーしたの?もしかして、、、ついに??」
なんて軽く言う
「それは絶対ねぇ。ただ、、、」
そう言うと黙ってしまう
"ただ、、何だろ?"
そう思いながら俺も黙って続きを待つ
「、、、これ、、やるよ。」
先を言うのはやめたのか、そう言って手に持っていた袋を渡す
受け取り中を見るとおにぎりや飲み物などが入っていた
不思議に思いおにいさんの顔を見れば
「お前....昨日病院での待ち時間中......お腹空いたって呟きながらお腹なってた.....から....」
少し気まづそうに下を向きながらそう言う
「あっ、、ありがとう、、、」
驚きながらもお礼を伝えると
「、、んっ、、、」
それだけがかえってきた。
「じゃぁもう行くわ。」
勢いよく立ち上がったかと思えばそう言って歩いて行ってしまった。
突然の出来事に俺はその後ろ姿を見送る事しか出来なかった。
おにいさんの姿が見えなくなった後に不思議に思いながらも貰ったおにぎりを口にした
そのおにぎりは何度か食べたコンビニのおにぎりのはずなのにいつもより美味しく感じた
220
あなたにおすすめの小説
君に不幸あれ。
ぽぽ
BL
「全部、君のせいだから」
学校でも居場所がなく、家族に見捨てられた男子高校生の静。
生きる意味を失いかけた時に屋上で出会ったのは、太陽に眩しい青年、天輝玲だった。
静より一つ年上の玲の存在は、静の壊れかけていた心の唯一の救いだった。
静は玲のことを好きになり、静の告白をきっかけに二人は結ばれる。
しかしある日、玲の口から聞いた言葉が静の世界を一瞬で反転させる。
玲に対する感情は信頼から憎悪へと変わった。
それから十年。
かつて自分を救った玲に再会した静は、玲を自分に惚れさせた上で捨てようとするが…
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
流れる星、どうかお願い
ハル
BL
羽水 結弦(うすい ゆずる)
オメガで高校中退の彼は国内の財閥の一つ、羽水本家の次男、羽水要と番になって約8年
高層マンションに住み、気兼ねなくスーパーで買い物をして好きな料理を食べられる。同じ性の人からすれば恵まれた生活をしている彼
そんな彼が夜、空を眺めて流れ星に祈る願いはただ一つ
”要が幸せになりますように”
オメガバースの世界を舞台にしたアルファ×オメガ
王道な関係の二人が織りなすラブストーリーをお楽しみに!
一応、更新していきますが、修正が入ることは多いので
ちょっと読みづらくなったら申し訳ないですが
お付き合いください!
消えない思い
樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。
高校3年生 矢野浩二 α
高校3年生 佐々木裕也 α
高校1年生 赤城要 Ω
赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。
自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。
そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。
でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。
彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。
そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。
運命よりも先に、愛してしまった
AzureHaru
BL
幼馴染で番同士の受けと攻め。2人は運命の番ではなかったが、相思相愛だった。そんな時、攻めに運命の番が現れる。それを知った受けは身籠もっていたが、運命の番同士の子供の方が優秀な者が生まれることも知っており、身を引く事を決め姿を消す。
しかし、攻めと運命の番の相手にはそれぞれに別の愛する人がいる事をしり、
2人は運命の番としてではなく、友人として付き合っていけたらと話し合ってわかれた。
その後、攻めは受けが勘違いしていなくなってしまったことを両親達から聞かされるのであった。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ジャスミン茶は、君のかおり
霧瀬 渓
BL
アルファとオメガにランクのあるオメガバース世界。
大学2年の高位アルファ高遠裕二は、新入生の三ツ橋鷹也を助けた。
裕二の部活後輩となった鷹也は、新歓の数日後、放火でアパートを焼け出されてしまう。
困った鷹也に、裕二が条件付きで同居を申し出てくれた。
その条件は、恋人のフリをして虫除けになることだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる