43 / 159
第3章 ロベルタ店
第41話 カッパ3
しおりを挟む
そんな話をしていたら、ふと時計代わりの壁の針に目をやったアリーが声を上げた。
「あっ!もうこんな時間だ!仕事始まる5分前だよ!」
「やばっ!」
俺たちは急いで作業場に駆け込み、何とか間に合ったものの……
「おい!話し込むのはいいが、時間はしっかり守れ!」
待ってましたと言わんばかりに、エルザの怒鳴り声が飛んできた。
「す、すいません!」
俺たちは慌てて頭を下げて、そのまま昨日の作業の続きを始める準備に取りかかった。
するとそのとき、またエルザの声が響く。
「おい、アリー! さっきの話の使い方、もっと詳しく説明してくれ!」
「えっ? あ、はい。使い方は……雨が降っている時に、家を出る前に着ます。そして、後ろに付いてる部分を頭に被せるんです。これで体全体を雨から守れるんですよ」
そのやりとりを聞いていたレオンが、興味津々といった様子で声をかけてきた。
「仕事が始まる前に、一度着てみてもいいか?」
「はい、どんな感じか見てみてください」
俺はアリーに着方を教わりながら、慣れない手つきでカッパを装着した。
「で、できました……エルザさん、どうですか?」
俺の不安そうな問いかけに、エルザは腕を組んだまま真剣な顔で見ていたが……
「ああ、確かに。上着を着ているように見えるな。ちょっと薄っぺらいが、雨を防ぐってのは理にかなってる」
アリーは嬉しそうに続けた。
「そうなんです。外に出る時にこれを着るだけで、服が濡れずにすむんです。私の国では当たり前のように使ってましたよ」
エルザとレオンは顔を見合わせ、何か企んでいるような笑みを浮かべた。
作業の一段落がついたところで、俺たちはエルザとレオンに軽く頭を下げた。
「それじゃあ、俺たちは昨日の続きを始めます」
書類整理をしていた作業場に戻り、いつものように黙々と手を動かし始めた。
しばらくして、アリーがぽつりと口を開いた。
「ねぇ、ラン……エルザさんって、私たちが1週間しかここにいないって知ってるのかな?」
「あー……昨日は受付で紙を渡して、それでそのまま仕事に入ったからな……」
言われてみれば、俺たちが期限付きの応援として来ていることを、ちゃんと伝えた覚えはなかった。
「……やばいな。ちゃんと伝えとかないと、後で混乱しそうだな」
「うん。お昼休みにでも、一度話しておこうか」
「そうだな。忘れないうちにメモしとこう」
そんな会話を交わしながら、俺たちはまた静かに作業に集中した。
「あっ!もうこんな時間だ!仕事始まる5分前だよ!」
「やばっ!」
俺たちは急いで作業場に駆け込み、何とか間に合ったものの……
「おい!話し込むのはいいが、時間はしっかり守れ!」
待ってましたと言わんばかりに、エルザの怒鳴り声が飛んできた。
「す、すいません!」
俺たちは慌てて頭を下げて、そのまま昨日の作業の続きを始める準備に取りかかった。
するとそのとき、またエルザの声が響く。
「おい、アリー! さっきの話の使い方、もっと詳しく説明してくれ!」
「えっ? あ、はい。使い方は……雨が降っている時に、家を出る前に着ます。そして、後ろに付いてる部分を頭に被せるんです。これで体全体を雨から守れるんですよ」
そのやりとりを聞いていたレオンが、興味津々といった様子で声をかけてきた。
「仕事が始まる前に、一度着てみてもいいか?」
「はい、どんな感じか見てみてください」
俺はアリーに着方を教わりながら、慣れない手つきでカッパを装着した。
「で、できました……エルザさん、どうですか?」
俺の不安そうな問いかけに、エルザは腕を組んだまま真剣な顔で見ていたが……
「ああ、確かに。上着を着ているように見えるな。ちょっと薄っぺらいが、雨を防ぐってのは理にかなってる」
アリーは嬉しそうに続けた。
「そうなんです。外に出る時にこれを着るだけで、服が濡れずにすむんです。私の国では当たり前のように使ってましたよ」
エルザとレオンは顔を見合わせ、何か企んでいるような笑みを浮かべた。
作業の一段落がついたところで、俺たちはエルザとレオンに軽く頭を下げた。
「それじゃあ、俺たちは昨日の続きを始めます」
書類整理をしていた作業場に戻り、いつものように黙々と手を動かし始めた。
しばらくして、アリーがぽつりと口を開いた。
「ねぇ、ラン……エルザさんって、私たちが1週間しかここにいないって知ってるのかな?」
「あー……昨日は受付で紙を渡して、それでそのまま仕事に入ったからな……」
言われてみれば、俺たちが期限付きの応援として来ていることを、ちゃんと伝えた覚えはなかった。
「……やばいな。ちゃんと伝えとかないと、後で混乱しそうだな」
「うん。お昼休みにでも、一度話しておこうか」
「そうだな。忘れないうちにメモしとこう」
そんな会話を交わしながら、俺たちはまた静かに作業に集中した。
1
あなたにおすすめの小説
もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?
娘を返せ〜誘拐された娘を取り返すため、父は異世界に渡る
ほりとくち
ファンタジー
突然現れた魔法陣が、あの日娘を連れ去った。
異世界に誘拐されてしまったらしい娘を取り戻すため、父は自ら異世界へ渡ることを決意する。
一体誰が、何の目的で娘を連れ去ったのか。
娘とともに再び日本へ戻ることはできるのか。
そもそも父は、異世界へ足を運ぶことができるのか。
異世界召喚の秘密を知る謎多き少年。
娘を失ったショックで、精神が幼児化してしまった妻。
そして父にまったく懐かず、娘と母にだけ甘えるペットの黒猫。
3人と1匹の冒険が、今始まる。
※小説家になろうでも投稿しています
※フォロー・感想・いいね等頂けると歓喜します!
よろしくお願いします!
帰国した王子の受難
ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。
取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
捨てられた者同士でくっ付いたら最高のパートナーになりました。捨てた奴らは今更よりを戻そうなんて言ってきますが絶対にごめんです。
亜綺羅もも
恋愛
アニエル・コールドマン様にはニコライド・ドルトムルという婚約者がいた。
だがある日のこと、ニコライドはレイチェル・ヴァーマイズという女性を連れて、アニエルに婚約破棄を言いわたす。
婚約破棄をされたアニエル。
だが婚約破棄をされたのはアニエルだけではなかった。
ニコライドが連れて来たレイチェルもまた、婚約破棄をしていたのだ。
その相手とはレオニードヴァイオルード。
好青年で素敵な男性だ。
婚約破棄された同士のアニエルとレオニードは仲を深めていき、そしてお互いが最高のパートナーだということに気づいていく。
一方、ニコライドとレイチェルはお互いに気が強く、衝突ばかりする毎日。
元の婚約者の方が自分たちに合っていると思い、よりを戻そうと考えるが……
爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。
秋田ノ介
ファンタジー
88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。
異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。
その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。
飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。
完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。
最弱Sランク冒険者は引退したい~仲間が強すぎるせいでなぜか僕が陰の実力者だと勘違いされているんだが?
月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
冒険者のノエルはSランクパーティーの荷物もちだった。
ノエル自体に戦闘能力はなく、自分のことを足手まといだとすら思っていた。
そして、Sランクになったことで、戦うモンスターはより強力になっていった。
荷物持ちであるノエルは戦闘に参加しないものの、戦場は危険でいっぱいだ。
このままじゃいずれ自分はモンスターに殺されてしまうと考えたノエルは、パーティーから引退したいと思うようになる。
ノエルはパーティーメンバーに引退を切り出すが、パーティーメンバーはみな、ノエルのことが大好きだった。それどころか、ノエルの実力を過大評価していた。
ノエルがいないとパーティーは崩壊してしまうと言われ、ノエルは引退するにできない状況に……。
ノエルは引退するために自分の評判を落とそうとするのだが、周りは勘違いして、ノエルが最強だという噂が広まってしまう。
さらにノエルの評判はうなぎのぼりで、ますます引退できなくなるノエルなのだった。
他サイトにも掲載
【読切短編】処刑前夜、地下牢に現れた王女は言った。「お前でなければ駄目なんだ」滅びの未来を覆す、騎士との契約
Lihito
ファンタジー
王国騎士団の副長ヴェルドは、無実の罪で投獄され、明日処刑される運命にあった。
腐敗した国に絶望し、静かに死を待つ夜。
地下牢に現れたのは、実権を持たない「傀儡」と噂されるイゾルデ王女。
彼女はヴェルドに仮死毒を渡し、こう告げた。
「死んで、私の影になれ」
彼女は知っていた。
この国が三年後に滅ぶこと。誰が裏切り者か。
そして——ヴェルドこそが、国を救うための唯一の「切り札」であることを。
これは、滅びの未来を知る孤独な王女と、一度死んで生まれ変わった騎士が、裏から国を救う「共犯」の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる