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2章
3
しおりを挟む公園に着けば綺麗に咲いている桜に目を奪われ写真を何枚か撮れば、その下で美味しそうな匂いを上げている屋台に視線を奪われる
"美味しそうだな..." そう思っていれば「何か食べる?」と優人さんが顔を覗き込みながら優しく聞いてきた
その近付いた顔に、先程の事を思い出して思わず赤面すれば「なつ、、外でその顔はダメだよ。」なんて言いながら頭に手を乗せてきた
「誰のせいだと思ってるんですか!?」
「俺のせいなの?」
「いえ出る前に、あんな事するから、、、」
「なるほど、、それはごめんね。」
なんて、まったく悪びれる様子なく言う姿に呆れながらも笑えば「その顔も可愛いからダメだよ。」なんて真面目な顔して言うから恥ずかしさはどこかへ飛んでいってしまった
気になった食べ物を買いながら桜の木が並ぶ道を手を繋ぎながらゆっくり歩く
すると足に何かがぶつかった
視線を下に移せば小さな男の子が尻もちをついてこちらを見上げていた
視線を合わせる為にしゃがみ「大丈夫?」となるべく優しく声をかけるけど、その瞳からは大粒の涙が溢れ出した
"あっ、どうしよう...." そう思った瞬間
「大丈夫か?」そう言いながら優人さんが男の子を抱き上げた
突然の事に驚いたのか、抱き上げられた男の子はびっくりした顔で優人さんの顔を眺めていて涙は止まっていた
「パパかママは?」
「、、わかんない、」
「そっかぁ、はぐれちゃったか、、、」
「まま、、、」
そう言って男の子の止まっていた涙が再び溢れそうになった時
「ぼくのなまえはぽち。きみは?」
さっき射的で取れたばかりの小さな犬のぬいぐるみを持ちながら少し高めの声で優人さんが話し始めた
涙を流しながら眺めていた男の子は少しした後におそるおそるぬいぐるみに手を伸ばした
男の子の手に渡ったぬいぐるみを見ながら優人さんは再び高めの声で「きみのおなまえ知りたいな」と話しかけた
「たぁ、、くん」
「たぁくんっていうんだね!なんさい?」
「ごたい」
そう言いながらぬいぐるみに手を広げてみせた
「すごいね!ごさいってできるんだ!」
そう言って褒めてあげれば嬉しそうに笑う
優人さんはその姿を見ながら「あそこに運営のテントがあったからそこに行こう」と俺に耳打ちをする
それに頷きながら2人のやり取りの様子を眺めた
不安そうに泣いていた男の子はぬいぐるみとのお喋りで笑顔を見せていた
テントに近付けば「たぁくん!」と1人の女性が駆け寄ってきた
「ままぁ」
その女性を見た瞬間男の子は嬉しそうにそう呼んだ
「本当にありがとうございます。」
と何度もペコペコと頭を下げる女性の横で男の子が「おにいちゃんたちありがとう。」と伝えてきた
「もうままのそばをはなれちゃだめだぞ」
「うん!」
「おにいちゃんとのやくそくな!」
「わかった!」
そう言って小指を絡ませる
その姿に胸が熱くなると同時に広がる不安
"優人さん、こども、、、欲しいのかな、、、"
男の子と別れたあとも思い悩むそんな俺を優人さんが気付かないはずもなく
「なつ?どうした?」
「なんでもないよ!」
そう明るく応えても「何かあったでしょ?」と騙されてはくれない
「ほんとに、、何でもないよ、、、」
「言いづらいこと?」
「違うの、、俺の気持ちの問題だから、、、」
「なつ、、こっちおいで」
そう言って俺の手を取れば人混みから少し外れた場所へと連れていかれた
そこには数本の桜の木とベンチが1つ置かれているだけの場所だった
「ここ、、」
「いいでしょ?ちょっと道を変えて帰った日に見つけてね。人も少ないからゆっくりできるかなって」
「うん、いいね」
ベンチに乗っていた花びらを手で軽く払い並んで腰を下ろした
「俺に話せそう?」
「、、、、」
「無理には聞かないようにするけど、2人に関係する事なら俺は聞きたいな」
その言葉に俺は口を開いた
「優人さんは、、、子供すき?」
「こども?」
「うん、」
「まぁ、好きだよ」
「そっか、、、やっぱり自分の子供、欲しいなって思う?」
「んー、欲しくないかって言われたら嘘になるけど、でもそれは、なつと一緒に過ごしていく上でだからな、、、」
「、、」
「なつと一緒に生きていくうえで2人の子供が出来たらそりゃ嬉しいですよ。でもね、俺はなつと2人だけで生きていくのもいいなって思ってるから、だから子供は好きだけど2人の子供が絶対に欲しいかって言われたら、うーん、そんな事はないかな。言い方あってるか分かんないけど」
「そっか」
「そうだよ」
「俺ね、最近よく思ってて、、、」
そこで俺はずっと思っていた事を話した
子供のことを最近よく考えるようになった事
嫌いではないけど、自分が親となり育てる事には不安がある事
あの親の血が流れている自分が怖く思う日がある事
全てを吐き出した後、優人さんの顔を見れば穏やかに笑ってて
「なつはさ、凄く優しくて愛のある人だよ」
「えっ?」
「そりゃあの親を見てきたなつからしたら不安に思うのも分かる。でもね、俺がなつの事をもっと知りたいと思ったのは怪我した犬を助けた所を見たからだ。見て見ぬふりが出来る状況でなつはそれをしなかった。自分が生きるのに必死な状況でなかなか出来ることじゃないと思う。今だって俺はなつから沢山の愛を感じてるし。それに育てることに関しては俺だって不安もあるよ、子育てなんて今までした事ないんだから。」
そう言って優人さんは困惑の表情を浮かべた
その姿に「優人さんでも不安なんだ....」と思わず零せば「そりゃそうだよ~」なんて笑った
「だからこそ子供が出来たら、2人で協力していくものだと思ってるよ」
その言葉に何だか少しだけ心が軽くなった気がした
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