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顔圧貴公子、まさかの婚約者(仮)
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「で、これからどうするんだ?」
「……どう、とは?」
「は? お前、今の状況を分かっているのか?」
思わずユリエル様と見つめ合う。
「えへっ」と笑って誤魔化してみたら、
彼は「はぁ~~~っ」と、魂が抜けそうなほど長い溜め息をついた。
(え? なんでそんなに深いため息を……?)
レミリア様に視線を向けると、
まるで面白い見世物でも見つけたかのような顔でこちらを見ていた。
やがて口元を扇で隠し、上品に咳払いをする。
「あなた……このままですと、
あのクソバカ王子と結婚。
それが叶わなければ、クズ男ダーネルと結婚、ですわよ?」
その言葉に、私はガックリと項垂れた。
「……どっちも、嫌です」
涙ぐむ私に、レミリア様はパタンと扇を閉じて言った。
「でしたら──我が家にいらしたら?」
「へ?」
「はぁ?」
私とユリエル様は、見事に声を揃えた。
⸻
「まず、ソフィアさんには強い光魔法があります。
男爵家から伯爵家に保護されていましたが──
今後は、我がアルシェイン家で保護することにしましょう」
さらりと告げられる、とんでもない提案。
「クソバカ王子との婚約は、
私が婚約破棄した直後に
『光魔法の聖女との婚姻は認められません』と教会を抱き込めば、問題ありませんわ」
……レミリア様、言ってることが怖い。
「最悪の場合は──
お兄様を婚約者(仮)にでもしておきましょう」
「レミリア……
その“(仮)”ってなんだ。“(仮)”って」
「あら、お兄様。
“(仮)”では不満ですの?」
扇を口元に当て、くすりと笑うレミリア様。
「ふふ……ソフィアさんったら、罪なお方」
(いやいやいや!
そんなこと、一言も言ってませんからね!?)
アワアワしている私を見て、
ユリエル様が楽しそうにニヤリと笑った。
「まぁ……(仮)でも何でも、面白そうだな」
「あら、お兄様。悪い顔ですわ」
「レミリアこそ」
二人は顔を見合わせ、声を立てて笑い合う。
(怖い怖い怖い……)
⸻
私がブルブルと震えていると──
「なんだ? 寒いのか?」
ユリエル様は、何の躊躇もなく上着を脱ぎ、私の肩に掛けた。
ふわりと香る爽やかな香水と、まだ残る体温。
頬が羞恥で熱くなる。
そして、ユリエル様の指が、ふと私の額に触れた。
「どうした?
顔が真っ赤だぞ。熱か?」
……え。
この人、天然?
そう心の中で全力ツッコミを入れていると──
「あらあら……まぁまぁ……」
レミリア様の呟きが、耳に届く。
──あっ!
レミリア様の存在、完全に忘れてた!
慌てて顔を向けると、
彼女は意味深な笑みでこちらを見つめていた。
そして、目が合った瞬間──
ニヤリと黒い笑みを浮かべる。
「……ということで、よろしいですわね。ソフィアさん」
キャパオーバーで遠のいていく意識の中、
私は心の中で必死に叫んでいた。
「良くな────いっ!!!」
「……どう、とは?」
「は? お前、今の状況を分かっているのか?」
思わずユリエル様と見つめ合う。
「えへっ」と笑って誤魔化してみたら、
彼は「はぁ~~~っ」と、魂が抜けそうなほど長い溜め息をついた。
(え? なんでそんなに深いため息を……?)
レミリア様に視線を向けると、
まるで面白い見世物でも見つけたかのような顔でこちらを見ていた。
やがて口元を扇で隠し、上品に咳払いをする。
「あなた……このままですと、
あのクソバカ王子と結婚。
それが叶わなければ、クズ男ダーネルと結婚、ですわよ?」
その言葉に、私はガックリと項垂れた。
「……どっちも、嫌です」
涙ぐむ私に、レミリア様はパタンと扇を閉じて言った。
「でしたら──我が家にいらしたら?」
「へ?」
「はぁ?」
私とユリエル様は、見事に声を揃えた。
⸻
「まず、ソフィアさんには強い光魔法があります。
男爵家から伯爵家に保護されていましたが──
今後は、我がアルシェイン家で保護することにしましょう」
さらりと告げられる、とんでもない提案。
「クソバカ王子との婚約は、
私が婚約破棄した直後に
『光魔法の聖女との婚姻は認められません』と教会を抱き込めば、問題ありませんわ」
……レミリア様、言ってることが怖い。
「最悪の場合は──
お兄様を婚約者(仮)にでもしておきましょう」
「レミリア……
その“(仮)”ってなんだ。“(仮)”って」
「あら、お兄様。
“(仮)”では不満ですの?」
扇を口元に当て、くすりと笑うレミリア様。
「ふふ……ソフィアさんったら、罪なお方」
(いやいやいや!
そんなこと、一言も言ってませんからね!?)
アワアワしている私を見て、
ユリエル様が楽しそうにニヤリと笑った。
「まぁ……(仮)でも何でも、面白そうだな」
「あら、お兄様。悪い顔ですわ」
「レミリアこそ」
二人は顔を見合わせ、声を立てて笑い合う。
(怖い怖い怖い……)
⸻
私がブルブルと震えていると──
「なんだ? 寒いのか?」
ユリエル様は、何の躊躇もなく上着を脱ぎ、私の肩に掛けた。
ふわりと香る爽やかな香水と、まだ残る体温。
頬が羞恥で熱くなる。
そして、ユリエル様の指が、ふと私の額に触れた。
「どうした?
顔が真っ赤だぞ。熱か?」
……え。
この人、天然?
そう心の中で全力ツッコミを入れていると──
「あらあら……まぁまぁ……」
レミリア様の呟きが、耳に届く。
──あっ!
レミリア様の存在、完全に忘れてた!
慌てて顔を向けると、
彼女は意味深な笑みでこちらを見つめていた。
そして、目が合った瞬間──
ニヤリと黒い笑みを浮かべる。
「……ということで、よろしいですわね。ソフィアさん」
キャパオーバーで遠のいていく意識の中、
私は心の中で必死に叫んでいた。
「良くな────いっ!!!」
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