それぞれの愛のカタチ

ひとみん

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あの日、ユージンがユスティアに協力する決心してくれたおかげで、計画はとんとん拍子に進んでいった。
執拗にエドワルドに絡もうとしていたライラには、彼には幼い時からの婚約者がいる事を伝えた。
婚約者は誰なのかしつこく聞かれたが、取り敢えず他国の王族だとだけ言えば、微妙な顔をしていたが納得したようだった。
嘘は言っていない。なんせユスティアは他国の末端とはいえ王家に名を連ねているのだから。

てっきりユスティアが婚約者なのではと思っていたライラだったが、エドワルド狙いは変わらない。
婚約者が傍にいないのなら、なお良い。
気合を入れてエドワルドに近づこうとするも、最近ではあまり屋敷にも訪れてくれなくなっていた。
ライト公爵家へ会いたい旨の手紙を送るも、お断りの返事ばかり。
意を決してアポなし訪問を試みれば、門前払い。
ライラの居ない時を狙って姉に会いに来てはいるようだが、前ほど頻繁ではなくなってきた。
代わりにと言っては何だが、最近姉はユージンと会っているようなのだ。
観劇に出かけたり、植物園に出かけたり、買い物に出かけたりと。

ライラの本命はあくまでも、エドワルド。
でも、ユスティアと談笑するユージンも捨てがたい。
姉をエスコートする姿は、まさに王子。女の子ならば一度は憧れる、物語の中の金髪碧眼の白馬の王子様。

あぁ・・・欲しいわ・・・・
エドワルド様もユージン様も・・・・

麗しい美男達に抱きしめられる自分を想像し、思わず舌舐めずりをしてしまう。
エドワルドを落すには時間がかかりそうだ。
ならば、先にユージンを手に入れてしまおう。

その瞬間から、ライラは自ら張られた罠へと歩み始めたのだった。


ユスティアの許にユージンが来る度、ライラは出待ちをし「自分も連れて行けと」駄々をこねた。
初めは、その礼儀のなさにユスティアは取り合わなかったが、それをユージンがとりなす形で徐々に距離を縮めていった。
たまには、ユージンとライラの二人で出かける事も。
そんな二人に見せつける様に、エドワルドがユスティアをエスコートする形で出かける事もあった。
ライラに対しては、餌をちらつかせるように。ユージンに対しては、ご褒美のような形で。

エドワルドはユスティアの前では「永久凍土」どころか、雪崩のような人には見せられない相好となる。
そんな顔を、ライラには絶対に見せられない。彼女の行動に拍車をかけてしまいそうだから。
そんな理由もあって、エドワルドはあまり侯爵家を訪れなくなったのだが、反対にユスティアが公爵家へと訪れていた。
計画の為とは言え、愛する人が他の男と頻繁に出かけているのだ。わかっていても、面白くも無いし嫉妬もする。
図体のでかい不機嫌丸出しのエドワルドを宥める為に、一生懸命甘やかし機嫌を取る美しく愛しい婚約者の姿に、みるみる機嫌が直っていくエドワルド。

―――どちらが年上なのかわかりませんね・・・

公爵家の人達からは、いつも申し訳なさそうに謝られるユスティアなのだった。
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