ゲームコインをザクザク現金化。還暦オジ、田舎で世界を攻略中

あ、まん。

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# 22 新たな扉

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「今日は、この街を捜索します。太陽が真上になるまでにあの建物の下に集合ね」

昨日とはまた違う都市へやってきた。

集合場所は、この街のランドマークである数百年前に建てられた由緒ある寺院。

この世界に豆丸達以外にも割とPlayerと呼ばれる覚醒した者達が生き残っているのが分かったので、人間と遭遇した場合は、丁寧に挨拶した上でその場を逃走するよう命じた。

昨日は思いもよらずミッションに参加することになったので、歩茶の衣服が足りていない。今日は、歩茶の衣服だけでなく、衣料品、飲料、食料、生活雑貨などいろんな種類のものをかき集めることにした。

ストレージもだいぶ拡張されてきたので、太陽光パネルも何枚か持って帰りたい。多少の電気は使えた方が、今より生活が豊かになる。

ちなみにエリアコマンダーの等級スキルが〈Lv2〉になったことでモリ達を展開できる広さが格段に上昇した。半径5km。どうしても密度が薄くなるため、モリ達を8体で1班。全10班に割り振った。豆丸と歩茶のいる本隊は、モリ達の精鋭部隊で固めた。さらに昨日、あのサラリーマン風の男、鳴海 玄斎から受けた奇襲を反省し、ツタ忍遊撃隊を10体、周囲に展開しているため、いきなり襲われるということは、まず起きないだろうと考えている。











なんかコインが増えている。

捜索を始めて、30分。スマホの画面を見ると、コインが2万ほど増えていた。
どういうことか考えていると、数秒ないし数十秒に1回、コインが200枚ずつ増えていっている。

これが収益化というスキルの効果かな?

日中だが、化け物がいないわけではない。
数が少ないだけで、街の中にいる。太陽の光を嫌っているのか、屋内にいることが多いが、夜に比べると動きが鈍いので、レベル1のモリでも簡単に倒すことができる。おそらくそういった日中に潜んでいる化け物を各班が1体倒すと200コインが増えるというシステムのようだ。

今日は順調に収集を進め、お昼前に集合場所であるお寺の前に到着した。次第に各班のモリ達が寺に集まりだしている。

持ってきた収集品をどんどんストレージの中に保存していく。

「こんなところで何してる?」

階段の上から声がした。

境内側へ振り返ると、男性2人に女性1人のPlayerらしき人達が立っていた。

「あっ、こんにちは。実は……」

素直に街中で飲み物や食べ物を捜索していることを話した。

「では〝扉〟に用は無いんだな?」
「──おい」 「ああ、そうだった。この人、気づいてなかったのか」

扉?

寺の中に昨日のような扉があるってこと?
リーダーっぽい男が仲間から横腹をつつかれて、秘密を漏らしたことに気づいたようだ。でも、いいことを聞いてしまった。

「今のは失言だったな……るか?」
「──っ⁉」
「だめよ、小さい子がいるんだから、それにあの数のペットを従えているのよ、勝てるの?」
「それもそうだな」

一瞬、緊迫した雰囲気になったが、女性Playerがリーダー格の男を説得したので、争う気は失せたようだ。

「まあ、がかかってるし、どうせ何もできやしないよ」
「たしかにそうだな。じゃあ行くぞ」

もう一人の男性が、補足したところで、リーダー格の男性の合図で階段を下りはじめ、豆丸と歩茶のそばを通り過ぎていった。

なんか、リーダーの割に主体性がない。全部他の二人に言われて、為すがまま。あれで、よくこれまでうまくやってこれたもんだね。

それから小一時間後。
すべてのモリ達から収集品を受け取り、展開しているモリ達のほとんどをストレージに格納した後、興味本位で先ほど話していた扉というものを見に行くことにした。

思ってた扉と違った。
昨日のミッションの時のように開閉する扉を想像していたが、イメージとはだいぶ違っていた。

井戸が淡く光っている。

白く光る水面。
だけど凍っているのように見える。
小石が何個か水面の上にあって、想像するに先ほどの3人組が、凍っているのか試した後なのだろう。

井戸の上から30cmもないところに水面があるので、手を伸ばしてみた。

「Player等級エリアコマンダーの権限保持者を確認、ロックを解除します」

目の前に文字がポップアップされて、凍っていた光る水面がひび割れ、溶けだした。

どうしよう。明らかに危険な感じがする。

この扉って、もう一度施錠できないのかな?
今、放置すると、中に何かいいものがあったら横取りされるのは、イヤだし、だからといって危険を冒したくはない。豆丸だけなら、まだしも歩茶が一緒。豆丸だけ一度、入ってクリアまで出てこれなかったら、昨日のように出てくるのが夜になるかもしれない。そうなったら、精鋭のモリ達を残しても歩茶が気がかりで、扉の中で集中できない。──でもなぁ。

どっちがいいのか決めかねていると、「ツタツタ!」とツタ忍が騒ぎ出した。

うわぁぁ、これは……。

視界に入っている限り、6体の人型。
寺の階段の途中で、すでにモリ達と戦闘に突入している。

まだ太陽が昇っているので、動きが鈍いが、それでも他の化け物と比べると圧倒的な脅威。モリ達の内、未強化やレベルの低い者から人型の餌食になっている。

さらに階段の下に3体の人型を確認した。

これは、もしかして井戸にできた扉のロックが解除されたことによる反応だろうか?

豆丸はあまり猶予のない時間の中、さらに恐ろしい現実を目の当たりにした。

さっき階段の下ですれ違った3人のPlayer。──その3人が、人型となって、階段を上ってくるのを見た。

──っ! 

先ほどまでPlayerだった3人の更に後方。
トレンチコート姿で、ポケットに両手を突っ込んでいる男がいた。

男を見た瞬間、まわりの音が聞こえなくなった。

視界の端にちらりと映った〝それ〟を視界で捉えた途端、背筋を氷の刃でなぞられたような感覚が走った。心臓が一拍、二拍と遅れて脈を打つ。次の瞬間には胸を突き破らんばかりに心臓が暴れ出した。

喉が渇く。
呼吸が浅くなる。

額から、こめかみから、背中から汗が吹き出す。
まるで体中の毛穴が一斉に開き、逃げ場を求めているかのよう。

視線が釘付けになり、瞬きすら忘れる。
空気が重く、まるで深海の底に沈んだかのように、音も光も遠く感じる。

全身が警鐘を鳴らしている。

声を出すな。
逃げろ、と……。

〝それ〟が、こちらを見上げた。

その瞬間、豆丸は歩茶の手を引き、走って井戸まで急いだ。水泳の時間でもやったことのない飛び込みスタイルで、井戸の中にダイブした。







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