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蜜月
吹けば飛ぶ色気の効果
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体感一分ほどで部屋に戻って来た。本気で早い。何をそんなに慌てていたのか分からないが、オレを肩から下ろすと、先輩は珍しく荒い呼吸をしていた。
「セイシュン! どこ行く気だ?」
これは絶好のジュースチャンスだと、部屋を出ようすると、先輩は驚いた声を上げ扉を塞ぐ。
「ジュース買いに行ってくる。大丈夫、すぐに戻って来るよ」
「ジュース!? だ、駄目だ、せっかく温まったのに」
「湯冷めしないようにコート着てくから大丈夫」
まだ体はポカポカなのでコートは暑いのだが、心配性の先輩の為にしっかり着込み、その代わり頭に巻かれたタオルは外す。
「っ!!」
すると、何故か先輩が顔色を変えて、思い詰めた表情で抱きしめてきた。
「外に出るのは……駄目だ」
子供が駄々を捏ねるような、妙な態度の先輩。背中を撫でながら「なんで駄目なの?」と優しく聞いてやる。
「他の奴らがいるだろ……みんな旧館に戻って来る。そいつらと出くわす」
下山組の連中が戻って来たみたいなので、確かに出くわすだろうな。残留一年ばっかりだったら先輩の心配も分かるが、冬休みも精勤に課外活動ヤってるらしい山センと矢野君も一緒なのだ。それに当然ながら、教師陣も揃っている。オレがジュースを見せびらかすように買っていても、簡単には絡めない環境が整っているのだが。
「……そいつらが、今のお前を見るのは……絶対に駄目だ」
頭からホカホカと湯気を上げながらジュースを買おうとしている姿を見せたくないのか? ちょっと間抜けな感じはするが、それを見て突撃してくるような馬鹿はいない……と、言えないのが圏ガクか。
「今のセイシュンは危ない……襲ってくれと言ってるようなもんだ」
「そこまでボケーっとしてねぇし! そりゃあ、風呂上がりの一杯を先輩と飲もうって考えてると、なんか顔がゆるむっつーかだらしないかもしんないけど!」
聞き捨てならない言葉に、先輩の腕から逃れ、しっかり顔を見ながら抗議すると、見る見る内に先輩の顔が赤く、耳まで真っ赤になってしまう。
「人の顔見て、なんでそんな照れてんの?」
堪らないと言いたげに目を逸らされ、つい意地悪く目線の先に追いついてやる。先輩は一瞬驚いたような顔をした後、赤面しながらも冷静に口を開こうとした。
「今の……風呂上がりのセイシュンは……無駄に色気があるからだ!」
冷静に言おうとしたみたいだが、最後の方はヤケクソ気味に言い切りやがった。
「色気って……昨日も一緒に風呂入ったけど先輩ぜんぜん相手してくんなかったじゃん」
コタツのせいでオレが先に寝てたのが悪いと言えば悪いけどな! 予想外の事を言われ、つい反論してしまったが、先輩の余裕のない顔を見るとにやけてしまう。要するに今の先輩はオレを見て興奮しているという訳だ。
「今までは、お前が風邪を引いたりしないか心配で、そんなふうに思わなかったんだ」
オレの体調不良はオレの色気を簡単に吹き飛ばしてしまうらしい。今後は注意しよう。
「ジュースが飲みたいんだったな。俺が買ってくるから、セイシュンはここで待っててくれないか?」
少し落ち着いてしまったらしい先輩は、余裕を取り戻し提案してくる。オレは握り締めていた五百円硬貨を机に置き、コートを脱ぎ捨て、その提案を突っぱねてやった。一時間の入浴で火照った体を思い知らせるよう絡めながら。
「あのさ……まだオレに色気って残ってる?」
先輩の頭を優しく引き寄せ聞いてみた。目を逸らせようとするのをやんわり阻むと、せっかく落ち着いた顔色がまた赤面してしまった。
観念したように小さく頷いた先輩は、ゴクリと喉を鳴らして自分からオレに近寄ってくる。
風呂のせいかオレのせいか、先輩の手の平が熱い。背中から腰へ撫で下ろされるだけで全身の血の流れが勢いづく。
「……先輩」
つい身を任せそうになるが、分かりやすくオレに興奮したレアな先輩が目の前にいるのだ。押し倒されそうになるのを押し戻し、主導権を握るべくのし掛かる。コタツを避けて部屋の隅にある布団へ、自分ごと先輩を押し倒す。
されるがままの先輩に馬乗りになり、勢いのまま口に吸い付いてやると、オレの舌を宥めるよう先輩は優しく舌を絡ませてきた。その姿に自分の内側がキューンと、阿呆みたいな音を立てて反応する。
「よし、決めた。今日はリベンジする」
妙な音で閃いてしまった事を実行するべく、不思議そうな顔をした先輩にまずは宣言した。
「初めてしようとした時の事、覚えてる?」
「ん……夏……休み、の事だよな」
その通り。焦れったい先輩を押しのけ、オレが自分で先輩のモノを銜え込もうとした時の事だ。痛みに怖じ気づき、泣き崩れた屈辱の記憶。その記憶を今、書き換えてやる。
「今日はオレが全部する。オレが先輩を気持ちよくさせる。だから、先輩は大人しく寝てろ」
先輩に指示を出すと、期待と不安が入り交じった困惑顔をされたが、オレのヤリたい気持ちを全部受け入れる気なのか、大人しくオレに下敷きにされたままだった。
「セイシュン! どこ行く気だ?」
これは絶好のジュースチャンスだと、部屋を出ようすると、先輩は驚いた声を上げ扉を塞ぐ。
「ジュース買いに行ってくる。大丈夫、すぐに戻って来るよ」
「ジュース!? だ、駄目だ、せっかく温まったのに」
「湯冷めしないようにコート着てくから大丈夫」
まだ体はポカポカなのでコートは暑いのだが、心配性の先輩の為にしっかり着込み、その代わり頭に巻かれたタオルは外す。
「っ!!」
すると、何故か先輩が顔色を変えて、思い詰めた表情で抱きしめてきた。
「外に出るのは……駄目だ」
子供が駄々を捏ねるような、妙な態度の先輩。背中を撫でながら「なんで駄目なの?」と優しく聞いてやる。
「他の奴らがいるだろ……みんな旧館に戻って来る。そいつらと出くわす」
下山組の連中が戻って来たみたいなので、確かに出くわすだろうな。残留一年ばっかりだったら先輩の心配も分かるが、冬休みも精勤に課外活動ヤってるらしい山センと矢野君も一緒なのだ。それに当然ながら、教師陣も揃っている。オレがジュースを見せびらかすように買っていても、簡単には絡めない環境が整っているのだが。
「……そいつらが、今のお前を見るのは……絶対に駄目だ」
頭からホカホカと湯気を上げながらジュースを買おうとしている姿を見せたくないのか? ちょっと間抜けな感じはするが、それを見て突撃してくるような馬鹿はいない……と、言えないのが圏ガクか。
「今のセイシュンは危ない……襲ってくれと言ってるようなもんだ」
「そこまでボケーっとしてねぇし! そりゃあ、風呂上がりの一杯を先輩と飲もうって考えてると、なんか顔がゆるむっつーかだらしないかもしんないけど!」
聞き捨てならない言葉に、先輩の腕から逃れ、しっかり顔を見ながら抗議すると、見る見る内に先輩の顔が赤く、耳まで真っ赤になってしまう。
「人の顔見て、なんでそんな照れてんの?」
堪らないと言いたげに目を逸らされ、つい意地悪く目線の先に追いついてやる。先輩は一瞬驚いたような顔をした後、赤面しながらも冷静に口を開こうとした。
「今の……風呂上がりのセイシュンは……無駄に色気があるからだ!」
冷静に言おうとしたみたいだが、最後の方はヤケクソ気味に言い切りやがった。
「色気って……昨日も一緒に風呂入ったけど先輩ぜんぜん相手してくんなかったじゃん」
コタツのせいでオレが先に寝てたのが悪いと言えば悪いけどな! 予想外の事を言われ、つい反論してしまったが、先輩の余裕のない顔を見るとにやけてしまう。要するに今の先輩はオレを見て興奮しているという訳だ。
「今までは、お前が風邪を引いたりしないか心配で、そんなふうに思わなかったんだ」
オレの体調不良はオレの色気を簡単に吹き飛ばしてしまうらしい。今後は注意しよう。
「ジュースが飲みたいんだったな。俺が買ってくるから、セイシュンはここで待っててくれないか?」
少し落ち着いてしまったらしい先輩は、余裕を取り戻し提案してくる。オレは握り締めていた五百円硬貨を机に置き、コートを脱ぎ捨て、その提案を突っぱねてやった。一時間の入浴で火照った体を思い知らせるよう絡めながら。
「あのさ……まだオレに色気って残ってる?」
先輩の頭を優しく引き寄せ聞いてみた。目を逸らせようとするのをやんわり阻むと、せっかく落ち着いた顔色がまた赤面してしまった。
観念したように小さく頷いた先輩は、ゴクリと喉を鳴らして自分からオレに近寄ってくる。
風呂のせいかオレのせいか、先輩の手の平が熱い。背中から腰へ撫で下ろされるだけで全身の血の流れが勢いづく。
「……先輩」
つい身を任せそうになるが、分かりやすくオレに興奮したレアな先輩が目の前にいるのだ。押し倒されそうになるのを押し戻し、主導権を握るべくのし掛かる。コタツを避けて部屋の隅にある布団へ、自分ごと先輩を押し倒す。
されるがままの先輩に馬乗りになり、勢いのまま口に吸い付いてやると、オレの舌を宥めるよう先輩は優しく舌を絡ませてきた。その姿に自分の内側がキューンと、阿呆みたいな音を立てて反応する。
「よし、決めた。今日はリベンジする」
妙な音で閃いてしまった事を実行するべく、不思議そうな顔をした先輩にまずは宣言した。
「初めてしようとした時の事、覚えてる?」
「ん……夏……休み、の事だよな」
その通り。焦れったい先輩を押しのけ、オレが自分で先輩のモノを銜え込もうとした時の事だ。痛みに怖じ気づき、泣き崩れた屈辱の記憶。その記憶を今、書き換えてやる。
「今日はオレが全部する。オレが先輩を気持ちよくさせる。だから、先輩は大人しく寝てろ」
先輩に指示を出すと、期待と不安が入り交じった困惑顔をされたが、オレのヤリたい気持ちを全部受け入れる気なのか、大人しくオレに下敷きにされたままだった。
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