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蜜月
反省と仲直り
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さっきの物音の原因だろう、部屋の中はイスが倒れ、本棚は崩れ、積んであった非常食のカップ麺が散らばっていた。先輩はそれらをどかし、オレの足場を作ってくれたが、蹴り飛ばされるカップ麺を見るのは忍びなかったので、無言で片づけを手伝った。
一通り片づけ終わると、先輩は少しだけ笑って「ありがとな」と言ってくれた。今日の先輩には、怒っている気配はなく覚悟は決めてきたのにホッとしてしまう。
「…………」
勧められるままイスに座る。対面に先輩も座り、オレらは沈黙を共にする。オレが発してしまっているのか強い緊張が漂い、居心地の良さとは無縁だった。先輩の堪えるような顔も辛い。オレは目を逸らさず、先輩を見つめて口を開く。
「馬鹿な事をして先輩に嫌な思いをさせました。ごめんなさい!」
先輩が恐る恐るオレの目を見る。肉便器になりきる変質者を目の当たりにしたショックが色濃く残っているのか、その変質者を一時でも恋人として慕っていたショックか。どちらにしても、ゴリゴリと心を削っていく視線にたじろぎそうになるが、踏みとどまり更に続ける。
「あんな馬鹿な事をしたのは、オレがマンガを鵜呑みにする考え足らずだったからなんだ。生徒会は、柏木は関係ない」
オレが弁明をすると、先輩の表情が強ばるのが見えた。生徒会というワードは、先輩の検閲に引っかかりまくりだな。
「確かに話しを聞いてもらったり、助力して貰ったけど、全てオレが願い出た事だから、今回の件で柏木を責めるのは止めて下さい」
「……セイシュン」
辛そうな声を漏らす先輩。どうにも信用されていないらしく、視線からは「そこまで洗脳されてしまったのか」と言いたげな気配を感じる。そうじゃあないんだと信じて貰う為に、オレは由々式に貰ったエロマンガを懐から取り出した。
「原因はこれ……てか、オレがエロ方面に疎かったせいで、変な勘違いしちまったんだよ」
圏ガクに来るまで、まともにエロ本なんて見た事なかったからな。マンガとかゲームも課金出来るような状況じゃあなかったし。もちろん、普通に女と付き合ったりとか、そうゆうのを考える余裕もなかったから、先輩を好きになって浮かれて、何も見えなくなってた。
「この中で……このページが一番エロいって思ったんだ。だから、先輩も……オレが、その真似してやったら、喜ぶかなって……喜ぶと思ってやった。やりました」
先輩は何とも言えない顔をする。そりゃそうだよな、頭イカレた奴らがノリでやるような行為を楽しめると思われたなんて酷いよな。オレは自分が恥をかくだけでは物足りず、先輩の人格まで貶めた。温厚な先輩が激怒するのも当たり前だ。
「先輩に『何で怒られたのか分かってるのか』って聞かれた時は、全然分かってなくて……その後、由々式に言われて気付いた。ずっと、こうゆう事をさせない為に先輩はオレを助けてくれてたのに……分かってなくてごめん」
先輩が助けてくれなかったら、オレは生徒会に拉致られ、笹倉に拉致られ、頭イカレた奴らの玩具になっていただろう。それなのにオレときたら、何が接待だ……先輩の気持ち、何一つ分かってなかった。
「……セイシュン」
情けなさがこみ上げて、色々飲み込む為に俯くと、迷いがありありと分かる先輩の声が聞こえた。
「オレの方こそ、悪かった……お前に手を上げちまった」
「先輩が謝る事ない!」
ばっと顔を上げると、困ったように笑う先輩と目が合った。また笑いかけてくれたと、さっき飲み込んだものが溢れて視界が滲む。
「お前は俺の為にって、方法はその、かなり間違ってたけどな……一生懸命考えてくれたのに、頭ごなしに怒る事しか出来なくて、でも、お前がこのまま奔放な感性を伸ばしていったら、なんと言うか……すごく嫌で謝るのは違うって思ってた。でも、俺の方から謝るべきだった。ちゃんと口で言えばいいのに手を上げた。最低な事をしたと思ってる。本当にすまない」
「オレ、馬鹿だから……先輩に叩かれなかったら気付けなかった。だから、先輩は悪くないよ! これだけは絶対!」
あぁ、ほんとマジでクソだ。先輩に暴力振るわせるなんて最低だろ。どんだけ先輩に自分のケツ拭かせてんだ!
イスから立ち上がり先輩の手を取る。汗ばむオレの手と違い、先輩の手は驚くほど冷たくて、汗も気にせず思わず握りしめる。
「先輩、無理を承知で頼む。もう一回、オレにチャンスをくれ」
オレの言葉に先輩が怪訝な顔をする。接待の再チャレンジだと思ったのだろう。そりゃあ、いい顔はしない。でも、そうじゃあない!
一通り片づけ終わると、先輩は少しだけ笑って「ありがとな」と言ってくれた。今日の先輩には、怒っている気配はなく覚悟は決めてきたのにホッとしてしまう。
「…………」
勧められるままイスに座る。対面に先輩も座り、オレらは沈黙を共にする。オレが発してしまっているのか強い緊張が漂い、居心地の良さとは無縁だった。先輩の堪えるような顔も辛い。オレは目を逸らさず、先輩を見つめて口を開く。
「馬鹿な事をして先輩に嫌な思いをさせました。ごめんなさい!」
先輩が恐る恐るオレの目を見る。肉便器になりきる変質者を目の当たりにしたショックが色濃く残っているのか、その変質者を一時でも恋人として慕っていたショックか。どちらにしても、ゴリゴリと心を削っていく視線にたじろぎそうになるが、踏みとどまり更に続ける。
「あんな馬鹿な事をしたのは、オレがマンガを鵜呑みにする考え足らずだったからなんだ。生徒会は、柏木は関係ない」
オレが弁明をすると、先輩の表情が強ばるのが見えた。生徒会というワードは、先輩の検閲に引っかかりまくりだな。
「確かに話しを聞いてもらったり、助力して貰ったけど、全てオレが願い出た事だから、今回の件で柏木を責めるのは止めて下さい」
「……セイシュン」
辛そうな声を漏らす先輩。どうにも信用されていないらしく、視線からは「そこまで洗脳されてしまったのか」と言いたげな気配を感じる。そうじゃあないんだと信じて貰う為に、オレは由々式に貰ったエロマンガを懐から取り出した。
「原因はこれ……てか、オレがエロ方面に疎かったせいで、変な勘違いしちまったんだよ」
圏ガクに来るまで、まともにエロ本なんて見た事なかったからな。マンガとかゲームも課金出来るような状況じゃあなかったし。もちろん、普通に女と付き合ったりとか、そうゆうのを考える余裕もなかったから、先輩を好きになって浮かれて、何も見えなくなってた。
「この中で……このページが一番エロいって思ったんだ。だから、先輩も……オレが、その真似してやったら、喜ぶかなって……喜ぶと思ってやった。やりました」
先輩は何とも言えない顔をする。そりゃそうだよな、頭イカレた奴らがノリでやるような行為を楽しめると思われたなんて酷いよな。オレは自分が恥をかくだけでは物足りず、先輩の人格まで貶めた。温厚な先輩が激怒するのも当たり前だ。
「先輩に『何で怒られたのか分かってるのか』って聞かれた時は、全然分かってなくて……その後、由々式に言われて気付いた。ずっと、こうゆう事をさせない為に先輩はオレを助けてくれてたのに……分かってなくてごめん」
先輩が助けてくれなかったら、オレは生徒会に拉致られ、笹倉に拉致られ、頭イカレた奴らの玩具になっていただろう。それなのにオレときたら、何が接待だ……先輩の気持ち、何一つ分かってなかった。
「……セイシュン」
情けなさがこみ上げて、色々飲み込む為に俯くと、迷いがありありと分かる先輩の声が聞こえた。
「オレの方こそ、悪かった……お前に手を上げちまった」
「先輩が謝る事ない!」
ばっと顔を上げると、困ったように笑う先輩と目が合った。また笑いかけてくれたと、さっき飲み込んだものが溢れて視界が滲む。
「お前は俺の為にって、方法はその、かなり間違ってたけどな……一生懸命考えてくれたのに、頭ごなしに怒る事しか出来なくて、でも、お前がこのまま奔放な感性を伸ばしていったら、なんと言うか……すごく嫌で謝るのは違うって思ってた。でも、俺の方から謝るべきだった。ちゃんと口で言えばいいのに手を上げた。最低な事をしたと思ってる。本当にすまない」
「オレ、馬鹿だから……先輩に叩かれなかったら気付けなかった。だから、先輩は悪くないよ! これだけは絶対!」
あぁ、ほんとマジでクソだ。先輩に暴力振るわせるなんて最低だろ。どんだけ先輩に自分のケツ拭かせてんだ!
イスから立ち上がり先輩の手を取る。汗ばむオレの手と違い、先輩の手は驚くほど冷たくて、汗も気にせず思わず握りしめる。
「先輩、無理を承知で頼む。もう一回、オレにチャンスをくれ」
オレの言葉に先輩が怪訝な顔をする。接待の再チャレンジだと思ったのだろう。そりゃあ、いい顔はしない。でも、そうじゃあない!
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