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あれから
しおりを挟むあの週明けの日から、アーロン様とシエナ様を見かける事はなくなってしまった。
噂で聞く限りだと、何でもお二人ともすぐに婚姻し平民になったそうだ。
そんなに急ぐ程、アーロン様はシエナ様を愛していらっしゃったのかと、もっと早く婚約解消を願い出れば良かったと私は少し後悔した。
あれから私も、新しい婚約者のマクシミリアン様と仲良く学園生活を送っている。
あの公開プロポーズの後、屋敷に帰ると本当に侯爵家から求婚の申し込みが来ていた。
そして週末、マクシミリアン様は大きな花束を持って我が家を訪れて下さった。そして、
「改めて言わせてほしい。フローラ嬢、貴女を愛しています。俺の全てをかけて一生大事にすると約束します。だから、どうか俺と結婚してほしい」
教室でのプロポーズの時と同じように、真っ直ぐ私を見て彼はそう言ってくれた。
だから私もマクシミリアン様を真っ直ぐ見て答えた。
——是非お願いしますと。
花束を受け取った私を、勢い良くマクシミリアン様は抱きしめた。その事に動揺して慌ててしまったのはここだけの話。
ちなみに両親にもばっちり抱きしめられている所を見られ、父の咳払いで我に返ったマクシミリアン様は気まずそうにしていたけれど、対する私は幸せな気持ちでいっぱいだった。
だって、少し前の私はこんな幸せが訪れるなんて想像もしていなかったのだから。
私も幸せになっていいんだ
私は今日というこの幸せな一日を永遠に忘れる事はないだろう。
今日この場から、私達の幸せな未来に向かって、二人で進んでいく。
だからこそ願う。
平民となったアーロン様と、シエナ様がどうか幸せでいられますように。
彼らが幸せいっぱいの夫婦でいられますようにと。
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