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第28話 氷の竜
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「つ、ついに見つけました!あのモンスターがダンジョンの異変の原因みたい!?」
水無瀬さんがオロオロしながらもドラゴンにカメラを向ける。
“見たことないモンスターだ”
“ドラゴンっぽい?”
“今までの中で一番強そう”
“こいつを倒せばいいのか”
コメントからも様々な声が上がる。そんな中で、簡潔な指示が飛んだ。
「みなさん、とりあえず逃げましょう」
荒木田さんがそう言って、真っ先に水無瀬さんの手を取り来た道を戻り始めた。
「えっ!?戦わないのかよっ!」
まひろさんが驚きながらも、ドラゴンから視線を切らないようにしながら荒木田さんに続く。
「今回の目的はあくまで調査です。すでにダンジョンの異変の原因は確定しました。もう目的を達成した以上、あのような未知のモンスターを相手にする必要はありません」
たしかに、今は非戦闘員の水無瀬さんがいる状況だ。ダンジョンの気候を変えてしまうほどの力を持つ謎のモンスターと戦うのは危険すぎる。
ここは一度退いて、今度は特級探索者のメンバーを増やしてから挑んだ方が確実なのは間違いない。
しかし、敵はそう簡単に撤退を許してはくれなそうだ。
崖の上に佇んでいたドラゴンは地鳴りのような咆哮をあげると、翼を広げて暗雲立ち込める空へと飛び立った。
「アイツ、こっちを見てるよ!急がないとすぐ追いつかれる!」
後ろを警戒しながら走るまひろさんが叫ぶ。
あっという間に私たちの頭上を巨大な竜の影がよぎる。ドラゴンは上空で一旦停止し、口を大きく開いた。
「逃げ切れませんか。みなさん、こちらに集まってください」
指示に従って、私とまひろさんが荒木田さんの近くに滑り込む。その時、ドラゴンの口から青白い閃光が弾けた。
「『亜空障壁』」
透明なドーム状のシールドが私たちを包み込むと同時。ドラゴンが放ったブレスが『亜空障壁』を直撃しながら通り過ぎて行った。
攻撃をやり過ごして、荒木田さんが『亜空障壁』を解く。すると、周囲の地面が一面氷で覆われてしまっていた。
「なんだよこれっ!こんな道まともに走れないじゃん!」
まひろさんが慌てふためきながら声を上げる。
さらに上空にいたドラゴンは私たちの退路を塞ぐように、翼をはためかせて地上に降りてきた。
「こうなったらもう戦うしかありませんね。倒すつもりで行きましょう」
荒木田さんが溜息をつきながらも、強い口調で方針を示した。
「了解っ!『武器創出』!」
まひろさんは巨大な斧を生成して両手でしっかりと握りしめた。
「『束縛の雷撃』!」
私は『風精霊の加護』で後方に下がりながら雷撃をドラゴンに向けて放った。
まずは小手調べと思っての攻撃だったけど、なんとドラゴンは躱す素振りを一切見せない。電撃はドラゴンの身体を直撃し、確実にその肢体を麻痺させた。
しかし、身体が痙攣して動きが鈍ったままドラゴンは再び口を大きく開いた。麻痺しているとは思えないほどの速さ。
でも、予備動作が大きいからなにをしようとしているかは明白だ。
「どういうつもり?そんなの当たらないっての!」
まひろさんはもちろん、私も放たれるであろうブレスの射線から速やかに退避。荒木田さんも余裕を持って『亜空障壁』を展開した。
ドラゴンの口から凍てつくブレスが放出され、巻き込んだものを凍り付かせながら一直線に空間を横切る。全員無事にその攻撃を凌いだ。
まひろさんはブレスを避けながらドラゴンの側面に回り込むように飛び出し、氷の路面に着地する。そして、滑らないように斧を地面に突き立てた。
かなり隙の大きい動きだったけど、ドラゴンは麻痺のせいで接近してきたまひろさんの動きについていけていない。
「よーし!そのまま動かないでよっ!」
足場を確保したまひろさんは大きくしゃがみ込んで力を溜め、凍り付いた地面を蹴った。瞬きする間にドラゴンの懐に飛び込んだまひろさんは、そのまま構えた斧を力強く振り抜く。
まるで金属同士がぶつかったかのような音が辺りに響いた。間違いなくまひろさんの攻撃は直撃したはず。しかし、叩き込まれた刃はドラゴンの身体に食い込むことはなかった。
「な、なに?この手ごたえ……」
困惑するまひろさんにドラゴンの前脚が迫る。痺れが取れかけているのか動きが速い。
「あぶなっ!」
ドラゴンの身体を蹴って、まひろさんは大きく跳躍。凍っていない地面が剥き出しになっているところまで後退した。これはちょうどいい。私は『時限爆炎弾頭』を生成する。
「まひろさん、爆弾を使うから離れてて!」
まひろさんに呼びかけてから、転移のタイミングを計る。
『束縛の雷撃』が効いている今ならこれは避けられない。
「『瞬間移動』!」
ドラゴンの足元に転移させた爆弾がすぐさま起爆する。紅い爆炎が瞬く間に膨張し、恐ろしい熱量の塊となって弾け飛んだ。
その爆発はドラゴンの身体を焼き焦がしたかに思えた。しかし、立ち昇る黒煙の中からゆっくりと姿を現したドラゴンはほとんど傷ついていなかった。
水無瀬さんがオロオロしながらもドラゴンにカメラを向ける。
“見たことないモンスターだ”
“ドラゴンっぽい?”
“今までの中で一番強そう”
“こいつを倒せばいいのか”
コメントからも様々な声が上がる。そんな中で、簡潔な指示が飛んだ。
「みなさん、とりあえず逃げましょう」
荒木田さんがそう言って、真っ先に水無瀬さんの手を取り来た道を戻り始めた。
「えっ!?戦わないのかよっ!」
まひろさんが驚きながらも、ドラゴンから視線を切らないようにしながら荒木田さんに続く。
「今回の目的はあくまで調査です。すでにダンジョンの異変の原因は確定しました。もう目的を達成した以上、あのような未知のモンスターを相手にする必要はありません」
たしかに、今は非戦闘員の水無瀬さんがいる状況だ。ダンジョンの気候を変えてしまうほどの力を持つ謎のモンスターと戦うのは危険すぎる。
ここは一度退いて、今度は特級探索者のメンバーを増やしてから挑んだ方が確実なのは間違いない。
しかし、敵はそう簡単に撤退を許してはくれなそうだ。
崖の上に佇んでいたドラゴンは地鳴りのような咆哮をあげると、翼を広げて暗雲立ち込める空へと飛び立った。
「アイツ、こっちを見てるよ!急がないとすぐ追いつかれる!」
後ろを警戒しながら走るまひろさんが叫ぶ。
あっという間に私たちの頭上を巨大な竜の影がよぎる。ドラゴンは上空で一旦停止し、口を大きく開いた。
「逃げ切れませんか。みなさん、こちらに集まってください」
指示に従って、私とまひろさんが荒木田さんの近くに滑り込む。その時、ドラゴンの口から青白い閃光が弾けた。
「『亜空障壁』」
透明なドーム状のシールドが私たちを包み込むと同時。ドラゴンが放ったブレスが『亜空障壁』を直撃しながら通り過ぎて行った。
攻撃をやり過ごして、荒木田さんが『亜空障壁』を解く。すると、周囲の地面が一面氷で覆われてしまっていた。
「なんだよこれっ!こんな道まともに走れないじゃん!」
まひろさんが慌てふためきながら声を上げる。
さらに上空にいたドラゴンは私たちの退路を塞ぐように、翼をはためかせて地上に降りてきた。
「こうなったらもう戦うしかありませんね。倒すつもりで行きましょう」
荒木田さんが溜息をつきながらも、強い口調で方針を示した。
「了解っ!『武器創出』!」
まひろさんは巨大な斧を生成して両手でしっかりと握りしめた。
「『束縛の雷撃』!」
私は『風精霊の加護』で後方に下がりながら雷撃をドラゴンに向けて放った。
まずは小手調べと思っての攻撃だったけど、なんとドラゴンは躱す素振りを一切見せない。電撃はドラゴンの身体を直撃し、確実にその肢体を麻痺させた。
しかし、身体が痙攣して動きが鈍ったままドラゴンは再び口を大きく開いた。麻痺しているとは思えないほどの速さ。
でも、予備動作が大きいからなにをしようとしているかは明白だ。
「どういうつもり?そんなの当たらないっての!」
まひろさんはもちろん、私も放たれるであろうブレスの射線から速やかに退避。荒木田さんも余裕を持って『亜空障壁』を展開した。
ドラゴンの口から凍てつくブレスが放出され、巻き込んだものを凍り付かせながら一直線に空間を横切る。全員無事にその攻撃を凌いだ。
まひろさんはブレスを避けながらドラゴンの側面に回り込むように飛び出し、氷の路面に着地する。そして、滑らないように斧を地面に突き立てた。
かなり隙の大きい動きだったけど、ドラゴンは麻痺のせいで接近してきたまひろさんの動きについていけていない。
「よーし!そのまま動かないでよっ!」
足場を確保したまひろさんは大きくしゃがみ込んで力を溜め、凍り付いた地面を蹴った。瞬きする間にドラゴンの懐に飛び込んだまひろさんは、そのまま構えた斧を力強く振り抜く。
まるで金属同士がぶつかったかのような音が辺りに響いた。間違いなくまひろさんの攻撃は直撃したはず。しかし、叩き込まれた刃はドラゴンの身体に食い込むことはなかった。
「な、なに?この手ごたえ……」
困惑するまひろさんにドラゴンの前脚が迫る。痺れが取れかけているのか動きが速い。
「あぶなっ!」
ドラゴンの身体を蹴って、まひろさんは大きく跳躍。凍っていない地面が剥き出しになっているところまで後退した。これはちょうどいい。私は『時限爆炎弾頭』を生成する。
「まひろさん、爆弾を使うから離れてて!」
まひろさんに呼びかけてから、転移のタイミングを計る。
『束縛の雷撃』が効いている今ならこれは避けられない。
「『瞬間移動』!」
ドラゴンの足元に転移させた爆弾がすぐさま起爆する。紅い爆炎が瞬く間に膨張し、恐ろしい熱量の塊となって弾け飛んだ。
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