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二章 濡れ衣の男を救え!!
第三十ニ話 メモリアンの出血大サービス
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2分後、蘭丸さんが目を覚ました。そして、目を覚ました蘭丸さんは実に清々しい笑顔を作っていた。どうやら記憶は取り戻せたようだ。
「じぇいく殿、そして幸助。拙者の為にこんなにも尽くしてくれて感謝する。お陰で全てを思い出す事が出来た。拙者は信菜様に仕えていた事、信菜と恋仲にあった事、家族、仲間、全てを思い出す事が出来た」
「おめでとうございます、俺も久しぶりに人の力になれて良かったです」
「同じく俺も。ていうか、信菜って、尾田信菜の事ですよね?蘭丸さん凄い武将に仕えていたんですね」
蘭丸さんの破格の強さから相当の武将に仕えていた事は予想していたが、まさか戦国三英傑の一人である尾田信菜に仕えていたとは驚きだ。感心していると、蘭丸さんは俺の両肩を掴み、血走った目で俺を睨みつける。
「お主!知っているのか!?信菜様を!?」
「え!?ええ、有名な武将ですから名前と簡単な歴史なら──────」
「では、教えて貰いたい!!信菜様は・・・信菜様は天下を取ったのだろうか?教えてくれ!!」
知っている。尾田信奈は天下を取っていない。明道光英によって裏切られ、本能寺にて自害した事を蘭丸さんに教えた。その事を知った、蘭丸さんは膝から崩れ落ち、打ちひしがれた。
「嘘だ・・・嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!あああああああ!!嘘だぁぁぁぁぁぁ!!」
「俺も嘘と言いたいですが、事実です。ですが、尾田信奈の意志は──────」
「おのれ、あの薄らはげ・・・!!許さん・・・!絶対に許さんぞ・・・!!」
怒りのあまり、目からは血涙が出ている。ジェイクさんはいきなりの事でかなり戸惑っている。周りの目も痛いので止めたいのだが──────
「幸助ぇ!!薄らはげの死に様を教えろ!!」
「ええ!?ええっと確か・・・」
世界史専門だった為、明道光英なんて知らないよ!!どうしよう・・・このままだと、蘭丸さん暴れ出すぞ・・・。
困り果てていると、何処からともなく妙に威厳のある声が聞こえてきた。
『明道光英、農民の落ち武者狩りに会い死亡・・・』
「ふははははは!!無様な者よ!哀れなりぃ!光英ぇ!!」
いつにも増して感情の起伏が激しい・・・・・・。
「ていうか、今誰が答えた?」
「ん?幸助が言ったのではないのか?」
「いえ、俺は何も・・・」
誰かが、横から口出ししたのかと周りを見渡すが、それらしき人物はいない。それ以前に、俺らの世界の事を知っている人なんているわけがないだろう。日本からの転移者なら有り得るだろうが、そもそも転移者は少ないと聞くし。一体誰が答えてくれたのだろう・・・首を傾げていると、横に立っていたジェイクさんが肩を叩いてきた。
「ジェイクさん?どうしたんです?」
振り向いたのは良いものの、ジェイクさんは下を俯いており、俺の顔を見ようとはしない。
「ジェイクさん・・・?」
「・・・ジェイクではない」
「え?」
いきなり訳の分からない事を言い出すや否や、顔を上げ、俺と目を合わせる。その時、ジェイクさんの言葉の意味を理解した。ジェイクさんの瞳が青色に発光しているのだ。
「何者だ、アンタ・・・」
剣を抜き、ジェイクさんの身体に乗り移っている何者かに突きつける。蘭丸さんも少し遅れて抜刀した。
「落ち着け人間。そして無礼だぞ、神を前にして武器を向けるとは」
「神・・・?」
「そうだ。私の名はメモリアン。記憶を司る神だ」
「いいや、お主はじぇいく殿のはずだ。先程までそうだった」
「彼の身体を借りたのだ。君達に会う為にね」
たかが人間の俺達に会う為だけに憑依したという事になるが、中々信じる事ができない。何処かで敵がジェイクさんを操っているのではないか?
「疑うのも無理はない。だが、信じて貰わなくては話は進まない。なので、そなたの家族全員の名前、お主の死んでから数か月後の身体的特徴、職業、そなたが死んでからどうなったかを教えてあげよう」
待て、俺が死んでからどうなったかは凄い気になる。神である証明関係なしに聞きたい。
「じ、じゃあ、言ってみてくれ・・・」
「では、行くぞ──────父親、泉幸太郎45歳 身長177センチ 体重85キロ太り気味 職業:イタリア料理店店長。母親、泉菜々子 旧姓奥町 身長159センチ 体重45キロ痩せ気味 職業:専業主婦。妹、泉信帆 17歳 身長161センチ 体重46キロ痩せ気味 職業:高校生。これが、そなたの家族の情報であっているだろう?」
「あ、ああ・・・・」
「幸助、当たっているのか?」
「ええ、当たっています。皆、体重少し減ってますけど・・・」
数か月で体重なんてすぐ変わる。だが、身長や職業はそうコロコロとは変わらない。本当に今、ジェイクさんの中にいる人は記憶の神なのではないだろうか。
「それで、俺の家族は今、どうしているんですか?」
「『今、どうしているか』という質問は些か難しい質問だ。何せ、この世界はそなたがいた世界は別々に独立した世界で、時間の流れは繋がっていないからな。だからお主と住んでいた時代の違うそこの武士がこの世界の同じ時代に同時に存在する事ができるのだ」
「そういうのは難しいのは良く分からないけど、とにかく俺の死んだ後の家族の事を知っているんですよね?」
「ああ、知っている。では、準備は良いな?」
「・・・はい」
「行くぞ──────そなたの家族はしばらくの間、悲しみに明け暮れた。しかし、3か月後、このままだと天国にいるそなたに笑われると考えた両親は立ち直り、元の生活リズムを戻していった。素行の悪かった妹も兄の死を体験して両親を支えなければいけないという考えが生まれ、真面目に勉強にするようになった・・・これ以降の話もあるが、聞くか?」
「幸せに暮らしたか暮らしていないかだけ教えて下さい」
「紆余曲折あったが、幸せに暮らして死んだ。お主の想像するような不幸はほとんどない」
「そうですか・・・」
唯一心残りだった家族も無事そうで安心した。にしても、俺の筆箱にカメムシ40匹入れるような、バリバリのヤンキーだった信帆が俺の死で更生するとは思わなかった。
「本来のあの世界の歴史なら、そなたも家族を持って平和に暮らしていたのだがな・・・女神アモーラが捻じ曲げてしまった」
アモーラの所業は既に神サイドにも知れ渡っているようだ。眉間にシワを寄せている表情からしてあまり良く思っていない事が分かる。
「私は・・・記憶を愛している。動物たちが作る記憶、物が作られてから壊れるまでの記憶、全て愛おしい作品だ。それを自分の都合で変えてしまうのを私は良しとしていない・・・私の神格が許さない。だから、君達に協力する事にした」
「成程・・・それで、どのように協力してくれるのですか?」
「・・・これを授けよう」
何処からともなく羊皮紙と羽ペンを取り出すと、テーブルに羊皮紙を置き、さらさらと文字を書き始めた。4分後、完成した文字の書かれた羊皮紙を俺に渡してきた。
「それは、アモーラ教を信仰している農民のリストだ。村ごとに分けたからこれを参考に布教を頑張りなさい」
「凄い!そんな事も出来るんですね!」
「私は全ての記憶を司る神・・・その者がどんな神を信仰しているかなんて朝飯前だ」
該当する村人がどの村にいるのかまで書いてある。このリストさえあれば、布教がもっと効率的になるはずだ。
「それと、小林蘭丸。仕える事が生き甲斐の君に良い情報を教えてあげよう」
まだまだ、特典があるようで、次は蘭丸さんが対象のようだ。
「何だ?言って見ろ」
「そなたの隣にいる泉幸助はそなたが仕えていた尾田信菜の子孫だ」
「何!?」「え?」
「以上だ」
唐突な前触れもないカミングアウトに俺の脳パニックを起こし、蘭丸さんは高速瞬きをしている。動揺しまくった蘭丸さんはメモリアンが憑依したジェイクに詰め寄る。
「どういう事だ!?説明しろ!!」
肩を揺さぶり、もっと情報を手に入れようとする蘭丸さんだが──────
「・・・説明したい所だが、もう時間のようだ・・・」
「ええ!?このタイミングでさようなら!?」
よく見ると、青く光る目がまるで光の巨人の胸のランプのように点滅している。どういう仕組みかは分からないが、もう時間が無いのだけは分かる。
「さらば・・・」
途端、ジェイクさんの身体が糸の切れた操り人形のように倒れ、口からは青いモヤのような物が空に向かって飛んでいった。どうやら、帰って行ってしまったようだ。
「じぇいく殿、そして幸助。拙者の為にこんなにも尽くしてくれて感謝する。お陰で全てを思い出す事が出来た。拙者は信菜様に仕えていた事、信菜と恋仲にあった事、家族、仲間、全てを思い出す事が出来た」
「おめでとうございます、俺も久しぶりに人の力になれて良かったです」
「同じく俺も。ていうか、信菜って、尾田信菜の事ですよね?蘭丸さん凄い武将に仕えていたんですね」
蘭丸さんの破格の強さから相当の武将に仕えていた事は予想していたが、まさか戦国三英傑の一人である尾田信菜に仕えていたとは驚きだ。感心していると、蘭丸さんは俺の両肩を掴み、血走った目で俺を睨みつける。
「お主!知っているのか!?信菜様を!?」
「え!?ええ、有名な武将ですから名前と簡単な歴史なら──────」
「では、教えて貰いたい!!信菜様は・・・信菜様は天下を取ったのだろうか?教えてくれ!!」
知っている。尾田信奈は天下を取っていない。明道光英によって裏切られ、本能寺にて自害した事を蘭丸さんに教えた。その事を知った、蘭丸さんは膝から崩れ落ち、打ちひしがれた。
「嘘だ・・・嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!あああああああ!!嘘だぁぁぁぁぁぁ!!」
「俺も嘘と言いたいですが、事実です。ですが、尾田信奈の意志は──────」
「おのれ、あの薄らはげ・・・!!許さん・・・!絶対に許さんぞ・・・!!」
怒りのあまり、目からは血涙が出ている。ジェイクさんはいきなりの事でかなり戸惑っている。周りの目も痛いので止めたいのだが──────
「幸助ぇ!!薄らはげの死に様を教えろ!!」
「ええ!?ええっと確か・・・」
世界史専門だった為、明道光英なんて知らないよ!!どうしよう・・・このままだと、蘭丸さん暴れ出すぞ・・・。
困り果てていると、何処からともなく妙に威厳のある声が聞こえてきた。
『明道光英、農民の落ち武者狩りに会い死亡・・・』
「ふははははは!!無様な者よ!哀れなりぃ!光英ぇ!!」
いつにも増して感情の起伏が激しい・・・・・・。
「ていうか、今誰が答えた?」
「ん?幸助が言ったのではないのか?」
「いえ、俺は何も・・・」
誰かが、横から口出ししたのかと周りを見渡すが、それらしき人物はいない。それ以前に、俺らの世界の事を知っている人なんているわけがないだろう。日本からの転移者なら有り得るだろうが、そもそも転移者は少ないと聞くし。一体誰が答えてくれたのだろう・・・首を傾げていると、横に立っていたジェイクさんが肩を叩いてきた。
「ジェイクさん?どうしたんです?」
振り向いたのは良いものの、ジェイクさんは下を俯いており、俺の顔を見ようとはしない。
「ジェイクさん・・・?」
「・・・ジェイクではない」
「え?」
いきなり訳の分からない事を言い出すや否や、顔を上げ、俺と目を合わせる。その時、ジェイクさんの言葉の意味を理解した。ジェイクさんの瞳が青色に発光しているのだ。
「何者だ、アンタ・・・」
剣を抜き、ジェイクさんの身体に乗り移っている何者かに突きつける。蘭丸さんも少し遅れて抜刀した。
「落ち着け人間。そして無礼だぞ、神を前にして武器を向けるとは」
「神・・・?」
「そうだ。私の名はメモリアン。記憶を司る神だ」
「いいや、お主はじぇいく殿のはずだ。先程までそうだった」
「彼の身体を借りたのだ。君達に会う為にね」
たかが人間の俺達に会う為だけに憑依したという事になるが、中々信じる事ができない。何処かで敵がジェイクさんを操っているのではないか?
「疑うのも無理はない。だが、信じて貰わなくては話は進まない。なので、そなたの家族全員の名前、お主の死んでから数か月後の身体的特徴、職業、そなたが死んでからどうなったかを教えてあげよう」
待て、俺が死んでからどうなったかは凄い気になる。神である証明関係なしに聞きたい。
「じ、じゃあ、言ってみてくれ・・・」
「では、行くぞ──────父親、泉幸太郎45歳 身長177センチ 体重85キロ太り気味 職業:イタリア料理店店長。母親、泉菜々子 旧姓奥町 身長159センチ 体重45キロ痩せ気味 職業:専業主婦。妹、泉信帆 17歳 身長161センチ 体重46キロ痩せ気味 職業:高校生。これが、そなたの家族の情報であっているだろう?」
「あ、ああ・・・・」
「幸助、当たっているのか?」
「ええ、当たっています。皆、体重少し減ってますけど・・・」
数か月で体重なんてすぐ変わる。だが、身長や職業はそうコロコロとは変わらない。本当に今、ジェイクさんの中にいる人は記憶の神なのではないだろうか。
「それで、俺の家族は今、どうしているんですか?」
「『今、どうしているか』という質問は些か難しい質問だ。何せ、この世界はそなたがいた世界は別々に独立した世界で、時間の流れは繋がっていないからな。だからお主と住んでいた時代の違うそこの武士がこの世界の同じ時代に同時に存在する事ができるのだ」
「そういうのは難しいのは良く分からないけど、とにかく俺の死んだ後の家族の事を知っているんですよね?」
「ああ、知っている。では、準備は良いな?」
「・・・はい」
「行くぞ──────そなたの家族はしばらくの間、悲しみに明け暮れた。しかし、3か月後、このままだと天国にいるそなたに笑われると考えた両親は立ち直り、元の生活リズムを戻していった。素行の悪かった妹も兄の死を体験して両親を支えなければいけないという考えが生まれ、真面目に勉強にするようになった・・・これ以降の話もあるが、聞くか?」
「幸せに暮らしたか暮らしていないかだけ教えて下さい」
「紆余曲折あったが、幸せに暮らして死んだ。お主の想像するような不幸はほとんどない」
「そうですか・・・」
唯一心残りだった家族も無事そうで安心した。にしても、俺の筆箱にカメムシ40匹入れるような、バリバリのヤンキーだった信帆が俺の死で更生するとは思わなかった。
「本来のあの世界の歴史なら、そなたも家族を持って平和に暮らしていたのだがな・・・女神アモーラが捻じ曲げてしまった」
アモーラの所業は既に神サイドにも知れ渡っているようだ。眉間にシワを寄せている表情からしてあまり良く思っていない事が分かる。
「私は・・・記憶を愛している。動物たちが作る記憶、物が作られてから壊れるまでの記憶、全て愛おしい作品だ。それを自分の都合で変えてしまうのを私は良しとしていない・・・私の神格が許さない。だから、君達に協力する事にした」
「成程・・・それで、どのように協力してくれるのですか?」
「・・・これを授けよう」
何処からともなく羊皮紙と羽ペンを取り出すと、テーブルに羊皮紙を置き、さらさらと文字を書き始めた。4分後、完成した文字の書かれた羊皮紙を俺に渡してきた。
「それは、アモーラ教を信仰している農民のリストだ。村ごとに分けたからこれを参考に布教を頑張りなさい」
「凄い!そんな事も出来るんですね!」
「私は全ての記憶を司る神・・・その者がどんな神を信仰しているかなんて朝飯前だ」
該当する村人がどの村にいるのかまで書いてある。このリストさえあれば、布教がもっと効率的になるはずだ。
「それと、小林蘭丸。仕える事が生き甲斐の君に良い情報を教えてあげよう」
まだまだ、特典があるようで、次は蘭丸さんが対象のようだ。
「何だ?言って見ろ」
「そなたの隣にいる泉幸助はそなたが仕えていた尾田信菜の子孫だ」
「何!?」「え?」
「以上だ」
唐突な前触れもないカミングアウトに俺の脳パニックを起こし、蘭丸さんは高速瞬きをしている。動揺しまくった蘭丸さんはメモリアンが憑依したジェイクに詰め寄る。
「どういう事だ!?説明しろ!!」
肩を揺さぶり、もっと情報を手に入れようとする蘭丸さんだが──────
「・・・説明したい所だが、もう時間のようだ・・・」
「ええ!?このタイミングでさようなら!?」
よく見ると、青く光る目がまるで光の巨人の胸のランプのように点滅している。どういう仕組みかは分からないが、もう時間が無いのだけは分かる。
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