【完結】猫を被ってる妹に悪役令嬢を押し付けられたお陰で人生180度変わりました。

本田ゆき

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第18話

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「はあ、結構疲れたわね……」
「ああ、そうだな……」

流石にお金の入ったトランクを路地に置きっぱなしは出来ないので、私達は一人一つずつトランクを持って移動していた。

 更にアンダーソン家は少し街から離れている為中々に移動に時間がかかった。

 私たちがアンダーソンの屋敷に着いた頃には、もう夕方で辺りも暗くなり始めていた。

「でもアポなしで本当に大丈夫なのか?」
「まあ、こんなボロボロになってる女性をすぐ様門前払いは出来ないと思うけど」

 私はそう胸を張った。

「いや、そこ自信満々に言うものじゃないだろ」

 そうアンドリューが突っ込む。

 屋敷に着くと、門番が私たちを見てギョッとする。

「どうも。レイラ・ブラウンです。
こんなみすぼらしい格好で御免なさい。
ウィリアム・アンダーソン様と面会したいのですが……」

 私はそう尋ねると、門番はうーんと考え始める。

「あの、前もって事前にお知らせされてませんよね?」
「ええ、御免なさい。ただ、少し緊急事態というか、どうしてもウィリアム様にお願いしたい事がありまして、どうしても駄目でしょうか?」

 私はそう柄にもなくうるうると瞳を潤ませる。

 門番は困った様な顔をして、確認致します。と中へ入っていった。

「本当にこんなんで大丈夫なのか?」

 そう後ろからこっそりアンドリューが尋ねてくる。

「まあ、何とかするしかないわね」

 私はそう答えた。

 暫くして、門番が再び戻ってきた。

「ウィリアム様からお許しが出ましたので、どうぞこちらへ」

 そう門を開かれ、中から案内役の執事がやって来た。
 やはり私たちの姿に少し驚く。

「レイラ・ブラウン様、どうぞこちらへ……
それと」

 そうチラリと執事はアンドリューの方を見やる。

「彼は私の事を途中で助けてくれた恩人です。一緒ではまずいでしょうか?」
「……いえ、ではこちらへ」

 そう執事は怪訝な表情をしつつ案内してくれた。
 
 奥でウィリアムが腰掛けていた。
 やはり私たちの姿を見て少しびっくりする。

「是非腰掛けて下さい」

 そう執事は椅子に座る様うながす。

「いいえ、勝手に押しかけた身ですし、大丈夫です」

 私はそれを断った。
 隣でアンドリューも席には座らずに立っている。

「……やあ、レイラお嬢様。
あれから随分と変わられましたね」

 そうウィリアムは声をかける。
 あれからと言うのはあのパーティーの事だろう。
 思い出しただけで恥ずかしい。

「その節は誠に申し訳ございませんでした」

 私はそう頭を下げる。
 後ろでアンドリューは少し不思議そうに見ていた。

「いや、謝らなくても大丈夫です。実は私も君と話がしたいと思っていたので」
「え?」

 ウィリアムの方から話したい事とは何だろうか?
 やはりユーリの事か?

「実は、つい先程ユーリお嬢様から婚約を破棄して欲しいと言われまして。
恐らく貴方が家を追放されて代わりにダニエル伯爵と婚約する為かと思ったのですが」

 やはり私の読み通り事が進んでいる様だ。

「ええ、恐らくその通りだと思われます。
私もあの後すぐ家を出たのではっきりとは分かりませんが」

「それに、君のあの演説を聞いて、確信しました。
やはりユーリお嬢様が元凶なのでしょう?」

 驚いた。ユーリの悪事を見破る人が居るなんて。
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