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一章 クソみたいな女神とクソみたいな異世界転移
第十八話 【速報】幸助と蘭丸、別の神を崇める事にする
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「ふう・・・これで自由の身か。
儀式を終えた蘭丸さんは着物の袖をまくり、アモーラ教の紋様がついていないか確認する。露出した右肩には綺麗な素肌だけが残っていた。
「右肩の入れ墨・・・無い。女神の声・・・聞こえない」
「どうやら今のも成功だったようで良かったです。おめでとうございます、ランマルさん。貴方はこれで自由の身です」
「はい・・・本当に情報だけでなく、女神からも解放していただき、誠にありがとうございます。この御恩どうやって返したらいいのでしょうか?」
「いえいえ!お礼なんていりませんよ。ただ、私の存在を覚えてくれていればそれで充分です」
「・・・その程度でよろしいのですか?」
「はい。覚えていただけるだけで私は生きながらえる事が出来ますから」
相変わらずラコルト様の遠慮深い性格は関心させられる。俺からも何か報いる事は出来れば良いのだが・・・・そうだ!!
「ラコルト様。今、貴方の事を信仰している人ってどれくらいいます?」
「・・・恥ずかしながら1人もございません」
「申し訳ございません・・・農民であるワシらが一番信仰するべきなのでしょうが、既に他の神を崇めてしまっています。その神には幾度も助けていただいたので抜けるわけにはいかないのです」
「そうですか・・・信仰者がいないとどうなるんです?」
「神としての力を使う事は出来ません。豊作の神としての力を・・・全く・・・」
そう語るラコルト様の表情はとても悲しいもので、見ている俺も悲しくなってしまう。何故、こんなにも良い神様が良い目に合っていないんだ?不公平だ。良い人には賞賛と褒美を、悪い人には罪と罰を。それこそが本来あるべき常識であると俺は考えている。まあ、ラコルト様は人ではなく神なのだが・・・。
「では、お礼と言ってはなんですが、俺を貴方の信者にしてもらう事は可能でしょうか?そしたら貴方に神としての力が蘇る」
人である俺が出来る最大の恩返し。それは、信者になる事だった。しかし、遠慮深くて優しいラコルト様の事だ。当然断るだろう。
「いえいえ!そんなの悪いです!それに冒険者である貴方が豊作の神と契約を結んだ所で何もメリットはないじゃないですか!!」
「いいえ、そんな事はありません。ラコルト様が力を取り戻す事によって、作物が多く収穫できるようになり、野菜の物価が安くなる。野菜が安くなった事で食費が減り、お金を他に回す事ができる。意味がないように見えて十分ッ契約価値があるんですよ!!」
「それに作物が多く育てば食べ物が足りていない民にも野菜が行き渡るようになる・・・これは契約するべきだな。ラコルト様!拙者も信者にしていただけないだろうか?」
流石は民を守る為に戦う武士だ。自分の利益だけを考える俺とはわけが違う。そして蘭丸さんナイス追撃だ。その口説き文句はラコルト様に良く効くぞ!!
「う~~~ん・・・そ、そんなに望むのなら・・・分かりました。契約を結びましょう!」
「よっしゃぁ!!」
「ですが、私は駆け出しの神という事もあり、契約の儀式の形が完成していません。ですので、少し古いですが、簡単な契約方法で私と契約を──────」
「それって、『結び草』を用いた儀式ですか?絡みあった草を互いに解く事で契約が成立できるっていう。絶縁草を採るついでに採ってきましたよ。若い恋人に人気だっていうから売れるかなって。勿論複数個用意してますんで、蘭丸さん、どうぞ」
「感謝する」
「流石はコウスケさんですね。調べるだけでなく、既に取って来てあるとは。では、早速始めましょう!!」
遠慮はしているが、やはり信者が増えるのは嬉しいのだろう。少しだけテンションが高い。
幸助は、リュックからこんがらがった細くて白い草を取り出すと、ラコルトと一緒に丁寧に解き始める。すると、どういう原理だろうか?幸助の右肩にアモーラ教の証とは違う紋様が刻まれ始めたのだ。刻まれたのは稲穂を大事そうに抱くラコルトの紋様。ラコルトを信仰する者の証である。
「ははは・・・やはり自分が描かれている紋様を見るのは何十年経っても恥ずかしい・・・昔、この形で申請した自分を一発殴りたくなります・・・・」
頬を赤らめながら恥ずかしそうに笑うラコルト様・・・・この紋様、自分で決められるんだ・・・。
結び草を解き終わる頃には右肩には全く新しい紋様が浮かび上がっていた。ラコルト様は恥ずかしがっているが、とても良いデザインだ。
「ちなみに契約したらラコルト様の声が聞こえる様になるとかは無いですよね?あれ、凄い気持ち悪くて嫌いなんですよね」
「大丈夫ですよ。あれは信者が多い神にのみ許された力ですから。それにもし、出来るとしても相手が嫌な気持ちになるならやりませんよ」
解き終わると同時にラコルト様も全身が光り始める。石像から現れる時とは性質の違う光だ。なんとなくだが、神々しさを感じる。
しばらく経ち、光り終わったラコルト様は先程よりも表情は明るく、ほんの僅かだが体に肉がついた様な気もする。たった1人の信仰心でこんなにも変わるものなんだな。
「ありがとうございます、コウスケさん。これで私はほんの少しですが力を取り戻すことが出来ました。まだまだ全力を出すことは出来ませんが、この位ならできるようになりました。
ラコルトの手の平に光の玉が発生。光の玉をまだ種を植えたばかりの畑に向かって優しく投げる。すると、なんという事だろう!まだ植えたばかりだというのにもう発芽したではないか!!
「す、すげぇ!!これがラコルト様のお力!!」
「これで全力じゃねえのか!?すんげぇなぁ!ラコルト様はよぉ!!」
「えへへ・・・どうも」
照れるラコルト様もまた可愛い。
「それじゃあ、次は拙者だな。ラコルト様」
「はいはい!」
蘭丸さんの腕にもラコルト教の証が刻まれる。そして再び光るラコルト様。
「まさか、再び力が使えるようになるとは・・・今日は最高の日です!!ありがとうこざいます!お二人とも!!」
お礼を言うべきは俺たちの方なのだろうが、本人が喜んでいるから細かい事は気にしないでいいか。
こうして幸助と蘭丸はアモーラ信者改めラコルト信者となった。
幸助はアモーラから解放され、蘭丸は目的ができ、ラコルトは神の力を取り戻した。ラコルトの言う通り、最高の日に違いないだろう。
★
帰り道の馬車の中、俺と蘭丸さんはこれからの予定を一緒に考えて、今ほとんどまとまりつつあった。
「では、蘭丸さんは俺とパーティを組んで遠征依頼を中心にこなしていき、蘭丸さんは遠征先で記憶の女神の信者を探すという事でよろしいでしょうか?」
「ああ、これからよろしく頼む」
「ええ、こちらこそ」
そういうと2人は熱い握手を交わす。男の固い友情の完成である。この友情は例え住んでいる場所や時代が違くても大体は成立する便利な友情だ。
「そういえば、幸助。お主は一体何が原因で死んだのだ?」
「俺は癌という現代の課題とされている病気が原因です。勉強に集中していて進行に全く気づいていませんでした」
「そうか、お主も病か。実は拙者も病にてこの世界に来た身。確か病気の名は・・・・そう、黒死病!身体が黒く変色する病気でな、海外から来たらしいんだ」
「へぇ~黒死病ですか~・・・ん?」
幸助の表情がいきなり険しくなる。何か違和感を感じた様だ。そして、幸助はその違和感にすぐに気づけたようだ。
「蘭丸さん。俺は前の世界では、色々な世界の歴史を学んできました。勿論黒死病の事も知っています。いつ、どのように日本にやってきたのかも」
「ほう、それは一体いつなのだ?」
幸助は大きく息を吸って覚悟を決めると、ゆっくりと蘭丸の方を向き、語る。
「良いですか?落ち着いて聞いてくださいね?黒死病、海外ではペストと呼ばれている病気はですね・・・1899年、つまりは貴方が死んだ300年以上後に日本に侵入してきたんですよ」
「な、なんだと・・・・・・」
空はまだ曇り続ける様だ。
儀式を終えた蘭丸さんは着物の袖をまくり、アモーラ教の紋様がついていないか確認する。露出した右肩には綺麗な素肌だけが残っていた。
「右肩の入れ墨・・・無い。女神の声・・・聞こえない」
「どうやら今のも成功だったようで良かったです。おめでとうございます、ランマルさん。貴方はこれで自由の身です」
「はい・・・本当に情報だけでなく、女神からも解放していただき、誠にありがとうございます。この御恩どうやって返したらいいのでしょうか?」
「いえいえ!お礼なんていりませんよ。ただ、私の存在を覚えてくれていればそれで充分です」
「・・・その程度でよろしいのですか?」
「はい。覚えていただけるだけで私は生きながらえる事が出来ますから」
相変わらずラコルト様の遠慮深い性格は関心させられる。俺からも何か報いる事は出来れば良いのだが・・・・そうだ!!
「ラコルト様。今、貴方の事を信仰している人ってどれくらいいます?」
「・・・恥ずかしながら1人もございません」
「申し訳ございません・・・農民であるワシらが一番信仰するべきなのでしょうが、既に他の神を崇めてしまっています。その神には幾度も助けていただいたので抜けるわけにはいかないのです」
「そうですか・・・信仰者がいないとどうなるんです?」
「神としての力を使う事は出来ません。豊作の神としての力を・・・全く・・・」
そう語るラコルト様の表情はとても悲しいもので、見ている俺も悲しくなってしまう。何故、こんなにも良い神様が良い目に合っていないんだ?不公平だ。良い人には賞賛と褒美を、悪い人には罪と罰を。それこそが本来あるべき常識であると俺は考えている。まあ、ラコルト様は人ではなく神なのだが・・・。
「では、お礼と言ってはなんですが、俺を貴方の信者にしてもらう事は可能でしょうか?そしたら貴方に神としての力が蘇る」
人である俺が出来る最大の恩返し。それは、信者になる事だった。しかし、遠慮深くて優しいラコルト様の事だ。当然断るだろう。
「いえいえ!そんなの悪いです!それに冒険者である貴方が豊作の神と契約を結んだ所で何もメリットはないじゃないですか!!」
「いいえ、そんな事はありません。ラコルト様が力を取り戻す事によって、作物が多く収穫できるようになり、野菜の物価が安くなる。野菜が安くなった事で食費が減り、お金を他に回す事ができる。意味がないように見えて十分ッ契約価値があるんですよ!!」
「それに作物が多く育てば食べ物が足りていない民にも野菜が行き渡るようになる・・・これは契約するべきだな。ラコルト様!拙者も信者にしていただけないだろうか?」
流石は民を守る為に戦う武士だ。自分の利益だけを考える俺とはわけが違う。そして蘭丸さんナイス追撃だ。その口説き文句はラコルト様に良く効くぞ!!
「う~~~ん・・・そ、そんなに望むのなら・・・分かりました。契約を結びましょう!」
「よっしゃぁ!!」
「ですが、私は駆け出しの神という事もあり、契約の儀式の形が完成していません。ですので、少し古いですが、簡単な契約方法で私と契約を──────」
「それって、『結び草』を用いた儀式ですか?絡みあった草を互いに解く事で契約が成立できるっていう。絶縁草を採るついでに採ってきましたよ。若い恋人に人気だっていうから売れるかなって。勿論複数個用意してますんで、蘭丸さん、どうぞ」
「感謝する」
「流石はコウスケさんですね。調べるだけでなく、既に取って来てあるとは。では、早速始めましょう!!」
遠慮はしているが、やはり信者が増えるのは嬉しいのだろう。少しだけテンションが高い。
幸助は、リュックからこんがらがった細くて白い草を取り出すと、ラコルトと一緒に丁寧に解き始める。すると、どういう原理だろうか?幸助の右肩にアモーラ教の証とは違う紋様が刻まれ始めたのだ。刻まれたのは稲穂を大事そうに抱くラコルトの紋様。ラコルトを信仰する者の証である。
「ははは・・・やはり自分が描かれている紋様を見るのは何十年経っても恥ずかしい・・・昔、この形で申請した自分を一発殴りたくなります・・・・」
頬を赤らめながら恥ずかしそうに笑うラコルト様・・・・この紋様、自分で決められるんだ・・・。
結び草を解き終わる頃には右肩には全く新しい紋様が浮かび上がっていた。ラコルト様は恥ずかしがっているが、とても良いデザインだ。
「ちなみに契約したらラコルト様の声が聞こえる様になるとかは無いですよね?あれ、凄い気持ち悪くて嫌いなんですよね」
「大丈夫ですよ。あれは信者が多い神にのみ許された力ですから。それにもし、出来るとしても相手が嫌な気持ちになるならやりませんよ」
解き終わると同時にラコルト様も全身が光り始める。石像から現れる時とは性質の違う光だ。なんとなくだが、神々しさを感じる。
しばらく経ち、光り終わったラコルト様は先程よりも表情は明るく、ほんの僅かだが体に肉がついた様な気もする。たった1人の信仰心でこんなにも変わるものなんだな。
「ありがとうございます、コウスケさん。これで私はほんの少しですが力を取り戻すことが出来ました。まだまだ全力を出すことは出来ませんが、この位ならできるようになりました。
ラコルトの手の平に光の玉が発生。光の玉をまだ種を植えたばかりの畑に向かって優しく投げる。すると、なんという事だろう!まだ植えたばかりだというのにもう発芽したではないか!!
「す、すげぇ!!これがラコルト様のお力!!」
「これで全力じゃねえのか!?すんげぇなぁ!ラコルト様はよぉ!!」
「えへへ・・・どうも」
照れるラコルト様もまた可愛い。
「それじゃあ、次は拙者だな。ラコルト様」
「はいはい!」
蘭丸さんの腕にもラコルト教の証が刻まれる。そして再び光るラコルト様。
「まさか、再び力が使えるようになるとは・・・今日は最高の日です!!ありがとうこざいます!お二人とも!!」
お礼を言うべきは俺たちの方なのだろうが、本人が喜んでいるから細かい事は気にしないでいいか。
こうして幸助と蘭丸はアモーラ信者改めラコルト信者となった。
幸助はアモーラから解放され、蘭丸は目的ができ、ラコルトは神の力を取り戻した。ラコルトの言う通り、最高の日に違いないだろう。
★
帰り道の馬車の中、俺と蘭丸さんはこれからの予定を一緒に考えて、今ほとんどまとまりつつあった。
「では、蘭丸さんは俺とパーティを組んで遠征依頼を中心にこなしていき、蘭丸さんは遠征先で記憶の女神の信者を探すという事でよろしいでしょうか?」
「ああ、これからよろしく頼む」
「ええ、こちらこそ」
そういうと2人は熱い握手を交わす。男の固い友情の完成である。この友情は例え住んでいる場所や時代が違くても大体は成立する便利な友情だ。
「そういえば、幸助。お主は一体何が原因で死んだのだ?」
「俺は癌という現代の課題とされている病気が原因です。勉強に集中していて進行に全く気づいていませんでした」
「そうか、お主も病か。実は拙者も病にてこの世界に来た身。確か病気の名は・・・・そう、黒死病!身体が黒く変色する病気でな、海外から来たらしいんだ」
「へぇ~黒死病ですか~・・・ん?」
幸助の表情がいきなり険しくなる。何か違和感を感じた様だ。そして、幸助はその違和感にすぐに気づけたようだ。
「蘭丸さん。俺は前の世界では、色々な世界の歴史を学んできました。勿論黒死病の事も知っています。いつ、どのように日本にやってきたのかも」
「ほう、それは一体いつなのだ?」
幸助は大きく息を吸って覚悟を決めると、ゆっくりと蘭丸の方を向き、語る。
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