大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太

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三章 黄金の愛と銀の翼の騎士、2人ともぶっ殺す

第九話 不規則な夜襲

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 今日も今日とて草原を歩く。マロン山脈への近道は草原をただひたすらに歩くのみであり、その途中に山や森などはない。全く風景が変わらない緑の大地が永遠とも思えるくらい続いている。

 日は登り、東から西へと動く。やがて、太陽は近くの山々に顔を隠していく。遠征が始まってから2回目のキャンプの始まりだ。

 保存期間の長い硬いパンを幸助が齧っていると、フランから1つの提案を持ちかけられる。

「コウスケ。今日の見張りなんだが、君が最初で良いか?」

「良いですよ」

 幸助は特に断る理由はないので、フランの提案に賛成する。

 1時間後、食事を終えた仲間が眠りに入る。ベッドで眠らない事に慣れているのだろう。たった5分で寝息が聴こえてきた。寝息が耳に入ってきたら無償に眠りたくなるのは何故だろう?と思いながら欠伸をする幸助。

「さてと、魔術のお勉強でも始めますかね・・・今日こそ魔力を感じれるように頑張るぞ」

 目を閉じ、集中力を全て身体の中に注ぎ込む。身体を動かすべく流れる血液を感じ取り、一緒に流れている魔力を感じ取る。だが、そもそも血液の流れを読むという行為そのものが難しいのでまるで雲をつかむような話だ。

 やがて、幸助は一言も喋らなくなり、仲間達の寝息しか周りから聴こえなくなる。その異常な静けさのお陰で彼は気づく事が出来たのだろう。

「・・・誰だ?」

 何者かがなるべく足音を立てないようにゆっくりと近づいてきている事に。しかも1人だけじゃない。何人もの静かな足音が自分達の方に近づいてきている。

「へっへっへ・・・ばれちゃあ、仕方ねぇ・・・」

「やあ。初めまして、コウスケ・イズミ君」

「アンタがここに来るのを待っていたぜ!」

 闇の中から現れたのは3人の男。腰にはサーベルを携えており、身体は全体的に汚い。歯は所々抜けており、着ている服もかなり・・・いや、中々ボロボロだ。見た目と言動から盗賊だと推測する。だが、そんな事よりも気になる事を盗賊達は言っていた。

「何で俺の名前を知っているんだ?」

 盗賊は何故か俺の名前を知っていた。冒険者としてもまだまだ底辺で知名度が低い俺のフルネームを言ってみせた。3人のうち、1人が「ここに来るのを待っていた」と言っていた。俺に恨みを持っている者に雇われたのだろうか?

「そんなの自分で考えなっ!」

 山賊の一人が抜剣。後に続くように残りの2人も武器を構え、俺を前と左右で囲む。皆を起こすべきだろうか?いや、起こしていたら斬り殺されるのは目に見えている。無駄な動きが一切許されない。

「ひゃはぁぁぁ!!」

 1人が幸助に斬りかかってくる。あまりにも大振りな攻撃。胴もがら空きだし、力だって全くこもってはいない。興覚めした幸助は、余裕を持って避けるが・・・。

「えっ・・・」

 気づいた頃には盗賊のサーベルは目の前まで接近しており、焦った幸助は左手に装備していた円盾で弾き事なきを得る。

「チィッ!反応が良いなぁ!」

(どういう事だ?振り上げてから下ろすまで2秒はかかる攻撃だったのに、気付いたら目の前まで来ていた・・・俺は2秒もぼーっとしていたのか?いやいや、しっかりと気張っていた。そもそも戦闘中に気を抜くなんてありえない!)

「おいおい!ぼーっとしてるんならこっちも行くぞ!」

 次は右にいた山賊が斬りかかってくる。今度も前の山賊と同じで大振りで力のこもっていない横斬りだ。全くやる気が感じられないが、本当に俺の命を狙っているのか疑いたくなる。

「・・・って、またかよ!!」

 またさっきのように刃があと数センチで俺の腹を切り裂きそうな距離まで接近していた。何となく察していたので、右手に握っていた鉄の剣で弾く。

「へっへっへ・・・どうした?動きが鈍いぞ?」

 い、一体何が起きているんだ・・・?俺は確かにこの目でサーベルの動きを見ていた。だけど、いつの間にか剣は俺に当たるまで数センチの所まで移動していた。もしかして、この3人実は滅茶苦茶強くて、ゆっくりとした動きで相手を油断させて、その油断を突くように一気に加速しているのか?有り得る・・・有り得るが、その場合刃の残像が見えるはず・・・。

「そらそらぁ!」

 次は左にいた盗賊が斬りかかってくる。他の2人と同じでゆっくりかつ大振りな攻撃だ。本来なら鼻をほじりながらでも避けられる幼児以下の攻撃だが、今回ばかりはしっかりと軌道を──────

「やっぱりおかしいだろ!!」

 今回も案の定、刃はいつの間にか当たる数センチ前まで移動してきていた。額に付けておいた鉢金で押し返す。最低限の頭の防具として作っておいて良かった。

「はぁ・・・はぁ・・・おかしい・・・おかしすぎるぞお前ら・・・」

 3回目ではっきりと分かった。コイツら盗賊達は別に身体能力が特別高いわけではない。何か仕掛けがあって、攻撃の距離を一気に詰める事が出来るんだ。だが、その種が全く分からない。魔術か?それとも奇跡か?それとも・・・。

「野郎共!息を合わせて連携攻撃だ!」

「「おう!」」

「マズイ・・・!!」

 ついに現在置かれている状況で考えられる最悪のシチュエーションが始まる。盗賊3人は仲間故の息のあった連携攻撃を繰り出してきたのだ。3人から放たれる雑な斬撃は、いつどのタイミングで急接近してくるか分からない為、その場その場の咄嗟の防御と反応を強いられる事になる。

「「「よっ!はっ!とおっ!やあっ!」」」

「ふっ!よっ!やっ!ぐあっ・・・!」

 不規則な連続攻撃に身体は対応しきれるわけがなく、あえなくして右の太腿に深い斬り傷を負ってしまう。

「へへへ・・・そんな傷負ったら、もう俺らの攻撃には反応できねぇな」

 悔しいが、その通りだ。こうなったら、皆に迷惑をかけるが、大声を出すか?

 絶対絶命に陥り、仲間を呼ぶか自力で切り抜けるか考える。だが、考えれ終わる前にバチンッ!という皮膚を叩く音と共に前の盗賊がサーベルを地面に落とした。

「イテェ!?クソッ!誰だ!俺の手に鞭を打ったのは!」

 叩かれた手をもう片方の手で摩りながら盗賊は後ろを振り向く。鞭で打ったのは陽気な笑みを浮かべたツーブロックの男だった。

「俺の友達であり命の恩人であるコウスケに手を出そうたぁ、良い度胸じゃねえか・・・」

「ジ、ジェイクさん!!」

 男の正体は、記憶の神の教徒、ジェイク・ワトー。次の見張り番の男だった。
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