盗賊とペット(レヴィン編)

カム

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悪魔との契約

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 荷物の中から携帯電話を取り出して時刻を確認する。あと15分くらいで魔力が充分な量になるはずだ。

 骨占いのじいさんに無理をいって、魔力の高い日を教えてもらったかいがあった。
 俺の下手な発音では、呪文がうまくいくか怪しいけど、念のため簡単な転移呪文も紙に書き写してきた。あとは15分間待つだけだ。

***

 あと数分で魔力がピークになるという時、誰かの足音が響いてきた。

「誰かいるのか?」

 さっきのお兄さんとは別の警備兵だ。

『お疲れさまです』

「何してるんだ?」

『魔力測定と魔方陣の調査です』

「そうか。気をつけろよ。その魔方陣だけは、うっかり飛ばされると帰ってこられないぞ」

『そうですね。気をつけます。あ、そうだ。これ返しておいてもらえませんか?もう調査もほとんど終わったので』

 俺は警備兵に扉の鍵を返しておいた。

「了解。お疲れ~」

『片付けたら帰ります。お疲れさまでした』

 見回りの警備兵がいなくなるのを確認して、俺は魔方陣のある部屋の扉を閉めた。

 リュックを背負い直し、改めて魔方陣に向かう。黒い魔方陣は、魔力のない俺でも分かるくらいエネルギーを増していた。

 深呼吸して、心を落ち着かせる。

 今までお世話になったラキ王国のみんなや、日本の家族の事を思い出した。たった今会ったばかりの警備兵達の顔も。少しだけ罪悪感で胸が痛んだ。

「みんな、ごめん」


 そう呟くと、俺は目を閉じて魔方陣の中に足を踏み入れた。

***


 最初に感じたのは、顔にかかる水と強い風だった。
 慌ててオッサンにもらったマントのフードを被り、腕で顔を覆う。
 雨と風が台風並みに吹き荒れていて、とても目を開けていられない。姿勢を低くして、すぐ近くにあった大木の陰に隠れる。
 下を向くと、ぬかるみの中に俺が移動してきた魔方陣の残像が消えていくのが見えた。

 これでもう、しばらくは戻れない。
 しばらく? もしかすると永遠に。そんな考えが脳裏をよぎった。


 暗闇の中で遭遇する嵐は、予想以上に恐ろしかった。
 風の音なのか動物の咆吼なのか分からない不気味な音が、高くなったり低くなったりしながら途切れ途切れに長い間聞こえてくる。森のようにも見える真っ黒い木々が、風に煽られて何本も根元から倒れた。

 俺は這いつくばりながら、倒木を避け、じわじわと進んでいった。
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