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蜜月
古き良き?
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「こんな頭おかしい連中を子供番組の主役にしたのは誰だ。つーか、誰か止めなかったのか」
先輩に愚痴っても仕方ないのだが、見たものを冷静に振り返ると第一声はこれ以外にありえなかった。呉須に描いてもらったマンガを引っ張り出して比べてみると、描き手の良心を切実に感じるくらいオリジナルの内容は酷かった。
カツヤを生み出した組織が敵側な訳だが、真っ当な『悪の組織』をやっている敵の方が世間一般で言う正義寄りに見えるくらい、勇者忍者と呼ばれるカクレコノハの連中はヤバかった。いくら敵とは言え、毒餌を撒いて操られた動物を一掃するのは、効率を考えれば正しいのかもしれないが、子供の情操教育をってか普通にトラウマになるだろがッ! と言いたくなった。餌食ってる姿は普通の小動物なんだよ、本気で胸糞悪すぎる。そいつらを真正面から追い詰めていくカツヤが主役に思えるくらい、極悪非道というか常識に囚われなさすぎるイカれた奴らに終始(心の中で)ツッコミを入れていたら、当初の目的が見事に吹っ飛んでしまった。
「これは子供が見るものなんだな……俺には少し難しかった」
先輩が感想らしきものを伝えてくれる。オレも頷いて同意した。
「うん、オレも全く理解出来なかった」
この番組の主役であり視点であるカクレコノハに関して(一話からじゃないって事を考慮しても)テンプレを全無視した内容は、物語の背景を思い描く事など不可能で、理解に苦しむほど難しかった。でも、カツヤに関しては少し理解出来た気がした。
たった一人、じゃないな一匹で良心を持ち、身勝手な人間に翻弄され、悲しい最期を迎えたカツヤを幸せにしてやりたいと言った誰かの気持ちも……なんとなく分かった気になる。
「これを先輩と一緒に見たいなって思ったの、なんでだと思う?」
どう話すべきか色々迷うと思ったが、動画の内容が感動とは無縁の代物だったので、オレが何か言うしかないと悟り、特に作戦もなく軽い調子で始める。
先輩は本気で分からないらしく首を傾げている。まあ、面白おかしく見られる動画じゃあなかったからな。『そこ』に気付かなければ、謎しか残らないだろう。
「偶然知ったんだけどさ、同じだったから」
「同じって……何がだ?」
自分で気付いて欲しくて、ぼやけた言い方をしたのだが、怪訝な顔をされると悲しくなったので、早々に諦めネタばらしをする事にした。
「名前。先輩と同じ名前だなって気付いて、ちょっと興味持ったんだ」
しっかりネタばらしをしたと言うのに、先輩はまだ不思議そうな顔をしたままだった。もう一度オリジナルの動画を見ようという気にはなれなかったので、呉須が描いてくれたマンガを先輩に手渡す。先輩は「こういう話だったのか」と呟き、ふとこちらに視線をやる。
「変な事言い出してごめん」
先輩の見ていたページをチラ見して、前置きとして謝っておく。最後のページはオリジナルの動画より心が痛む、カツヤ最期の姿が描かれていた。
「前に言ってただろ。勝家って呼ばれても自分の名前だと思えないって」
オレがそう言うと、ようやく状況が見えてきたのか、先輩はふにゃっと気の抜けた顔で笑ってくれた。
「そんな事、気にしてくれてたのか?」
そんな事とか簡単に言うなよ。オレが胸中でぼやくと、先輩はこちらの湿っぽさなど全く気付かず笑い飛ばすように続ける。
「必要な時にはちゃんと思い出せるから大丈夫だ。そんな心配そうな顔するな、セイシュン」
先輩と話が噛み合わなくてモヤモヤする。手帳の存在を暴露して、カツヤが先輩の名前の元なんだと教えたかったが踏み止まった。
「……じゃあ次はリメイクの方見るぞ、勝家」
ちょっと表面が乾燥したみかんを口に放り込みタブレットを操作していると、後輩から呼び捨てにされる事に抗議したそうな勝家の気配を感じたが無視した。
先輩に愚痴っても仕方ないのだが、見たものを冷静に振り返ると第一声はこれ以外にありえなかった。呉須に描いてもらったマンガを引っ張り出して比べてみると、描き手の良心を切実に感じるくらいオリジナルの内容は酷かった。
カツヤを生み出した組織が敵側な訳だが、真っ当な『悪の組織』をやっている敵の方が世間一般で言う正義寄りに見えるくらい、勇者忍者と呼ばれるカクレコノハの連中はヤバかった。いくら敵とは言え、毒餌を撒いて操られた動物を一掃するのは、効率を考えれば正しいのかもしれないが、子供の情操教育をってか普通にトラウマになるだろがッ! と言いたくなった。餌食ってる姿は普通の小動物なんだよ、本気で胸糞悪すぎる。そいつらを真正面から追い詰めていくカツヤが主役に思えるくらい、極悪非道というか常識に囚われなさすぎるイカれた奴らに終始(心の中で)ツッコミを入れていたら、当初の目的が見事に吹っ飛んでしまった。
「これは子供が見るものなんだな……俺には少し難しかった」
先輩が感想らしきものを伝えてくれる。オレも頷いて同意した。
「うん、オレも全く理解出来なかった」
この番組の主役であり視点であるカクレコノハに関して(一話からじゃないって事を考慮しても)テンプレを全無視した内容は、物語の背景を思い描く事など不可能で、理解に苦しむほど難しかった。でも、カツヤに関しては少し理解出来た気がした。
たった一人、じゃないな一匹で良心を持ち、身勝手な人間に翻弄され、悲しい最期を迎えたカツヤを幸せにしてやりたいと言った誰かの気持ちも……なんとなく分かった気になる。
「これを先輩と一緒に見たいなって思ったの、なんでだと思う?」
どう話すべきか色々迷うと思ったが、動画の内容が感動とは無縁の代物だったので、オレが何か言うしかないと悟り、特に作戦もなく軽い調子で始める。
先輩は本気で分からないらしく首を傾げている。まあ、面白おかしく見られる動画じゃあなかったからな。『そこ』に気付かなければ、謎しか残らないだろう。
「偶然知ったんだけどさ、同じだったから」
「同じって……何がだ?」
自分で気付いて欲しくて、ぼやけた言い方をしたのだが、怪訝な顔をされると悲しくなったので、早々に諦めネタばらしをする事にした。
「名前。先輩と同じ名前だなって気付いて、ちょっと興味持ったんだ」
しっかりネタばらしをしたと言うのに、先輩はまだ不思議そうな顔をしたままだった。もう一度オリジナルの動画を見ようという気にはなれなかったので、呉須が描いてくれたマンガを先輩に手渡す。先輩は「こういう話だったのか」と呟き、ふとこちらに視線をやる。
「変な事言い出してごめん」
先輩の見ていたページをチラ見して、前置きとして謝っておく。最後のページはオリジナルの動画より心が痛む、カツヤ最期の姿が描かれていた。
「前に言ってただろ。勝家って呼ばれても自分の名前だと思えないって」
オレがそう言うと、ようやく状況が見えてきたのか、先輩はふにゃっと気の抜けた顔で笑ってくれた。
「そんな事、気にしてくれてたのか?」
そんな事とか簡単に言うなよ。オレが胸中でぼやくと、先輩はこちらの湿っぽさなど全く気付かず笑い飛ばすように続ける。
「必要な時にはちゃんと思い出せるから大丈夫だ。そんな心配そうな顔するな、セイシュン」
先輩と話が噛み合わなくてモヤモヤする。手帳の存在を暴露して、カツヤが先輩の名前の元なんだと教えたかったが踏み止まった。
「……じゃあ次はリメイクの方見るぞ、勝家」
ちょっと表面が乾燥したみかんを口に放り込みタブレットを操作していると、後輩から呼び捨てにされる事に抗議したそうな勝家の気配を感じたが無視した。
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