絶世のハンターは魔族に狙われ、情報屋に抱かれる

琴葉悠

文字の大きさ
30 / 31
二人のダンピールのハンターとそれを巡る関係

神を堕とす者、神代は忘却されゆく

しおりを挟む



「神堕とし⁇」
 マリーの仲介屋に戻ってきたアレフィードは首を傾げた。
「……賢者の一族は、人間を害なす神を堕として消滅させてきた……という話を聞いたことがありますが実際に目にすることになるとは……」
「おい、他のハンターには頼まないのか?」
「ちょっと現地の状態がアレなので今のところ一番腕が立つクロウとディストさん、次に腕がたつようになったアレフィードさん位しか頼めないんですよ……」
「あれ、坊ちゃんいつのまにそこまで?」
「……お前の現場実習が難易度が高いものが突如出現するのが多かったからだと思う……」
「あー……」
 アレフィードの言葉にクロウは心当たりが大量にあった。
「しかし、神堕としとはあの時以来か」
「あの時は神になった魔族を堕としましたが、今回はもともと神なのを堕としますからね……一族から直々のご用命です」
「お前の一族だけじゃダメなのか?」
「ちょっと力不足らしいので私が出ることになりました」
 困り顔をするマリーを見てクロウは口を開いた。
「どんな神だ?」
「それも言えません、下手に情報を教えると――」
「そうだな、神が堕としづらくなるんだったな」
 クロウとマリーの会話にアレフィードだけはついていけてないのか分からないと言いたげな表情をする。
「情報や信仰が多い程神の力は増して、堕とす時大変になるんですよ」
 アレフィードにマリーは優しく言う。
「俺らがするのはその神の力によって来た害虫の駆除だ」
「害虫とは?」
「無貌<むぼう>――神の使いになりたがろうとする普段はそこらへんにいるけど害のない連中だ、奴らが害なす存在になるときは、神が出現する時だ」
 クロウはマリーが作った情報に目を通すと、空間の穴を開けてその場所への道を作る。
「おい、行くぞ。後、ファレスだったか、お前さんはどうする」
「アレフィード様のお供をしましょう」
「よし、戦力多いに越したことはねぇ、行くぞ」
 クロウ達はクロウの作った穴を通って、その場所へ移動した。


 その場所に着くと、クロウは忌々し気に目を細めた。
「降臨開始か」
 夜だというのに、昼のような明るさがあった。
 雲で月は隠され、隙間からは太陽よりもまぶしい光が差し込み、光の柱を無数につくっていた。
 白く不気味な生き物たちが何かをささげようとしていた。
 それらはこちらに気づくと襲い掛かってきた。
「こいつらが無貌だ!! 遠慮するなぶちのめせ!!」
 クロウは異形の姿に変わると、周囲の無貌を破壊し始めた。
 ディスト達も後に続いて無貌達を切り、銃で吹き飛ばし、魔術をもって消滅させていった。

「……マリー様、貴方は?」
 唯一戦闘に参加してないマリーを見て、ファレスは無貌の首をねじ切りながら問いかけた。
「神堕としの為に力温存中です」
「なるほど」
 ねじ切った無貌を捨てると、それは消滅した。
「しかし無数にいますね」
「そこら中にいますから、正直終わるまではお願いします」
 マリーはそう言ってクロウ歩き出した。

 できるだけ近い距離で神を堕とさねばならないからだ。

 アレフィードとディストにやけに無貌が集まっているのを危険視した、クロウは二人のところにより、近づいた無貌を一掃する。
「気をつけろ、お前ら人間とか比べ物にならないレベルで美形なんだからな」
「それが何か危険なのか?」
「それは――」
 天上から白い糸のようなものが伸びてきて、ディストとアレフィードを縛り上げた。
「くそ!!」
 クロウは糸を破壊するが、破壊した途端、無数の白い触手が天井から伸びてきてディストとアレフィードを吊り上げ、持って行ってしまった。
「やられた!! マリー飛ぶぞ!!」
「はい!!」
 マリーは箒を取り出し、一足先に二人を追いかけた。
「私も行きます!!」
 ファレスが無貌を排除しながら言う。
「無茶すんなよ!!」
 クロウはそう叫ぶと、背中から黒い翼をはやし、天へ向かって飛び立った。
 追ってくる無貌達を力で破壊しながら、道を阻む触手たちも力で消滅させながら分厚い雲を抜ける。
 雲の上は白い光に包まれていた。
 巨大な人ともつかぬ何かが居た。

 あとを追ってやってきたファレスがその存在が放つ神聖な力に少しばかり気分を悪そうに顔色を青白くする。

 神聖さにすこしやられているファレスにクロウは術をかけた。
「……楽になった?」
「ヴァンパイアには神の力は少々毒だからな。それで当分持つだろ……さて……いたハニー達だ!!」
 その存在の複数ある手の中の一つに、ディストとアレフィードが球体に包まれるようにいた。
 見たところ二人とも意識を失っているようだ。
「おい! そこの腐れ神! 俺の恋人と、その弟分返しな!!」
 クロウが叫ぶと、その存在は複数の目を開けた。

『『『これは』』』

『『『我の物にする』』』

『『『そしてこの地を』』』

『『『我の物とする』』』

「話通じねぇなぁ、このくそ神、長いことの隠居で頭が腐ったんじゃねぇか!?」
 クロウがそう吐き捨てると、その存在に使える、天を飛ぶ軍勢が三人に向かってきた。
 クロウは両手をかざし、黒い雷で軍勢を落としていく。
「……神に仕える軍勢か……なら」
 ファレスは周囲に闇を広げる。
「手加減は一切無用ということか!!」
 闇が軍勢を飲み込み捕食していく。
 マリーは二人の応戦の間をぬって進み、神へと近づいていく。
 しかし軍勢がマリーの行く手を阻もうとする。
「腐れ神、俺が二人に何もしてないと思ったら大間違いだぞ!!」
 クロウが叫ぶとファレスは目を丸くした。
「何をしたのです?!」
「破壊者特権――生贄はく奪!!」
 クロウが手を伸ばすと、球体にヒビが入り、黒い羽根が包み込む。

『『『何だ』』』

『『『これは』』』

「破壊者に親しい奴に手を出したお前がバカやったんだよ!!」
 球体は粉々に砕け散り、黒い翼をはやした二人が姿を現す。
 クロウは空間の穴を開けて、二人を手元に引っ張り、取り戻した。
「……少し頭がくらくらするな……」
「アレフィード様!! ご無事で!!」
「すまん」
「まぁ、いいってことよさて」
 クロウは神と呼んでいる存在を指さす。
「軍勢とやら蹴散らして、マリーにあの腐れ神堕としてもらうぞ!!」
「わかった」
「勿論だ」
「了解です」
 四人はマリーの道を阻もうとうする軍勢たちに突っ込んでいった。

 ファレスは白い翼を闇で捕食し地に落としていく。

 アレフィードは炎と剣で軍勢に立ち向かい、消滅させていく。

 ディストは銃で向かってきた存在の頭を射抜き、頭部を再生しようとするそれを真っ二つにし消滅させた。

 クロウは黒い羽根を散らし、それに接触した存在は体が一瞬で消滅し、それに怯んだ存在を、破壊者の力を込めている銃で撃ち落とし消滅させた。

 四人の健闘もあり、マリーは神の元にたどり着く。
 触手がマリーを貫こうとしたが、マリーに近づいた途端先端から消滅していった。
 クロウの結界が守っているのだ。

「――よ」
 マリーは目を閉じ古き言葉で神の名を言う。
 いつの間にか槍を持っていた。
 二又に分かれた、神秘性を保持した槍だ。
 マリーの背後に無数の巨大な魔法陣が展開される。
「神代は終わりをつげ幾星霜、今は人の世、神は奇跡を残すのみ」
 マリーの持っていた槍が黄金の輝きを放つ。
「されど再び神が世界に干渉せしとき、我、賢者神から世界を守護するのみ」
 目を閉じていた目を見開く。
 マリーの魔力が槍に集まり、槍は更に輝いた。
「終わりの時は来れり、我は神を堕とす者――!!」
 マリーは槍を投げた、槍はすさまじい速さで飛んでいき、神と呼ばれる存在を射抜いた。
 槍はその存在の体を貫通し、天の彼方へと消えていった。
『『『そんな』』』

『『『我を堕とすとどうなるか』』』

『『『どうなるかわかっているのか?!』』』

 神だった存在は五人に怒声をぶつける。
 触手が向かってくるが、全てクロウの力の前に消滅させられる。
 軍勢も全て消滅していった。
「神だったものよ、貴方の力は形骸化しているのです、とうの昔に貴方は人間から不必要だったのです」
 マリーは神だった存在に静かに事実を告げる。
「他の神々同様、時折祈られるだけで満足していればよかったのです、そうすれば生き永らえた」

「神だった方、さようなら。貴方は栄光を取り戻したいが為に悪手をうったのです」

『『『そんな、そんな馬鹿なぁあああああAaAaaaaa!!』』』

 神だった存在はぼろぼろと崩壊していった。
「じゃあな元神様とやら」
 クロウが力を使い、存在を完全に破壊した。
 神だった存在が消えると空は元の静かな夜の色に戻った。
「……魔神の時よりあっけないな」
「あの神は人間の信仰によって生まれた神なのです、堕とされ、信仰を失くした以上力は失われるのです……それでも最後のあがきで私達を道連れにしようとしてましたが」
「まぁそれは俺がなんとかしたからな」
「じゃあ、帰るか」
 クロウが空間に穴を開けると、五人全員がそこに入った、そして穴は消え、静寂だけが残った。





しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺

福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。 目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。 でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい… ……あれ…? …やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ… 前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。 1万2000字前後です。 攻めのキャラがブレるし若干変態です。 無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形) おまけ完結済み

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる

クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。

「役立たず」と追放された神官を拾ったのは、不眠に悩む最強の騎士団長。彼の唯一の癒やし手になった俺は、その重すぎる独占欲に溺愛される

水凪しおん
BL
聖なる力を持たず、「穢れを祓う」ことしかできない神官ルカ。治癒の奇跡も起こせない彼は、聖域から「役立たず」の烙印を押され、無一文で追放されてしまう。 絶望の淵で倒れていた彼を拾ったのは、「氷の鬼神」と恐れられる最強の竜騎士団長、エヴァン・ライオネルだった。 長年の不眠と悪夢に苦しむエヴァンは、ルカの側にいるだけで不思議な安らぎを得られることに気づく。 「お前は今日から俺専用の癒やし手だ。異論は認めん」 有無を言わさず騎士団に連れ去られたルカの、無能と蔑まれた力。それは、戦場で瘴気に蝕まれる騎士たちにとって、そして孤独な鬼神の心を救う唯一の光となる奇跡だった。 追放された役立たず神官が、最強騎士団長の独占欲と溺愛に包まれ、かけがえのない居場所を見つける異世界BLファンタジー!

男装の麗人と呼ばれる俺は正真正銘の男なのだが~双子の姉のせいでややこしい事態になっている~

さいはて旅行社
BL
双子の姉が失踪した。 そのせいで、弟である俺が騎士学校を休学して、姉の通っている貴族学校に姉として通うことになってしまった。 姉は男子の制服を着ていたため、服装に違和感はない。 だが、姉は男装の麗人として女子生徒に恐ろしいほど大人気だった。 その女子生徒たちは今、何も知らずに俺を囲んでいる。 女性に囲まれて嬉しい、わけもなく、彼女たちの理想の王子様像を演技しなければならない上に、男性が女子寮の部屋に一歩入っただけでも騒ぎになる貴族学校。 もしこの事実がバレたら退学ぐらいで済むわけがない。。。 周辺国家の情勢がキナ臭くなっていくなかで、俺は双子の姉が戻って来るまで、協力してくれる仲間たちに笑われながらでも、無事にバレずに女子生徒たちの理想の王子様像を演じ切れるのか? 侯爵家の命令でそんなことまでやらないといけない自分を救ってくれるヒロインでもヒーローでも現れるのか?

【完結】抱っこからはじまる恋

  *  ゆるゆ
BL
満員電車で、立ったまま寄りかかるように寝てしまった高校生の愛希を抱っこしてくれたのは、かっこいい社会人の真紀でした。接点なんて、まるでないふたりの、抱っこからはじまる、しあわせな恋のお話です。 ふたりの動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵もあがります。 YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。 プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら! 完結しました! おまけのお話を時々更新しています。 BLoveさまのコンテストに応募しているお話を倍以上の字数増量でお送りする、アルファポリスさま限定版です! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

処理中です...