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離縁されました。
しおりを挟む「ジョアンナ、5年間共に過ごして来たが、私はお前を愛せなかった。離縁しよう。」
こんな短い言葉で、アンソニー・ライデッカー様と私の5年間の結婚生活は終わりを告げた。
愛せなかった? それは私も同じです。
それでも私は、旦那様の為に尽くして来ました。
愛はなくとも夫婦になったのだから、歩み寄り、慈しみあえるのだと思っていました。
少なくとも、私はあなたを守るために全力を尽くして来ました。
ですが、旦那様は私に何をしてくれました?
愛情もない。何の情もない。口を開けば嫌味を言う。人の顔を見てはため息をつく。そして愛人を作り、私を抱くこともなかった。
容姿は美人な方ではないけど、人並みではあったはず。顔を見てため息つかれる気持ちが、あなたには分からないのですか?
もうあなたのために、祈らなくていいのだと思ったらせいせいします。
「奥様、すみません。私は、愛人でいいって言ったんですよ? でもアンソニー様が、どうしてもって言うもんですから。」
嘘ばっかり。あなたの家は、一代限りの男爵家じゃない。愛人のままなら、いずれ平民になってしまうわ。
最初から、妻の座を狙っていたのは知ってた。
「もう奥様は、ミランダだろ。ジョアンナは赤の他人だ。」
「あ、そっかあ! 奥様は私だわ! ごめんなさいね、ジョアンナさん。」
正式に離縁してないから、まだ旦那様の妻ですよ。まあ、さっさと荷物纏めて、実家に帰ろう。
「あ、アンソニー様。私はもう祈りませんので、精霊の加護の力はなくなります。ご用心ください。」
「フッ!バカな! 精霊の加護だと? そんなの迷信だ! 私が負け知らずなのは、私の力だ!」
精霊の加護とは、加護を受けた者が祈れば、最強の力を得ることが出来るといい伝えられていた。
加護を受けた者が祈る事で、祈りを受けた者に精霊の加護の力が与えられ、最強になれるのだ。
加護を受けた者は、自分自身にその力を使う事は出来ず、あくまでもサポート役だ。
精霊の加護を受けた者はほんの僅かで、この国マトヌークにはジョアンナただ1人だけだ。
大陸全土でも、たった3人程だった。
私の……精霊の加護の力を欲したのは、アンソニー様じゃないですか。
5年前、力が欲しくて婚姻を申し込んで来たくせに。
5年間ずっと負け知らずで、『戦場の悪魔』とまで言われて、アンソニー様は自分の力なのだと勘違いしてしまったようですね。
この力は、精神が弱い人間に使ってはいけないのだと、悟る事が出来ました。
アンソニー様、思いっきりやられちゃってください。
荷物をまとめる為に部屋に戻ると、ミランダが着いてきた。
「ジョアンナさんが使っていた部屋は、私が使わせていただきますね。……早く荷物まとめて出てけ! いつまでも奥様気取ってんなこのブス!」
ミランダは、アンソニーの前でだけいい子のふりをしていた。
言われなくてもそうする。
荷物をまとめたジョアンナは、馬車に乗り込み、実家のある王都へと帰って行った。
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