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蜜月
おひとよしのルーツ
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「これ一つが一冊分の写しになっている」
クリップでまとめられた紙束は全部で五つあった。寮長は一つを手に取り、小さく息を吐いて自分の膝の上に置く。
「この手帳を入手した経緯を少し話そうと思っているのだが、その前に一つ聞きたい事がある」
寮長は迷いでも振り切るように強い視線をこちらに向ける。
「僕は城井浩太朗の手帳の全てに目を通し、彼が金城先輩をどれだけ大切に想っていたのかを知っている。だが、金城先輩が城井浩太朗をどう思っていたのかは何も知らない」
言葉が途切れた。けれど視線は逸らされず、答えを待つように真っ直ぐこちらに向けられていた。
「先輩に『じいちゃん』が好きだったのか聞いたら頷いてた。血縁関係があるのかは知らされてなくて、城井本人が自分の事を『じいちゃん』って呼んでたって言ってた」
先輩自身が以前に言っていた事を思い出し、どこまで伝えるべきか迷いながら口に出す。けれど、言葉にする事でオレの頭の中も少しずつ整理され、今の先輩の様子を冷静に見られるようになってきた。
「オレが熱出して倒れた時に……寮長が見舞いに行ってやれって言ってくれた時、オレが寝言で『じいちゃん』って言ったらしくて、それで思い出したらしいんだ」
よく考えれば寝言から始まってたんだな、オレと先輩の関係。先輩以外の奴に知られるのは、まして自分で説明するのは羞恥心を嫌でも意識させられるが、それ以上にオレは困惑していた。先輩はその時点で『じいちゃん』の事を思い出してるはずだ。それなのに今、オレが『かっちゃん』と呼んだ事で酷く取り乱すような状態にある。理由が分からず、答えを探るように寮長を見た。
「オレに子供の頃の自分自身を重ねて見てたって告白された。自分がしてもらっていた事をオレにしてやりたいって思ってくれた」
寮長の手元に視線をやりながら、自然と頬が緩むのを自覚する。
「だから分かるよ。手帳を読まなくても、城井浩太朗がどれだけ先輩を大事にしてたのか」
相槌すら打たない寮長との間には、ただ静かな空気だけがある。自分の心音や呼吸が嫌でも意識される。動揺がおさまるのを一呼吸待ち、先輩との会話を思い起こす事に集中した。
「先輩は……どう生きたらいいのか分からなかったって言ってた。そんな先輩を見かねて言った奴がいたんだ。『好きな誰かの真似をする所から始めてみろ』って」
こんな状況でも先輩が好きだったかもしれない奴の事を思い出すと、モヤモヤしてしまうのは我ながら少々情けない。
「そう、だな……僕が出会った金城先輩も」
オレが床を見つめて黙っていると、寮長が独り言のように呟いた。顔を上げると、寮長は寂しげな表情で少しだけ微笑む。寮長が再会した先輩も、オレの知っている先輩と差はないだろう。ぼんやりと自分の中に残っていた城井老人のように生きようとした先輩だ。
「無理を言ったな。ありがとう、もう十分だ」
寮長がそう言い小さく息を吐くと、表情らしいモノは消えていた。
クリップでまとめられた紙束は全部で五つあった。寮長は一つを手に取り、小さく息を吐いて自分の膝の上に置く。
「この手帳を入手した経緯を少し話そうと思っているのだが、その前に一つ聞きたい事がある」
寮長は迷いでも振り切るように強い視線をこちらに向ける。
「僕は城井浩太朗の手帳の全てに目を通し、彼が金城先輩をどれだけ大切に想っていたのかを知っている。だが、金城先輩が城井浩太朗をどう思っていたのかは何も知らない」
言葉が途切れた。けれど視線は逸らされず、答えを待つように真っ直ぐこちらに向けられていた。
「先輩に『じいちゃん』が好きだったのか聞いたら頷いてた。血縁関係があるのかは知らされてなくて、城井本人が自分の事を『じいちゃん』って呼んでたって言ってた」
先輩自身が以前に言っていた事を思い出し、どこまで伝えるべきか迷いながら口に出す。けれど、言葉にする事でオレの頭の中も少しずつ整理され、今の先輩の様子を冷静に見られるようになってきた。
「オレが熱出して倒れた時に……寮長が見舞いに行ってやれって言ってくれた時、オレが寝言で『じいちゃん』って言ったらしくて、それで思い出したらしいんだ」
よく考えれば寝言から始まってたんだな、オレと先輩の関係。先輩以外の奴に知られるのは、まして自分で説明するのは羞恥心を嫌でも意識させられるが、それ以上にオレは困惑していた。先輩はその時点で『じいちゃん』の事を思い出してるはずだ。それなのに今、オレが『かっちゃん』と呼んだ事で酷く取り乱すような状態にある。理由が分からず、答えを探るように寮長を見た。
「オレに子供の頃の自分自身を重ねて見てたって告白された。自分がしてもらっていた事をオレにしてやりたいって思ってくれた」
寮長の手元に視線をやりながら、自然と頬が緩むのを自覚する。
「だから分かるよ。手帳を読まなくても、城井浩太朗がどれだけ先輩を大事にしてたのか」
相槌すら打たない寮長との間には、ただ静かな空気だけがある。自分の心音や呼吸が嫌でも意識される。動揺がおさまるのを一呼吸待ち、先輩との会話を思い起こす事に集中した。
「先輩は……どう生きたらいいのか分からなかったって言ってた。そんな先輩を見かねて言った奴がいたんだ。『好きな誰かの真似をする所から始めてみろ』って」
こんな状況でも先輩が好きだったかもしれない奴の事を思い出すと、モヤモヤしてしまうのは我ながら少々情けない。
「そう、だな……僕が出会った金城先輩も」
オレが床を見つめて黙っていると、寮長が独り言のように呟いた。顔を上げると、寮長は寂しげな表情で少しだけ微笑む。寮長が再会した先輩も、オレの知っている先輩と差はないだろう。ぼんやりと自分の中に残っていた城井老人のように生きようとした先輩だ。
「無理を言ったな。ありがとう、もう十分だ」
寮長がそう言い小さく息を吐くと、表情らしいモノは消えていた。
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圏ガク!!のことが本当に本当に心から大好きです。そしてセイシュンが可愛すぎる……!
素敵な作品がたくさんある中、また圏ガク!!を見つけて下さり、ありがとうございます。
別アプリではログインが出来なくなるトラブルに対処出来ず、更新がストップしておりました。本当に申し訳ありません。
遅筆に磨きがかかり更新ペースが恐ろしく遅いので、誰かに読んで頂く機会を望むのは難しいだろうなぁと思いながら書いていました。
なので、こんな嬉しいお言葉をかけてもらえるなんて……本当に心から感謝です。
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頂いたお言葉を励みに、長く停滞させず定期的に更新出来るよう机に向かう時間を確保します!
図々しいお願いとは思いますが、またお時間が許す時には覗いて頂けると嬉しいです。
こんばんは、感想失礼します(*^_^*)いつも更新を楽しみに待っています♪
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先輩ののんびりさにも、和まされてます♪
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いつもお付き合い下さり、ありがとうございます。
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