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サークル見学
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大学に着き、一番思ったのは女性の多さ。もちろん、ここは女性区域の中の大学のわけだし、女性が多いのは普通のこと。
それでも予想していたよりも多くてちょっと圧倒されてしまった。
僕が登校するのは今日が初めてということもあって、今日は理事長室でこれからの学校生活について話すことが主にやることだった。
お昼ごろには理事長室を出て、僕は双葉さんと一緒に校舎外に出た。
少しずつ大学の地理に関しても理解が進んできたので、色々と歩き回りたい気分。でも、そんなことをしたら黒服の人たちの仕事が増えちゃうので少し気が引ける。
今までリモートで大学の講義を受けているだけでサークルなどに関して考えたことなかった。でも今はしっかりと大学に来て講義を受けているのでサークルの見学とかも出来るし、許してもらえるのであれば所属もしてみたい。
小学校、中学校、高校と男の区域の中の学校に通っていたので部活に所属したことはある。でも、大学は高校よりもサークルも数が多くて本当に多様だ。
僕は後ろを歩く双葉さんに向き直り、聞いてみることにした。
「あ、あの…サークルの見学とかって出来たりしますか?」
「見学ですか?」
「はい、ちょっと色々と見て回りたいなぁと思いまして」
「分かりました。理事長に確認を取ります」
双葉さんが慣れた手つきでスマホを操作して電話を掛ける。数コールもしないうちに出たようで双葉さんは電話越しに理事長と話している。
数分してスマホを耳から離して双葉さんは僕に視線を向けてきた。
「理事長の確認が取れました。見学しても大丈夫だそうです」
「よかったです。では、見学しますね」
「わかりました。何度も言いますが、自分の側から離れるようなことはしないでくださいね」
「はい、双葉さんの近くにいます」
それからまずは外で活動しているサークルや部活を見て回ることにした。
僕が見に行くと皆が手を止めてしまうので、少し申し訳ない気持ちがあるもののやっぱり大学に来たからには見ていきたい。
まず最初に向かったのはテニスサークル。
今いる場所から一番近くで活動しているのがテニスサークルだし、素直にテニスにはちょっと興味がある。
「双葉さんってテニスとかしたことありますか?」
「すいません、自分はしたことないです」
「そうなんですね。僕もやったことはないので少し気になっているんです」
もちろん男性区域の学校でもテニス部とかはある。でも、僕は今まで一度もチャレンジすることがなかった。見る機会もあんまりなかったし。
ここでしっかりと見学させてもらおう。
テニスサークルが練習しているところまで来るとまずは部員の方に説明する。まずは見る許可を貰わないことには。
髪色が少し目立つ赤色をしていたし、なんかテニスをしている姿に引かれる形で話変えた。
「あ、あの…ちょっと見学させてもらっても大丈夫ですか?」
「う、うん。大丈夫だと思う」
「ありがとうございます」
了承を取れたので邪魔にならないように少し離れたところに位置する。やっぱり僕が来たところで手を止めてしまっている方がいることは少し申し訳ない気持ちになる。
男という性別がこの場にいること自体がとても珍しいので注目を集めてしまうのは仕方ないと言えば仕方ないんだと思うけど。
少し後ろに立っている双葉さんはテニスをしている人たちを見ているというより、ずっと僕を見ている。
「あ、あの、双葉さん?」
「なんですか?」
「僕を見ずにテニスを見たらどうですか。僕の背中なんかを見ていても何も楽しくないと思いますよ」
「いえ、自分の役目は葉山様を護ることですので」
「それでもずっと見てもらう必要はないです」
「葉山様が何をおっしゃっても絶対にあなた様から自分が視線を外すことはありません」
双葉さんの覚悟はもう決まっているようだ。これは僕がいくら意見を言っても無駄だろうと判断して僕は視線をテニスをしている人たちの方に移した。
テニスをしている人たちの中でもさっき話し掛けた赤髪の女性は特に目立つ。それは髪色もあるけど、何より彼女のスマッシュや体のしなやかな動きなど一目を引くというか、目を釘付けにされる。たぶん、それは彼女が真剣に取り組んでいるからというのもあるのかな。
それから数分ぐらい眺め、長く留まるのも悪いので挨拶をして立ち去る事にした。最初に挨拶をした人と同じ、赤髪の人のところに近寄る。
「とても素晴らしいですね」
僕の言葉に赤髪の女性は疑問を感じているようだった。
「素晴らしい?」
「はい、僕は生まれてこの方、運動系の部活に入ったことがないのでこんな風に一生懸命に体を動かして練習しているところが凄いと思ったんです。特にあなたの真剣に取り組んでいる姿はとってもカッコよかったです!」
一つのことに対して真摯に取り組んでいる姿勢というのは本当にすごい。自分が今までそういうことをしてこなかったからこそ、余計にそう思う。
「テニスサークルの練習を見に来てよかったです」
「…それならよかった」
「また見に来てもいいですか?」
「…構いません。それにボクに許可を求める必要はないと思う」
「じゃあまた見に来ますね!」
「…はい」
そして僕は踵を返して、次のサークルへと向かうことにした。もちろん後ろから双葉さんはしっかりと付いて来ました。
それでも予想していたよりも多くてちょっと圧倒されてしまった。
僕が登校するのは今日が初めてということもあって、今日は理事長室でこれからの学校生活について話すことが主にやることだった。
お昼ごろには理事長室を出て、僕は双葉さんと一緒に校舎外に出た。
少しずつ大学の地理に関しても理解が進んできたので、色々と歩き回りたい気分。でも、そんなことをしたら黒服の人たちの仕事が増えちゃうので少し気が引ける。
今までリモートで大学の講義を受けているだけでサークルなどに関して考えたことなかった。でも今はしっかりと大学に来て講義を受けているのでサークルの見学とかも出来るし、許してもらえるのであれば所属もしてみたい。
小学校、中学校、高校と男の区域の中の学校に通っていたので部活に所属したことはある。でも、大学は高校よりもサークルも数が多くて本当に多様だ。
僕は後ろを歩く双葉さんに向き直り、聞いてみることにした。
「あ、あの…サークルの見学とかって出来たりしますか?」
「見学ですか?」
「はい、ちょっと色々と見て回りたいなぁと思いまして」
「分かりました。理事長に確認を取ります」
双葉さんが慣れた手つきでスマホを操作して電話を掛ける。数コールもしないうちに出たようで双葉さんは電話越しに理事長と話している。
数分してスマホを耳から離して双葉さんは僕に視線を向けてきた。
「理事長の確認が取れました。見学しても大丈夫だそうです」
「よかったです。では、見学しますね」
「わかりました。何度も言いますが、自分の側から離れるようなことはしないでくださいね」
「はい、双葉さんの近くにいます」
それからまずは外で活動しているサークルや部活を見て回ることにした。
僕が見に行くと皆が手を止めてしまうので、少し申し訳ない気持ちがあるもののやっぱり大学に来たからには見ていきたい。
まず最初に向かったのはテニスサークル。
今いる場所から一番近くで活動しているのがテニスサークルだし、素直にテニスにはちょっと興味がある。
「双葉さんってテニスとかしたことありますか?」
「すいません、自分はしたことないです」
「そうなんですね。僕もやったことはないので少し気になっているんです」
もちろん男性区域の学校でもテニス部とかはある。でも、僕は今まで一度もチャレンジすることがなかった。見る機会もあんまりなかったし。
ここでしっかりと見学させてもらおう。
テニスサークルが練習しているところまで来るとまずは部員の方に説明する。まずは見る許可を貰わないことには。
髪色が少し目立つ赤色をしていたし、なんかテニスをしている姿に引かれる形で話変えた。
「あ、あの…ちょっと見学させてもらっても大丈夫ですか?」
「う、うん。大丈夫だと思う」
「ありがとうございます」
了承を取れたので邪魔にならないように少し離れたところに位置する。やっぱり僕が来たところで手を止めてしまっている方がいることは少し申し訳ない気持ちになる。
男という性別がこの場にいること自体がとても珍しいので注目を集めてしまうのは仕方ないと言えば仕方ないんだと思うけど。
少し後ろに立っている双葉さんはテニスをしている人たちを見ているというより、ずっと僕を見ている。
「あ、あの、双葉さん?」
「なんですか?」
「僕を見ずにテニスを見たらどうですか。僕の背中なんかを見ていても何も楽しくないと思いますよ」
「いえ、自分の役目は葉山様を護ることですので」
「それでもずっと見てもらう必要はないです」
「葉山様が何をおっしゃっても絶対にあなた様から自分が視線を外すことはありません」
双葉さんの覚悟はもう決まっているようだ。これは僕がいくら意見を言っても無駄だろうと判断して僕は視線をテニスをしている人たちの方に移した。
テニスをしている人たちの中でもさっき話し掛けた赤髪の女性は特に目立つ。それは髪色もあるけど、何より彼女のスマッシュや体のしなやかな動きなど一目を引くというか、目を釘付けにされる。たぶん、それは彼女が真剣に取り組んでいるからというのもあるのかな。
それから数分ぐらい眺め、長く留まるのも悪いので挨拶をして立ち去る事にした。最初に挨拶をした人と同じ、赤髪の人のところに近寄る。
「とても素晴らしいですね」
僕の言葉に赤髪の女性は疑問を感じているようだった。
「素晴らしい?」
「はい、僕は生まれてこの方、運動系の部活に入ったことがないのでこんな風に一生懸命に体を動かして練習しているところが凄いと思ったんです。特にあなたの真剣に取り組んでいる姿はとってもカッコよかったです!」
一つのことに対して真摯に取り組んでいる姿勢というのは本当にすごい。自分が今までそういうことをしてこなかったからこそ、余計にそう思う。
「テニスサークルの練習を見に来てよかったです」
「…それならよかった」
「また見に来てもいいですか?」
「…構いません。それにボクに許可を求める必要はないと思う」
「じゃあまた見に来ますね!」
「…はい」
そして僕は踵を返して、次のサークルへと向かうことにした。もちろん後ろから双葉さんはしっかりと付いて来ました。
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