〖完結〗私を捨てた旦那様は、もう終わりですね。

藍川みいな

文字の大きさ
11 / 11

番外編 ミランダ

しおりを挟む

 あの役立たずのせいで、私の人生は台無しになった。アンソニーを刺した後、隣国に逃げてきたのはいいけど、お金がもう底をつきそう。
 
 こんな事になるなら、あの使用人みたいにお金になりそうな物を持ってくればよかった。
 でもあの時は、アンソニーを追うのに夢中で、そこまで考えられなかった。

 そんな事を考えながら歩いていると、

 ドンッッ!
 
 「どこ見て歩いてんのよ!」

 ミランダが顔を上げると、あの使用人が立っていた。

 「あんたッ!!」「お前っ!!」

 「「なんでこんな所に!?」」

 ハモる2人……どうやら気が合うようだ。
 その時ミランダは思った。

 こいつはお金を持ってる。こんな奴に頼るのはしゃくだけど、お金もないし……

 ミランダはこの国にいる経緯を話す事にした。

 「あははははッ! 腹が痛てー! アンソニーを刺したのか、ぷぷッッ!」

 「笑い事じゃないわよ! 逃亡者になったのよ!?」

 「だけど、俺は見直した! ただの媚び売り令嬢かと思ってたからな。」

 「アンソニーなんかに賭けたのが間違いだったわ。あいつのせいで、私の人生終わったのよ!」

 「なあ、俺達はお互い逃げなきゃいけない身だし、2人で逃げないか? アンソニーはクズだったが、盗んだ物は高値で売れたんだ。そこはさすが辺境伯だよな。」

 思惑通りになった。やっぱり男は、私の美貌に弱いわね。
 
 「いいわ。あんたと一緒に逃げてあげる。」 

 隙を見てそのお金、全部頂いてやるわ。

 「俺の名前はドリスだ。よろしくな、ミランダ。」

 こんな男に呼び捨てにされるなんて、虫唾が走るけど、我慢よ! 数日間我慢すれば、きっとチャンスはある。お金さえ頂いたら、こんな男サヨナラよ。

 と、思っていたのに……

 1週間経っても、ドリスは全く隙を見せない。
 と言うより、全くお金を手放さない。寝る時も抱いて寝てる始末。どんだけがめついのよ!

 「ドリス、これからどうするの? いつまでもここに居たら、見つかるのも時間の問題だと思うんだけど。」

 「そうだな。そろそろだと思うんだが……」

 「なんの事?」

 「お、きたきた。ここでーす。」

 ドリスが誰に手を振っているのか、振り返ると……

 「ミランダ・ライデッカーだな。」

 そこにはマトヌークの兵士が立っていた。

 「な、何よあんた達!」

 「コイツです。コイツがアンソニー様を殺しました!」

 「ドリス! 騙したのね!?」

 ドリスは最初から、ミランダをマトヌークに引き渡すために一緒にいた。
 この国で懸賞金がかかっているミランダを見つけ、マトヌークに手紙を出し、兵士が来るまでの間、時間稼ぎをしていたのだった。

 「誰がお前みたいな人殺しと一緒にいたいと思うんだ? お前がずっと、俺の金を狙ってた事も気づいてたんだよ。バーカ!」

 ドリスは、兵士から懸賞金を貰い去って行った。

 「あんただって、泥棒じゃない! なんであいつを捕まえないのよ!?」

 ドリスが盗んだのは、アンソニー邸からで、そのアンソニーは亡くなり、盗みの現場を見ていたのはミランダのみ。ドリスには容疑がかかっていなかった。

 抵抗虚しく、ミランダはマトヌークに連行されて行った。



 「あいつはもうおしまいだな。それにしても、あいつの懸賞金すげーな。これだけあれば、一生遊んで暮らせそうだ。」

 ドリスが上機嫌で歩いていると、

 「兄さん、景気がいいね。」
 「俺達にも少し分けてよ。」

 ガラの悪い男達に囲まれた。

 「な、な、なんだお前達!?」

 「さっき、懸賞金がどうのって言ってたよな? もしかして、その袋の中全部金か?」
 
 男達はニヤニヤしながらジリジリと、ドリスに近づいて行く……

 「く、来るな! これは俺の物だ!」

 「やれ!」

 リーダー格の男の声で、男達はドリスに殴りかかる。
   
 ドゴッ!ガッ!ドスッ!バスッッ!!

 ドリスの持っていた、お金の入った袋を取り上げる。

 「……か、か……えせ……」

 「聞こえないねぇ、なんて言ったの?」

 「かえ……せ!」

 「おい、足りないみたいだぞ?」

 ガッ!ドスッ!!ガンッッ!!!

 「もういいだろう。行くぞ。」

 男達は満足して帰って行った。

 「………………くそ…………動けねぇ……俺の……金……が………………………………」

 ドリスはそのまま動かなくなった。



 マトヌークへと連行されたミランダは、夫殺しの罪で死刑が下された。

 「私はただ、貴族でいたかっただけなのに……」

 それがミランダの最後の言葉だった。


                                                    END
しおりを挟む
感想 46

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(46件)

2021.06.21 ユーザー名の登録がありません

退会済ユーザのコメントです

解除
兎月
2021.06.21 兎月

効果音を書くよりも、情景描写を文章で表した方がいいと思いますよ。

解除
榊咲
2021.06.21 榊咲

アンソニーもミランダも使用人も最後はみんな一緒でしたね。
因果応報かな❓

完結お疲れ様でした。楽しく読ませていただきました( ^ω^ )

解除

あなたにおすすめの小説

婚約者から妾になれと言われた私は、婚約を破棄することにしました

天宮有
恋愛
公爵令嬢の私エミリーは、婚約者のアシェル王子に「妾になれ」と言われてしまう。 アシェルは子爵令嬢のキアラを好きになったようで、妾になる原因を私のせいにしたいようだ。 もうアシェルと関わりたくない私は、妾にならず婚約破棄しようと決意していた。

婚約を破棄したいと言うのなら、私は愛することをやめます

天宮有
恋愛
 婚約者のザオードは「婚約を破棄したい」と言うと、私マリーがどんなことでもすると考えている。  家族も命令に従えとしか言わないから、私は愛することをやめて自由に生きることにした。

双子の妹は私に面倒事だけを押し付けて婚約者と会っていた

今川幸乃
恋愛
レーナとシェリーは瓜二つの双子。 二人は入れ替わっても周囲に気づかれないぐらいにそっくりだった。 それを利用してシェリーは学問の手習いなど面倒事があると「外せない用事がある」とレーナに入れ替わっては面倒事を押し付けていた。 しぶしぶそれを受け入れていたレーナだが、ある時婚約者のテッドと話していると会話がかみ合わないことに気づく。 調べてみるとどうもシェリーがレーナに成りすましてテッドと会っているようで、テッドもそれに気づいていないようだった。

私の元婚約者は、新しく婚約した妹の酷さを知らなかった

天宮有
恋愛
公爵貴族ジェードが、侯爵令嬢の私アイリスとの婚約破棄を言い渡す。 私の妹クーナスを新しく婚約者にするようだけど、ジェードはクーナスの酷さを知らない。 私が忠告するけど聞き入れず、ジェードは後悔することとなる。 その後、私に新たな婚約者が決まった頃に、謝罪に来たジェードが再び婚約して欲しいとやって来た。 ジェードは必死に頼むけど、私がジェードと婚約することはなかった。

【完結】いつも私をバカにしてくる彼女が恋をしたようです。〜お相手は私の旦那様のようですが間違いはございませんでしょうか?〜

珊瑚
恋愛
「ねぇセシル。私、好きな人が出来たの。」 「……え?」 幼い頃から何かにつけてセシリアを馬鹿にしていたモニカ。そんな彼女が一目惚れをしたようだ。 うっとりと相手について語るモニカ。 でもちょっと待って、それって私の旦那様じゃない……? ざまぁというか、微ざまぁくらいかもしれないです

【完結済み】妹の婚約者に、恋をした

鈴蘭
恋愛
妹を溺愛する母親と、仕事ばかりしている父親。 刺繍やレース編みが好きなマーガレットは、両親にプレゼントしようとするが、何時も妹に横取りされてしまう。 可愛がって貰えず、愛情に飢えていたマーガレットは、気遣ってくれた妹の婚約者に恋をしてしまった。 無事完結しました。

君を愛す気はない?どうぞご自由に!あなたがいない場所へ行きます。

みみぢあん
恋愛
貧乏なタムワース男爵家令嬢のマリエルは、初恋の騎士セイン・ガルフェルト侯爵の部下、ギリス・モリダールと結婚し初夜を迎えようとするが… 夫ギリスの暴言に耐えられず、マリエルは神殿へ逃げこんだ。 マリエルは身分違いで告白をできなくても、セインを愛する自分が、他の男性と結婚するのは間違いだと、自立への道をあゆもうとする。 そんなマリエルをセインは心配し… マリエルは愛するセインの優しさに苦悩する。 ※ざまぁ系メインのお話ではありません、ご注意を😓

妹に婚約者を奪われた私ですが、王子の婚約者になりました

天宮有
恋愛
「お前よりも優秀なメリタと婚約することにした」  侯爵令嬢の私ルーミエは、伯爵令息バハムスから婚約破棄を言い渡されてしまう。  その後バハムスを奪いたかったと、妹メリタが私に話していた。  婚約破棄を言い渡されてすぐに、第四王子のジトアが屋敷にやって来る。  本来はジトアが受けるはずだった呪いの身代わりになっていたから、私は今まで弱体化していたようだ。  呪いは来月には解けるようで、これから傍にいたいとジトアは言ってくれる。  ジトア王子の婚約者になれた私は、呪いが解けようとしていた。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。