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キリトの想い
しおりを挟む「プラスト……なぜお前は、スベマナをそんなに必死に守ろうとするんだ?ジオン王に守る価値などない。」
「ドワイト様が、王妃様をお守りしたかったように、私は国民を守りたいだけです!」
「国民を……か。それならば、いい方法がある。」
キリトがプラストにその方法を話すと、プラストは急いでスベマナへと帰って行った。
「ただいま。」
「おかえりなさい。」
家に帰って来たキリトを、セリシアは満面の笑みで出迎えた。
「もう心配はいりません。プラストは帰りました。」
「そうですか、さすがキリトですね。私……キリトにお礼が言いたくて、帰りを待っていたんです。」
「お礼……ですか?」
キリトはキョトンとした顔で、セリシアを見る。
「スベマナに居た時、キリトが見守っていてくれた……それがどんなに嬉しいことか、伝えたかったんです。キリト、ありがとう。」
「……好きです!」
「えっと……今はふざけるタイミングじゃないと思いますよ?」
「ふざけていませんよ。俺はずっと、セリシア様を慕ってました!」
うそ……!冗談だとばかり思っていたのに、なんてこたえたらいいの!?
「返事はいりません。俺は勝手に、ずっとセリシア様を想っていますから。」
「キリト……」
「なーに玄関先でイチャついておるのじゃ!?食事の支度が出来ておるから、はよ来んかい!」
ゴーシュは二人の間に割って入り、席に着くよう促した。
二人の気持ちはわかっていたが、いっぺんに二人失うようで、どこか寂しかった。
一ヶ月後、アーチル村へと大勢の人がやって来た。やって来たのは、スベマナの国民だった。
キリトがプラストに話した方法は、スベマナ国民をアーチル村へと連れてくる事だった。
「王妃様だ!」
「セリシア王妃様ー!」
スベマナ国民は数名の兵士に連れられ、アーチル村へと逃げ出して来たのだった。
「キリト、ありがとうございます。これでスベマナの人達も守る事が出来ます!」
小さなアーチル村では全く家が足りないが、安全な場所にいられることを感謝し、満天の星の下で皆眠りについた。
翌日から皆が協力して、家を作り始めた。
「王妃様がいてくださるなら安心です!」
「やっぱりセリシア様の力は凄いですね!こんな広大な地に、結界を張ってしまうなんて!」
スベマナの民だった人達の言葉……私は、勝手に一人ぼっちだと思っていただけだったのかもしれない。
城からほとんど出ることを許されなかったセリシアは、ジオン王と臣下たちの意見しか知らなかった。
キリトのおかげで、私を見てくれていた人がこんなにいたのだと知った。
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