優しく暖かなその声は(幽閉王子は最強皇子に包まれる・番外編)

皇洵璃音

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珍しく体調不良で倒れた皇子様

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ある日、俺は訓練の途中で倒れた。
原因はわからないが、視界はあやふやで頭が痛い。呼吸も辛いので、たぶん病気にかかったんだと思う。
誰かに担がれて、ベッドに寝かされてメイドや執事たちが大騒ぎになっているのがわかる。
それもそうだ。俺は病気知らずと言われるくらいの健康児だったから。
けほけほ、と咳き込みながらたぶん医師から診察を受けている。

「レイ……どうして……」

アレクセイの声が聞こえる。あぁ、この優しくて不安そうな声は間違いなくそうだ。
別に死ぬわけではないけど、何度も死線を超えてきた俺のことを知っていることもあって、とても不安なのだろう。
ほんの少しだけ甘く、温かい水と一緒に苦い何かも飲まされた。

「まず……なんだこれ……」
「咳止めのお薬だよ。ちゃんと飲めてえらいね、レイ」

小さめの手のひらが俺の頭を撫でている。
なんだか幼少期に戻ったような感覚だ。
優しくまたベッドに寝かされると、額に冷たいタオルを当てられる。
ふと、アレクセイがどこかへ行ってしまうような気がした。
無意識にアレクセイの手首をつかんでしまう。

「あっ、レイ……コップをメイドさんに渡しに行くだけだよ?」
「……後で。いまは、そばにいてくれ……」
「えっ……レイ、もしかして……寂しい、の?」
「アレクセイに甘えたい……から……ダメなのか……?」
「ううん、嬉しいよ。わかった。レイが眠れるまで、ここにいるから」

ウトウトと眠気に襲われながらも、アレクセイの手は握り続ける。
添えられた手は小さいのに、とても暖かい。
瞼が落ち始める頃に、かすかに優しい歌声が聞こえた。
聞いたことのない言葉での、優しく愛しい者を想うような、そんな歌。
優しい声に包まれて、眠りへと落ちていった。

翌朝。
あっという間に病気が治ったようで、元気になった。
あの時、アレクセイは何を唄っていたのか、と聞くと恥ずかしそうに顔を赤らめて教えてくれた。

「あ、あれはね……その……神語の……愛の唄なんだって……」
「やっぱりそうだったんだな!すごくアレクセイの愛を感じたから、そうだと思った!」
「わ、わかっているなら聞かないでもいいじゃないの……!」
「なぁなぁ、あの歌詞の意味は?意味はなんなのかわかるのか?」
「も、もぉー!タイトルのままだってばー!」

俺たちはまだ夫婦になって日が浅い。
それでも、こうして追いかけっこをしてしまうくらいには、仲良しだ。
そんな俺たちの、愛し合う日々の一幕。

(終)
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