最強のコミュ障探索者、Sランクモンスターから美少女配信者を助けてバズりたおす~でも人前で喋るとか無理なのでコラボ配信は断固お断りします!~

尾藤みそぎ

文字の大きさ
28 / 32

第28話 氷の竜

しおりを挟む
「つ、ついに見つけました!あのモンスターがダンジョンの異変の原因みたい!?」

 水無瀬さんがオロオロしながらもドラゴンにカメラを向ける。

“見たことないモンスターだ”
“ドラゴンっぽい?”
“今までの中で一番強そう”
“こいつを倒せばいいのか”

 コメントからも様々な声が上がる。そんな中で、簡潔な指示が飛んだ。

「みなさん、とりあえず逃げましょう」

 荒木田さんがそう言って、真っ先に水無瀬さんの手を取り来た道を戻り始めた。

「えっ!?戦わないのかよっ!」

 まひろさんが驚きながらも、ドラゴンから視線を切らないようにしながら荒木田さんに続く。

「今回の目的はあくまで調査です。すでにダンジョンの異変の原因は確定しました。もう目的を達成した以上、あのような未知のモンスターを相手にする必要はありません」

 たしかに、今は非戦闘員の水無瀬さんがいる状況だ。ダンジョンの気候を変えてしまうほどの力を持つ謎のモンスターと戦うのは危険すぎる。
 
 ここは一度退いて、今度は特級探索者のメンバーを増やしてから挑んだ方が確実なのは間違いない。

 しかし、敵はそう簡単に撤退を許してはくれなそうだ。

 崖の上に佇んでいたドラゴンは地鳴りのような咆哮をあげると、翼を広げて暗雲立ち込める空へと飛び立った。

「アイツ、こっちを見てるよ!急がないとすぐ追いつかれる!」

 後ろを警戒しながら走るまひろさんが叫ぶ。

 あっという間に私たちの頭上を巨大な竜の影がよぎる。ドラゴンは上空で一旦停止し、口を大きく開いた。

「逃げ切れませんか。みなさん、こちらに集まってください」

 指示に従って、私とまひろさんが荒木田さんの近くに滑り込む。その時、ドラゴンの口から青白い閃光が弾けた。

「『亜空障壁ハイパーバリア』」

 透明なドーム状のシールドが私たちを包み込むと同時。ドラゴンが放ったブレスが『亜空障壁ハイパーバリア』を直撃しながら通り過ぎて行った。

 攻撃をやり過ごして、荒木田さんが『亜空障壁ハイパーバリア』を解く。すると、周囲の地面が一面氷で覆われてしまっていた。

「なんだよこれっ!こんな道まともに走れないじゃん!」

 まひろさんが慌てふためきながら声を上げる。

 さらに上空にいたドラゴンは私たちの退路を塞ぐように、翼をはためかせて地上に降りてきた。

「こうなったらもう戦うしかありませんね。倒すつもりで行きましょう」

 荒木田さんが溜息をつきながらも、強い口調で方針を示した。

「了解っ!『武器創出アームズクリエイション』!」

 まひろさんは巨大な斧を生成して両手でしっかりと握りしめた。

「『束縛の雷撃バインドブリッツ』!」

 私は『風精霊の加護シルフブレス』で後方に下がりながら雷撃をドラゴンに向けて放った。

 まずは小手調べと思っての攻撃だったけど、なんとドラゴンは躱す素振りを一切見せない。電撃はドラゴンの身体を直撃し、確実にその肢体を麻痺させた。

 しかし、身体が痙攣して動きが鈍ったままドラゴンは再び口を大きく開いた。麻痺しているとは思えないほどの速さ。

 でも、予備動作が大きいからなにをしようとしているかは明白だ。

「どういうつもり?そんなの当たらないっての!」

 まひろさんはもちろん、私も放たれるであろうブレスの射線から速やかに退避。荒木田さんも余裕を持って『亜空障壁ハイパーバリア』を展開した。

 ドラゴンの口から凍てつくブレスが放出され、巻き込んだものを凍り付かせながら一直線に空間を横切る。全員無事にその攻撃を凌いだ。

 まひろさんはブレスを避けながらドラゴンの側面に回り込むように飛び出し、氷の路面に着地する。そして、滑らないように斧を地面に突き立てた。

 かなり隙の大きい動きだったけど、ドラゴンは麻痺のせいで接近してきたまひろさんの動きについていけていない。

「よーし!そのまま動かないでよっ!」

 足場を確保したまひろさんは大きくしゃがみ込んで力を溜め、凍り付いた地面を蹴った。瞬きする間にドラゴンの懐に飛び込んだまひろさんは、そのまま構えた斧を力強く振り抜く。

 まるで金属同士がぶつかったかのような音が辺りに響いた。間違いなくまひろさんの攻撃は直撃したはず。しかし、叩き込まれた刃はドラゴンの身体に食い込むことはなかった。

「な、なに?この手ごたえ……」

 困惑するまひろさんにドラゴンの前脚が迫る。痺れが取れかけているのか動きが速い。

「あぶなっ!」

 ドラゴンの身体を蹴って、まひろさんは大きく跳躍。凍っていない地面が剥き出しになっているところまで後退した。これはちょうどいい。私は『時限爆炎弾頭タイマーフレアボム』を生成する。

「まひろさん、爆弾を使うから離れてて!」

 まひろさんに呼びかけてから、転移のタイミングを計る。

 『束縛の雷撃バインドブリッツ』が効いている今ならこれは避けられない。

「『瞬間移動テレポーテーション』!」

 ドラゴンの足元に転移させた爆弾がすぐさま起爆する。紅い爆炎が瞬く間に膨張し、恐ろしい熱量の塊となって弾け飛んだ。

 その爆発はドラゴンの身体を焼き焦がしたかに思えた。しかし、立ち昇る黒煙の中からゆっくりと姿を現したドラゴンはほとんど傷ついていなかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。

夜兎ましろ
ファンタジー
 高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。  ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。  バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。

貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~

喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。 庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。 そして18年。 おっさんの実力が白日の下に。 FランクダンジョンはSSSランクだった。 最初のザコ敵はアイアンスライム。 特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。 追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。 そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。 世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。

無能はいらないと追放された俺、配信始めました。神の使徒に覚醒し最強になったのでダンジョン配信で超人気配信者に!王女様も信者になってるようです

やのもと しん
ファンタジー
「カイリ、今日からもう来なくていいから」  ある日突然パーティーから追放された俺――カイリは途方に暮れていた。日本から異世界に転移させられて一年。追放された回数はもう五回になる。  あてもなく歩いていると、追放してきたパーティーのメンバーだった女の子、アリシアが付いて行きたいと申し出てきた。  元々パーティーに不満を持っていたアリシアと共に宿に泊まるも、積極的に誘惑してきて……  更に宿から出ると姿を隠した少女と出会い、その子も一緒に行動することに。元王女様で今は国に追われる身になった、ナナを助けようとカイリ達は追手から逃げる。  追いつめられたところでカイリの中にある「神の使徒」の力が覚醒――無能力から世界最強に! 「――わたし、あなたに運命を感じました!」  ナナが再び王女の座に返り咲くため、カイリは冒険者として名を上げる。「厄災」と呼ばれる魔物も、王国の兵士も、カイリを追放したパーティーも全員相手になりません ※他サイトでも投稿しています

素材ガチャで【合成マスター】スキルを獲得したので、世界最強の探索者を目指します。

名無し
ファンタジー
学園『ホライズン』でいじめられっ子の生徒、G級探索者の白石優也。いつものように不良たちに虐げられていたが、勇気を出してやり返すことに成功する。その勢いで、近隣に出没したモンスター討伐に立候補した優也。その選択が彼の運命を大きく変えていくことになるのであった。

能力『ゴミ箱』と言われ追放された僕はゴミ捨て町から自由に暮らすことにしました

御峰。
ファンタジー
十歳の時、貰えるギフトで能力『ゴミ箱』を授かったので、名門ハイリンス家から追放された僕は、ゴミの集まる町、ヴァレンに捨てられる。 でも本当に良かった!毎日勉強ばっかだった家より、このヴァレン町で僕は自由に生きるんだ! これは、ゴミ扱いされる能力を授かった僕が、ゴミ捨て町から幸せを掴む為、成り上がる物語だ――――。

追放された荷物持ち、【分解】と【再構築】で万物創造師になる~今更戻ってこいと言われてももう遅い~

黒崎隼人
ファンタジー
勇者パーティーから「足手まとい」と捨てられた荷物持ちのベルク。しかし、彼が持つ外れスキル【分解】と【再構築】は、万物を意のままに創り変える「神の御業」だった! 覚醒した彼は、虐げられていた聖女ルナを救い、辺境で悠々自適なスローライフを開始する。壊れた伝説の剣を直し、ゴミから最強装備を量産し、やがて彼は世界を救う英雄へ。 一方、彼を捨てた勇者たちは没落の一途を辿り……。 最強の職人が送る、痛快な大逆転&ざまぁファンタジー!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

ザコ魔法使いの僕がダンジョンで1人ぼっち!魔獣に襲われても石化した僕は無敵状態!経験値が溜まり続けて気づいた時には最強魔導士に!?

さかいおさむ
ファンタジー
戦士は【スキル】と呼ばれる能力を持っている。 僕はスキルレベル1のザコ魔法使いだ。 そんな僕がある日、ダンジョン攻略に向かう戦士団に入ることに…… パーティに置いていかれ僕は1人ダンジョンに取り残される。 全身ケガだらけでもう助からないだろう…… 諦めたその時、手に入れた宝を装備すると無敵の石化状態に!? 頑張って攻撃してくる魔獣には申し訳ないがダメージは皆無。経験値だけが溜まっていく。 気づけば全魔法がレベル100!? そろそろ反撃開始してもいいですか? 内気な最強魔法使いの僕が美女たちと冒険しながら人助け!

処理中です...