160 / 411
圏ガクの夏休み!!
後輩は先輩のために
しおりを挟む
「先輩の居場所さえ分かれば、後はオレ一人でやる。先輩はオレが助ける」
山センたちにそう伝えて、一人冷蔵庫を後にしようとしたら、意外にも横で蹲っていた小吉さんが、オレの腕を掴んだ。
「ひひひぃひとり、一人で無茶は駄目なんだぞ」
振り払おうと見下ろせば、小吉さんの鼻から一筋の鼻血が垂れていた。涙と鼻血と鼻水と、酷い顔だった。
「金城先輩は反省室にいるって言っただろーが。聞いてなかったのか。お前一人じゃ無理だ」
啖呵を切った手前、きまり悪いが小吉さんの鼻血だけでも何とかしようと、ティッシュペーパーを探していると、無駄に高級なティッシュペーパーを小吉さんに投げながら、矢野君が口を挟んできた。
「あそこの扉を一人で開けられるのは、山野辺くらいだぞ。お前一人でどうやって開けるんだ」
担任が軽々と開け閉めしていたので失念していたが、そうやって突きつけられた現実は、オレの頭に冷静さをもたらす。反省室の扉は一枚じゃあない。先輩に会うだけならまだしも、先輩を助けるとなったら、オレ一人では不可能……いや、何人集まろうと不可能だ。
なんせ、反省室とは名ばかりの独房。その扉にはしっかりと鍵がかかっていて当然だろう。
「……救出作戦って、まさか反省室の鍵を盗む気なのか、山セン」
オレが口に出した考えを聞いて、山センはニヤリと笑って見せた。小吉さんはビクッと明らかに動揺していたが、始めからそのつもりだったのか、稲継先輩と矢野君は、続く山センの言葉を静かに待っている。
ちょっとした冗談では済まない。バレたら夏休み中の地下生活は完全保証だ。いや……夏休みだけで済めば上等、どれだけのペナルティーを負うか想像もつかない。
夏休み中の様子はずっと近くで見ていたが、この部屋にいる四人と先輩が懇意にしているふうはなかった。単にオレが先輩を独占していただけの可能性はなくもないが、少しばかり仲が良いからといって、軽々しく負えるリスク量だとは思えない。『夏休みが終わって帰る場所が自室ではなく地下室』が普通にありえる場所なのだ。
どうして先輩の為にそこまでするのか、手助けをありがたく思いながらも、疑問の方が大きくて聞けば「バッカやろうッ!」と再び全力投球の缶が飛んでくる。
「ここがどこだか忘れたか、夷川。お前らにとって何より優先すべきは、センコーでもマッポでもねぇ」
ふざけた調子のくせにキリッと凜々しい顔を見せた山センは、グッと立てた親指で自分の胸を指しながら「オレらだろ」と白い歯を見せた。
先輩の為に後輩が身を挺するのは当たり前。
死ぬまで延々と続くらしい圏ガクの因習が、こんなに神々しく思えるのは、きっと今この瞬間だけだろう。けれど、オレには何より頼もしく、正に大船に乗ったような心地で、黙って山センの言葉を肯定する稲継先輩と矢野君を見ていた。
「じゃ、じゃじゃあ、やっぱり言い間違いとかじゃなくて、金城先輩を助けに行くのは、四人……なんだ」
山センの言葉を受け、隣で鼻にティッシュを詰め込んだ小吉さんが呟いた一言が、感じ入っていたオレら三人に雷のように刺さった。
「あったり前だろ。なんでオレが金城の為に怒られなきゃならねーんだよ。守峰に半殺しにされるのなんて冗談じゃねーって」
オレらの末路を他人事と笑い飛ばす山センに、さっき投げて寄越しやがった缶を拾い全力で投げ返してやった。
オレの抗議は腹立たしくもヒョイと避けやがったが、同じく雷に打たれた両名も立ち上がり「ダブってテメェも後輩だろがッ!」と当然のツッコミをダブルで叩き込んだ。
「な、なんでオレ、金城のことで、こんな酷い扱い受けてんの?」
本当に一瞬だった感動は唾棄して、よろめきながらソファーに崩れ落ちた山センを無視しながら、稲継先輩と矢野君に視線をやる。こんな奴の言う事を聞く必要はないだろうと、二人に問おうとすれば、視線一つで伝わったらしく、先に口を開かれてしまった。
「OBだか刑事だか知らねぇが、ここで好き勝手されるのは気に食わねぇんだよ」
客人に一泡吹かせたい、単純のようで、けれど何か事情が隠れていそうな二人は、先輩の事には触れず、短くそう答えた。
「もしかして、今来てる警察に補導された事があるとか?」
二人の態度に、どうにも納得出来ず、隣で鼻をフガフガしている小吉さんに耳打ちしてみる。すると小吉さんは、血の滲んだ鼻栓を抜いたり突っ込んだりしながら、眉をハの字にして笑う。
「別に今来てる人たちがどうこうじゃなくて、その、まあ色々と苦い経験してるからじゃないかな……えっとな、おれも、その。警察は嫌いだ」
「えっ! 小吉さんもあるの? 警察の世話になった事」
こんな天然記念物みたいな期待の星である小吉さんの意外な過去に、つい失礼な声を上げてしまった。
「そりゃあるよ。なかったら、圏ガクには来ないだろ……もしかして、夷川はないのか?」
「いや、あるけど」
軽く返答しながらも、その時の事を思いだして、オレは自然と険しい顔をしてしまった。前面的にオレが悪かったとは言え、大の大人に車のボンネットへ頬を何度も叩きつけるように頭を押さえつけられ、罵声の限りを浴びたあの日が脳裏に蘇ると、確かに警察という存在に嫌悪感を抱かずにはいられなかった。
「んっとな、だから、警察がおれらの言うのを信じてくれないって、みんな知ってるからな、自分たちの身は自分たちで守るんだ。同じ弁当を食ってる仲間が捕まったら、助けるのは当たり前なんだぞ」
小吉さんの言葉に納得しつつも、例え同じ弁当を食っていようと、オレが助けたいと思うのは先輩と、今ここにいる奴らだけだと思ったので、それには頷けなかった。香月たちを仲間だなんて、冗談でも思えない。
そんな訳で、自分は先輩と同学年だと言い張り、自分で立てたキュー出作戦を高みの見物しようとする山センに、二年のツートップが天誅を食らわせ、作戦は五人で行う事になった。
間違いなくリスクの高い行動だが、先輩へ向いている嫌疑を晴らせば、無茶を帳消し……は無理でも、地下暮らしを夏休み中に終わらせる事くらいは可能だろう。五人で動いた事がバレていなければ、オレが一人でやったと言い張れば、小吉さんたちは関係ないと思ってくれるかもしれない。
先輩さえ助けられたら……それで十分だ。いや、単に先輩に会いたいだけかもしれないな。キャンプの約束なんて、どうでもいい。ただ、先輩の顔を見て、声が聞きたかった。
「反省室の鍵、誰が持っているのか、分かってるの?」
心細さに飲み込まれそうになり、意識を別の方に無理矢理向ける。キュー出作戦で一番のネックになるであろう、窃盗の段取りを立てるべく、山センに尋ねてみると、何故か深い溜め息を吐かれてしまった。
「お前、本気で反省室の鍵を盗むつもりだったのか?」
「だって、そうしなきゃ……例え反省室に侵入出来ても先輩を連れ出せないだろ」
ピッキングでもする気なら話は別だが、そんなグレーな特技をここにいる奴らが都合よく持ち合わせていると思えなかったのは一瞬で、オレの反論を聞いて、ポケット漁りだした山センはジャンとばかりに何かを取り出しやがった。
針金のようなピッキングツールをイメージしていたオレが目にしたのは、丸い輪っかに通してある何の変哲もない鍵が三つ。
まさかと思い確かめれば、それは紛れもなく反省室の、三つの独房の鍵だと山センは答えた。
「オレがそんな無茶な計画立てる訳ねーだろ。お前らが特攻すんのは、金城を逃がしたのが守峰にバレた時だ!」
クルクルと人差し指で鍵を回す山センは、それが盗み出した物ではない事を教えてくれる。
「いつ作られた物かは知らねーけど、この反省室の鍵は、ずっとここにあるんだよ。去年シンシンが見つけた言ってたの思い出してさぁ、あるかなーって探したらフツーにあったから、いっちょオレの永遠のライバルに貸し作っとこうかなーってな」
そう言うと、山センは鍵をオレの方へと放り投げた。慌てて受け取ると、古めかしいソレは手のひらでずっしりと重く、山センの尻に敷かれて気持ちの悪い生ぬるさが移っていたので、思わず床に落としそうになった。
「鍵はある! 後は鬼が寝静まる丑三つどきに作戦決行だ」
山センの言葉に頷き、オレらはその時を待ちながら、緊張感の欠片もなくトランプに興じた。朝から奉仕作業に出ていたので、途中酷い眠気に襲われ、そのせいで負けが込み、二学期から山センのパシリにされるという屈辱を帳消しにする事が出来ず、その時は来た。
様子を見に行っていた稲継先輩が戻ってきて「行けるぞ」と短く報告すると、山センは便所でも行く気楽さで「んじゃ、行くか」と腰を上げた。
夜中と言えどもゾロゾロと全員で行動するのは目立つと、山センはオレらを二手に分けた。
先行するのは稲継先輩と矢野君の二人で、それぞれの部屋に戻っている客人と守峰の様子を見張る役をやる。
そして残りの山センと小吉さんとオレは、反省室に侵入して先輩を連れ出すのだ。客人や守峰に動きがあれば、見張りの二人が先回りをしてオレたちに伝えてくれる手筈になっている。
「反省室の蓋を開けたら、中にはお前一人で入って金城を連れ出して来い。オレは入り口で見張りをする。小吉は窓の方な」
受け取った鍵をギュッと握り「分かった」と返事をした。すると山センはニタッと笑って「ヘマしたら置いてくから覚悟して挑めよ」とオレの肩を強めに叩き、出発だと小吉さんの肩も叩いて廊下に出た。
山センたちにそう伝えて、一人冷蔵庫を後にしようとしたら、意外にも横で蹲っていた小吉さんが、オレの腕を掴んだ。
「ひひひぃひとり、一人で無茶は駄目なんだぞ」
振り払おうと見下ろせば、小吉さんの鼻から一筋の鼻血が垂れていた。涙と鼻血と鼻水と、酷い顔だった。
「金城先輩は反省室にいるって言っただろーが。聞いてなかったのか。お前一人じゃ無理だ」
啖呵を切った手前、きまり悪いが小吉さんの鼻血だけでも何とかしようと、ティッシュペーパーを探していると、無駄に高級なティッシュペーパーを小吉さんに投げながら、矢野君が口を挟んできた。
「あそこの扉を一人で開けられるのは、山野辺くらいだぞ。お前一人でどうやって開けるんだ」
担任が軽々と開け閉めしていたので失念していたが、そうやって突きつけられた現実は、オレの頭に冷静さをもたらす。反省室の扉は一枚じゃあない。先輩に会うだけならまだしも、先輩を助けるとなったら、オレ一人では不可能……いや、何人集まろうと不可能だ。
なんせ、反省室とは名ばかりの独房。その扉にはしっかりと鍵がかかっていて当然だろう。
「……救出作戦って、まさか反省室の鍵を盗む気なのか、山セン」
オレが口に出した考えを聞いて、山センはニヤリと笑って見せた。小吉さんはビクッと明らかに動揺していたが、始めからそのつもりだったのか、稲継先輩と矢野君は、続く山センの言葉を静かに待っている。
ちょっとした冗談では済まない。バレたら夏休み中の地下生活は完全保証だ。いや……夏休みだけで済めば上等、どれだけのペナルティーを負うか想像もつかない。
夏休み中の様子はずっと近くで見ていたが、この部屋にいる四人と先輩が懇意にしているふうはなかった。単にオレが先輩を独占していただけの可能性はなくもないが、少しばかり仲が良いからといって、軽々しく負えるリスク量だとは思えない。『夏休みが終わって帰る場所が自室ではなく地下室』が普通にありえる場所なのだ。
どうして先輩の為にそこまでするのか、手助けをありがたく思いながらも、疑問の方が大きくて聞けば「バッカやろうッ!」と再び全力投球の缶が飛んでくる。
「ここがどこだか忘れたか、夷川。お前らにとって何より優先すべきは、センコーでもマッポでもねぇ」
ふざけた調子のくせにキリッと凜々しい顔を見せた山センは、グッと立てた親指で自分の胸を指しながら「オレらだろ」と白い歯を見せた。
先輩の為に後輩が身を挺するのは当たり前。
死ぬまで延々と続くらしい圏ガクの因習が、こんなに神々しく思えるのは、きっと今この瞬間だけだろう。けれど、オレには何より頼もしく、正に大船に乗ったような心地で、黙って山センの言葉を肯定する稲継先輩と矢野君を見ていた。
「じゃ、じゃじゃあ、やっぱり言い間違いとかじゃなくて、金城先輩を助けに行くのは、四人……なんだ」
山センの言葉を受け、隣で鼻にティッシュを詰め込んだ小吉さんが呟いた一言が、感じ入っていたオレら三人に雷のように刺さった。
「あったり前だろ。なんでオレが金城の為に怒られなきゃならねーんだよ。守峰に半殺しにされるのなんて冗談じゃねーって」
オレらの末路を他人事と笑い飛ばす山センに、さっき投げて寄越しやがった缶を拾い全力で投げ返してやった。
オレの抗議は腹立たしくもヒョイと避けやがったが、同じく雷に打たれた両名も立ち上がり「ダブってテメェも後輩だろがッ!」と当然のツッコミをダブルで叩き込んだ。
「な、なんでオレ、金城のことで、こんな酷い扱い受けてんの?」
本当に一瞬だった感動は唾棄して、よろめきながらソファーに崩れ落ちた山センを無視しながら、稲継先輩と矢野君に視線をやる。こんな奴の言う事を聞く必要はないだろうと、二人に問おうとすれば、視線一つで伝わったらしく、先に口を開かれてしまった。
「OBだか刑事だか知らねぇが、ここで好き勝手されるのは気に食わねぇんだよ」
客人に一泡吹かせたい、単純のようで、けれど何か事情が隠れていそうな二人は、先輩の事には触れず、短くそう答えた。
「もしかして、今来てる警察に補導された事があるとか?」
二人の態度に、どうにも納得出来ず、隣で鼻をフガフガしている小吉さんに耳打ちしてみる。すると小吉さんは、血の滲んだ鼻栓を抜いたり突っ込んだりしながら、眉をハの字にして笑う。
「別に今来てる人たちがどうこうじゃなくて、その、まあ色々と苦い経験してるからじゃないかな……えっとな、おれも、その。警察は嫌いだ」
「えっ! 小吉さんもあるの? 警察の世話になった事」
こんな天然記念物みたいな期待の星である小吉さんの意外な過去に、つい失礼な声を上げてしまった。
「そりゃあるよ。なかったら、圏ガクには来ないだろ……もしかして、夷川はないのか?」
「いや、あるけど」
軽く返答しながらも、その時の事を思いだして、オレは自然と険しい顔をしてしまった。前面的にオレが悪かったとは言え、大の大人に車のボンネットへ頬を何度も叩きつけるように頭を押さえつけられ、罵声の限りを浴びたあの日が脳裏に蘇ると、確かに警察という存在に嫌悪感を抱かずにはいられなかった。
「んっとな、だから、警察がおれらの言うのを信じてくれないって、みんな知ってるからな、自分たちの身は自分たちで守るんだ。同じ弁当を食ってる仲間が捕まったら、助けるのは当たり前なんだぞ」
小吉さんの言葉に納得しつつも、例え同じ弁当を食っていようと、オレが助けたいと思うのは先輩と、今ここにいる奴らだけだと思ったので、それには頷けなかった。香月たちを仲間だなんて、冗談でも思えない。
そんな訳で、自分は先輩と同学年だと言い張り、自分で立てたキュー出作戦を高みの見物しようとする山センに、二年のツートップが天誅を食らわせ、作戦は五人で行う事になった。
間違いなくリスクの高い行動だが、先輩へ向いている嫌疑を晴らせば、無茶を帳消し……は無理でも、地下暮らしを夏休み中に終わらせる事くらいは可能だろう。五人で動いた事がバレていなければ、オレが一人でやったと言い張れば、小吉さんたちは関係ないと思ってくれるかもしれない。
先輩さえ助けられたら……それで十分だ。いや、単に先輩に会いたいだけかもしれないな。キャンプの約束なんて、どうでもいい。ただ、先輩の顔を見て、声が聞きたかった。
「反省室の鍵、誰が持っているのか、分かってるの?」
心細さに飲み込まれそうになり、意識を別の方に無理矢理向ける。キュー出作戦で一番のネックになるであろう、窃盗の段取りを立てるべく、山センに尋ねてみると、何故か深い溜め息を吐かれてしまった。
「お前、本気で反省室の鍵を盗むつもりだったのか?」
「だって、そうしなきゃ……例え反省室に侵入出来ても先輩を連れ出せないだろ」
ピッキングでもする気なら話は別だが、そんなグレーな特技をここにいる奴らが都合よく持ち合わせていると思えなかったのは一瞬で、オレの反論を聞いて、ポケット漁りだした山センはジャンとばかりに何かを取り出しやがった。
針金のようなピッキングツールをイメージしていたオレが目にしたのは、丸い輪っかに通してある何の変哲もない鍵が三つ。
まさかと思い確かめれば、それは紛れもなく反省室の、三つの独房の鍵だと山センは答えた。
「オレがそんな無茶な計画立てる訳ねーだろ。お前らが特攻すんのは、金城を逃がしたのが守峰にバレた時だ!」
クルクルと人差し指で鍵を回す山センは、それが盗み出した物ではない事を教えてくれる。
「いつ作られた物かは知らねーけど、この反省室の鍵は、ずっとここにあるんだよ。去年シンシンが見つけた言ってたの思い出してさぁ、あるかなーって探したらフツーにあったから、いっちょオレの永遠のライバルに貸し作っとこうかなーってな」
そう言うと、山センは鍵をオレの方へと放り投げた。慌てて受け取ると、古めかしいソレは手のひらでずっしりと重く、山センの尻に敷かれて気持ちの悪い生ぬるさが移っていたので、思わず床に落としそうになった。
「鍵はある! 後は鬼が寝静まる丑三つどきに作戦決行だ」
山センの言葉に頷き、オレらはその時を待ちながら、緊張感の欠片もなくトランプに興じた。朝から奉仕作業に出ていたので、途中酷い眠気に襲われ、そのせいで負けが込み、二学期から山センのパシリにされるという屈辱を帳消しにする事が出来ず、その時は来た。
様子を見に行っていた稲継先輩が戻ってきて「行けるぞ」と短く報告すると、山センは便所でも行く気楽さで「んじゃ、行くか」と腰を上げた。
夜中と言えどもゾロゾロと全員で行動するのは目立つと、山センはオレらを二手に分けた。
先行するのは稲継先輩と矢野君の二人で、それぞれの部屋に戻っている客人と守峰の様子を見張る役をやる。
そして残りの山センと小吉さんとオレは、反省室に侵入して先輩を連れ出すのだ。客人や守峰に動きがあれば、見張りの二人が先回りをしてオレたちに伝えてくれる手筈になっている。
「反省室の蓋を開けたら、中にはお前一人で入って金城を連れ出して来い。オレは入り口で見張りをする。小吉は窓の方な」
受け取った鍵をギュッと握り「分かった」と返事をした。すると山センはニタッと笑って「ヘマしたら置いてくから覚悟して挑めよ」とオレの肩を強めに叩き、出発だと小吉さんの肩も叩いて廊下に出た。
0
あなたにおすすめの小説
春を拒む【完結】
璃々丸
BL
日本有数の財閥三男でΩの北條院環(ほうじょういん たまき)の目の前には見るからに可憐で儚げなΩの女子大生、桜雛子(さくら ひなこ)が座っていた。
「ケイト君を解放してあげてください!」
大きなおめめをうるうるさせながらそう訴えかけてきた。
ケイト君────諏訪恵都(すわ けいと)は環の婚約者であるαだった。
環とはひとまわり歳の差がある。この女はそんな環の負い目を突いてきたつもりだろうが、『こちとらお前等より人生経験それなりに積んどんねん────!』
そう簡単に譲って堪るか、と大人げない反撃を開始するのであった。
オメガバな設定ですが設定は緩めで独自設定があります、ご注意。
不定期更新になります。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
狂わせたのは君なのに
一寸光陰
BL
ガベラは10歳の時に前世の記憶を思い出した。ここはゲームの世界で自分は悪役令息だということを。ゲームではガベラは主人公ランを悪漢を雇って襲わせ、そして断罪される。しかし、ガベラはそんなこと望んでいないし、罰せられるのも嫌である。なんとかしてこの運命を変えたい。その行動が彼を狂わすことになるとは知らずに。
完結保証
番外編あり
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
貢がせて、ハニー!
わこ
BL
隣の部屋のサラリーマンがしょっちゅう貢ぎにやって来る。
隣人のストレートな求愛活動に困惑する男子学生の話。
社会人×大学生の日常系年の差ラブコメ。
※この物語はフィクションです。
※現時点で小説の公開対象範囲は全年齢となっております。しばらくはこのまま指定なしで更新を続ける予定ですが、アルファポリスさんのガイドラインに合わせて今後変更する場合があります。(2020.11.8)
■2025.12.14 285話のタイトルを「おみやげ何にする? Ⅲ」から変更しました。
■2025.11.29 294話のタイトルを「赤い川」から変更しました。
■2024.03.09 2月2日にわざわざサイトの方へ誤変換のお知らせをくださった方、どうもありがとうございました。瀬名さんの名前が僧侶みたいになっていたのに全く気付いていなかったので助かりました!
■2024.03.09 195話/196話のタイトルを変更しました。
■2020.10.25 25話目「帰り道」追加(差し込み)しました。話の流れに変更はありません。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる