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華やかな会場ではあるが、穏やかな雰囲気で始まったユージン・コックスの誕生日パーティ。
ユスティアとライラも、ユージンにお祝いの言葉を掛けた後はそれぞれに招待客と談笑していた。
ライラ以外は、今日のサプライズ求婚を知っている。
皆には真実は話せない為、ユスティアとユージンの仲を誤解してライラが不安がっているので、皆の前で求婚するのだと伝えていた。
そしてユスティアも、自分の役割をこなしていく
挨拶して回りながらこっそりと、二人の事をお願いしますね・・・と、一言。一応、ライラの素行をフォローしながら。
美しくも賢才と謳われるユスティアの言葉に、皆一様に頷いてくれた。
やはり普段からの行いは大事だと、改めて思うユスティア。
黒いものを白と言っても信じてくれるのだから。まぁ、決して白にはなり切れないのだが・・・
パーティ会場ではライラを煽るように、ユスティアがさりげなくユージンに触れたり、内緒話をするように近づいたりと、少し親密な所を見せつけた。
それは効果覿面で、ユスティアがユージンに近寄ろうとすると、すかさずライラが彼の傍に駆け寄ってくる。
何度かそんな事を繰り返し、ライラの危機感を高め気持ちを盛り上がらせた。
そして、ユージンのプロポーズ。
ライラの気分は最高潮だった。
ユージンが、あれだけ親しくしていた姉ではなく、自分を選んだのだから。
正直な所、ライラはユージンが自分を選んでくれるかは半々だと思っていた。
姉を見る彼の眼差しは、自分を見る時と明らかに違っていたから。
楽しそうに、親密そうに姉と語らうユージンを見ては、焦りだけが募っていく。
だから、ユージンがライラを選ぶと宣言してくれた時は、あまりに嬉しすぎて彼の背に隠れながら大笑いしたいのを堪えるのに必死だった。
初めて姉に勝ったのだと、その事実が愉快で愉快でたまらない。しかも、沢山の人の居る中での宣言。
もう、覆ることは無い。
彼は姉を選ぶことはもう、できないのだ。
ユージンのプロポーズを受け、周りからのお祝いの言葉に舞い上がり、この気分そのままに姉に一言慰めの言葉でもかけてやろうと周りを見るが見当たらない。
給仕を捕ま聞けば、先に暇したのだという。
可哀そうなユスティア。皆の目の前で振られたんだもの。普通なら恥ずかしくて居れないわよね。
ユスティアには婚約者もいないから、ユージン様に選ばれなかった事はかなりの痛手かも。
ふふふ・・・いい気味だわ。
いつも自分を見下し厳しい事しか言わない美しい姉に、初めて勝ったのだと今まで感じた事のない優越感に浸るライラだった。
華麗な裾さばきで、令嬢とは思えない速さで会場を抜け目的地へと向かうユスティア。
人の目がない所ではほとんど駆け足で、馬車置き場へと急いだ。
己のではないが見慣れた家紋の馬車を見つけ駆け寄ると、御者に扉を開けられる前に中なら扉が開いた。
「ルド!」
顔を出したのはエドワルド・ライト公爵令息。
その美しい顔に蕩けるような笑みを浮かべ、エドワルドはユスティアに手を差し出した。
ユスティアは彼の手を取り馬車に乗り込むと、すぐさま馬車は動き出す。
エドワルドはユスティアを膝の上に抱き、その頬に愛おしそうに何度もキスをする。
「お疲れ様ティア。上手くいったかい?」
ユスティアの顔中にキスをしながらも、器用に答うエドワルドに、上機嫌に「勿論!」と事のあらましを聞かせた。
「計画通り、ユージン様がライラに結婚を申し込んだのよ!」
「へぇ。彼もやるね」
「えぇ。ライラも上機嫌で承諾の返事をしてたわ。私からユージン様を奪ったと思って大喜びでしょうね」
兎に角ライラは何も考えてはいない。
ユスティアは侯爵家を継ぐわけではない。だから次男のユージンと結婚しても、悪い言い方だが何も手に入らないのだ。
それすら何も考えず、ただ奪う事しか考えない。
そんな愚かな妹が、今日ばかりは可愛くて仕方がない。
「くくくっ・・・俺も見てみたかったよ。あの得意げな顔だろ?」
「だめよ。ルドはきっと爆笑してたわ。私だって堪えるのが大変だったんだから」
パーティには不参加だったエドワルドだったが、容易にライラの得意満面な表情が想像できて、吹き出しそうになる。
「パーティ参加者はみんな事情はわかってるんだろ?」
「そうよ。この計画を成功させるために、本当に信用できる人達だけを集めたんだから」
「知らぬはあの毒女だけだったとは、本当笑える。とんだ茶番だ」
蕩ける笑顔から一変、忌々し気に顔を歪め心底軽蔑した表情を浮かべた。
会う度に、身体に触れようとしてくるわ、媚びた笑顔ですり寄って来るわで、本当に鬱陶しかった。
苦々し気に顔を曇らせるエドワルドの頬を撫で、機嫌を取る様に唇にキスを落した。
「まぁ、ルド。本当の事とはいえ妹の事を毒女だなんて・・・・」
「そう言いいながらティア、顔が笑ってるぞ。ユージンがあの女を引き取ってくれたおかげで、ようやく俺達も結婚出来る」
そう言いながら、嬉しそうにユスティアの唇に濃厚なキスをした。
「えぇ・・・本当に。長かったわ。私はやっとあの妹から解放されるのね・・・」
ホッとしたように緩めるユスティアの表情が愛おしくて、エドワルドは露わになっている首に肩にと余すことなく唇を這わせていくのだった。
ユスティアとライラも、ユージンにお祝いの言葉を掛けた後はそれぞれに招待客と談笑していた。
ライラ以外は、今日のサプライズ求婚を知っている。
皆には真実は話せない為、ユスティアとユージンの仲を誤解してライラが不安がっているので、皆の前で求婚するのだと伝えていた。
そしてユスティアも、自分の役割をこなしていく
挨拶して回りながらこっそりと、二人の事をお願いしますね・・・と、一言。一応、ライラの素行をフォローしながら。
美しくも賢才と謳われるユスティアの言葉に、皆一様に頷いてくれた。
やはり普段からの行いは大事だと、改めて思うユスティア。
黒いものを白と言っても信じてくれるのだから。まぁ、決して白にはなり切れないのだが・・・
パーティ会場ではライラを煽るように、ユスティアがさりげなくユージンに触れたり、内緒話をするように近づいたりと、少し親密な所を見せつけた。
それは効果覿面で、ユスティアがユージンに近寄ろうとすると、すかさずライラが彼の傍に駆け寄ってくる。
何度かそんな事を繰り返し、ライラの危機感を高め気持ちを盛り上がらせた。
そして、ユージンのプロポーズ。
ライラの気分は最高潮だった。
ユージンが、あれだけ親しくしていた姉ではなく、自分を選んだのだから。
正直な所、ライラはユージンが自分を選んでくれるかは半々だと思っていた。
姉を見る彼の眼差しは、自分を見る時と明らかに違っていたから。
楽しそうに、親密そうに姉と語らうユージンを見ては、焦りだけが募っていく。
だから、ユージンがライラを選ぶと宣言してくれた時は、あまりに嬉しすぎて彼の背に隠れながら大笑いしたいのを堪えるのに必死だった。
初めて姉に勝ったのだと、その事実が愉快で愉快でたまらない。しかも、沢山の人の居る中での宣言。
もう、覆ることは無い。
彼は姉を選ぶことはもう、できないのだ。
ユージンのプロポーズを受け、周りからのお祝いの言葉に舞い上がり、この気分そのままに姉に一言慰めの言葉でもかけてやろうと周りを見るが見当たらない。
給仕を捕ま聞けば、先に暇したのだという。
可哀そうなユスティア。皆の目の前で振られたんだもの。普通なら恥ずかしくて居れないわよね。
ユスティアには婚約者もいないから、ユージン様に選ばれなかった事はかなりの痛手かも。
ふふふ・・・いい気味だわ。
いつも自分を見下し厳しい事しか言わない美しい姉に、初めて勝ったのだと今まで感じた事のない優越感に浸るライラだった。
華麗な裾さばきで、令嬢とは思えない速さで会場を抜け目的地へと向かうユスティア。
人の目がない所ではほとんど駆け足で、馬車置き場へと急いだ。
己のではないが見慣れた家紋の馬車を見つけ駆け寄ると、御者に扉を開けられる前に中なら扉が開いた。
「ルド!」
顔を出したのはエドワルド・ライト公爵令息。
その美しい顔に蕩けるような笑みを浮かべ、エドワルドはユスティアに手を差し出した。
ユスティアは彼の手を取り馬車に乗り込むと、すぐさま馬車は動き出す。
エドワルドはユスティアを膝の上に抱き、その頬に愛おしそうに何度もキスをする。
「お疲れ様ティア。上手くいったかい?」
ユスティアの顔中にキスをしながらも、器用に答うエドワルドに、上機嫌に「勿論!」と事のあらましを聞かせた。
「計画通り、ユージン様がライラに結婚を申し込んだのよ!」
「へぇ。彼もやるね」
「えぇ。ライラも上機嫌で承諾の返事をしてたわ。私からユージン様を奪ったと思って大喜びでしょうね」
兎に角ライラは何も考えてはいない。
ユスティアは侯爵家を継ぐわけではない。だから次男のユージンと結婚しても、悪い言い方だが何も手に入らないのだ。
それすら何も考えず、ただ奪う事しか考えない。
そんな愚かな妹が、今日ばかりは可愛くて仕方がない。
「くくくっ・・・俺も見てみたかったよ。あの得意げな顔だろ?」
「だめよ。ルドはきっと爆笑してたわ。私だって堪えるのが大変だったんだから」
パーティには不参加だったエドワルドだったが、容易にライラの得意満面な表情が想像できて、吹き出しそうになる。
「パーティ参加者はみんな事情はわかってるんだろ?」
「そうよ。この計画を成功させるために、本当に信用できる人達だけを集めたんだから」
「知らぬはあの毒女だけだったとは、本当笑える。とんだ茶番だ」
蕩ける笑顔から一変、忌々し気に顔を歪め心底軽蔑した表情を浮かべた。
会う度に、身体に触れようとしてくるわ、媚びた笑顔ですり寄って来るわで、本当に鬱陶しかった。
苦々し気に顔を曇らせるエドワルドの頬を撫で、機嫌を取る様に唇にキスを落した。
「まぁ、ルド。本当の事とはいえ妹の事を毒女だなんて・・・・」
「そう言いいながらティア、顔が笑ってるぞ。ユージンがあの女を引き取ってくれたおかげで、ようやく俺達も結婚出来る」
そう言いながら、嬉しそうにユスティアの唇に濃厚なキスをした。
「えぇ・・・本当に。長かったわ。私はやっとあの妹から解放されるのね・・・」
ホッとしたように緩めるユスティアの表情が愛おしくて、エドワルドは露わになっている首に肩にと余すことなく唇を這わせていくのだった。
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