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# 19 スキルガチャ
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「いえ、わざとじゃないんです」
「ふーん、遺言が、そんなくだらない言い訳でいいんだ?」
「本当です。信じてください」
嘘くさい。
だけど……。
長年、人という生き物を嫌という程、観察してきたので、だいたい型にはめることができる。豆丸の人生の秤で量ってみると、行動は「クロ」。でも、目は「シロ」だと言っている。
本当に間違えたのなら、オカッパ頭の少年を止めないと取り返しがつかなくなる。
「とっ、とりあえず出口を探しましょう」
「賛成~。ここ、あつ~い。早く出たーい」
「どうせ、そいつ何もしてないから、なんも貰えないだろ?」
黒ドレスの少女とリーゼントも、サラリーマンの男をこれ以上問い詰める気はないようだ。男から静かに視線を外した少年は、「じゃあ、爺ちゃん、出口を探してもらえる?」と頼んできた。
数分後、すり鉢状の地形のちょうど反対側の岩の陰にモリが黒い扉を見つけたので、ようやく外へ出られた。
例の最初に入った光の柱の中ではなく、夜の海浜公園。
中に入っていた体感時間でいえば、1時間も経ってないと感じたが、時計の針は入って5時間も進んでいた。
「あらためて、エリアボスの攻略おめでとうございます」
大黒天モドキが、別の黒い扉から夜の公園に姿を現した。
「──ちょっと待って、一人足りないんじゃない?」
「ああ、柴田龍二さんでしたら、途中で死亡しました」
「どうやって?」
「それはお答えできません。話を進めてもよろしいですか?」
「……ああっ、わかった」
オカッパ頭の少年が質問したが、肝心の死亡原因は教えてもらえなかった。少年の方は当然納得していないが、しょうがないといった感じだ。
やっぱり、怪しいのはサラリーマン風の男。
何食わぬ顔をしているが、彼が限りなくクロだと思う。
「では、これよりクリア報酬のスキルガチャを回してもらいます」
大黒天モドキが、なにやら両手をフワフワと動かしながら、説明を再開した。
スキルガチャ?
ガチャって、今でいうカプセルトイのこと?
子どもの頃、キン太郎マンの消しゴムが流行って、夢中になってたけど、あれ以来やったことがないなー。
「ミッションの貢献度に応じてスキルガチャのコインが変わりますー」
大黒天モドキの隣に大型冷蔵庫くらいの長方形のカプセルトイマシンが現れた。
「まず、はじめに静 典子さん」
「本名で呼ばれるのイヤ~だ~! せめて上の名だけにしてくれな~い?」
不満を口にする黒ドレスの少女。
だが、聞こえなかったのか無視しているのか、光沢のある顔にいっさいの変化は見られない。
典子って名前、いいと思うけどな。
豆丸の小3の頃に初めて恋心を抱いた相手が典子さんっていう名前だった。先生だったけど……。
銅色のコインを受け取り、静 典子さんがガチャを回すと、白色の卵が受け取り口に落ちてきた。
「次は鳴海 玄斎さん」
渋い名前。
例のサラリーマン風の男の名。銀色のコインをもらってガチャを回すと青色の卵が出てきた。
「続いて、雷堂炎児さん」
「ぷぷっ!」
「──あっ? ガキ、今、俺の名前で笑っただろ?」
「いや、くしゃみしただけ」
「嘘つけやコラ?」
またやってる。
もはや、この二人の挨拶のようなものだと感じるようになってきた。
「おっしゃ! 超レアなやつ引いてやるぜ」
リーゼント改め雷堂炎児が、金色のコインでガチャを回すと、黒色の卵が出てきた。
「──不吉、ぷぷっ」
「ああん?」
オカッパ頭の少年にからかわれている雷堂炎児。もうこの光景も見慣れてきた。
「では、二瓶 豆丸さん」
大黒天モドキから、金色のコインを受け取り、ガチャマシンに投入して、大きなレバーを両手で回す。
ん? ──出てこない?
レバーを一度戻そうとしたが、戻らない仕様になっていた。心配になって、大黒天モドキを見ると「確変モードに突入しましたね」と言われた。だけど、ガチャの方はうんともすんとも言わない。
──ゴゴゴゴッ。
地震?
地面が微かに揺れ始めた。
ボン、と音を立てて、ガチャマシンの上蓋が弾け飛んだ。そこから無数のスキルエッグが上空へ勢いよく飛び出していく。
これが?
一つだけ、雪が降るようにゆっくりと豆丸のところに落ちてきた。
極彩色の卵。
見るからレアっぽい雰囲気を漂わせている。
「最後に斎宮ミカドさん、どうぞ」
え?
オカッパ頭の少年の名前って……。
「爺ちゃん、隠してたみたいでワリィ。ハガネは俺の従兄だよ」
白金色のメダルを受け取りながら、豆丸にあやまる。
呆けて見ている豆丸をよそにガチャマシンを回した斎宮ミカド。
出たのは金色の卵だった。
「それでは、また次のミッションでお会いしましょう!」
「他の奴いねーの? って、無視して消えやがった」
斎宮ミカドのツッコミを華麗にスルーして、大黒天モドキが、こちらに手のひらをヒラヒラさせて扉の向こうに消えた。すると扉も下から上へと塵になって消えていった。
「さっきの話って……」
「ああっ、斎宮家ってのは、この国を陰から守護する五大家の一つなんだ」
そんな人たちがいるんだ。
オカッパ頭の少年、斎宮ミカドの従兄である斎宮ハガネが姿を消したのは、例の世界がゲーム化した日。斎宮家でも、次の当主候補として競い合っていた仲だったそうだ。
「ふーん、遺言が、そんなくだらない言い訳でいいんだ?」
「本当です。信じてください」
嘘くさい。
だけど……。
長年、人という生き物を嫌という程、観察してきたので、だいたい型にはめることができる。豆丸の人生の秤で量ってみると、行動は「クロ」。でも、目は「シロ」だと言っている。
本当に間違えたのなら、オカッパ頭の少年を止めないと取り返しがつかなくなる。
「とっ、とりあえず出口を探しましょう」
「賛成~。ここ、あつ~い。早く出たーい」
「どうせ、そいつ何もしてないから、なんも貰えないだろ?」
黒ドレスの少女とリーゼントも、サラリーマンの男をこれ以上問い詰める気はないようだ。男から静かに視線を外した少年は、「じゃあ、爺ちゃん、出口を探してもらえる?」と頼んできた。
数分後、すり鉢状の地形のちょうど反対側の岩の陰にモリが黒い扉を見つけたので、ようやく外へ出られた。
例の最初に入った光の柱の中ではなく、夜の海浜公園。
中に入っていた体感時間でいえば、1時間も経ってないと感じたが、時計の針は入って5時間も進んでいた。
「あらためて、エリアボスの攻略おめでとうございます」
大黒天モドキが、別の黒い扉から夜の公園に姿を現した。
「──ちょっと待って、一人足りないんじゃない?」
「ああ、柴田龍二さんでしたら、途中で死亡しました」
「どうやって?」
「それはお答えできません。話を進めてもよろしいですか?」
「……ああっ、わかった」
オカッパ頭の少年が質問したが、肝心の死亡原因は教えてもらえなかった。少年の方は当然納得していないが、しょうがないといった感じだ。
やっぱり、怪しいのはサラリーマン風の男。
何食わぬ顔をしているが、彼が限りなくクロだと思う。
「では、これよりクリア報酬のスキルガチャを回してもらいます」
大黒天モドキが、なにやら両手をフワフワと動かしながら、説明を再開した。
スキルガチャ?
ガチャって、今でいうカプセルトイのこと?
子どもの頃、キン太郎マンの消しゴムが流行って、夢中になってたけど、あれ以来やったことがないなー。
「ミッションの貢献度に応じてスキルガチャのコインが変わりますー」
大黒天モドキの隣に大型冷蔵庫くらいの長方形のカプセルトイマシンが現れた。
「まず、はじめに静 典子さん」
「本名で呼ばれるのイヤ~だ~! せめて上の名だけにしてくれな~い?」
不満を口にする黒ドレスの少女。
だが、聞こえなかったのか無視しているのか、光沢のある顔にいっさいの変化は見られない。
典子って名前、いいと思うけどな。
豆丸の小3の頃に初めて恋心を抱いた相手が典子さんっていう名前だった。先生だったけど……。
銅色のコインを受け取り、静 典子さんがガチャを回すと、白色の卵が受け取り口に落ちてきた。
「次は鳴海 玄斎さん」
渋い名前。
例のサラリーマン風の男の名。銀色のコインをもらってガチャを回すと青色の卵が出てきた。
「続いて、雷堂炎児さん」
「ぷぷっ!」
「──あっ? ガキ、今、俺の名前で笑っただろ?」
「いや、くしゃみしただけ」
「嘘つけやコラ?」
またやってる。
もはや、この二人の挨拶のようなものだと感じるようになってきた。
「おっしゃ! 超レアなやつ引いてやるぜ」
リーゼント改め雷堂炎児が、金色のコインでガチャを回すと、黒色の卵が出てきた。
「──不吉、ぷぷっ」
「ああん?」
オカッパ頭の少年にからかわれている雷堂炎児。もうこの光景も見慣れてきた。
「では、二瓶 豆丸さん」
大黒天モドキから、金色のコインを受け取り、ガチャマシンに投入して、大きなレバーを両手で回す。
ん? ──出てこない?
レバーを一度戻そうとしたが、戻らない仕様になっていた。心配になって、大黒天モドキを見ると「確変モードに突入しましたね」と言われた。だけど、ガチャの方はうんともすんとも言わない。
──ゴゴゴゴッ。
地震?
地面が微かに揺れ始めた。
ボン、と音を立てて、ガチャマシンの上蓋が弾け飛んだ。そこから無数のスキルエッグが上空へ勢いよく飛び出していく。
これが?
一つだけ、雪が降るようにゆっくりと豆丸のところに落ちてきた。
極彩色の卵。
見るからレアっぽい雰囲気を漂わせている。
「最後に斎宮ミカドさん、どうぞ」
え?
オカッパ頭の少年の名前って……。
「爺ちゃん、隠してたみたいでワリィ。ハガネは俺の従兄だよ」
白金色のメダルを受け取りながら、豆丸にあやまる。
呆けて見ている豆丸をよそにガチャマシンを回した斎宮ミカド。
出たのは金色の卵だった。
「それでは、また次のミッションでお会いしましょう!」
「他の奴いねーの? って、無視して消えやがった」
斎宮ミカドのツッコミを華麗にスルーして、大黒天モドキが、こちらに手のひらをヒラヒラさせて扉の向こうに消えた。すると扉も下から上へと塵になって消えていった。
「さっきの話って……」
「ああっ、斎宮家ってのは、この国を陰から守護する五大家の一つなんだ」
そんな人たちがいるんだ。
オカッパ頭の少年、斎宮ミカドの従兄である斎宮ハガネが姿を消したのは、例の世界がゲーム化した日。斎宮家でも、次の当主候補として競い合っていた仲だったそうだ。
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