ゲームコインをザクザク現金化。還暦オジ、田舎で世界を攻略中

あ、まん。

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# 43 再会

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「ごめんなさい、油断してましたわ」
「わっ、私は八雲家の人間よ、わざと引っかかったに決まってるじゃない!」

豆丸に雨が謝り、カグヤが苦しい言い訳を始める。
まだ高校生ぐらいなので、しょうがないが、社会に出ると言い訳ばかりの人間は、まわりの人は実は気づいていて辟易としている。知らぬは本人のみ。まあ、その社会全体が崩壊してしまったので、雨が今後ゆっくり彼女を諭してくれるだろう。

自然に寝たわけではない人間を無理に起こしてよいものか迷っているうちに雨、カグヤ、歩茶の順で目を覚ました。モリ達はまだ目覚めないので、寝たままの状態でストレージに収納した。

その後は、問題なく大きな屋敷の裏へ回り込めた。

岩場があり、人の手で削って作った石段を上ると、奥底まで澄んだ池があった。

池の底に目を閉じた斎宮ミカドが横たわっている。エン婆の話では、眠りについているとのことだったので、倭の地――邪馬台国で手に入れた瑞果を使えば、あるいは目を覚ますと言われていた。

だけど、瑞果をどうやって使うんだっけ?
池の底は、水深5メートル以上はある。
河童の二瓶という異名を持つ豆丸にとっては、ミカド少年のところまで潜るのは容易いが、その後、どうするんだろう。まさか水中で瑞果を食べさせるわけにはいかないし……。

「何してんの、豆丸。アンタ馬鹿じゃないの!」

とりあえず潜ってみようと思ったが、カグヤが止めた。

最近、ちょいちょい呼び捨てにしてくるが、気にしないようにしている。それより潜っては、ダメというのはなぜだろう?

「食べ物をなんでもいいから出して!」

カグヤに言われるまま、例の刑務所で譲ってもらったピーマンを渡すと、ポイっと池の中に放り投げた。

ジュゥっと、ピーマンが落ちた水面のあたりが白い煙を上げ、泡がぶくぶくしている。数秒後には収まったが、透明な水中にピーマンがどこにも見当たらなかった……。

「ものすごく強酸性の水よ。指を入れたら数秒で骨ごと溶けるわ」

――こわっ。

でも、それならミカドが溶けずに池の底に沈んでいる現実と食い違いが生じる。

「私も五家の人間だけど、斎宮家の〝神憑〟については少ししか聞かされてないから、憶測が交じるけど……」

カグヤの仮説は、「神憑」という儀式は、完全に失敗したのではなく、半分は成功したのではないか、という話だった。

斎宮家の選ばれた人間以外を拒むこの池に受け入れられたということは、器たり得ると認められた証ではないかという。ただ、彼には「神憑」なる何か▪▪を受け入れるための意志、または覚悟が足りなかったのではないかとのことだった。

えーと、じゃあ、つまり……どういうこと?

考えても、豆丸の頭からは答えが出そうもない。素直にカグヤの仮説に基づく対策を聞くことにした。

「回廊を過ぎたあたりから視線▪▪が剥がれたわ。今なら呼び出しても大丈夫よ」

なるほど。そういうこと!

カグヤの言わんとしていることにようやく気付いたので、さっそく斎宮ハガネをストレージから出した。

本来なら彼が試練を受ける資格があったとエン婆が話していたので、ハガネなら、この酸の池に飛び込んでも溶かされないはず。

「ハガネ、ミカドを助けてもらえる?」
「…………」

──そうだ、忘れてた。

斎宮ハガネは普段、ストレージの中にしまったままなことが多いので、すっかり忘れていたが、命令系の言葉にしか反応しないある意味ドMなキャラだった。

「ハガネ、ミカドを助けろ!」
「はっ――! しかし、ミカドとは誰ですか? 我が主」

覚えてないのか?
それとも斎宮ハガネとしての人格ではなく、Unit化したのでゲームキャラのような仮の人格がハガネの身体に宿っているのかは、わからない。

池の底に眠っている少年を池の外に出すように具体的な指示を出したら、すぐに行動に移した。

カグヤの仮説通り、ハガネは強酸の池の中でも特に問題なく潜っていき、ミカドを抱えて水面へと顔を出した。

「オジ様、ちょっと待ってて」

雨が水のスキルを使って、まだ強酸まみれのミカドを洗い流す。ホースを絞ったような勢いのある水をかけ続け数分、豆丸が瑞果をミカドの口に入れて食べさせた。

「――うっ、――ここは……」

きれいな顔をしている。
まだ、髪も服も濡れているが、それがまた美少年っぷりに拍車をかけている。

「ミカド君! ――よかった」
「――っ⁉ あっ」

豆丸に気づいたオカッパ頭の少年。何か言おうと口が開きかけたので、話す順番を少年に譲った。

ちょっと恥ずかしいが、感動の再会の場面というヤツ。あの手紙を受け取ってからというもの、ミカドとの再会をどれだけ待ち望んだことか……。

「あんた誰?」

関西芸人伝統のズッコケ芸のごとく、盛大によろめいた。

そうか、そうだった。
以前、会った時と違って、30代前半の見た目なので別人だと思っているのか。

「嘘だって! 爺ちゃんって、ひと目でわかったよ」

えっ、そうなの?
もしかして、からかわれた?

「その……助けてくれてサンキュな、爺ちゃん」
「うん、うん。――よかった」

急に目頭が熱くなる。
頬をかきながら照れて目を背けているオカッパ頭の美少年のことがすごく愛おしく思えた。

たぶん、この感情が子に抱く親の愛情なんだと思う。












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