大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太

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二章 濡れ衣の男を救え!!

第二十三話 裁判の日来たる

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「くそっ・・・!くそぉ!!あのクソオーナー・・・!!自警団を味方に付けやがった・・・!!」

 アルベール家の食卓は荒れに荒れていた。自分に忠実な部下はほとんど殺され、証拠として捕らえられ、脅して口を閉めていた冒険者ギルドのオーナーは冒険者によって説得されてしまったのだ。皿の1枚や2枚割りたくなるだろう。

 そんなアルベールをたまたま幸助捕獲に出向いていなくて生き残った部下達が諫めるが、止まる様子はない。寧ろ過激化していってしまい、ついには部下の顔面を殴ってしまう。

 鼻を殴られ、鼻血を湧き水のように垂らす部下が一言安心するような言葉を言い放つ。

「また、裁判官に言い寄れば良いでしょう?」

「そ、そうか・・・その手があったか・・・」
 
 裁判官を買収した事を今になって思い出す。濡れ衣を着せる為に賄賂を渡したら偽りの審判を下す奴らだ。きっと、来週に開かれるであろうジェイクの再審も金を渡せば真実の神の力なんて使わないだろう。

 自分らがまだ有利な状況にいる事に気付いたアルベールの表情は180度変わり、余裕のある厭らしい笑みになる。やはり金。金こそが社会の全てであり頂点。人間によって作られたのに人間を支配している人間最大の発明。ドラッグよりも恐ろしい概念。金さえあればどんな暴論理不尽でも通るのだ。

「くくく・・・!野蛮な人間モドキ共め、良くもこのオレ様の感情を数日間もぐちゃぐちゃにしやがったな・・・この報い、地下牢獄で絶対に払わせてやる・・・アーッハッハッハッハ!!」

 アルベールの高笑いが屋敷中に響く。あまりの騒音に召使いや部下達は眉を潜めた。

「そうと決まれば、早速セッティングと行こうか。シナリオのある最高の再審のね・・・」

 アルベールの口角がニヤリと三日月のように上がる。やはり全ては思うようにいかないようだ・・・。



 ギルドオーナーの泣きの告白から1週間。ついにジェイクさんの再審の日がやってきた。裁判所は一般人が来やすい教会エリアの近くに建てられている。そのお陰かそれとも城下町の英雄を殺した犯罪者の再審の傍聴を望む者は多数いた。その数なんと!200人!しかし、入れるのは100人である。傍聴できる人は抽選で選ばれるようだ。人数に呆気に取られていると、抽選券を持った仲間が俺の方へと歩いてきた。

「見て下さい!コウスケさん!ボニーさんとランマルさんと私!3人とも抽選当たりましたよ!!」

「おおっ!凄いな」

「近くで見ていますから頑張って下さいね!」

 3人は裁判所へと入って行った。一緒にジェイクさんを弁護するマートルさんを待っていると、教会の方向から全身を鎧に包んだ集団が歩いてきた。王国騎士だ。最前列には見覚えのある顔の男がいた。嫌味な男のポールである。

「おうおう!自警団から聞いたぜ!クソ農民!お前、あのバカジェイクを庇ったらしいなぁ~~あの人殺しをよぉ~~」

「ええ、ちょっと事情がありましてね。彼にはさっさと地下牢獄に出てもらってしてほしい事があるので」

「して欲しい事ぉぉ~~?あんなクズに価値なんてあるのか?何処から来たのか分からない礼儀も常識も弁えていないあのクズに」

「ありますとも。それに俺は庇ったわけではありません。彼が無実だという事を証明しようとしているだけです」

 ジェイクさんを捕まえたのは自警団ではなく、王国騎士だったらしく、ジェイクの有罪を証明する証人として来てもらった。裁判所からの呼び出しは流石に無視はできなかったようで王国騎士は無事来てくれた。

 だが、彼らは知っているはずだ。自分らが今、かなり不利な状況に立たされている事に。分かっていなければ俺にあんな数の王国騎士を殺す為に送ってこないはずだし。

 それなのに、ポールは慌てるどころか余裕の表情を見せている。何か得策でもあるのだろうか?

「それじゃあな、クズを庇う農民ちゃん♡また、会おうな!!」

「ええ、またあとで」

 少し・・・いや、かなり癪に障るが気にしたら負けだ。今は勝つ事に集中しよう。大丈夫、マートルさんと一緒に考えた作戦を筋書き通りに行えば全て上手くいく。そう分かっているはずなのに、何故こんなにも緊張するのだろう。

「緊張しますよね。裁判当日って。私もお師匠の下で学んでいた時はいつも心臓バックバクでしたよ。今もかなり緊張してますがね」

「マートルさん・・・」

 待っていたマートルさんがやっと現れた。住民には既に俺らが弁護側だという情報が既に回っているようで、殺意の沸いた鋭い眼つきを向けてくる。まあ、英雄を殺した人を弁護するのだから仕方ないだろう。しかし、殺意の視線はすぐに俺らに向けられなくなる。

「来やがったよ・・・」「どの面下げてここにきてんだ」「恥ずかしくないのかね」「ああいう人にはなっちゃいけないわよ」

 自警団数人に囲まれ、手足に枷を付けられ参上したのは控訴した本人であるジェイクさんだ。初めて会った時と比べると表情が明るくなっており、戦に向かう戦士のような目突きをしていた。その目に恐れをなしたのか、石を投げようとした人達は石を捨て、罵声を浴びせようとウキウキしていた人達は下を俯いてジェイクさんと目を合わせないようにした。

「コウスケ・・・マートル・・・今日まで俺の為に動いてくれてありがとう・・・そして、よろしく頼む・・・」

「ええ、勿論ですとも。一緒に無罪を証明してみせましょう!!」

 こうして俺達は裁判所の中へと入って行った。
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