あやかし酒場と七人の王子たち ~珠子とあやかしグルメ百物語~

相田 彩太

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後半(51話~77話)、予告も兼ねた百物語リストもしくはお品書き

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〇百物語あるいはお品書き(五十一話~七十七話)

第七章 回帰する物語とハッピーエンド

・五十一物語 雲外鏡とハンバーガーチェーン看板メニュー
 雲外鏡:
 何度も登場している鳥山 石燕とりやま せきえんの『百器徒然袋ひゃっきつれづれぶくろ』に登場する年月を経た鏡が”あやかし”と化したもの。
 それは映るモノの真実の姿を映すと伝えられている。
 外道照身霊破光線げどうしょうしんれいはこうせん!!

 ハンバーガーチェーン看板メニュー:
 このハンバーガーとコーラは世界で一番売れている。
 だから、それを世界で一番売っているハンバーガーチェーン店の看板メニューは、世界一番素晴らしいものに違いない。
 Q.E.D. 証明終了
 
・五十二物語 飛縁魔ひのえんまLV1と豚の角煮
 飛縁魔:
 江戸時代の怪奇小説『絵本百物語』に登場する美しい女性の”あやかし”。
 その色香で男を誘惑して堕落させると伝えられている。
 和風サキュバスのような存在で、女淫に溺れることを戒めるための存在と伝えられているが、最近では甘えさせてくれる癒し系”あやかし”の場合も多い。
 総じてエロい(重要)。

 豚の角煮:
 豚バラ肉を一口大の直方体にカットして煮たもの。原型は中国の東坡肉トンポーローだと伝えられている。
 日本では醤油と砂糖と出汁で甘辛く煮詰めるのが一般的。
 ちょっと本格中華風になると皮つきになったり、八角がふんだんに使われるようになる。

・五十三物語 青行燈とコース料理
 青行燈あおあんどん
 鳥山石燕の『今昔百鬼拾遺こんじゃくひゃっきしゅうい』に登場する百物語の先触れ。
 その役割は百物語の百話目になろうとする時に行燈の側に立ち、人間たちを恐怖させること。
 その恐怖を乗り越えて百物語を完成させた時に何が起こるかはわからない。
 鬼女の姿という伝承のため、スマホゲーなどではブルー系の可愛い女の子の場合が多い。(カラ松は忘れろ)

 コース料理:
 お金を積むとレストランで食べられる順番に給仕される料理の数々。
 近代日本にもコース料理はあるが、やはりフランス料理フルコースに代表される洋風コース料理が基準である。
 前菜、スープ、メイン(魚)、果物 or ソルベ、メイン(肉)、パン、デザート、紅茶 or コーヒーの流れが一般的。
 ひとつの料理が終わったら次の料理が出てくる形式のため、おかずでご飯を美味しく食べる日本の庶民食とは相性が悪い。
 漬物でご飯を、味噌汁でご飯を、魚でご飯を、柿なますでご飯を、おかゆライスでご飯を、あんこでご飯を、最後は茶漬け。
 うん、相性悪い。

・五十四物語 黄泉醜女と活け造り
 黄泉醜女よもつしこめ
 日本神話の中で死んだイザナミを地上に連れ戻しに来たイザナギが、腐ったイザナミの姿を見て逃げ出した時、激怒したイザナミによって放たれた追手、それが黄泉醜女。
 女神転生シリーズの第一作で最初の敵である獣人へケットと地霊ノームを悪魔合体させると誕生する。
 女神転生シリーズの目玉でもある悪魔合体の最初の成果がこれかよとも思ったが、世界観的には合っているかも。

 活け造り:
 食材がまだ生きている状態で供される料理の一形態。鯛や烏賊イカの刺身の他、白魚の踊り食いなどが有名。
 板前の腕前のパフォーマンスには優れているが、残酷だという意見や、味に影響が無いので無駄と批判されることも多い。


・五十五物語 山男と柳蔭やなぎかげ
 山男:
 山中に出現する大男の”あやかし”。その大きさや不明瞭な言語から人間は驚くこともあるが、実は山仕事の手伝いをしてくれたりする善良な”あやかし”。
 お礼にタバコや酒を渡すと喜ぶ。(金銭には興味がない)
 日本に漂流した外国人やその子孫ではないかという説もある。

 柳蔭:
 焼酎とみりんを混ぜたもの。度数の関係で焼酎はストレートで飲むには刺激が強すぎるが、それをみりんの甘味で飲みやすく調整した和製カクテル。
 江戸時代にはこれを井戸で冷やしたものが夏の暑気払いとして愛飲されていた。
 京都や大阪では”柳蔭”と呼ばれ、江戸では”本直し”と呼ばれている。
 現在では知名度が低くなってしまったが、『青菜』という古典落語にも登場するので、落研おちけんの人にこれを飲ませると、お礼に一席設けてくれるかもしれない。

・五十六物語 甘酒婆とあんこ玉
 甘酒婆:
 主に東北地方で『甘酒はござらんか』と訪ねてくる”あやかし”。
 甘酒の有無に関わらず、相手をすると家に病魔がやってくるので応えてはいけないと伝えられている。
 バリエーションに甘酒を売りに来るアマザケバンバァという”あやかし”もいる。
 どちらも病気をもたらすので、その正体は疫病神だとも伝えられている。
 しかし、病魔退散のご利益りやくのある甘酒婆地蔵というのも存在していて、わるもんなのか、いいもんなのか、しかしてその実態は!? みたいな”あやかし”である。

 あんこ玉:
 あんこを丸めて玉状にしたもの。
 きな粉をまぶした駄菓子のあんこ玉は昭和の子供たちの人気のおやつであった。
 きな粉ではなく寒天で包んだ高級和菓子タイプも存在する。
 駄菓子の中でも20~30円(昭和50年代)と価格も安いが原価も相当安く、楊枝が刺してある当たり付き商品(楊枝の先が紅いと当たりでもう一個)は連続して何度もあたることも珍しくなかった。

・五十七物語 退魔尼僧と椿餅
 退魔尼僧:
 退魔僧の女性版、尼僧頭巾が特徴だが無い場合も多い。
 三蔵法師も広義では退魔尼僧である(おいおい)。
 最近の子はFGOの三蔵ちゃんを退魔尼僧の典型的なキャラと思うかもしれないが、作者にとっては夏目雅子が演じた三蔵法師が原点である。
 
 椿餅:
 餅を椿の葉ではさんだもの、平安の時代より間食および甘食として親しまれて来た。
 椿の葉は毒ではないが食べるにはちょっと固い。
 若葉は天ぷらやかき揚げにして食べると美味。

・五十八物語 火の車と焼酎鶏
 火の車:地獄から悪人の魂を迎えにくる車。牛頭馬頭ごずめずという獄卒に引かれている。
 平清盛は奈良の大仏を焼いたことから、死の淵に火の車を見たと伝えられている。そりゃ閻魔様激おこですわ。
 墓場や葬式の場から死体を奪う火車かしゃと混同されることもあるが、火車は猫の妖怪であり、火の車は閻魔様の配下であり獄卒または神使であって別物である。
 決して作者の家計のことではない。

 焼酎鶏ショウチュウチー:鍋に鶏肉と漢方を入れ、焼酎を注ぎ下から火を付けてアルコールが気化し始めたころにさらに上から火をつけるという豪快な料理。
 漢方は当帰とうき、センキュウ、芍薬しゃくやく枸杞くこなどが一般的。
 体が温まり冷え性に効く薬膳鍋。
 

・五十九物語 天神様と過橋麺
 天神様:有名過ぎて説明不要かもしれない菅原道真すがわらのみちざねが神格化した神。
 学問の神でもあるが雷神としても有名。別名天満大自在天神てんまんだいじざいてんじん
 学問の神なのにつおい。
 武士にもよく信仰され、平将門や足利尊氏、織田信長、徳川家康などが信仰してたことは有名。
 なので、生前信仰を集めていたという理由で怨霊と化した将門や神格化された権現様より立場は上だったりする。
 なんだよもう、第六天魔王の信仰を受けた神って、チートじゃんかよう。
 昨今は武神より学問の神という側面が強くなり、受験生や試験合格の祈願をうけることが多い。

 生前の菅原道真は右大臣の職まで昇りつめるが、老齢や家系の低さのため右大臣になったあとも醍醐天皇に辞職を上申していたが却下された。
 知識に富み、祭典のしきたりや政務の運営、実務に優れていたためである。
 そのため50歳を越えているのに激務。
 もう辞めたい……辞めて学問の探求とか後進の指導とかしたい、と願ってたが辞職願いは何度出しても却下。
 が、急に謀反を企てたとして太宰府に左遷、太宰府でも政務にくことを許されず、貧困と悲観の中で死を迎えた。
 現代に例えるなら、ブラック企業でさんざんこき使われた挙句、退職も許されないが、なまじっか出世してしまったので同僚に妬まれ、コンプライアンス違反の濡れ衣を着せられて、地方拠点に左遷された上に給料は最低賃金まで落とされた、てな具合である。
 そりゃ怨霊になるわけだわ。
 そんな背景から、死後に起きた清涼殿落雷事件や醍醐天皇の崩御は道真の怨霊の仕業とされ、北野天神に神として祀られるようになった。
 
 過橋麺:煮えたぎったスープに米で作られた米線ミーシェンという麺を入れて作る中華料理。別名過橋米線グオチャオミーシェン
 その由来は科挙の試験勉強をする夫が湖の小島に引きこもって勉強していた時、その妻が食事にと熱々の鶏を煮込んだスープを用意し、食べる直前に米線を入れる形の料理を作って、小島への橋を渡って料理を運んだところ、浮かんだ鶏の脂が蓋の役割を果たし時間が経っても冷めずに夫に喜ばれたという故事から。
 科挙かきょに合格する過橋かきょう麺! なんて言いたいところだが、中国語の発音は科挙クゥァーヂィ過橋グオチャオであって別物である。

 59……それは素数、素数って素敵と字面が似てるよね。
 だけど、テストで59点は合格点の60点との境目の数字でもある。
 落第の数字で作品が終わるのは悔しい。
 だから、この物語まだまだ続く。

◇◇◇◇

第八章 動転する物語とハッピーエンド


・六十物語
 化け猫遊女とカレイの刺身

 化け猫遊女:江戸時代の黄表紙や洒落本などに多く登場する”あやかし”
 遊郭では猫が飼われている事も多く、遊女が移動中に湯たんぽやマフラー替わりにしていた絵も残っている。
 遊女かと思ったら正体は化け猫という”あやかし”であり、要するに江戸時代のケモナーの夢と欲望が詰まった”あやかし”である(嘘)。
 
 カレイの刺身:魚に葉と書いてカレイ
 ヒラメと似ているが見分け方は腹を下にして目が左にあるのがヒラメ、右にあるのがカレイ。
 いわゆる左ヒラメの右カレイである。
 ヒラメに比べカレイは脂の乗りが少なく運動量も少ないので身の弾力が弱く、刺身では味が劣る。
 逆に煮込んでも身が固くなりずらいので煮込みやフライに適している。
 漁獲高もカレイが多く、ヒラメは高級魚であるがカレイは大衆魚である。
 だが、カレイの中にはマツカワガレイやホシガレイのような天然ヒラメより刺身でも美味く、ヒラメより高額なカレイも存在する。
 作中でちらりと登場する城下鰈シロシタガレイはマコガレイのブランド名である。
 カレイは日本に限定しても生息地が広く種類が豊富で生態も様々である。
 

・六十一物語
 安達ケ原の鬼婆とどぶ汁

 安達ケ原の鬼婆:福島県の安達ケ原に伝わる鬼婆伝説の鬼婆。
 その伝承はトラウマもので、安達ケ原で旅人を襲って食べていた老婆(人間)は、ある日いつものように食べた旅人が自分の娘であると知って鬼婆に変貌へんぼうしたという話である。
 以降、長年に渡り旅人を食べていたが、東光坊祐慶とうこうぼうゆうけいという僧に鬼婆は退治され、その死体を埋めた墓が福島県二本松市の黒塚として伝わっている
 『襲って食べた相手が実の娘であった』という物語は日本各所に残っており、これが本当にどこかであった真実なのか、それとも誰かが話を盛り上げようとして創作したのかは不明。
 きっと創作だったと信じたい。

 どぶ汁:”どぶ”には”どぶさらい”や”どぶ板横丁”のような下水の汚いイメージがある。
 都会ではどぶさらいは歴史上の生活の一場面でしかないが、田舎では未だ健在の地域もある。
 ”どぶ”の色は緑~茶~黒で、それと似た色を”どぶ色”と呼ぶ。
 それと似た色あいの料理が”どぶ汁”である。
 実態は鮟鱇あんこうの肝を鍋でって、鮟鱇の身や野菜にまぶして作る鍋で、名前とは裏腹に非常に美味である。
 

・六十二物語
 実方雀さねかたすずめとアワビモドキ

 実方雀:平安時代の貴族にて歌人、藤原実方ふじわらのさねかたが陸奥に左遷され、その地で命を落とした後、その怨霊は雀の姿となって京に戻って来たという”あやかし”。
 別名入内雀にゅうないすずめ
 この実方雀はなんと恐ろしいことに! 
 農作物を食い荒らしたり、台所の米をついばんだりして、人々は恐れおののいた……らしい。
 本当にこわいなぁ(棒)。
 雀の平常運転では?
 なーんてツッコミは野暮である。
 
 アワビモドキ:
 別名、ロコ貝。
 アワビの代用として回転寿司に使われていた貝。主に南米に生息する。
 アワビモドキはアッキガイ科でアワビはミミガイ科なので、種としては大幅に違う。
 かつてはチリアワビという名称でも流通していたが、違う種類なのにチリ産のアワビといいう誤認を招くので、現在はロコ貝かアワビモドキという名称を使うよう日本農林規格のガイドラインで定められている。
 その身は肉厚でおいしい。
 刺身にするとアワビに似たコリコリとした食感が楽しめるが、現地ではシチュ―のような加熱する料理や缶詰への加工が大半である。
 

・六十三物語
 座敷童子と龍の髭

 座敷童子:主に東北地方を中心に伝承が伝えられている”あやかし”。
 その姿は少年、少女、幼児から中学生くらいまでと幅がある。
 夜中に誰もいないのに足音が聞こえたり、寝ていた時に枕の位置が変わってたり、歌が聞こえたりするのは座敷童子の仕業と言われている。
 家に幸運を呼び込むという伝承も多く、逆に座敷童子が去ると家は急速に衰退するとも伝えられ、近代の漫画では欲望に駆られた大人が座敷童子を閉じ込めようとするエピソードも多く見られる。

 龍の髭:FFファイナルファンタジーシリーズの初期では最強の鞭だったが、今では槍になってしまった悲運の武器。
 ……ではなく、飴を龍の髭のように細く延ばして作るお菓子。
 中華街や中国、台湾土産として手にはいる。
 ちなみに、武器の龍の髭は左右に二本伸びた太い髭であるが、お菓子の方はアゴのふさふさした髭の事である。


・六十四物語
 馬鹿と馬方蕎麦

 馬鹿:バカではない、馬鹿むましか
 百鬼夜行絵巻掲載されている”あやかし”。
 ちょっと面白いボーズで目が飛び出ている姿で描かれている。
 能力は不明、というかゆるキャラ?
 だが、その姿からコメディ系の”あやかし”であることは間違いない。

 馬方蕎麦うまかたそば: うまかったーそばー! という駄洒落ではなく、馬方という馬を使う人足のことである。
 江戸時代では人や物の物流の主役であったが、物流業界の多分に漏れずかなりの肉体労働である。
 その馬方に愛されてたのが馬方蕎麦。
 全粒粉ぜんりゅうふんを使う事で、のど越しは悪くなり切れやすくなっているが、ボリュームと腹持ちは最高の蕎麦である。

・六十五物語
 以津真天いつまで常夜鍋じょうやなべ

 以津真天:太平記に記述される京の紫宸殿ししいでんに現れた怪鳥。
 『いつまでも、いつまでも』と不気味に鳴き、人々を恐怖に陥れたと伝えられる。
 以津真天というネーミングはこの太平記の記述から鳥山石燕とりやませきえんが『今昔画図続百鬼こんじゃくがずぞくひゃっき』の中で解説に描かれたのが始まりと伝えられている。
 死体を供養せずに放置すると『いつまで(死体を放っておくんだ)』という意味で鳴く”あやかし”、という説は昭和以降の妖怪物に多く記述がみられる。(地獄先生ぬーべーはこのタイプ)

 常夜鍋:薄切り豚肉とほうれん草を水と酒で煮る鍋。
 起源は旧制高校の寮生が適当に作った説と北野大路魯山人が中国の宵夜鍋じょうやなべを紹介したという説がある。
 なお、昭和5年の村井多嘉子著「一年間のお惣菜」に”豚肉とほうれん草酒煮”という全く同じレシピが掲載されているため、常夜鍋のネーミングはともかく、昭和初期には一般的であったと推察される。

・六十六物語
 猿の手とおでん

 猿の手:ウィリアム・ワイマーク・ジェイコブズ作の短編怪奇小説に登場する猿の手のミイラ。
 どんな願いも3つだけ叶えてくれるマジックアイテム。
 しかし、それは人間の運命以上のことを願うと、その人間が不幸になる形で願いを叶える呪いのアイテムでもあった。
 話の類型として非常に面白いので、以降、同じような話を作ろうと、様々な作家の頭を悩ませた。(作者も例外ではない)
 ある意味、これこそが猿の手の最大の呪いかもしれない。
 作者は『燃えるおにいさん』 に登場する、ささやかな願いは叶えられるが、欲望にまみれた願いは”こんなはずじゃない”形で叶えるランプの魔人エピソードが好きです。(お醤油の瓶を満タンに出来る魔人)
 
 おでん:練り物や大根、卵、ロールキャベツ、牛すじなどを出汁で煮続け、好きな物を適宜選んで食べる冬の風物詩。
 単純だがバリエーションは無限で、極端に煮崩れしない限りどんな具でもおでんに出来る。
 昆布は匂いが他の具に付くので別枠で煮ろとか、巾着の中身にこだわりがあったり、意外と地域によって差や好みの別れる料理である。


・六十七物語
 ヌエとエクレア

 ヌエ:平安末期を書いた『平家物語』や『源平盛衰記げんぺいせいすいき』、室町時代を書いた『看聞日記かんもんにっき』等に登場する異形の怪物、それがヌエ。
 その姿の記述は様々だが、頭が猿、胴は狸、四肢は虎、尾は蛇、鳴き声は虎鶫トラツグミというのが最も有名。
 平安末期に登場したヌエは源頼政みなもとのよりまさに射落とされ、猪早太いのはやたの刀でとどめを刺されたとある。

 エクレア:フランスの菓子でシュー皮にクリームをはさみ、上からチョコなどをかけたもの。
 中身と上がけのバリエーションで味が大きく変わり、料理人の腕が大きく発揮される菓子とされる。

◇◇◇◇

第九章 夢想する物語とハッピーエンド

・六十八物語
 大悪龍王と髪菜蠔豉ファーツァイホウシー

 大悪龍王:作者オリジナルの”あやかし”……ではなく、ちゃんと由来のあるキャラクター。
 その正体は謎に包まれている(というか超ドマイナー)。
 いよーし、んじゃその正体を見つけてやるぜ! という方は健闘を祈ります。
 大悪龍王でググっても簡単にはみつからないですよ。
 もし、その正体にたどり着いた方はスゴイです! 天才です! 称えます!
 だから、その正体は貴方の心の中だけに留めておいて下さい。
 
 髪菜蠔豉:干し牡蠣に髪菜ファーツァイ(日本語ではハッサイ)という藍藻らんそうの一種をあえて作る広東料理。
 中国語の発音が髪菜蠔豉ファーツァイホウシー發財好市ファッチョイホウシー(商売繁盛の意)と非常ににているので、縁起物の料理として人気。
 ただし、その素材の髪菜の乱獲により地表の荒廃を招き、現在では中国では採取と販売が禁止されている。
 日本で手に入るのは偽物か類似の植物か違法品か他国産(モンゴルやロシア)である。

・六十九物語
 遺言幽霊とハンバーグステーキ
 
 遺言幽霊:江戸時代の作:桃山人とうさんじん、挿絵:竹原 春泉斎たけはら しゅんせんさいの『絵本百物語』に登場する幽霊。
 遺言幽霊と水乞い幽霊が同じイラスト内に描かれている。
 その挿絵は怖くなく、結構コミカル。
 遺言幽霊は遺言を残せずに執念が残ってしまった者がなる幽霊と説明されている。

 ハンバーグステーキ:もはや説明不要、昭和から令和にかけて子供の好きな食べ物にずっとランクインしている料理。
 人気の秘密は柔らかく、フォークでも箸でも食べられる所もあるが、やはり味であろう。
 原型はモンゴルのタルタルステーキという説があるが、日本にも肉団子やつくねがあるように、肉を細かくして丸めて食べるのは一般的で、生肉のタルタルステーキを起源とするのは無理がある。
 というか、封神演義にも肉餅というハンバーグに相当する料理が登場するので、世界各国で古来より作られていたと考えるのが妥当であろう。
 ハンバーグはハンバーグステーキの略だが”ステーキ!”という響きに心惹かれるのは作者だけであろうか……。

 69……それは逆さまにしても数字の69。
 それではその数字を横にするとどうなりますか?
 か、かに座! 
 ♋
 かに座のプレセペ星団の青いもやっとした輝きは中国では積尸気せきしきと呼ばれ、死者の気とされていた。
 この物語も幽世かくりよに逝ったり、黄泉という死者の国に行ったので、ここでおしまい。
 Dead End。

 でも、この物語の結末はハッピーエンドと決まっている。
 だから、ここで終わるわけにはいかない。
 それに、かに座は黄道十二宮ではまだまだ序盤、だからこの物語もまだまだ続く……

・七十物語
 隠神刑部と珈琲

 隠神刑部:かつて四国は化け狸の国と呼ばれていた。
 それらを総称して八百八狸はっぴゃくやだぬきと呼ばれているが、その祖が隠神刑部である。
 飛鳥時代の天智天皇の頃からその逸話は残っており、神話の時代を除けば、日本妖怪では最長老級である。
 その存在が有名になったのは江戸時代に成立した『松山騒動八百八狸』という松山藩のお家騒動物語である。
 その中で隠神刑部は恐ろしい大妖怪であるが、身内や家族には非常に優しい側面を見せている。
 かつて週刊少年ジャンプに連載されていた『ぬらりひょんの孫』でもそのような描写が見られた。

 珈琲:世界の歴史すら変えてしまった南米原産の飲み物。
 その魅力は凄まじく、欧州に広まると間もなくコーヒーショップが乱立し、熱帯地方での栽培が広がるほど。
 コーヒーベルトという栽培地域を指した言葉が作られるほどである。
 第一次世界大戦や第二次世界大戦時には輸入が滞った欧米諸国ではコーヒー飲みたさあまりに、タンポポの根やドングリや大麦から代用コーヒーを作ってしまうほど。(大麦の代用コーヒーは麦茶じゃなのというツッコミは無しで)
 成分のカフェインには興奮作用があり、カフェインを常飲していると、それが切れた時、頭痛などを引き起こす。
 これって弱い麻薬なのでは? 
 そう思えるくらい世界に浸透しているのである。


・七十一物語
 置行堀おいてけぼりとバカになる料理

 置行堀:本所七不思議ほんじょななふしぎのひとつ、堀で魚を釣ると『おいてけ~』と声をかけられ、魚を置いてかないと非常に怖い体験をする羽目になるという怪談。
 その正体は河童とも狸とも言われている。
 本所は江戸時代のニュータウンみたいな所で、成りあがりの武士の屋敷や商人や町民の家が立ち並ぶ町であった。
 このため、武士と平民の交流も多く、様々な物語が生まれている。
 置行堀は現在の錦糸町周辺だと伝わっているが、近年の都市開発に伴い現在では堀は消失している。

 バカになる料理:あまりにもの美味を食べた時、人は舌だけでなく脳もとろける感覚を味わうという。
 つまりバカになる。
 普段は知的な異性が見せるバカな姿は非常に可愛いですよね。
 料理漫画やアニメでも知的そうな風貌だったり美麗な女性審査員が惚けている姿をさらすシーンは印象的なシーンとして表現される。
 古くはミスター味っ子の『うーまーいーぞー』ビームや、近年では食戟しょくげきのソーマのお色気シーンなど、その表現の広がりが尽きないのは、ひとえに美味しく食べている姿が魅力的なのだからであろう。
 つまり、美味しい料理を食べている時、その人は魅力が3倍増しになると言っても過言ではない。
 へ? 作者の顔は魅力ゼロだから3倍どころか100倍してもゼロのままだろうですって!?
 大丈夫! 知性もゼロだから!!(大丈夫じゃない)

・七十二物語
 八百比丘尼やおびくにとクワイ

 八百比丘尼:人魚の肉を食べたことから不老不死となってしまった女性。見た目の年齢は17歳前後と伝えられている。
 地域によっては八尾比丘尼やおびくにという記述もある。
 人魚の肉の入手方法は様々であるが、おおむね龍宮や仙界の宝として伝わっていたり、そこから持ち帰った人魚の肉を、そうと知らずに偶然食べてしまったという話が多い。
 不老不死となった後は仏門に帰依し、全国を回り人々の救済に生きた。
 このため、全国各地に八百比丘尼の伝説が残っている。(北海道を除く)
 不老不死なので現代まで生きてても不思議ではないが、伝説は室町時代ごろ若狭で入定にゅうじょうするという形で締められることが多い。
 不老不死じゃないじゃん! というツッコミは野暮というもの。
 室町時代に800歳ということを考察すると、飛鳥時代~平安初期の頃の生まれではないかと思われる。

 クワイ:オダカモ科の水生植物。竹のように地下茎で広がる。
 漢字では慈姑くわいと書く。しゅうとめいつくしむという字から家族円満を意味したり、その芽が出た姿が特徴的なことから『才能の芽が出る』という意味で縁起の良い作物。おせち料理の定番のひとつ。
 そのままだとアクがあるので、煮こぼしたり米のとぎ汁で煮てアクを抜いて食べる。
 国産のクワイは青クワイという品種で少し苦みがあるがホクホクしてて美味しい。
 シャキシャキとした食感があり、シュウマイや餃子の具として使われるのは中国産の白クワイである。
 芋と同じように炭水化物が主な成分で見た目よりカロリーが高い。

・七十三物語
 経凛々と知育菓子

 経凛々:打ち捨てられた経文が年月を経て妖怪化したもの。
 鳥山石燕とりやませきえんの妖怪画集『百器徒然袋』に代表されるように金属製のとセットで描かれることが多い。

 知育菓子:かつてはケミカル菓子やサイバー菓子の名で呼ばれていた化学反応を使って面白い変化をするお菓子の総称。
 その起源は諸説あるが、やはり『ねるねるねるね』のインパクトが大きかった。
 かつては様々なお菓子メーカーが開発&販売していたが、現在はクラシエ(旧ベルフーズやカネボウフーズ)の独占といってもいいジャンルである。
 ちなみに知育菓子はクラシエの登録商標なので、他のメーカーは許可なくお菓子にデデーンと”知育菓子”をうたうことは出来ない。
 この知育菓子のシリーズは80年代~90年代に次々と新製品が投入されたが、その大半は駄菓子の歴史の中に消えていった。
 要因は様々であるが、やっぱ……

 ……記述はここで途絶えている、その秘密を知りたい我々はユーチューブで”謎お菓子 CM集”や”知育菓子 CM集”を検索することにした。

・七十四物語
 濡女子ぬれおなごとカタパン
 
 濡女子:四国や九州の沿岸地方に伝わる”あやかし”で、髪がいつも濡れていることから濡女子と呼ばれる。
 その水に濡れそぼって重たい髪は武器にもなり、毛先が針や鉤針かぎばりのような形状に変化して相手を攻撃したり捕獲する。
 ”ゲゲゲの鬼太郎”に登場する針女はりおなごや”ぬらりひょんの孫”の鉤針女はこの能力からのネーミングだと推察される。
 他には”笑い女子”という別名もあり、笑い女子は人を見ると笑いかけてきて、それに笑い返すと一生付きまとわれるらしい。
 うーん、”あやかし”界のチョロイン兼ヤンデレスター。
 
 元は愛媛宇和地方のマイナーな妖怪であったが、別名の針女や鉤針女も加えると『ゲゲゲの鬼太郎』『ぬらりひょんの孫』『地獄先生ぬ~べ~』果ては『こじらせ百鬼ドマイナー』にも登場しており、今やかなりのメジャー。
 ちなみに”濡女子”で検索するとエロ画像が大量に出てくるため、彼女がエゴサをしたら赤面必至せきめんひっしである。


 カタパン:堅パンとも書く小麦粉を水で練って水分がほぼなくなるまで焼き固めた非常食。
 その名の通り、ものすごく固く、唾液や水でふやかしたり、割ってスープに入れるなどして食べる。
 乾パンはこれを食べやすいように噛み砕きやすくしたものである。
 砂糖やドライフルーツを加えてカロリーを高くしたものも多い。
 

・七十五物語
 英霊とばっけ味噌

 英霊:明治~太平洋戦争時は戦争などで死んだ者を指すことが多かったが、現在は21世紀初期に発売された某、運命Fate伝奇活劇ビジュアルノベルの影響により、伝説の人物や偉人の霊(分け御霊)を指す方がメジャーとなった。
 しかし、英霊といえどもピンキリで、教科書に載ったりお札になったり神格化されたりするような偉人も居れば、歴史に興味が無い人は全然知らないといった偉人も存在する。
 本人からしてみれば『俺って結構スゴイことをやって、歴史に影響を与えたのになぁ』なんて思っている英霊もいるかもしれない。
 この話で登場するのはそんなマイナーな英霊である。

 ばっけ味噌:ふきのとうを油で炒め、味噌、酒、みりん(または砂糖)を混ぜてペースト状にしたもの。
 ふきのとうを炒める前に茹でこぼすと苦みが減るが『その苦みがいいんじゃん!』という人も居るのでお好みで。
 ふきは日本全国に自生するが、ばっけ味噌は主に東北の名物で、近代までは西日本ではほとんどみられなかった。
 ご飯のおかずや酒のアテに非常に美味。
 ふきのとうは初春~春だけに収穫出来る山菜で、この”ばっけ味噌”も春の風物詩であったが、現在は瓶詰のものが一年中手に入る。
 ちなみに、ふきのとうは東北以北の寒い地域では秋にも収穫されるので、昔の東北人は年に二回、ばっけ味噌を楽しんでいたかもしれない。

 
・七十六物語
 首吊くびつり狸とタヌキケーキ

 首吊り狸:四国は化け狸の王国で、狸はよく人を化かしていたが、徳島に出現したという首吊り狸はその中でも凶悪である。
 人を言葉巧みに誘い出し、首を吊らせるというこの化け狸が出現した徳島県三好郡(現三好市)は首吊り自殺が増えたという伝承が残っている。
 でも、首吊り狸というネーミングに違和感はありませんか?
 それに、この話の舞台は東京ですよ。

 タヌキケーキ:戦後復興期から昭和末期まで、町のケーキ屋さんで流行した狸を模したケーキ。
 作り方はシンプルで、円柱のスポンジにバタークリームで半球状の頭を作って、チョココーティングでタヌキの色を出して、指でつまんで目のくぼみと鼻を作ったら、耳と目を付けたり書いたりするだけ。
 起源は諸説あるが、かつて六本木に存在したクローバー洋菓子店のケーキ職人、田中邦彦が作成した”BRAIREAUブレロォゥ DOドゥ JAPONジャポン”(フランス語で日本のアナグマ、つまり狸の意味)が始まりという説が有力。
 (綴りはBLAIREAUが正しいが、おそらく当時の表記ミスと推察される)
 と思っていたら、2021/2/8のグレーテルのかまどで1934年刊行の「製菓実験 原色版菓集 第一巻」に廿日はつかねずみのケーキ(狸にも熊にも見える)という記述が最も古い資料ではないかというのが放送された。
 時代や情報は常にアップデートされるものである。
 さほど技術も造形能力も不要で、ちょっと歪んでも視線があっちゃこっちゃいってても、タヌキだからユーモラスでいいよねという寛容性の高い動物ケーキ。
 これが町のケーキ屋で大流行した理由で、町のケーキ屋であったことから地元だけのものと思ってた人が多く存在する。
 現在の動物ケーキやキャラケーキは造形がもっと洗練された物が主流のため、かなりマイナーなケーキとなってしまった。
 

・七十七物語
 胡蝶の夢とドリームケーキ

 胡蝶の夢:中国の紀元前3世紀ごろの思想家、荘子そうしが伝えた説話。
 夢の中で蝶となって飛んでいたが、目が覚めたら私は人に戻っていた、いったいこれはどちらの私が真実なのだろう?
 という思想を問うものである。
 荘子はこの問いに、形としては蝶と人とで違うが、その心は同じ己であることに違いはない、たとえ姿や形が変わっても、その精神は、本質は変わらないものだと説いている。
 これは1637年に刊行されたデカルトの『方法序説』の一節、”我思う、ゆえに我あり”やSFの”水槽の脳”にも通じる思想で、デカルトより2000年くらい前に荘子がそこに到達していたことには舌を巻くばかりである。
 胡蝶の夢は”あやかし”ではなく、故事成語だろというツッコミは無しで。
 ひゃ、百物語は”あやかし”の話だけではなく、不思議な話もアリなのですから……。


 ドリームケーキ:それは、まるで夢のようなケーキ……ではなく、デンマークが発祥ののココナッツフレークがふんだんに使われたケーキ。
 日本ではさほど有名ではないが、非常に美味しいので売っているのを見かけたら購入をお勧めします。
 レシピも比較的簡単なので、自作するのもありですよ。


 77……それは喜びの数字。(喜の草書体は㐂と書き七の下に十七と書くように見えるから)
 77歳は喜寿の祝いの歳であり、ラッキーセブンがダブルでやってきて、さらに7月7日は七夕で恋人が出会う意味を持つ。
 こりゃ盆と正月とクリスマスが一緒にやってきたような数字だ! 
 めでたしめでたし! 
 これにてハッピーエンド!

 だけど、77%では腹八分目にも満たってない。
 グルメを冠する物語が満腹にはほど遠い段階で終わってしまうと、ポンポンがポンポコピーである。
 ゆえに、この物語はまだ続く。

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