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# 41 世界の理(ロジック)
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「では荒御の、覚悟はよいか?」
どっちが化け物か正直わからない。
人型を簡単に倒すエン婆の方が、恐ろしくさえ感じる。
エン婆が最後の一人、荒御ウサギと呼ばれたお団子ヘアの少女の方を向いた。
「彼女は任せてください」
「よかろう……その娘はお主らに任せる」
エン婆と戦ったら、跡形もなく消されてしまう。
そのため、豆丸は自ら名乗り出た。
荒御ウサギの方は、先ほどから守ってばかりで攻撃を仕掛けてこない。そのため、睨み合ったままの状態で、モリをストレージから大量に出した。
彼女の巫術なのかスキルなのかわからない術は、今のところ空間を捩じ曲げること。ただ、両掌で小ぶりのバランスボールくらいの球体状の空間を操作する能力のようなので、数で仕掛ければ、綻びはいくらでも見つかる気がした。
モリ達に合図をして戦闘を開始した。
多方向からの遠距離同時攻撃。スニャイパーの狙撃、ジャンリルの氷柱、ゴリ親方の投石、野良サルのボウガンの矢、森羅バン蔵の尖った樹柱……。そのすべてを荒御ウサギは自らを中心に淡く光る空間を格子状にして防いだ。
──そう思えたが、野良サルのボウガンの矢だけ届いていた。歪曲空間を格子状にしたため、間をすり抜けたのかもしれない。
しかし……。
荒御ウサギが野良サルに向かって両腕を大きく開いた。
「豆丸、そこ危ないぞ!」
「えっ、うわっ⁉」
カグヤの呼びかけに対し、いち早く歩茶が反応した。豆丸の身体に髪を巻き付け、横方向に思い切り跳躍した。その直後、荒御ウサギが両手を「パンッ」と叩くと、野良サルを中心に左右1mくらいの空間が閉じて、野良サルがボウガンを持ったまま潰されてしまった……。
カグヤが教えてくれなかったら、野良サルの近くにいたので豆丸も潰されていた。恐ろしい力だけど、隙ができたのは、相手にとって痛手だった。
モリ達がここぞとばかり無数のラッシュを仕掛ける。どうやら防御と攻撃は同時には展開できないらしく、接近戦の得意なモリ達が距離を詰め総攻撃を仕掛けた。モリ達の猛攻にさらされ、荒御ウサギは数秒で沈黙することになった。
この後は、斎宮ハガネをUnit化した時と一緒。荒御ウサギをUnitにするかの選択画面を開いたところで、エン婆に不思議な質問をされた。
「お主らの術は〝すきる〟と呼ぶのじゃな?」
「ええ、まあ……」
そう聞くということは、エン婆たちが使っている巫術は、スキルではないということ?
「私からも質問していいですか?」
「……なんじゃ?」
大きな門の上にある扉の場所に戻ったエン婆ともう一人の爺に、雨が質問した。
「お婆様やそちらのお爺様の使う術はスキルではなく、元々使える、ということでよろしいですか?」
「そうじゃ。じゃが、お主らの認識は少しズレておる」
「──と、言いますと?」
「儂らが巫術と呼ぶものと、お主らのスキルは根本的になんら変わらん」
「──っ⁉」
エン婆の言わんとしていることがわからなくなった。巫術とスキルが根本的に同じって、いったい?
「言い方を変えると、儂ら巫術使い以外にも、太古の昔から呪術を扱う者や魔術、仙術を使う者など、世界には、いろんな使い手がおる」
呼び方が違うだけで、皆、同じだという。
「さらに言えば、これまで非術者だったお主らのような一般人が〝すきる〟という力に目覚めて、術者が急増した、という言い方が正解じゃ」
なるほど。
だから、似ていたのか。
でもまだ最大の疑問がある。
「それは儂らも知らんわい」
「──えっ?」
エン婆に先を越された。雨も当然質問しようとしていたはずだが、世界がおかしくなった日、「この世界はゲームマスターのものになりました」と恐らく世界中の人間に伝えたあの声の主がいったい何者なのか……。
その人物が、ただの一般人だった豆丸にスキルという力を与え、ゲームの中の世界のように作り変えた張本人。
「カグヤは知っていたのよね?」
「お姉様ぁぁ~。違うんです。私には守秘義務がぁぁ~~」
「冗談よ。――でもエンお婆様、なぜ私たちに教えてくれたのですか?」
「お主らが〝使いの者〟に狙われておるので、無関係ではなくなったのじゃ」
「使いの者、ですか?」
「左様、使いの者とは〝神使〟──他の国では御使いと呼ばれておる者どもじゃ」
「――っ⁉」
また驚いてしまった。
それってつまり、豆丸たちが神様に狙われてるってことじゃ……。
「まあ、神と言うても八百万いると日本では言われておるがの。お主らを襲った神使が何者で誰の使いかは儂には想像できんわい」
理由がよくわからないが、神の使い? になぜ狙われたのか。Playerを人型の化け物に変えて従えていたのも気になる。教えてもらったことで多少前進したが、まだ深い霧の中にいるかのような感覚……。
「オジ様」
「あっ、はい」
そうだった。
あまりのことに並行思考を起動していたのに思考が停止していた。
とりあえず、荒御ウサギのUnit選択画面をもう一度確認した。
─────────────
荒御ウサギ〈巫霊〉
Lv11
ステータス:1,677
個体スキル:掌界縫絡
▸Unitにしますか? (Yes or No)
─────────────
荒御ウサギを2体目の巫霊──Unitにできた。
彼女のスキルはかなり重宝しそう。エン婆に消されるのは惜しかった。
どっちが化け物か正直わからない。
人型を簡単に倒すエン婆の方が、恐ろしくさえ感じる。
エン婆が最後の一人、荒御ウサギと呼ばれたお団子ヘアの少女の方を向いた。
「彼女は任せてください」
「よかろう……その娘はお主らに任せる」
エン婆と戦ったら、跡形もなく消されてしまう。
そのため、豆丸は自ら名乗り出た。
荒御ウサギの方は、先ほどから守ってばかりで攻撃を仕掛けてこない。そのため、睨み合ったままの状態で、モリをストレージから大量に出した。
彼女の巫術なのかスキルなのかわからない術は、今のところ空間を捩じ曲げること。ただ、両掌で小ぶりのバランスボールくらいの球体状の空間を操作する能力のようなので、数で仕掛ければ、綻びはいくらでも見つかる気がした。
モリ達に合図をして戦闘を開始した。
多方向からの遠距離同時攻撃。スニャイパーの狙撃、ジャンリルの氷柱、ゴリ親方の投石、野良サルのボウガンの矢、森羅バン蔵の尖った樹柱……。そのすべてを荒御ウサギは自らを中心に淡く光る空間を格子状にして防いだ。
──そう思えたが、野良サルのボウガンの矢だけ届いていた。歪曲空間を格子状にしたため、間をすり抜けたのかもしれない。
しかし……。
荒御ウサギが野良サルに向かって両腕を大きく開いた。
「豆丸、そこ危ないぞ!」
「えっ、うわっ⁉」
カグヤの呼びかけに対し、いち早く歩茶が反応した。豆丸の身体に髪を巻き付け、横方向に思い切り跳躍した。その直後、荒御ウサギが両手を「パンッ」と叩くと、野良サルを中心に左右1mくらいの空間が閉じて、野良サルがボウガンを持ったまま潰されてしまった……。
カグヤが教えてくれなかったら、野良サルの近くにいたので豆丸も潰されていた。恐ろしい力だけど、隙ができたのは、相手にとって痛手だった。
モリ達がここぞとばかり無数のラッシュを仕掛ける。どうやら防御と攻撃は同時には展開できないらしく、接近戦の得意なモリ達が距離を詰め総攻撃を仕掛けた。モリ達の猛攻にさらされ、荒御ウサギは数秒で沈黙することになった。
この後は、斎宮ハガネをUnit化した時と一緒。荒御ウサギをUnitにするかの選択画面を開いたところで、エン婆に不思議な質問をされた。
「お主らの術は〝すきる〟と呼ぶのじゃな?」
「ええ、まあ……」
そう聞くということは、エン婆たちが使っている巫術は、スキルではないということ?
「私からも質問していいですか?」
「……なんじゃ?」
大きな門の上にある扉の場所に戻ったエン婆ともう一人の爺に、雨が質問した。
「お婆様やそちらのお爺様の使う術はスキルではなく、元々使える、ということでよろしいですか?」
「そうじゃ。じゃが、お主らの認識は少しズレておる」
「──と、言いますと?」
「儂らが巫術と呼ぶものと、お主らのスキルは根本的になんら変わらん」
「──っ⁉」
エン婆の言わんとしていることがわからなくなった。巫術とスキルが根本的に同じって、いったい?
「言い方を変えると、儂ら巫術使い以外にも、太古の昔から呪術を扱う者や魔術、仙術を使う者など、世界には、いろんな使い手がおる」
呼び方が違うだけで、皆、同じだという。
「さらに言えば、これまで非術者だったお主らのような一般人が〝すきる〟という力に目覚めて、術者が急増した、という言い方が正解じゃ」
なるほど。
だから、似ていたのか。
でもまだ最大の疑問がある。
「それは儂らも知らんわい」
「──えっ?」
エン婆に先を越された。雨も当然質問しようとしていたはずだが、世界がおかしくなった日、「この世界はゲームマスターのものになりました」と恐らく世界中の人間に伝えたあの声の主がいったい何者なのか……。
その人物が、ただの一般人だった豆丸にスキルという力を与え、ゲームの中の世界のように作り変えた張本人。
「カグヤは知っていたのよね?」
「お姉様ぁぁ~。違うんです。私には守秘義務がぁぁ~~」
「冗談よ。――でもエンお婆様、なぜ私たちに教えてくれたのですか?」
「お主らが〝使いの者〟に狙われておるので、無関係ではなくなったのじゃ」
「使いの者、ですか?」
「左様、使いの者とは〝神使〟──他の国では御使いと呼ばれておる者どもじゃ」
「――っ⁉」
また驚いてしまった。
それってつまり、豆丸たちが神様に狙われてるってことじゃ……。
「まあ、神と言うても八百万いると日本では言われておるがの。お主らを襲った神使が何者で誰の使いかは儂には想像できんわい」
理由がよくわからないが、神の使い? になぜ狙われたのか。Playerを人型の化け物に変えて従えていたのも気になる。教えてもらったことで多少前進したが、まだ深い霧の中にいるかのような感覚……。
「オジ様」
「あっ、はい」
そうだった。
あまりのことに並行思考を起動していたのに思考が停止していた。
とりあえず、荒御ウサギのUnit選択画面をもう一度確認した。
─────────────
荒御ウサギ〈巫霊〉
Lv11
ステータス:1,677
個体スキル:掌界縫絡
▸Unitにしますか? (Yes or No)
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荒御ウサギを2体目の巫霊──Unitにできた。
彼女のスキルはかなり重宝しそう。エン婆に消されるのは惜しかった。
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