大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太

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一章 クソみたいな女神とクソみたいな異世界転移

第十二話 虚ろなる武士

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 次の日、白緑の草原に行く準備をする為様々な設備が整っているギルドに早朝に向かった。

「さてと。防具屋はと・・・」

「やっほー!コウスケ!!今日はちょっと雲が多いね!!」

「うおぅ!?アンリか。びっくりさせないでくれよ」

 今日も元気なアンリの登場。今日は黄色の柄が入った赤いリボンをつけており、右手には依頼書らしき羊皮紙が握られている。また誘いに来たのだろうか?なら、今日は白緑の草原に向かうからはっきりと断れなければ・・・。

「コウスケ!今日こそ一緒に依頼に行こう!!コボルトっていう二足歩行の犬っぽい魔物の討伐なんだけどね!今回大量発生しちゃったから冒険者を大勢募集してるんだって!!」

 コボルト。前の世界でやっていたRPGに敵として出てきた事がある。ゲームでは雑魚キャラだったが、こちらの世界ではどのくらい強いのだろう?気になる。しかし、今日は絶縁草の採りに行かなくちゃならないんだ・・・。

「場所は白緑の草原!凄い近いからすぐに帰ってこれるよ!」

「乗ったぁ!!」

 最高だ。


 30分後、討伐の準備を終えた幸助はアンリと共に集合場所である城下町の出入り口までやってきた。集合場所では既に20人もの冒険者達が待機しており、これから向かう戦に向けて闘志を高めている。

「貴方がたもコボルト討伐の参加者ですか?」

「はい」「はい!!」

「では、もうすぐ説明が始まりますのでお待ちください・・・」

 スタッフのような人までいるのか。これはかなりの貴族か地主が依頼主なのではないだろうか?そんな事を考えながら冒険者が集まっている場所を歩いていると、周りが見えていなくて誰かにぶつかってしまった。

「すみません。周りが見えていませんでした・・・・・・・・・ん?」

 どうしたのだろう?相手からの返事がない。不思議に思ってぶつかってしまった人の顔を見る。しかし、笠らしき物を被っており顔が良く見えない。見えるのは後ろで結んだ黒い髪と口元のみ。背は俺より少し高いな。笠だけじゃない、服は袴を着用し、腰には日本刀に似た剣を帯びている。この世界の日本人に当たる人だろうか?

「・・・・・・」

 日本人らしき謎の男は俺の謝罪を見てない以前に俺とぶつかった事に気付いていない様子だ。歩き方もおかしい。まるで何もかも失ったかのような・・・押したら転んでしまいそうな危ない歩き方をしている。すでに火が消えてしまった蝋燭を見ている気分になる。

「コウスケ、あの人が気になるの?」

「ああ。俺のいた世界の昔の恰好をしてるんだ。アンリは知ってるの?」

「あんまり知らない。ずっと前からギルドに所属してる人から聞いた話だと1年以上ギルドに所属してるけど、一言も言葉を発しないし、誰とも話さないんだって。素顔も希望を失ったような~燃え尽きたような~面白くない顔してるらしいよ」

「世捨て人かな?」

「わかんない。でも、いざ戦ったらすんごく強いんだって!この討伐に参加したのもあの人の強さを見る為でもあるんだ!!」

 一見すると、関わらない方が良い・・・というか関わる事ができない人物。しかし、服装からか、何故か興味を持ってしまう。依頼が終わったら無理にでも話しかけてみようか。

「コウスケ!依頼主さん来たよ!」

 アンリに服を引っ張られ、指さす方向を向くと、ふくよかな貴族の男性が俺ら冒険者の前に現れた。

「冒険者の諸君。おはよう。今日は緊急だというのにこんなにも集まってくれて心の底から感謝する。依頼書を見ていると思うので既に知っているとは思うが、今回コボルトが白緑の草原で大量発生してしまった。このままだとその近くにある私の経営する農場が潰されてしまう。君達にはそうなる前にコボルトを退治してほしい。報酬はコボルト1体で4000アモだ。換金する場合は死体をしっかりと持ってくるように。首だけでも換金対象とする」

 一匹で4000アモ!?流石は貴族!!体だけじゃなく心まで太っ腹だ。他の冒険者達も歓喜し、雄たけびを上げ、口笛を鳴らす。

「ただし!条件がある。今回はコボルトの数がとても多い為、ソロで討伐する事を禁止とする。私の農場を守る為に人が死んだとなると後味が悪いからな。ソロで来てしまった者は至急パーティを組むように!!」

 少しだけだが、冒険者達が不満を呟く。もらえる報酬が減ってしまうからだろう。俺は絶縁草を取るついでに行くだけなのでそこまで不満は無いが、このままだと討伐に行くことができない、なんとしてでも3人集めないt──────

「勿論、私と組むよね?」

「え?あ、うん」

 何としてもあと2人集めn──────

「あっ!アンリちゃん!一緒に一緒にパーティ組m──────ゲッ」

 と思っていたが、アンリにお熱な魔術師が街灯に誘われた蛾の如くやってきた。嫌いなのは分かってるから本人の前では不機嫌な態度はちょっと萎えるから萎えるからやめてほしい。

「さて、残るは1人か・・・まだまだパーティを組めていない人はいる。その中から経験が豊富そうな人を見つけてパーティに招待するか・・・」

 残りの1人を探す為、目を動かす。背の高い女性僧侶・・・駄目だ、引き抜かれてしまった。小柄な女性魔術師・・・ああ、出遅れて他のパーティに取られてしまった。日本人らしき男・・・・・・誰にも声をかけられず、棒立ちしている。

「・・・行ってみるか。あの、すみません!!そこの方!!」

 かなり大きな声で話しかける。けれども返事はない。自分の事ではないと思っているのか、気付いていないのか。外見の特徴を言ったら反応を示すだろうか?

「そこの袴を着てる剣士の方!日本刀を携えて笠を被っている貴方!!」

 しっかりと特徴を言うと、ピクリと日本風の男は動き、俺の方を向き、囁くように言った。

「拙者は・・・武士だ」

「あ、そうなんですか・・・鎧着てなかったんで分からなかったです」

「そうか・・・して、若いの。何様だ?」

「あの~もし良ければ一緒にパーティ組めたらな~って・・・ダメだったら他を回りますのでご心配なく」

「そうか・・・分かった。入ろう」

「本当ですか!?ありがとうございます!!」

 ダメもとで行って正解だった。そして周りの人がざわめていいる。アイツが喋ったぞと驚いている。本当に今まで喋っていなかったようだ。

「どうやら準備は出来たようですね。では、出発します」

 意外に簡単にパーティを組むことができた俺らは貴族の雇われ人の指示に従って白緑の草原へと向かうのであった。
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