9 / 68
悪魔との契約
6
しおりを挟む
荷物の中から携帯電話を取り出して時刻を確認する。あと15分くらいで魔力が充分な量になるはずだ。
骨占いのじいさんに無理をいって、魔力の高い日を教えてもらったかいがあった。
俺の下手な発音では、呪文がうまくいくか怪しいけど、念のため簡単な転移呪文も紙に書き写してきた。あとは15分間待つだけだ。
***
あと数分で魔力がピークになるという時、誰かの足音が響いてきた。
「誰かいるのか?」
さっきのお兄さんとは別の警備兵だ。
『お疲れさまです』
「何してるんだ?」
『魔力測定と魔方陣の調査です』
「そうか。気をつけろよ。その魔方陣だけは、うっかり飛ばされると帰ってこられないぞ」
『そうですね。気をつけます。あ、そうだ。これ返しておいてもらえませんか?もう調査もほとんど終わったので』
俺は警備兵に扉の鍵を返しておいた。
「了解。お疲れ~」
『片付けたら帰ります。お疲れさまでした』
見回りの警備兵がいなくなるのを確認して、俺は魔方陣のある部屋の扉を閉めた。
リュックを背負い直し、改めて魔方陣に向かう。黒い魔方陣は、魔力のない俺でも分かるくらいエネルギーを増していた。
深呼吸して、心を落ち着かせる。
今までお世話になったラキ王国のみんなや、日本の家族の事を思い出した。たった今会ったばかりの警備兵達の顔も。少しだけ罪悪感で胸が痛んだ。
「みんな、ごめん」
そう呟くと、俺は目を閉じて魔方陣の中に足を踏み入れた。
***
最初に感じたのは、顔にかかる水と強い風だった。
慌ててオッサンにもらったマントのフードを被り、腕で顔を覆う。
雨と風が台風並みに吹き荒れていて、とても目を開けていられない。姿勢を低くして、すぐ近くにあった大木の陰に隠れる。
下を向くと、ぬかるみの中に俺が移動してきた魔方陣の残像が消えていくのが見えた。
これでもう、しばらくは戻れない。
しばらく? もしかすると永遠に。そんな考えが脳裏をよぎった。
暗闇の中で遭遇する嵐は、予想以上に恐ろしかった。
風の音なのか動物の咆吼なのか分からない不気味な音が、高くなったり低くなったりしながら途切れ途切れに長い間聞こえてくる。森のようにも見える真っ黒い木々が、風に煽られて何本も根元から倒れた。
俺は這いつくばりながら、倒木を避け、じわじわと進んでいった。
骨占いのじいさんに無理をいって、魔力の高い日を教えてもらったかいがあった。
俺の下手な発音では、呪文がうまくいくか怪しいけど、念のため簡単な転移呪文も紙に書き写してきた。あとは15分間待つだけだ。
***
あと数分で魔力がピークになるという時、誰かの足音が響いてきた。
「誰かいるのか?」
さっきのお兄さんとは別の警備兵だ。
『お疲れさまです』
「何してるんだ?」
『魔力測定と魔方陣の調査です』
「そうか。気をつけろよ。その魔方陣だけは、うっかり飛ばされると帰ってこられないぞ」
『そうですね。気をつけます。あ、そうだ。これ返しておいてもらえませんか?もう調査もほとんど終わったので』
俺は警備兵に扉の鍵を返しておいた。
「了解。お疲れ~」
『片付けたら帰ります。お疲れさまでした』
見回りの警備兵がいなくなるのを確認して、俺は魔方陣のある部屋の扉を閉めた。
リュックを背負い直し、改めて魔方陣に向かう。黒い魔方陣は、魔力のない俺でも分かるくらいエネルギーを増していた。
深呼吸して、心を落ち着かせる。
今までお世話になったラキ王国のみんなや、日本の家族の事を思い出した。たった今会ったばかりの警備兵達の顔も。少しだけ罪悪感で胸が痛んだ。
「みんな、ごめん」
そう呟くと、俺は目を閉じて魔方陣の中に足を踏み入れた。
***
最初に感じたのは、顔にかかる水と強い風だった。
慌ててオッサンにもらったマントのフードを被り、腕で顔を覆う。
雨と風が台風並みに吹き荒れていて、とても目を開けていられない。姿勢を低くして、すぐ近くにあった大木の陰に隠れる。
下を向くと、ぬかるみの中に俺が移動してきた魔方陣の残像が消えていくのが見えた。
これでもう、しばらくは戻れない。
しばらく? もしかすると永遠に。そんな考えが脳裏をよぎった。
暗闇の中で遭遇する嵐は、予想以上に恐ろしかった。
風の音なのか動物の咆吼なのか分からない不気味な音が、高くなったり低くなったりしながら途切れ途切れに長い間聞こえてくる。森のようにも見える真っ黒い木々が、風に煽られて何本も根元から倒れた。
俺は這いつくばりながら、倒木を避け、じわじわと進んでいった。
12
あなたにおすすめの小説
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式の話
八億児
BL
架空の国と儀式の、真面目騎士×どスケベビッチ王。
古代アイルランドには臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式があったそうで、それはよいものだと思いましたので古代アイルランドとは特に関係なく王の乳首を吸ってもらいました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる