CoSMoS ∞ MaCHiNa ≠ ReBiRTH

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―楽園編―

メーメーニャンじゃないニャン

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 竜殺しと呼ばれる『魔剣グラジール』を運良く手に入れることができた僕たち――藍里とミィコは、今すぐにでもドラゴン退治を終わらせてしまおうと意気込んでいる。
 僕は考える。ドラゴンは海を越えた島のダンジョン奥深くにその身を潜めていると聞く。まず、海を渡る手段がない――そもそも、身を潜めているだけのドラゴンをわざわざ倒しに行く必要があるのだろうか? 手を出さなければ無害では?

「あのさ、ドラゴンって遠くの島にその身を潜めているわけでしょ? もしかしたら友好的なのかもしれないし、本当に倒す必要ってあるのかな? それにさ、すごい魔剣も手に入ったことだし、これで目標達成ということにして、あと数日この世界での生活を満喫するっていうのはどうかな?」
 僕は思い切って、ドラゴン退治を諦めるという提案をしてみた。
「あ、さとりくん、私もそれ賛成です! お金もありますし、お店もたくさんありますし、街のうわさ話では精霊の住まう森とかいうのがあって、そこはすごく綺麗な場所だって! 他にも観光してみたい場所がいっぱいです!」
 藍里は目をキラキラと輝かせて、僕の意見に大賛成の様子だ。
「サトリ、見損ないました。そんな腑抜けたこと……!」
「でもほら、藍里も僕の意見に賛成していることだし――」
「サトリ! ミコだって、興味を惹かれることたくさんで目移りしちゃいますよ。でも――例えるならば、そう、この世界は人気のテーマパークみたいです! アトラクションも豊富で、『行ってみたい』、『乗ってみたい』、『観賞してみたい』って、あれもこれもって思います。でも、ミコたちはドラゴン退治っていう大人気アトラクションを最初に選び、その列に並んでしまっている以上、別のアトラクションの列に並びなおすわけにはいかないのです!」
 ミィコはこの世界をテーマパークに例えて表現した。確かに僕たちはドラゴン退治っていうアトラクションの列に並んでいるのかもしれない。いや、待てよ……そもそも、テーマパークに例える必要性はあるのだろうか? これはもしや――

「ミィコ、元の世界に戻ったら――遊園地、僕と一緒に行く?」
 きっと、ミィコは遊園地に行きたいに違いない!
「え、ば、バカなこと言わないでください! なんでミコがサトリなんかと一緒に……」
「それだったら――私も一緒に行くのなら、ミコちゃんも行くのかな?」
 気を遣っているように見える藍里も、もしかしたら本心では遊園地に行きたいのかもしれない。
「ま、まあ、アイリも一緒だったらサトリと遊園地行ってやってもいいですけど!」
「ミコちゃん、約束ね!」
「約束、です……」
 藍里に続いて僕も、ミィコとの約束によって元の世界に戻れなくなるかもしれない、というフラグを立てていた。

 ま、まあ、そんなフラグのことよりも、ミィコが遊園地に行きたいっていうのが僕の勘違いだったらどうしよう?
 いや、間違いない、ミィコは遊園地に行きたかったのだろう、きっと――これが勘違いだったら、僕は絶望的に恥ずかしい思いをしてしまうので、無理やりにでもそう思い込むことに決めた。
「でも、どうして急にサトリはミコのことを遊園地に誘ったのですか? まさか、ミコが遊園地を例えに出したから、『ミィコは遊園地に行きたいのかな?』とか、そんな安直な考えで誘ったわけではないですよね? ないですよね!?」
「え、いや、違うかな~……ぼ、僕が行きたいなって思ったかな~? ミィコさんと一緒に遊園地行けたら楽しいのかな~って思ったかな~」
「サトリ、相変わらず子供ですね。仕方ないので一緒に行ってあげます」
 ミィコに僕の考えが完全に読まれていたので、あえて誤魔化す方向に持っていった。どちらにしろ、僕の負けだ。絶望的に恥ずかしい。
 でも、そんな僕をチラッと見た藍里は『優しいですね』と言わんばかりの微笑みを僕に送ってくれた。
 藍里は分かってくれている! それだけで僕は満足だ。

 ――ミィコに半ば説得されるような形でドラゴン退治に向かうことを決めた僕たちは、これから旅の準備をして、まずは東にあるという港町を目指すことになった。

 過酷な旅になることを想定し、可能な限り良い装備を揃える――
 魔獣の皮でできた軽量な鎧に、ドラゴンの炎を防げるかもしれないというマント。マントというよりはクロークに近い形状のような気がする。
 このマントは3点限りの限定品で、赤、青、黒とすべて色違いになっていた。
 藍里はやっぱり青色のマントを選んで身に付けた。
 ミィコは赤色と黒色で悩んで赤色を選んで身に付けていた。
 そして、残った黒色は僕が身に付けた。
 なんだか、3人とも上級冒険者になれたかもしれない! 能力はともかく、風貌だけは間違いなく上級だ。

 旅の準備が整い、いざ出発――と、その時、僕はマントとバックパックの相性が致命的に悪いことに気が付いた!
 これ、バックパック、背負えないんですけど……。
 魔剣はバックパックに括り付けておけばいいとして、バックパックの上からマントを羽織ると、絶望的にカッコ悪い――
 その様子に、藍里とミィコが呆気にとられつつも、僕のことをそっと見守ってくれていた……。

 藍里は腰に『アルケミストバッグ』なる、ポーション用のポーチをいくつか装着しているのだが、マントの内側に違和感なく収まっている。
 ミィコの肩掛けポーチも何の違和感もなくマントの内側に収まっている。
 それを見た僕は、そっとマントを脱ぎ、綺麗にたたんでバックパックの中にしまい込んだ――

 さて、気を取り直して出発だ――目的地は港町!
 今更ながら、滞在していた首都にも名前があって、確か――『ユリトピカ』とかなんとか。僕はあまり気にしていなかったのだが、そんな感じの名称だったような……?
「ミィコ、首都の名前、なんて言ったっけ……?」
 とりあえず、隣にいるミィコに聞いてみた。
「首都『ユーリティピカ』です」
「そうだった」
 ミィコは首都の正しい名称を親切に教えてくれた。

「さとりくん、ちなみに、今から行く港町の名前は『メーメー』ですよ!」
「アイリ、違います。『メーメニア』です」
「そ、そうだったね、『メーメーニャー』だよね!」
「アイリ、違います。わざとですか!?」
「え、ええ!? 『メーメニャン』?」
「OK、OK。港町『メーメニア』ね」
 『メーメニア』の”くだり”で、あざといのか天然なのか分からない藍里の発言が延々と続きそうになっため、僕はあえて、その流れをぶった切っていた。
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