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新学期!!
心からの反省
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オレは心の中で悶えながら、ここ数日の後悔を一つ一つ言葉にし裁きの時を待った。
寮長は机に無造作に置かれた紅茶のペットボトルを掴むと、やけくそ気味に半分ほどを一気飲みされた。そのまま、流れるように投げつけられると身構えたが、他のならず者とは違いその必要はなかった。
「まず、興津先輩との件についてだ。雫に嘘を吐いてまで、僕を遠ざけたのは何故だ」
「寮長と興津を接触させたくなかったからです。何するか分からない奴だったので、危険かと思って」
興津が性悪の過去を暴露しないよう遠ざけたかったのだが、いくら脅されても、それだけは馬鹿正直に答える事は出来なかった。何かあると見透かされているのか、寮長は難しい顔で暫く黙り込んでしまった。
「手帳を預かって貰ったせいで、寮長の身に何かあったら、その、気分悪いので」
補足をすると、諦めたように寮長は溜め息を吐いた。
「興津先輩との確執が解消したのはいい。利口なやり方だとは思わないが、ここではそれが王道なのだろう……だが何故だ。お前はどうして、自分を害した人間をそうも庇い立てする? 僕には苦しい言い訳に聞こえるのだが、申し開きは出来るのか」
性悪の事情だけを省いて全て洗いざらいぶちまけたので、ポチクロとの経緯も話した。本当なら恥ずかしさが勝りスルーすべき部分だったが、絶賛お怒り中の寮長が相手では、自分のちっぽけなプライドは頭すら出さなかった。情けなさすら感じない、圧倒的な何かを前に、オレは既にまな板の鯉状態だった。
「コウスケは放っておくと、無茶苦茶やる奴なので……普通のケンカならいいんですけど、あいつら単に人間を殴る蹴るするのが好きっていう、それで憂さを晴らすタイプの人間なんで、なんか……その、嫌だったんです」
自分でも矛盾しているのは分かっているので、寮長の疑問は当然だ。興津もポチクロも碌でもない奴らなのは事実で、オレがリスクを負う理由としては確かに……弱い。
「本当にそれだけか?」
コウスケやスバルの異常性を考慮しても。
「春日野にも気持ちがあるのか?」
「ない! それだけは絶対にあり得ません!」
これだけは即答出来るが、それだけで納得してくれる人ではなかった。寮長はオレが続けて喋るのをジッと待っていた。
「こ、コウスケが多少ですが不憫に思えて」
嘘ではないが、恐らくすっかり見抜かれているのだろう、コレにはなんの反応もせず、寮長は黙って待っている。
「普段勉強しないスバルが、ちょっとでもやるのは、悪くないと、思ったり」
オレの言い訳を全て聞く気はないと、険しくなりだした目が忠告してくる。見た目の変化はゼロなのにハッキリ分かるのは何故だ! マジで恐い。
「……何もしてないと、先輩に会いに行ってしまいそうで……先輩のすごい大事な時期だから、邪魔したくなくて……ちゃんと自分で決めて欲しいから……気を紛らわす為に馬鹿やりました」
顔を上げて言い始めたのに、言い終わる頃には床ばかりを見つめていた。
「本当に愚かな行為だ。金城先輩が知れば悲しまれると分からなかったか?」
痛い所を突かれて思わず呻く。下手したら、面接に向けて頑張っている今この瞬間、オレがスバルと乳繰り合ってるという噂を耳にするかもしれない。最悪だ。先輩はどう思う? あぁ本当に最悪だ。
「正しく現状を理解出来たようだな」
血の気の引いた顔で「はい」と呟く。
「お前は周りが見えていない。少し冷静になれば分かる事だろう」
自分の馬鹿さ加減に込み上げてくるモノが出てしまわないよう、オレは黙ったまま頷く。
「何故、金城先輩に会いに行ってはいけないんだ。お前は金城先輩に何をする気なんだ」
「べつに、何もしない……けど、先輩に脅すような事を言って発破かけたから、なんか中途半端っつーか、どんな顔して会うんだってかんじで、その」
「分かった、もういい」
煮え切らない答えを寮長は断ち切った。怒鳴られている訳ではないのに、怒られている感が半端ない。この部屋に来てから、だいぶ体が縮んだように思えた。
「お前たちの事は、明日から僕が監督する。教材は僕の方で用意しておくので、放課後はその二人を連れて、新館食堂へ来るように」
「え?」
寮長の言葉の意味が理解出来ず表情を伺うと、優しさが欠片も含まれない微笑を返された。
「いくら夷川が気持ちを入れ替えようと、隔離された密室ではまた良からぬ事を企むだろう。それが分かっていて放置は出来ない」
「ありがたいですけど……その、ご迷惑では」
寮長の申し出に対して、どう反応したらいいのか分からず、申し訳程度の言葉を返すと、ずばり「迷惑だ」と即答される。
「だが、金城先輩の選択に悪影響が出る可能性がある以上、このまま見過ごす事は出来ないだろう」
全力で迷惑をかけている事を実感させる雰囲気に、申し出を辞退して早々に退室したい気持ちでいっぱいだったが、自分のやり方では限界だと観念して「ありがとうございます」と受け入れた。
スバルとコウスケをどう説得したものか、そもそも説得出来るのか不安しかなかったが、先輩の耳に変な噂が入らないよう、火の元を消す作業を優先する事にした。
寮長は机に無造作に置かれた紅茶のペットボトルを掴むと、やけくそ気味に半分ほどを一気飲みされた。そのまま、流れるように投げつけられると身構えたが、他のならず者とは違いその必要はなかった。
「まず、興津先輩との件についてだ。雫に嘘を吐いてまで、僕を遠ざけたのは何故だ」
「寮長と興津を接触させたくなかったからです。何するか分からない奴だったので、危険かと思って」
興津が性悪の過去を暴露しないよう遠ざけたかったのだが、いくら脅されても、それだけは馬鹿正直に答える事は出来なかった。何かあると見透かされているのか、寮長は難しい顔で暫く黙り込んでしまった。
「手帳を預かって貰ったせいで、寮長の身に何かあったら、その、気分悪いので」
補足をすると、諦めたように寮長は溜め息を吐いた。
「興津先輩との確執が解消したのはいい。利口なやり方だとは思わないが、ここではそれが王道なのだろう……だが何故だ。お前はどうして、自分を害した人間をそうも庇い立てする? 僕には苦しい言い訳に聞こえるのだが、申し開きは出来るのか」
性悪の事情だけを省いて全て洗いざらいぶちまけたので、ポチクロとの経緯も話した。本当なら恥ずかしさが勝りスルーすべき部分だったが、絶賛お怒り中の寮長が相手では、自分のちっぽけなプライドは頭すら出さなかった。情けなさすら感じない、圧倒的な何かを前に、オレは既にまな板の鯉状態だった。
「コウスケは放っておくと、無茶苦茶やる奴なので……普通のケンカならいいんですけど、あいつら単に人間を殴る蹴るするのが好きっていう、それで憂さを晴らすタイプの人間なんで、なんか……その、嫌だったんです」
自分でも矛盾しているのは分かっているので、寮長の疑問は当然だ。興津もポチクロも碌でもない奴らなのは事実で、オレがリスクを負う理由としては確かに……弱い。
「本当にそれだけか?」
コウスケやスバルの異常性を考慮しても。
「春日野にも気持ちがあるのか?」
「ない! それだけは絶対にあり得ません!」
これだけは即答出来るが、それだけで納得してくれる人ではなかった。寮長はオレが続けて喋るのをジッと待っていた。
「こ、コウスケが多少ですが不憫に思えて」
嘘ではないが、恐らくすっかり見抜かれているのだろう、コレにはなんの反応もせず、寮長は黙って待っている。
「普段勉強しないスバルが、ちょっとでもやるのは、悪くないと、思ったり」
オレの言い訳を全て聞く気はないと、険しくなりだした目が忠告してくる。見た目の変化はゼロなのにハッキリ分かるのは何故だ! マジで恐い。
「……何もしてないと、先輩に会いに行ってしまいそうで……先輩のすごい大事な時期だから、邪魔したくなくて……ちゃんと自分で決めて欲しいから……気を紛らわす為に馬鹿やりました」
顔を上げて言い始めたのに、言い終わる頃には床ばかりを見つめていた。
「本当に愚かな行為だ。金城先輩が知れば悲しまれると分からなかったか?」
痛い所を突かれて思わず呻く。下手したら、面接に向けて頑張っている今この瞬間、オレがスバルと乳繰り合ってるという噂を耳にするかもしれない。最悪だ。先輩はどう思う? あぁ本当に最悪だ。
「正しく現状を理解出来たようだな」
血の気の引いた顔で「はい」と呟く。
「お前は周りが見えていない。少し冷静になれば分かる事だろう」
自分の馬鹿さ加減に込み上げてくるモノが出てしまわないよう、オレは黙ったまま頷く。
「何故、金城先輩に会いに行ってはいけないんだ。お前は金城先輩に何をする気なんだ」
「べつに、何もしない……けど、先輩に脅すような事を言って発破かけたから、なんか中途半端っつーか、どんな顔して会うんだってかんじで、その」
「分かった、もういい」
煮え切らない答えを寮長は断ち切った。怒鳴られている訳ではないのに、怒られている感が半端ない。この部屋に来てから、だいぶ体が縮んだように思えた。
「お前たちの事は、明日から僕が監督する。教材は僕の方で用意しておくので、放課後はその二人を連れて、新館食堂へ来るように」
「え?」
寮長の言葉の意味が理解出来ず表情を伺うと、優しさが欠片も含まれない微笑を返された。
「いくら夷川が気持ちを入れ替えようと、隔離された密室ではまた良からぬ事を企むだろう。それが分かっていて放置は出来ない」
「ありがたいですけど……その、ご迷惑では」
寮長の申し出に対して、どう反応したらいいのか分からず、申し訳程度の言葉を返すと、ずばり「迷惑だ」と即答される。
「だが、金城先輩の選択に悪影響が出る可能性がある以上、このまま見過ごす事は出来ないだろう」
全力で迷惑をかけている事を実感させる雰囲気に、申し出を辞退して早々に退室したい気持ちでいっぱいだったが、自分のやり方では限界だと観念して「ありがとうございます」と受け入れた。
スバルとコウスケをどう説得したものか、そもそも説得出来るのか不安しかなかったが、先輩の耳に変な噂が入らないよう、火の元を消す作業を優先する事にした。
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