34 / 40
ラシア編 Side 空
8日目 ジェロームVSバジリスク
しおりを挟む
ぼくは、箒の上でゲロを吐いた。
クラクラする。
そんな状態ながらも、ぼくは地面に背を向けながら、空に急上昇していた。
『バジリスクだ』
呼吸が出来ない。
目に涙が浮かんだ。
『落ち着け。ここまでならもう大丈夫だ。奴の全長は150m。もう1kmは上がった』ジェロームくんは、ぼくの首元から飛び上がって、空中に足をついた。
見れば、半透明の琥珀色の膜が、ぼくのすぐ足元に張られていた。
ぼくは、箒から崩れ落ちるように、その膜に横たわった。「なんなのアイツ……」ぼくは、膜の縁から、地面に向かってゲロを吐いた。
見れば、深緑色の巨大な蛇が大きな口を開け、そのゲロの塊に飛びついていた。
それを見たぼくは、追加で吐いた。
全部出し切ったみたいで、今度のゲロは透明だった。「きも……」
『口が悪いぞ』ジェロームくんは笑った。『よくやったな。ちゃんと逃げられたじゃんか』
「なんなのあいつ」ぼくは言った。
『バジリスクだ。冬は基本寝てるんだが、あのバカは冬眠し損ねたみたいだな』
「ズルズルって、アイツ?」
『みたいだな。ほら、マウスウォッシュしろ』
「ごめん。臭いよね」
『ゲロみたいな匂いだ』
「ゲロだからね」ぼくは、リュックサックから歯ブラシと歯磨き粉を取り出し、歯垢を落とす薬用液で、洗い流した。
吐き出したそれに、バジリスクが飛びついた。
ぼくの口から呻き声が漏れた。
ぼくは舌打ちをした。「……なんなのアイツマジで。許しがたいキモさなんだけど」
『バジリスクの肉は美味いんだぜ?』ジェロームくんは、自分の小さな手を舐めた。その先からは、爪がきらりと光っている。彼の琥珀色の目は、鋭くなっていて、どこか楽しそうだった。
「冗談……」全身に鳥肌が立った。「アイツぼくのゲロと歯磨き粉食ったんだよ? それを食うなんて……」
『でも美味いぜ』
「次そんなこと言ったら絶交だよ」
ジェロームくんは悲しそうな顔をした。『そんなっ!』
「美味しいご飯なら作ってあげるから」ぼくは、リュックサックからキャットフードを取り出し、小皿に落とした。
こんな時のために持ってきておいて良かった……、いや、こんな時のためじゃないけれど、こちらで可愛い猫に出逢ったら餌付けしたいと思ったのだ。
ジェロームくんは、クンクン、と、キャットフードの匂いを嗅ぐと、それを食べ始めた。『おっ、悪くない』
ぼくは頷いた。ぼくは、背中から倒れ込んだ。「あーもうっ」ぼくは叫んだ。「だるいっ、今日はもう動きたくない……」
『怖かったか?』
「そりゃもう」
『よし、じゃあ、アイツを殺そう』
「……そりゃちょっと過激すぎない?」
『良いんだよ。アイツは俺たちを食おうとした。それがゴングだ。審判はいないし、ゴングを鳴らしたのはアイツだ』
「ぼくはいいよ……。遠慮する。動物同士で勝手にやってな」
『良い練習になるぜ。ラシアの自然は危ない。今度はクマか、雪男か、オオカミか、なにに襲われるかわかったもんじゃない。その時も逃げれるとは限らないんだぞ。雪男は特に厄介だ。魔法を使うからな。そうなったら空に逃げても意味ない』
「雪男って魔法使えるの?」
『あぁ、氷柱を飛ばしてくる』
「あぁ、氷系の定番ね。知ってるよそれ。漫画で見たことある」
アイス・ショットっ! とか言いながら手の平から氷柱を飛ばしてくる雪男の姿が頭に浮かんだ。
『マンガってなんだ?』
「今度話す」ぼくは地上を見下ろして、悪態を吐き、再び空を見上げた。「まだいるよ……」
空は晴れ渡っていた。
爽やかな空。
地上には蛇の格好をした変態。
直立不動でこちらを見上げている。
奴の顔につばを吐いてやりたい気分だけれど、多分ご褒美にしかならないだろう。
「このままこの高さキープしてれば安全だよね」
『あぁ、でも良いのか? 戦闘の訓練をする良い機会だぜ?』
「それって将来なんかの役に立つわけ?」巨大な蛇との戦い方なんか学んだところで、今後の人生の役に立つとは思えなかった。
『例えば、ソラが将来仕事に就くだろ?』
「一生働きたくないでござる」
『でも、働くだろ? 必要な金額はそれぞれ異なるにしても、人は金を稼がなきゃいけない』
「良いよ。自分でシカでも狩って食べるよ」
『働けニート』
「こらっ、そんな悪い言葉どこで覚えてきたのっ!」ぼくは、ジェロームくんを叱った。
ジェロームくんは笑った。『良いから、話聞いてくれよ。例えば、将来何か仕事するとするだろ? そこの上司がモラパワハラのクソ野郎だったとするだろ?』
ぼくは頷いた。
『そいつに反撃する時の役に立つんだ。萎縮しないで済む』
「なるほどね」
『そ。あのヘビに比べれば』
「こんな禿げなんざカスみたいなもんだって」
『そ』
「なるほどね……、そういう効果もあるのね……」ぼくは空を見上げた。「でも、生き物殺すの、なんだかやだな……」
『お前のゲロ飲んだ奴だぜ?』
「変態だからって、それだけじゃ殺す理由にはならないよ」
『おかわり待ってるぜ?』
ぼくは、再び地上を見た。
まだいた。
こっちを見上げていた。
うわ……、最悪。
目が合った。
おい。
ウィンクやめろ。
『どっちにしろ俺は行く』
「気が立ってるね」
『当たり前だろ。食われかけたんだし』
「自分からトラブルに突っ込む必要ないでしょ」
『言ったろ? アイツの肉は──』「美味いのね。はいはい。止めないから、勝手にやってきてよ。ぼくはここで寝てる」
『ちなみに、ソラ』
「なに?」
『ソラが戦うなら、どんな手を使う?』
ぼくは少し考えた。「空から魔法を撃ちまくるか、地面を凍らせて動きを封じるかな」
『なるほどな』ジェロームくんは、足元に半透明の琥珀色の階段を生み出して、トコトコと降りていった。ジェロームくんは、直立不動でこちらを見上げるバジリスクの側で止まった。それなりに近いが、襲いかかってはこれない絶妙な距離を保っていた。
見れば、何か話をしているみたいだった。
ジェロームくんはぼくを見上げた。
なんか用でもあるみたいだ。
ぼくは、箒に乗って、ジェロームくんのそばに向かった。
バジリスクとかいう変態は200mほど下で、こちらを見上げてニヤニヤしていた。
『この紳士が、何か話があるんだと』と、ジェロームくんは、嫌そうな顔で言った。
「……なんですか?」ぼくは、変態を見下ろした。
バジリスクさんは、その分厚い舌をシュルシュルさせた。『ようねーちゃんっ! さっきのゲロ美味かったぜっ! もっとくれよっ!』
目眩がしてきた……。
ゲロを吐きそうになったけれど、ここで吐いたら、結果的にこの喋る生ゴミにくれてやることになりそうなので、堪えた。
「……やめてください」マジで気持ち悪い……。
『おかわりくれよっ! そしたら見逃してやるぜっ!』チロチロと、その赤い舌を揺らしながら、バジリスクはのたまった。
ジェロームくんはぼくを見た。『こんな奴だぜ?』
「もう知らない。勝手にやって」
ジェロームくんは、半透明の琥珀色の足場を消した。
彼の小さな体が、森に落ちて、見えなくなった。
次に起こったことは、一瞬の出来事だった。
彼の落ちた場所を中心に、半径300mほどが、一瞬で凍りついたのだ。
バジリスクの体が動きを止めた。
巨大な蛇の鱗が、赤い目が、そのしなやかな動きを見せていた赤い舌の先までもが、今では凍りついている。
バジリスクの体が倒れ込み、巨体の下敷きとなった周囲の木々が薙ぎ倒された。
鳥が空に舞い上がったりはしない。
みんな、この変態から逃げ、遠くへ行ってしまったのだろう。
『おーいっ、来いよっ!』と、森の中からジェロームくんの声が聞こえてきた。
ぼくは、箒に乗ってそちらへ向かった。
なんだか、恐怖はもうなかった。
嫌悪感と、怒りのような感情が、胸の中で渦巻いていた。
ジェロームくんは、凍りついたバジリスクの上を、トコトコ歩いていた。『どんなもんよ』ジェロームくんは誇らしげだった。
「すごいね……」
『トドメ刺すか?』
「このままで良いんじゃない?」
『刺さないなら、俺がやるけど』と、ジェロームくんは、爪の出た手を舐めた。『早く決めろよ。こいつら脱皮するからな。動けるようになるまで、せいぜい3分だ』
ぼくは、少し考えて、ポケットからタネを取り出した。
セントラル・ニホニアのホステルで、ノエルさんが作り方を教えてくれたもの。
ぼくの思考だけに反応し、姿を変える、ぼくだけの武器だ。
ぼくは、右手の中に、タネを握り込んだ。
タネは、ドレスソードに変わった。
ぼくはバジリスクを見た。
体太いな……。
そう思った途端に、ぼくのドレスソードの刃渡りが、3mほどにまで伸びた。
タネは、持ち主の意思と想像力に呼応して形を変える、と、ノエルさんは言っていた。
ぼくはそんなことこれっぽっちも望んでいなかったけれど、ぼくの心はどうやら、バジリスクを自分の手で仕留めたくてしょうがないようだった。
ぼくは、ドレスソードを握りながら、バジリスクの頭のそばに向かった。
バジリスクの赤い目が、ぼくを見た。
ぼくは、深呼吸をした。
手が汗ばむ。
ぼくは、深呼吸をした。
何度もした。
そして、ぼくは、剣を振り上げ、一思いに振り下ろし、その後、ぼくは、体の中が空っぽになるまで吐いた。
ーーー
ぼくは、目を覚ました。
気を失っていた。
ジェロームくんは、ぼくの顔を見下ろしていた。『落ち着いたか?』
ぼくは頷いた。
見てみれば、相変わらず、あの変態のバジリスクが倒れ込んでいた。
ぼくが奪った命。
アリを踏んだこともあったし、蚊を潰したこともあった。
一時期、肉を食べられない時期があった。
3歳くらいの頃、物心ついたばかりの頃。
生焼けの牛肉を食べて、妙な血生臭さを感じた。
その時、気がついたのだ。
ぼくは、生き物を食べているのだと。
それ以前までは、フライドチキンやハンバーグが生き物の肉を使った料理だなんて思っていなかった。
スーパーに行けば買えるもの、という認識でしかなかった。
それから、数年間、ぼくは野菜と乳製品しか口にしなかった。
そして、牛乳が、牛の血液から出来ているものだと知ると、牛乳も飲めなくなっていた。
思春期になって、久しぶりにハンバーガーを食べたら、ものすごく美味しかった。
それをきっかけに、ぼくはまた肉を食べられるようになった。
それでも、またしばらくは、肉を食べることが出来なさそうだ。
『今はまだ凍っているが、バジリスクの血を溶かせばその匂いが、バジリスクよりも弱い肉食動物を追い払ってくれる』
ぼくは頷いた。
『魔獣は、魔力を宿している分、身体能力も五感も優れているが、その分鼻が良すぎるからな。バジリスクの血があれば、そこを上手く利用出来る。瓶持ってるか?』
「持ってるけど、なんで?」なんだか、嫌な予感がした。
『その血をストックして、キャンプの周辺に撒けば、動物を追い払えるぞ』
ジェロームくんは、言語化が終わる前のぼくの思考を、言葉にした。
「……ぼくはやらないよ」
『じゃあ俺がやる』
「頼りになるね」
『はっはー、格好良いだろ』
「めっちゃイケメン」
『だからモテるんだ』
ぼくは、瓶を作ろうと思って、どれくらいのサイズが良いのかと考えた。「血って、どれくらいあれば良いの?」
『数滴周りに垂らすだけだから、小さいので良いと思う』
ぼくは、200mlくらいのサイズのガラス瓶を生み出した。「きみは、血の匂いは気にならないの?」
『魔法で鼻栓してる』
「見えないよ?」
『言葉の綾だよ。五感を調節してるんだ』言って、ジェロームくんはガラス瓶に触れた。
ガラス瓶は宙に浮いた。
ジェロームくんは、首を失ったバジリスクに近寄った。
ぼくは、すぐそこに落ちているドレスソードを見た。
刃こぼれ1つない。
綺麗な刃が、太陽の光を受けて、輝いていた。
美しい。
でも、こんなもの、必要ない。
ドレスソードは、指輪の形になって、ぼくの右手の中指に収まった。
ポケットに収まっている残り二つのタネも、指輪に変え、一つは右手の薬指に、もう一つは左手の中指にはめる。
こうして持ち歩いておこう。
そして、次に危機に遭遇したら、三つの指輪から一度に魔力を供給して、さっさと逃げ出そう。
ぼくは、両手を見た。
両手の中指と薬指に収まった、4つの指輪。
なんか柄悪いな……。
ぼくは、タネの一つをチェーンに変えて、もう一つのタネをオパールのペンダントトップに変えてチェーンに通し、首から下げた。
左手の薬指にはグロリアの指輪、右手の薬指にはタネ。
これで良いかな。
その時、そっ……、っと、周囲の気温が、静かに、急激に下がった。
静寂が深まり、耳鳴りも聴こえない。
次の瞬間、凍りついていた周囲の景色が砕け散った。
凍りついた草木が弾けるように砕け散り、その破片が、陽の光を浴びて、キラキラと光りながら、周囲に降り積もった。
半径300mの範囲が、周囲一帯、平らになり、見通しがよくなった。
陽の光を浴びて光り輝く一帯、その中心に、ぼくはいた。
視線を感じてそちらに目を向ければ、ジェロームくんが、ぼくを見ていた。彼は、優しく微笑んだ。『綺麗だろ?』
ぼくは頷いた。
『危険も無くなったし、今日はここでキャンプするか』ジェロームくんは、あくびをした。『また何かあれば、俺が守ってやる。でも、ソラには、もっと強くなって欲しい。ソラと過ごすのは楽しいが、俺もいつまでも一緒にいるわけじゃない』
「そうだね」
『ソラのことは好きだ。だから、もうこいつみたいなクズには良いようにあしらわれないな、って、安心出来る様になるまでは、一緒にいるよ。そうでなきゃ、俺は、ソラと別れた後の猫生を楽しめない』
「ぼくは、こんなキモい奴らには騙されないよ」
『油断するな。ソラは賢いが、寂しがり屋だからな』
「寂しがり屋? 冗談だろ。ぼくは一人の時間が好きだ」
『こういう奴らは、ソラみたいな奴を見つける目を持ってるし、ソラみたいな奴ら利用する術を持ってるし、自分の欲望を満たすために他人を利用するのに躊躇ない。同情する心は素敵だが、向ける相手を間違えるな。こいつらは、寂しさじゃなくて、敵害心と憎しみと八つ当たりと多大な自己愛で動いてるんだ』
ぼくは、それにはコメントせずに、指を振るい、半透明の魔力の膜で、シェルターを作った。
4m四方くらい。
ロフトも作ることにした。
念のため、膜には先ほどのものよりもかなり多めに魔力を注ぎ、太陽光と大気以外のあらゆる環境要因を遮断出来る性質を設定しておいた。
これで、もしもバジリスクに襲われたとしても、幾らかは耐えられるはずだ。
ぼくは、シェルターの中央に、バレーボールサイズの火の玉を置いた。
リュックサックから薪を取り出し、その火に放り込む。
半透明のシェルターの向こうで、ジェロームくんが、血の入った瓶を置いた。
彼は、シェルターの壁をカリカリした。
ぼくは、ジェロームくんの前のところに、彼が通れるくらいの、小さい穴を空けた。
『丈夫に作ったな』
「これなら大丈夫だよね?」
『だな。お腹空いた』
ぼくは、頷いた。
ジェロームくんにはキャットフードを与え、彼がそれを食べている間に、ぼくは新しいシチューを作ることにした。
ーーー
夜。
ぼくは、焚き火のそばで、シェルター越しに、空を見上げた。
満点の星空。
煌々と輝く月明かりと星明かり
それを受けて、バジリスクの体を覆う鱗が光っていた。
ぼくは、カップラーメンを啜りながら、その星々を見上げた。
元の世界でも見れた星座が、あちらこちらで光っている。
セントラル・ニホニアのホステルで、マークくんとビルギッタちゃんにあげたので、カップラーメンもインスタントヌードルも、残り少なくなっていた。
あちらで買ったお弁当やらなにやらはもうない。
今や、少なくなったカップラーメンと、シチューやカレーのルーや、さまざまな種類の缶詰だけが、あちらの世界の味となってしまった。
こちらのパスタや米は、なんだか味や風味が違う。
それはそれで美味しいのだけれど、やっぱり、慣れ親しんだ味を口にするとホッとする。
「君は昼は眠たいだろ?」
ぼくは、焚き火のそばで丸くなっているジェロームくんに言った。
『昼夜逆転したのは、もうずいぶん前のことさ。今や、昼も夜も関係ない。体内時計が狂っちまったんだ』
ぼくは頷いた。
日記は書き終えたので、ぼくは、本を読むことにした。
【ヴェルの冒険】の、ラシア編だ。
ヴェルも、ぼくと同じように、こうしてラシアの荒野や森や雪原でキャンプをして、星空を見たらしい。
こうして、空を見てみれば、ヴェルの文章を見て、彷彿とさせた情景と、実際の景色の違いがわかる。
かつて、ヴェルの冒険を読みながら思い浮かべた星空は、ぼくが今見ている景色よりも暗かった。
実際に目にしている、この景色の方が綺麗だ。
クラクラする。
そんな状態ながらも、ぼくは地面に背を向けながら、空に急上昇していた。
『バジリスクだ』
呼吸が出来ない。
目に涙が浮かんだ。
『落ち着け。ここまでならもう大丈夫だ。奴の全長は150m。もう1kmは上がった』ジェロームくんは、ぼくの首元から飛び上がって、空中に足をついた。
見れば、半透明の琥珀色の膜が、ぼくのすぐ足元に張られていた。
ぼくは、箒から崩れ落ちるように、その膜に横たわった。「なんなのアイツ……」ぼくは、膜の縁から、地面に向かってゲロを吐いた。
見れば、深緑色の巨大な蛇が大きな口を開け、そのゲロの塊に飛びついていた。
それを見たぼくは、追加で吐いた。
全部出し切ったみたいで、今度のゲロは透明だった。「きも……」
『口が悪いぞ』ジェロームくんは笑った。『よくやったな。ちゃんと逃げられたじゃんか』
「なんなのあいつ」ぼくは言った。
『バジリスクだ。冬は基本寝てるんだが、あのバカは冬眠し損ねたみたいだな』
「ズルズルって、アイツ?」
『みたいだな。ほら、マウスウォッシュしろ』
「ごめん。臭いよね」
『ゲロみたいな匂いだ』
「ゲロだからね」ぼくは、リュックサックから歯ブラシと歯磨き粉を取り出し、歯垢を落とす薬用液で、洗い流した。
吐き出したそれに、バジリスクが飛びついた。
ぼくの口から呻き声が漏れた。
ぼくは舌打ちをした。「……なんなのアイツマジで。許しがたいキモさなんだけど」
『バジリスクの肉は美味いんだぜ?』ジェロームくんは、自分の小さな手を舐めた。その先からは、爪がきらりと光っている。彼の琥珀色の目は、鋭くなっていて、どこか楽しそうだった。
「冗談……」全身に鳥肌が立った。「アイツぼくのゲロと歯磨き粉食ったんだよ? それを食うなんて……」
『でも美味いぜ』
「次そんなこと言ったら絶交だよ」
ジェロームくんは悲しそうな顔をした。『そんなっ!』
「美味しいご飯なら作ってあげるから」ぼくは、リュックサックからキャットフードを取り出し、小皿に落とした。
こんな時のために持ってきておいて良かった……、いや、こんな時のためじゃないけれど、こちらで可愛い猫に出逢ったら餌付けしたいと思ったのだ。
ジェロームくんは、クンクン、と、キャットフードの匂いを嗅ぐと、それを食べ始めた。『おっ、悪くない』
ぼくは頷いた。ぼくは、背中から倒れ込んだ。「あーもうっ」ぼくは叫んだ。「だるいっ、今日はもう動きたくない……」
『怖かったか?』
「そりゃもう」
『よし、じゃあ、アイツを殺そう』
「……そりゃちょっと過激すぎない?」
『良いんだよ。アイツは俺たちを食おうとした。それがゴングだ。審判はいないし、ゴングを鳴らしたのはアイツだ』
「ぼくはいいよ……。遠慮する。動物同士で勝手にやってな」
『良い練習になるぜ。ラシアの自然は危ない。今度はクマか、雪男か、オオカミか、なにに襲われるかわかったもんじゃない。その時も逃げれるとは限らないんだぞ。雪男は特に厄介だ。魔法を使うからな。そうなったら空に逃げても意味ない』
「雪男って魔法使えるの?」
『あぁ、氷柱を飛ばしてくる』
「あぁ、氷系の定番ね。知ってるよそれ。漫画で見たことある」
アイス・ショットっ! とか言いながら手の平から氷柱を飛ばしてくる雪男の姿が頭に浮かんだ。
『マンガってなんだ?』
「今度話す」ぼくは地上を見下ろして、悪態を吐き、再び空を見上げた。「まだいるよ……」
空は晴れ渡っていた。
爽やかな空。
地上には蛇の格好をした変態。
直立不動でこちらを見上げている。
奴の顔につばを吐いてやりたい気分だけれど、多分ご褒美にしかならないだろう。
「このままこの高さキープしてれば安全だよね」
『あぁ、でも良いのか? 戦闘の訓練をする良い機会だぜ?』
「それって将来なんかの役に立つわけ?」巨大な蛇との戦い方なんか学んだところで、今後の人生の役に立つとは思えなかった。
『例えば、ソラが将来仕事に就くだろ?』
「一生働きたくないでござる」
『でも、働くだろ? 必要な金額はそれぞれ異なるにしても、人は金を稼がなきゃいけない』
「良いよ。自分でシカでも狩って食べるよ」
『働けニート』
「こらっ、そんな悪い言葉どこで覚えてきたのっ!」ぼくは、ジェロームくんを叱った。
ジェロームくんは笑った。『良いから、話聞いてくれよ。例えば、将来何か仕事するとするだろ? そこの上司がモラパワハラのクソ野郎だったとするだろ?』
ぼくは頷いた。
『そいつに反撃する時の役に立つんだ。萎縮しないで済む』
「なるほどね」
『そ。あのヘビに比べれば』
「こんな禿げなんざカスみたいなもんだって」
『そ』
「なるほどね……、そういう効果もあるのね……」ぼくは空を見上げた。「でも、生き物殺すの、なんだかやだな……」
『お前のゲロ飲んだ奴だぜ?』
「変態だからって、それだけじゃ殺す理由にはならないよ」
『おかわり待ってるぜ?』
ぼくは、再び地上を見た。
まだいた。
こっちを見上げていた。
うわ……、最悪。
目が合った。
おい。
ウィンクやめろ。
『どっちにしろ俺は行く』
「気が立ってるね」
『当たり前だろ。食われかけたんだし』
「自分からトラブルに突っ込む必要ないでしょ」
『言ったろ? アイツの肉は──』「美味いのね。はいはい。止めないから、勝手にやってきてよ。ぼくはここで寝てる」
『ちなみに、ソラ』
「なに?」
『ソラが戦うなら、どんな手を使う?』
ぼくは少し考えた。「空から魔法を撃ちまくるか、地面を凍らせて動きを封じるかな」
『なるほどな』ジェロームくんは、足元に半透明の琥珀色の階段を生み出して、トコトコと降りていった。ジェロームくんは、直立不動でこちらを見上げるバジリスクの側で止まった。それなりに近いが、襲いかかってはこれない絶妙な距離を保っていた。
見れば、何か話をしているみたいだった。
ジェロームくんはぼくを見上げた。
なんか用でもあるみたいだ。
ぼくは、箒に乗って、ジェロームくんのそばに向かった。
バジリスクとかいう変態は200mほど下で、こちらを見上げてニヤニヤしていた。
『この紳士が、何か話があるんだと』と、ジェロームくんは、嫌そうな顔で言った。
「……なんですか?」ぼくは、変態を見下ろした。
バジリスクさんは、その分厚い舌をシュルシュルさせた。『ようねーちゃんっ! さっきのゲロ美味かったぜっ! もっとくれよっ!』
目眩がしてきた……。
ゲロを吐きそうになったけれど、ここで吐いたら、結果的にこの喋る生ゴミにくれてやることになりそうなので、堪えた。
「……やめてください」マジで気持ち悪い……。
『おかわりくれよっ! そしたら見逃してやるぜっ!』チロチロと、その赤い舌を揺らしながら、バジリスクはのたまった。
ジェロームくんはぼくを見た。『こんな奴だぜ?』
「もう知らない。勝手にやって」
ジェロームくんは、半透明の琥珀色の足場を消した。
彼の小さな体が、森に落ちて、見えなくなった。
次に起こったことは、一瞬の出来事だった。
彼の落ちた場所を中心に、半径300mほどが、一瞬で凍りついたのだ。
バジリスクの体が動きを止めた。
巨大な蛇の鱗が、赤い目が、そのしなやかな動きを見せていた赤い舌の先までもが、今では凍りついている。
バジリスクの体が倒れ込み、巨体の下敷きとなった周囲の木々が薙ぎ倒された。
鳥が空に舞い上がったりはしない。
みんな、この変態から逃げ、遠くへ行ってしまったのだろう。
『おーいっ、来いよっ!』と、森の中からジェロームくんの声が聞こえてきた。
ぼくは、箒に乗ってそちらへ向かった。
なんだか、恐怖はもうなかった。
嫌悪感と、怒りのような感情が、胸の中で渦巻いていた。
ジェロームくんは、凍りついたバジリスクの上を、トコトコ歩いていた。『どんなもんよ』ジェロームくんは誇らしげだった。
「すごいね……」
『トドメ刺すか?』
「このままで良いんじゃない?」
『刺さないなら、俺がやるけど』と、ジェロームくんは、爪の出た手を舐めた。『早く決めろよ。こいつら脱皮するからな。動けるようになるまで、せいぜい3分だ』
ぼくは、少し考えて、ポケットからタネを取り出した。
セントラル・ニホニアのホステルで、ノエルさんが作り方を教えてくれたもの。
ぼくの思考だけに反応し、姿を変える、ぼくだけの武器だ。
ぼくは、右手の中に、タネを握り込んだ。
タネは、ドレスソードに変わった。
ぼくはバジリスクを見た。
体太いな……。
そう思った途端に、ぼくのドレスソードの刃渡りが、3mほどにまで伸びた。
タネは、持ち主の意思と想像力に呼応して形を変える、と、ノエルさんは言っていた。
ぼくはそんなことこれっぽっちも望んでいなかったけれど、ぼくの心はどうやら、バジリスクを自分の手で仕留めたくてしょうがないようだった。
ぼくは、ドレスソードを握りながら、バジリスクの頭のそばに向かった。
バジリスクの赤い目が、ぼくを見た。
ぼくは、深呼吸をした。
手が汗ばむ。
ぼくは、深呼吸をした。
何度もした。
そして、ぼくは、剣を振り上げ、一思いに振り下ろし、その後、ぼくは、体の中が空っぽになるまで吐いた。
ーーー
ぼくは、目を覚ました。
気を失っていた。
ジェロームくんは、ぼくの顔を見下ろしていた。『落ち着いたか?』
ぼくは頷いた。
見てみれば、相変わらず、あの変態のバジリスクが倒れ込んでいた。
ぼくが奪った命。
アリを踏んだこともあったし、蚊を潰したこともあった。
一時期、肉を食べられない時期があった。
3歳くらいの頃、物心ついたばかりの頃。
生焼けの牛肉を食べて、妙な血生臭さを感じた。
その時、気がついたのだ。
ぼくは、生き物を食べているのだと。
それ以前までは、フライドチキンやハンバーグが生き物の肉を使った料理だなんて思っていなかった。
スーパーに行けば買えるもの、という認識でしかなかった。
それから、数年間、ぼくは野菜と乳製品しか口にしなかった。
そして、牛乳が、牛の血液から出来ているものだと知ると、牛乳も飲めなくなっていた。
思春期になって、久しぶりにハンバーガーを食べたら、ものすごく美味しかった。
それをきっかけに、ぼくはまた肉を食べられるようになった。
それでも、またしばらくは、肉を食べることが出来なさそうだ。
『今はまだ凍っているが、バジリスクの血を溶かせばその匂いが、バジリスクよりも弱い肉食動物を追い払ってくれる』
ぼくは頷いた。
『魔獣は、魔力を宿している分、身体能力も五感も優れているが、その分鼻が良すぎるからな。バジリスクの血があれば、そこを上手く利用出来る。瓶持ってるか?』
「持ってるけど、なんで?」なんだか、嫌な予感がした。
『その血をストックして、キャンプの周辺に撒けば、動物を追い払えるぞ』
ジェロームくんは、言語化が終わる前のぼくの思考を、言葉にした。
「……ぼくはやらないよ」
『じゃあ俺がやる』
「頼りになるね」
『はっはー、格好良いだろ』
「めっちゃイケメン」
『だからモテるんだ』
ぼくは、瓶を作ろうと思って、どれくらいのサイズが良いのかと考えた。「血って、どれくらいあれば良いの?」
『数滴周りに垂らすだけだから、小さいので良いと思う』
ぼくは、200mlくらいのサイズのガラス瓶を生み出した。「きみは、血の匂いは気にならないの?」
『魔法で鼻栓してる』
「見えないよ?」
『言葉の綾だよ。五感を調節してるんだ』言って、ジェロームくんはガラス瓶に触れた。
ガラス瓶は宙に浮いた。
ジェロームくんは、首を失ったバジリスクに近寄った。
ぼくは、すぐそこに落ちているドレスソードを見た。
刃こぼれ1つない。
綺麗な刃が、太陽の光を受けて、輝いていた。
美しい。
でも、こんなもの、必要ない。
ドレスソードは、指輪の形になって、ぼくの右手の中指に収まった。
ポケットに収まっている残り二つのタネも、指輪に変え、一つは右手の薬指に、もう一つは左手の中指にはめる。
こうして持ち歩いておこう。
そして、次に危機に遭遇したら、三つの指輪から一度に魔力を供給して、さっさと逃げ出そう。
ぼくは、両手を見た。
両手の中指と薬指に収まった、4つの指輪。
なんか柄悪いな……。
ぼくは、タネの一つをチェーンに変えて、もう一つのタネをオパールのペンダントトップに変えてチェーンに通し、首から下げた。
左手の薬指にはグロリアの指輪、右手の薬指にはタネ。
これで良いかな。
その時、そっ……、っと、周囲の気温が、静かに、急激に下がった。
静寂が深まり、耳鳴りも聴こえない。
次の瞬間、凍りついていた周囲の景色が砕け散った。
凍りついた草木が弾けるように砕け散り、その破片が、陽の光を浴びて、キラキラと光りながら、周囲に降り積もった。
半径300mの範囲が、周囲一帯、平らになり、見通しがよくなった。
陽の光を浴びて光り輝く一帯、その中心に、ぼくはいた。
視線を感じてそちらに目を向ければ、ジェロームくんが、ぼくを見ていた。彼は、優しく微笑んだ。『綺麗だろ?』
ぼくは頷いた。
『危険も無くなったし、今日はここでキャンプするか』ジェロームくんは、あくびをした。『また何かあれば、俺が守ってやる。でも、ソラには、もっと強くなって欲しい。ソラと過ごすのは楽しいが、俺もいつまでも一緒にいるわけじゃない』
「そうだね」
『ソラのことは好きだ。だから、もうこいつみたいなクズには良いようにあしらわれないな、って、安心出来る様になるまでは、一緒にいるよ。そうでなきゃ、俺は、ソラと別れた後の猫生を楽しめない』
「ぼくは、こんなキモい奴らには騙されないよ」
『油断するな。ソラは賢いが、寂しがり屋だからな』
「寂しがり屋? 冗談だろ。ぼくは一人の時間が好きだ」
『こういう奴らは、ソラみたいな奴を見つける目を持ってるし、ソラみたいな奴ら利用する術を持ってるし、自分の欲望を満たすために他人を利用するのに躊躇ない。同情する心は素敵だが、向ける相手を間違えるな。こいつらは、寂しさじゃなくて、敵害心と憎しみと八つ当たりと多大な自己愛で動いてるんだ』
ぼくは、それにはコメントせずに、指を振るい、半透明の魔力の膜で、シェルターを作った。
4m四方くらい。
ロフトも作ることにした。
念のため、膜には先ほどのものよりもかなり多めに魔力を注ぎ、太陽光と大気以外のあらゆる環境要因を遮断出来る性質を設定しておいた。
これで、もしもバジリスクに襲われたとしても、幾らかは耐えられるはずだ。
ぼくは、シェルターの中央に、バレーボールサイズの火の玉を置いた。
リュックサックから薪を取り出し、その火に放り込む。
半透明のシェルターの向こうで、ジェロームくんが、血の入った瓶を置いた。
彼は、シェルターの壁をカリカリした。
ぼくは、ジェロームくんの前のところに、彼が通れるくらいの、小さい穴を空けた。
『丈夫に作ったな』
「これなら大丈夫だよね?」
『だな。お腹空いた』
ぼくは、頷いた。
ジェロームくんにはキャットフードを与え、彼がそれを食べている間に、ぼくは新しいシチューを作ることにした。
ーーー
夜。
ぼくは、焚き火のそばで、シェルター越しに、空を見上げた。
満点の星空。
煌々と輝く月明かりと星明かり
それを受けて、バジリスクの体を覆う鱗が光っていた。
ぼくは、カップラーメンを啜りながら、その星々を見上げた。
元の世界でも見れた星座が、あちらこちらで光っている。
セントラル・ニホニアのホステルで、マークくんとビルギッタちゃんにあげたので、カップラーメンもインスタントヌードルも、残り少なくなっていた。
あちらで買ったお弁当やらなにやらはもうない。
今や、少なくなったカップラーメンと、シチューやカレーのルーや、さまざまな種類の缶詰だけが、あちらの世界の味となってしまった。
こちらのパスタや米は、なんだか味や風味が違う。
それはそれで美味しいのだけれど、やっぱり、慣れ親しんだ味を口にするとホッとする。
「君は昼は眠たいだろ?」
ぼくは、焚き火のそばで丸くなっているジェロームくんに言った。
『昼夜逆転したのは、もうずいぶん前のことさ。今や、昼も夜も関係ない。体内時計が狂っちまったんだ』
ぼくは頷いた。
日記は書き終えたので、ぼくは、本を読むことにした。
【ヴェルの冒険】の、ラシア編だ。
ヴェルも、ぼくと同じように、こうしてラシアの荒野や森や雪原でキャンプをして、星空を見たらしい。
こうして、空を見てみれば、ヴェルの文章を見て、彷彿とさせた情景と、実際の景色の違いがわかる。
かつて、ヴェルの冒険を読みながら思い浮かべた星空は、ぼくが今見ている景色よりも暗かった。
実際に目にしている、この景色の方が綺麗だ。
0
あなたにおすすめの小説
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
公爵令嬢は結婚式当日に死んだ
白雲八鈴
恋愛
今日はとある公爵令嬢の結婚式だ。幸せいっぱいの公爵令嬢の前に婚約者のレイモンドが現れる。
「今日の結婚式は俺と番であるナタリーの結婚式に変更だ!そのドレスをナタリーに渡せ!」
突然のことに公爵令嬢は何を言われたのか理解できなかった。いや、したくなかった。
婚約者のレイモンドは番という運命に出逢ってしまったという。
そして、真っ白な花嫁衣装を脱がされ、そのドレスは番だという女性に着させられる。周りの者達はめでたいと大喜びだ。
その場所に居ることが出来ず公爵令嬢は外に飛び出し……
生まれ変わった令嬢は復讐を誓ったのだった。
婚約者とその番という女性に
『一発ぐらい思いっきり殴ってもいいですわね?』
そして、つがいという者に囚われた者の存在が現れる。
*タグ注意
*不快であれば閉じてください。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
異世界ママ、今日も元気に無双中!
チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。
ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!?
目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流!
「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」
おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘!
魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる