〖完結〗私を捨てた旦那様は、もう終わりですね。

藍川みいな

文字の大きさ
6 / 11

アンソニー様が一騎討ちをしました。

しおりを挟む

 「何!?」

 アンソニーがベナミンの辺境伯になって5年、1度も国境を突破された事はなかった。
 ベナミンの辺境伯になれたのは、ジョアンナのお陰だったが、アンソニーはそれも自分の力だと思っていた。

 「私が出る!」

 兵士は思った。
 アンソニーが出るから、どうだというのか。皆が欲しているのは、精霊の加護の力。決してお前などではない……と。
 だが、今更何を言っても後の祭りだ。きっと援軍が来る! そう信じて戦うしかなかった。

 5年間一度も突破された事のない国境を突破された事で、軍の士気は低下していた。
 防戦一方で、攻撃すら出来ずにジリジリと追い詰められていく。
 ベナミンが落とされたら、この国は終わる……それほど重要な役目をアンソニーは担っていた。

 町の中心部まで敵兵が進軍して来た時、

 「これ以上は、進ませんぞ!」

 アンソニーが颯爽と馬に乗って現れた!
 戦場の悪魔の登場に、敵兵は一瞬たじろぐ!  が、

 「やっとお出ましか。戦場の悪魔。」

 前に出てきたのは、クーパー将軍だった。
 いつもなら、こんな無謀な事はしない。今の状況で、断然有利なのだから、わざわざ将軍自ら前に出て来なくても、小隊の隊長クラスで事は足りる。それでも姿を表したのは、自らが、戦場の悪魔と恐れられたアンソニーを討ち取りたかったからだ。

 「元とはなんだ!? 私は正真正銘、『戦場の悪魔』だ!」

 自ら名乗ってくれた事に、クーパー将軍は感謝した。

 「その『戦場の悪魔』の首、私が頂くとしよう!」

 ゼラフ軍対ライデッカー軍のはげしい激突! 
 その中央で、アンソニー対クーパー将軍の一騎討ちが始まった!

 と、思ったら……

 クーパー将軍の振り下ろした剣をアンソニーがガードしたのだが、振り下ろされた剣の重さに耐えきれず……

 ガンッ……ズザザザザ……

 アンソニーは馬上から落下した!

 「ひぃぃぃぃぃぃッ!! こんな強い奴に勝てるか!! 助けてぇぇぇ!!」

 アンソニーはそのまま、一目散に逃げて行った!

 あまりに予想していなかった展開に、ゼラフ軍も、ライデッカー軍も、そしてクーパー将軍も、何が起きたのか分からず、呆然としていた。

 数分間沈黙が続き、最初に口を開いたのはクーパー将軍だった。

 「『戦場の悪魔』が逃走したぞ! 追え!決して逃がすな!」

 一騎討ちで勝利するはずが、まさか逃げられるとは思ってもみなかったクーパー将軍は、苛立っていた。
 精霊の加護の力がなくなったのを知っていたのだから、逃げるであろうことを予測するべきだった。
 まさか誰1人動けなくなるほど、呆気に取られるとは……。

 だが、戦況はゼラフ軍が優勢なのは変わらず、大将だったアンソニーの逃亡で勝利は確実!

 かに思えたが、

 「全軍! ベナミンを取り囲み、隊列を組め!」

 一際大きな声が、アンソニーの残していったライデッカー軍と、王都から引き連れてきたマトヌーク軍に命を下した!

しおりを挟む
感想 46

あなたにおすすめの小説

婚約者から妾になれと言われた私は、婚約を破棄することにしました

天宮有
恋愛
公爵令嬢の私エミリーは、婚約者のアシェル王子に「妾になれ」と言われてしまう。 アシェルは子爵令嬢のキアラを好きになったようで、妾になる原因を私のせいにしたいようだ。 もうアシェルと関わりたくない私は、妾にならず婚約破棄しようと決意していた。

婚約を破棄したいと言うのなら、私は愛することをやめます

天宮有
恋愛
 婚約者のザオードは「婚約を破棄したい」と言うと、私マリーがどんなことでもすると考えている。  家族も命令に従えとしか言わないから、私は愛することをやめて自由に生きることにした。

双子の妹は私に面倒事だけを押し付けて婚約者と会っていた

今川幸乃
恋愛
レーナとシェリーは瓜二つの双子。 二人は入れ替わっても周囲に気づかれないぐらいにそっくりだった。 それを利用してシェリーは学問の手習いなど面倒事があると「外せない用事がある」とレーナに入れ替わっては面倒事を押し付けていた。 しぶしぶそれを受け入れていたレーナだが、ある時婚約者のテッドと話していると会話がかみ合わないことに気づく。 調べてみるとどうもシェリーがレーナに成りすましてテッドと会っているようで、テッドもそれに気づいていないようだった。

私の元婚約者は、新しく婚約した妹の酷さを知らなかった

天宮有
恋愛
公爵貴族ジェードが、侯爵令嬢の私アイリスとの婚約破棄を言い渡す。 私の妹クーナスを新しく婚約者にするようだけど、ジェードはクーナスの酷さを知らない。 私が忠告するけど聞き入れず、ジェードは後悔することとなる。 その後、私に新たな婚約者が決まった頃に、謝罪に来たジェードが再び婚約して欲しいとやって来た。 ジェードは必死に頼むけど、私がジェードと婚約することはなかった。

【完結】いつも私をバカにしてくる彼女が恋をしたようです。〜お相手は私の旦那様のようですが間違いはございませんでしょうか?〜

珊瑚
恋愛
「ねぇセシル。私、好きな人が出来たの。」 「……え?」 幼い頃から何かにつけてセシリアを馬鹿にしていたモニカ。そんな彼女が一目惚れをしたようだ。 うっとりと相手について語るモニカ。 でもちょっと待って、それって私の旦那様じゃない……? ざまぁというか、微ざまぁくらいかもしれないです

【完結済み】妹の婚約者に、恋をした

鈴蘭
恋愛
妹を溺愛する母親と、仕事ばかりしている父親。 刺繍やレース編みが好きなマーガレットは、両親にプレゼントしようとするが、何時も妹に横取りされてしまう。 可愛がって貰えず、愛情に飢えていたマーガレットは、気遣ってくれた妹の婚約者に恋をしてしまった。 無事完結しました。

君を愛す気はない?どうぞご自由に!あなたがいない場所へ行きます。

みみぢあん
恋愛
貧乏なタムワース男爵家令嬢のマリエルは、初恋の騎士セイン・ガルフェルト侯爵の部下、ギリス・モリダールと結婚し初夜を迎えようとするが… 夫ギリスの暴言に耐えられず、マリエルは神殿へ逃げこんだ。 マリエルは身分違いで告白をできなくても、セインを愛する自分が、他の男性と結婚するのは間違いだと、自立への道をあゆもうとする。 そんなマリエルをセインは心配し… マリエルは愛するセインの優しさに苦悩する。 ※ざまぁ系メインのお話ではありません、ご注意を😓

妹に婚約者を奪われた私ですが、王子の婚約者になりました

天宮有
恋愛
「お前よりも優秀なメリタと婚約することにした」  侯爵令嬢の私ルーミエは、伯爵令息バハムスから婚約破棄を言い渡されてしまう。  その後バハムスを奪いたかったと、妹メリタが私に話していた。  婚約破棄を言い渡されてすぐに、第四王子のジトアが屋敷にやって来る。  本来はジトアが受けるはずだった呪いの身代わりになっていたから、私は今まで弱体化していたようだ。  呪いは来月には解けるようで、これから傍にいたいとジトアは言ってくれる。  ジトア王子の婚約者になれた私は、呪いが解けようとしていた。

処理中です...