不死人になった私~壊れゆく不老不死の花嫁~

琴葉悠

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君を守るため

よくわからない ~原因究明がマジ面倒だ!!~

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 温泉を後にし、服を身に着けると、グリースは寝室にルリを連れて行きベッドに寝かせた。
「ルリちゃん、俺ちょっと出かけてくるわ、それまでゆっくり休んでてな。起きても戻らないようだったら留守番宜しくね、なるべく早く帰るようにするけど」
 グリースはルリの頭を撫でながら言うと、ルリは微笑んで頷いた。
 ルリは目を閉じ、静かにブランケットにくるまった。
 少しすると、ルリの静かな寝息が聞こえてきた。
「よしよし」
 グリースはそういうと、隠れ家を出て、ヴァイスの城へと転移した。


「――さて、お前らの事情を聞いてやる、色々こっちも内容によってはこっちも原因究明するために色々することになるしな」
「「……」」
 ルリの部屋に集めた二人を見ながらグリースは窓によっかかる。
「で、アルジェント。お前はルリちゃんを見た時、なんで乱暴にした?」
「……ルリ様の元に向かうまでは気を付けなければならない、傷つけぬようにしなければと自制心が働くのだが……ルリ様を見た途端、その自制心が消えて失せる、気が付けば自分の欲のまま行動してしまい、ルリ様を傷つけていた……」
「よし、聞くぞ、ルリを傷つけたと判断したのはいつだ?」
「……? そうだな、ルリ様が意識を失ったと思われる時だ、意識を失ったルリ様を見ると一気に後悔や罪悪感が襲ってきた……」
「なるほど、意識ねぇ……おい、ヴァイス、お前はどうなんだ?」
「……アルジェントとほとんど同じだ、ルリの姿を見ると自制心や抑制しなければという感情が消えて失せ……気が付けば欲のまま行動していた」
「で聞く、お前が正気に戻ったのはルリちゃんが意識を失う時か?」
「――ああ、確かにそうだ、その通りだ」
「……なるほど、俺には全く分からないがルリちゃんが意識覚醒中に何か作用するものがある可能性があるな……意識を失ったら無くなるとなると……ルリちゃんから採取しても体から離れた時点で効力が失われる……いや待てそれはない、意識を失ってる最中に出ている何かだとすれば……ついでにルリちゃん特有のだとすれば……」
 グリースはぶつぶつと呟く。
「――取り合えず、これが判明するまでは帰せない、同じことがまた起きる。俺はまた用事ができた、ちょっと人間の国の研究機関にお邪魔してくる」
 グリースは窓に寄りかかるの止めてそういうと、二人に背中を向けた。
「ルリが居ないことで発症する奴抑えるのは定期的に持ってきてやるから安心しろ、じゃあな」
 グリースはそう言ってルリの部屋から姿を消した。

 ルリは目を覚ました。
 グリースが戻ってきている気配はない。
 ルリはベッドから起きてリビングへ向かう。
 リビングそソファーに座り、きょろきょろと見渡していると、何か一冊の本があった。
 古びている感じはするが、魔術陣が描かれている。
 魔術書かなと思い開いた見ると、写真のようなものがたくさん張りつけられていた。

『……しゃしん』

 触ってみるがはがせない、ふつうの写真とは違うらしい。
 写真には女性と男性、そして白い髪の子どもが写っていた。

『……もしかしてぐりーす』

 ぺらり、ぺらりとページをめくる。
 その子どもの成長の記録のようだ。
 たくさんの大人達に囲まれ幸せそうだ。
 二十歳近くになると、同い年位の二人の男女に囲まれているものが増えている。
 しばらく眺めていると、何もないページが続き、そのままその本ページは最後になってしまった。
 最後のページには文字が書かれていた、かなり古い文字だが、何とか読むことができた。

――私達のところに来た可愛い子グリース、貴方のこれからの生が幸福に満ちていることを祈ります――

「……」
 ルリはパタンと本を閉じた。
 そしてあった場所に仕舞い見なかったことにした。
 きっとアレはグリースの大事な思い出だ、自分が軽く触れていい物じゃない、そう感じたからだ。
 ルリは息を吐き、ソファーに寝っ転がった。

 ガチャリと扉が開いた。

 グリースがリビングに入ると、ルリがソファーに寝っ転がっていた。
「ルリちゃん、ちょっといい? ちょーっと調べたいことがあるんだ?」

『なぁに』

 ルリが首をかしげて言えばグリースはテーブルの上に見たことの無い装置を出した。
 一見すると普通のノートパソコンの様に見える物に繋がっている。
「ルリちゃん、これに息を吐いて」
 グリースは何か加えるような物をルリに渡した、ルリはよく分からないような顔をして首を傾げたまま息を吹き込んだ。
「……よしよし、分析と計測ができてる……後は抽出だ……!! ルリちゃん、大変だろうけど、息それに吐き出してね、休憩入れながらでいいから」
 グリースはノートパソコンらしき物体を見ながらルリに言う。
 ルリは首をかしげて、頷き、息を吹き込み続けた。

「よっしゃ諸悪の根源見っけ!! ……まぁ、成分として見つけただけで対策はなーんも出来てないけどね」
 グリースは抽出されて、小瓶に入った透明な液体を見つめながら一喜一憂した。
「……」

『それ、なに』

 ルリの問いかけに、グリースはあーと頭を掻いてから、小瓶の液体を見せる。
「君のフェロモンは長時間接していれば接している程、依存症という症状を引き起こす」
「……え?」
 驚愕の言葉に、ルリの声が戻った。
 グリースはそれを喜びたかったが、話を中断するのは不味いと話を続けた。
「アルジェントとヴァイスが君のフェロモンの依存症になっていた、依存症になった結果アルジェントは俺を見かけると見境なく殺そうとしてくるし、ヴァイスは不死人の香りに反応して血を吸おうとしてくる、まぁアルジェントはルリちゃんのフェロモン嗅がせれば一発で戻るし、ヴァイスはルリちゃんの血を飲ませればしばらくは落ち着くんだけどね」
「……し、ん、そはほ、か、の、ひと、じゃ、だ、め、な、の?」
「ヴァイス? うん、フェロモンの副作用分からないけどか他の血は奴の体が受け付けなくなってる。それと、前回何であのバカ二人がルリちゃんを襲ったのかも、ついでにフェロモンの起こす悪さの元は何なのかを解析した結果ようやく抽出できたって訳!!」
「……ど、う、に、か、す、る、の、は?」
「それが今後の課題、そこで俺の出番。何故俺はルリちゃんのフェロモンを食らい続けているのに平気なのか!! ルリちゃんを襲おうとしないのか、そこが非常に気になる」
「……」
「それと、他の不死人の女性にはないこのフェロモン、何故ルリちゃんだけがあるのか、そこもね」
「……ど、う、に、か、で、き、れば、こ、わぃ、おもぃ、し、なく、て、す、む?」
「かもしれない、まぁそれ以外にも要因が出てきたらまた調べるけど」
 グリースはそう言いながら、小瓶の液体を漏れないように、別の容器に入れて解析を開始した。
 ルリはモニターを覗き込む。
「……ど、ん、な、さ、よ、う、が、あ、る、の?」
「……ルリちゃんからすると非常に不味い効果だな、というか良く避妊薬飲ませたなアルジェントの奴、完全に脳みそフェロモンにやられてたら避妊薬は絶対使わないぞ」
「え? ど、ぃう、こ、と?」
「……ルリちゃんのフェロモンは他の不死人の女の人よりも露骨だ」
「……?」
 グリースの言葉にルリは首をかしげる、グリースは少々言いづらかったが、仕方ないように口にした。
「ルリちゃんのフェロモンは孕む為に特化してるんだ、多分立場としては俺が不死人の王ならルリちゃんは女王悪く言えば母体――能力値の高い不死人を産むための母としての能力が特化してる、他の女性たちと違って」
「?!」
 ルリは困惑した表情を浮かべている、予想通りだ。
「このフェロモンが悪さしてる原因は、ルリちゃんがいつまでたっても妊娠しないことが原因だ。妊娠した女性の血液に混ぜると消滅したが、妊娠してない女性の血液に混ぜると激増した」
 ルリは下腹部を抑える。
「……あの、ね、たま、に、きこ、え、る、の、はら、め、って、こ、えが……」
「それは他の誰かに言ったかい?」
「う、うん……げん、ちょう、か、な、って……」
 ルリの言葉にグリースは悩むように目を瞑り、考え込む。

――多分、俺が不死人なった時に聞こえた声と同じだな、やっぱり、声の主は不死人を増やしたがってる……まぁ、二千年たっても自然発生以外で増えてないからな、俺は母体も、雄の役割もどっちも果たさなかったから業を煮やしたのか?――
――声の主……くそ、面倒なことさせるな――

「……どぅ、に、か、でき、なぃ?」
「あー……副作用ありきでなら、これの対策はめっちゃ簡単、体が『妊娠している』と勘違いしているようにすればいい」
「そ、なこ、と、で、き、る、の?」
 ルリの言葉にグリースは薬を出した。
「これも試した、この薬でごまかせる、ただ言ったように副作用がある」
「……ど、な?」
「流石にお腹は大きくなるとかはないけど、胸張ってくる……つまり母乳が作られるようになったりする」
「……ど、して、そな、ので、き、た、の?」
「避妊薬作る過程でできた薬なのこれ。妊娠してると間違わせて排卵させない受精着床させない……様にするんだけど効果はあるんだけど、副作用の母乳でるのとかが気になるって人が多くてねぇ……だからコレを今度からルリちゃんに飲んでもらうけど、セックスする時は万が一考えて避妊薬つかうよ、大丈夫一緒に服用しても問題ない奴だから」
「そ、なの……」
 ルリは少し安心したような顔をした。
「……まぁ、お薬の効果が本当に出たのか確認するのは、ルリちゃんのその喋りとか色々治ってからだな、確認のため城にまた短期で戻すのは……」
 グリースはため息を吐き出しつつ、ルリを見る。
 ルリは少し怯えたような表情をしている。

 無理もない、グリースが来ないと分かった途端酷い扱いを受けたのだ。

――……俺がいる時は比較落ち着いてたから俺も何かあるのか?――

 グリースは自分がいない時といる時の状態を思い出し、後で自分の体も調べてみようと考えた。



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