10 / 17
ポーションを作ろう
しおりを挟むセリシアがスベマナを追放されてから、3ヶ月が経とうとしていた。
村には簡易的ではあるがいくつか家が増えて、広大な土地には畑も増えていた。
行商人は頻繁に来るが財政的に裕福ではないアーチル村のために何か出来ないかと、セリシアは毎日考えていた。
「セリシア様、薬草屋をしていたという者がお話したいそうなんですが……。」
セリシアが村の財政を気にしている事を知った薬草屋のおじさんは、
「この土地には沢山の薬草がありますし、セリシア様の祈りを込めたポーションを作ってはいかがでしょうか?」
「私の祈り……ですか?買ってくれる人はいるでしょうか?」
「私が買います!」
行商人の男が、我先にと手をあげた!
「私も買います!なんなら定期契約いたします!」
「私にも買わせてください!」
他の行商人も、次々手をあげていた。
「皆さん、ありがとうございます。では、作ってみますね。」
「「「おおおぉぉぉぉぉぉッ!!」」」
行商人やアーチル村の人達、村に移住して来た人達は大歓声をあげた。
翌日、薬草屋のおじさんと一緒に薬草をとりにいき、ポーションの作り方を教えてもらった。
村人達は協力してポーションを作り、セリシアが一つ一つ祈りを込める。
「ポーションの名前はセリシアポーションにしましょう!」
キリトの言葉に……
「「「ダサい!!」」」
皆がつっこんだ。
アーチルの村人達が、ポーションを作っていた頃、スベマナにはとうとう王都に魔物の群れが到着していた。
必死に戦う兵士達ではあったが、魔物達を足止めする事が精一杯の日々が続いていた。
ほとんどの国民が、魔物が王都へと到着する前にプラストと共にアーチル村へと向かった為、王都にはジオン王と数十人の貴族、そして王都と城を守る兵士数百人しか残っていなかった。
「もう少しの辛抱だ!もうすぐ聖女協会が結果を知らせに来る!その聖女に魔物を追い払ってもらおう!」
ジオン王は聖女協会の聖女をあてにしていた。聖女協会の聖女に、すでに断られているとも知らずに……。
そして聖女協会から、順位を知らせに聖女がやって来た。
「これが結果です。」
手渡された結果が書かれた紙を見る……
「26位!?これはどういう事だ!?」
聖女が不在なのだから、最下位なのは当たり前……だが、国は25カ国のはずだった。
「国が一つ増えました。それではこれで、失礼します。」
結果を伝え、すぐに帰ろうとする聖女をジオン王は呼び止めた。
「待て!見ての通り、我が国は魔物から襲撃を受けている。魔物をこの国から、追い出してくれないか!?」
「お断りします。」
聖女は冷たく言い放った!
148
あなたにおすすめの小説
ドレスが似合わないと言われて婚約解消したら、いつの間にか殿下に囲われていた件
ぽぽよ
恋愛
似合わないドレスばかりを送りつけてくる婚約者に嫌気がさした令嬢シンシアは、婚約を解消し、ドレスを捨てて男装の道を選んだ。
スラックス姿で生きる彼女は、以前よりも自然体で、王宮でも次第に評価を上げていく。
しかしその裏で、爽やかな笑顔を張り付けた王太子が、密かにシンシアへの執着を深めていた。
一方のシンシアは極度の鈍感で、王太子の好意をすべて「親切」「仕事」と受け取ってしまう。
「一生お仕えします」という言葉の意味を、まったく違う方向で受け取った二人。
これは、男装令嬢と爽やか策士王太子による、勘違いから始まる婚約(包囲)物語。
『壁の花』の地味令嬢、『耳が良すぎる』王子殿下に求婚されています〜《本業》に差し支えるのでご遠慮願えますか?〜
水都 ミナト
恋愛
マリリン・モントワール伯爵令嬢。
実家が運営するモントワール商会は王国随一の大商会で、優秀な兄が二人に、姉が一人いる末っ子令嬢。
地味な外観でパーティには来るものの、いつも壁側で1人静かに佇んでいる。そのため他の令嬢たちからは『地味な壁の花』と小馬鹿にされているのだが、そんな嘲笑をものととせず彼女が壁の花に甘んじているのには理由があった。
「商売において重要なのは『信頼』と『情報』ですから」
※設定はゆるめ。そこまで腹立たしいキャラも出てきませんのでお気軽にお楽しみください。2万字程の作品です。
※カクヨム様、なろう様でも公開しています。
妹に婚約者を奪われた私ですが、王子の婚約者になりました
天宮有
恋愛
「お前よりも優秀なメリタと婚約することにした」
侯爵令嬢の私ルーミエは、伯爵令息バハムスから婚約破棄を言い渡されてしまう。
その後バハムスを奪いたかったと、妹メリタが私に話していた。
婚約破棄を言い渡されてすぐに、第四王子のジトアが屋敷にやって来る。
本来はジトアが受けるはずだった呪いの身代わりになっていたから、私は今まで弱体化していたようだ。
呪いは来月には解けるようで、これから傍にいたいとジトアは言ってくれる。
ジトア王子の婚約者になれた私は、呪いが解けようとしていた。
【完結】「お前に聖女の資格はない!」→じゃあ隣国で王妃になりますね
ぽんぽこ@3/28新作発売!!
恋愛
【全7話完結保証!】
聖王国の誇り高き聖女リリエルは、突如として婚約者であるルヴェール王国のルシアン王子から「偽聖女」の烙印を押され追放されてしまう。傷つきながらも母国へ帰ろうとするが、運命のいたずらで隣国エストレア新王国の策士と名高いエリオット王子と出会う。
「僕が君を守る代わりに、その力で僕を助けてほしい」
甘く微笑む彼に導かれ、戸惑いながらも新しい人生を歩み始めたリリエル。けれど、彼女を追い詰めた隣国の陰謀が再び迫り――!?
追放された聖女と策略家の王子が織りなす、甘く切ない逆転ロマンス・ファンタジー。
君を愛す気はない?どうぞご自由に!あなたがいない場所へ行きます。
みみぢあん
恋愛
貧乏なタムワース男爵家令嬢のマリエルは、初恋の騎士セイン・ガルフェルト侯爵の部下、ギリス・モリダールと結婚し初夜を迎えようとするが… 夫ギリスの暴言に耐えられず、マリエルは神殿へ逃げこんだ。
マリエルは身分違いで告白をできなくても、セインを愛する自分が、他の男性と結婚するのは間違いだと、自立への道をあゆもうとする。
そんなマリエルをセインは心配し… マリエルは愛するセインの優しさに苦悩する。
※ざまぁ系メインのお話ではありません、ご注意を😓
婚約者に「愛することはない」と言われたその日にたまたま出会った隣国の皇帝から溺愛されることになります。~捨てる王あれば拾う王ありですわ。
松ノ木るな
恋愛
純真無垢な侯爵令嬢レヴィーナは、国の次期王であるフィリベールと固い絆で結ばれる未来を夢みていた。しかし王太子はそのような意思を持つ彼女を生意気だと疎み、気まぐれに婚約破棄を言い渡す。
伴侶と寄り添う幸せな未来を諦めた彼女は悲観し、井戸に身を投げたのだった。
あの世だと思って辿りついた先は、小さな貴族の家の、こじんまりとした食堂。そこには呑めもしないのに酒を舐め、身分社会に恨み節を唱える美しい青年がいた。
どこの家の出の、どの立場とも知らぬふたりが、一目で恋に落ちたなら。
たまたま出会って離れていてもその存在を支えとする、そんなふたりが再会して結ばれる初恋ストーリーです。
何もできない王妃と言うのなら、出て行くことにします
天宮有
恋愛
国王ドスラは、王妃の私エルノアの魔法により国が守られていると信じていなかった。
側妃の発言を聞き「何もできない王妃」と言い出すようになり、私は城の人達から蔑まれてしまう。
それなら国から出て行くことにして――その後ドスラは、後悔するようになっていた。
婚約者の命令により魔法で醜くなっていた私は、婚約破棄を言い渡されたので魔法を解きました
天宮有
恋愛
「貴様のような醜い者とは婚約を破棄する!」
婚約者バハムスにそんなことを言われて、侯爵令嬢の私ルーミエは唖然としていた。
婚約が決まった際に、バハムスは「お前の見た目は弱々しい。なんとかしろ」と私に言っていた。
私は独自に作成した魔法により太ることで解決したのに、その後バハムスは婚約破棄を言い渡してくる。
もう太る魔法を使い続ける必要はないと考えた私は――魔法を解くことにしていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる