大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太

文字の大きさ
97 / 212
三章 黄金の愛と銀の翼の騎士、2人ともぶっ殺す

第十話 汚い手を使ってでも俺を殺したいようだ

しおりを挟む
「ちぃ・・・!起きてきやがったかぁ!?」

 台詞を全て言い終わる前にジェイクの手の鞭が盗賊の頬を叩く。

「イテェじゃねぇかこの野郎!!何しやがる!!」

「痛い?痛いで済んでいるのか・・・なら!」

 ジェイクは鞭を持っていない手に魔力で冷気を纏うと、冷気を駆使して鞭に氷の棘を生み出した。

「これくらいじゃあ、死なないよねぇ!!」

「「「ひゃあああああああああ!!!」」」

 10分間の間、盗賊達の汚い悲鳴と血しぶきが草原に響き渡った。それらが原因で全員起きてしまったのは言うまでもないだろう。



「・・・で、コイツらが俺の眠りを邪魔した盗賊で良いんだよな?殺して良い?」

「落ち着いて下さい、トーマさん!ただ殺すよりもサンドバックにした後に殺した方がお得じゃねぇか!!」

 縄で縛り付けられた盗賊3人を起きた冒険者達が囲む。眠りを邪魔されたトーマは怒り狂い、メアリーは単純に殴りたかっている。

「ひぃぃぃ!!こ、殺さないで!!」

「俺らの事殺そうとした癖に殺さないでくださいだぁ?よぉし、分かった!お前は肉を1センチずつ斬りながら殺す!そんでいて、お前の目の前でその肉焼いて食ってやる!丁度人間ってどんな味するか知りたかったんだよぉぉ!ゴラァ!!」

「それじゃあ、アタシが殴って肉を粉々にするからハンバーグも作ろうぜ!そんでいてコウスケと一緒に食べる!!」

「いらないし、やめなさい。殺す意味が無いなら殺さなくて良し」

「幸助に同感だ。身動きのとれぬ相手をいたぶって何になる?無益な殺生はよせ、日中にもゴブリンを何体も殺したばかりだろう」

 一方、3対1で一方的にやられた幸助は意外にも冷静だった。二言目には「復讐」と「やり返す」の言葉が出てくる幸助ににしてはとても珍しい事だった。

「で?誰が指示したんだ?俺を名指しで誰が殺せと命じた?」

 1人の胸ぐらを掴み、持ち上げる。盗賊は身体を震えさせてビビるが、首を横に振る。

「・・・い、言えねぇ」

「へぇ、弱い癖に口は堅いんだな」

「それだけが取り柄なんでね・・・へへ・・・」

「良し。じゃあ、裸にして鞭打ってあげましょう」

 やはり幸助はリンチにされかけた事を根に持っているようだ。泣き叫ぶ盗賊の上着を破くようにして脱がせた。見えなかった胴体が明らかになる。晒された右腕にはアモーラ教の紋様が記されていた。

「コイツ賊やってるクセしてアモーラ教徒かよ。無宗教者だと思ってたわ」

「へっ、別に盗賊にだって神様を崇拝する権利はあんだろうが、ばーーーか!」

「・・・コロス」

 「殺す」がカタカナになったら理性が吹っ飛んだ証拠だと知っている仲間達は全力でトーマを止める。一方幸助はアモーラ教の証をじっと眺めていた。

「な、なんだよ・・・」

「いや、なんでも・・・」

 幸助には思い当たる節があった。アモーラの恩恵である。アモーラはアンリにネクロマンサーの恩恵を与えた。俺に嫌がらせをするという理由で他の宗教者を傷つける狂信者のアンリにだ。今のアモーラは恐らく俺の3度目の死に追いやるのに必死のはず。汚らしい盗賊でも、自分の信者であればきっと俺を殺してくれるはずと言って恩恵を与えていてもおかしくはない。

「可能性として考えておくべきかな・・・」

「な、何の話だ!!」

「何でもないって言ってんだろ、石喰っとけ」

「ふがっ!?」

 うるさい盗賊の口に石を突っ込んで黙らせ、幸助は眠る事にした。戦いと怪我の再生による疲労で目蓋が重い。仲間達がトーマを抑えるのに頑張っている中、ゆっくりと夢の世界へと入り込んでいった。



 一方、実力トップに君臨する神のみが滞在するのを許される天界では、自分が恩恵を与えた盗賊の失敗にアモーラが怒り、暴れ回っていた。天使が一所懸命育てた花をちぎりまくり、天使が丁寧に入れてくれた紅茶をぶちまける。その姿はまさに天災だ。

「あんのクソッたれ盗賊どもがぁぁぁ!!できるって言うから時間停止の恩恵を与えてやったというのによぉぉぉ!!全く殺せてねぇじゃねぇかぁぁぁぁぁ!!」

 優しさと優雅さは一体何処へ散歩しに行ってしまったのだろうか?戻ってくるのが少し、いや、かなり遅い。

「おおお落ち着いて下さいませ!アモーラ様!!」

「うるさいっ!!」

「きゃぁ!!」

 宥めに来たお気に入りの天使を殴ってしまう始末。だが、そのお陰で冷静さを取り戻したようだ。

「嗚呼・・・!ごめんなさい!お怪我はありませんか?」

「え、ええ。大丈夫です・・・アモーラ様が元に戻られたのなら。私は何も問題はありません・・・」

 アモーラと天使の関係はまるでDV夫とそんな夫を愛する妻のようだ。同性の為、結婚するという事はないが。

「アモーラ様、今回は一体どのような恩恵を授けたのですか?」

「あの盗賊3人には1人ずつ、時を止める能力を与えました。止められる時間はその者のポテンシャルによって変わりますがね」

 幸助を苦しめた盗賊達の急接近攻撃の種は時間停止。停止する時間は授かった者の才能によって増加し、過去最高停止時間は25秒である。最低記録である1秒だった盗賊達はさぞかし才能が無かったのだろう。

「時間停止!?そんな能力を与えたのですか!?ストックは大丈夫なのでしょうか?」

「そのストックが無いから困っているのです!能力は天界にあの者達の魂・・・死ななければ戻ってこないというのに・・・」

 女神アモーラの考えに殺して手に戻すというのは無かった。どんなにクズでも自分の愛すべき信仰者だからである。腐っても根は神そのものである。

「あと、もう1人・・・いましたよね?能力を与えた人間。その者にかけましょう」

「・・・そうですわね」

 完全に落ち着きを取り戻したアモーラは再び下界の観察を始めた。憎き幸助に殺意を向けながら。 
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

目つきが悪いと仲間に捨てられてから、魔眼で全てを射貫くまで。

桐山じゃろ
ファンタジー
高校二年生の横伏藤太はある日突然、あまり接点のないクラスメイトと一緒に元いた世界からファンタジーな世界へ召喚された。初めのうちは同じ災難にあった者同士仲良くしていたが、横伏だけが強くならない。召喚した連中から「勇者の再来」と言われている不東に「目つきが怖い上に弱すぎる」という理由で、森で魔物にやられた後、そのまま捨てられた。……こんなところで死んでたまるか! 奮起と同時に意味不明理解不能だったスキル[魔眼]が覚醒し無双モードへ突入。その後は別の国で召喚されていた同じ学校の女の子たちに囲まれて一緒に暮らすことに。一方、捨てた連中はなんだか勝手に酷い目に遭っているようです。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを掲載しています。

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。

黄玉八重
ファンタジー
水無月宗八は意識を取り戻した。 そこは誰もいない大きい部屋で、どうやら異世界召喚に遭ったようだ。 しかし姫様が「ようこそ!」って出迎えてくれないわ、不審者扱いされるわ、勇者は1ヶ月前に旅立ってらしいし、じゃあ俺は何で召喚されたの? 優しい水の国アスペラルダの方々に触れながら、 冒険者家業で地力を付けながら、 訪れた異世界に潜む問題に自分で飛び込んでいく。 勇者ではありません。 召喚されたのかも迷い込んだのかもわかりません。 でも、優しい異世界への恩返しになれば・・・。

知識スキルで異世界らいふ

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

異世界あるある 転生物語  たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?

よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する! 土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。 自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。 『あ、やべ!』 そして・・・・ 【あれ?ここは何処だ?】 気が付けば真っ白な世界。 気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ? ・・・・ ・・・ ・・ ・ 【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】 こうして剛史は新た生を異世界で受けた。 そして何も思い出す事なく10歳に。 そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。 スキルによって一生が決まるからだ。 最低1、最高でも10。平均すると概ね5。 そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。 しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。 そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。 追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。 だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。 『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』 不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。 そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。 その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。 前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。 但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。 転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。 これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな? 何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが? 俺は農家の4男だぞ?

パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す

名無し
ファンタジー
 パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。

ReBirth 上位世界から下位世界へ

小林誉
ファンタジー
ある日帰宅途中にマンホールに落ちた男。気がつくと見知らぬ部屋に居て、世界間のシステムを名乗る声に死を告げられる。そして『あなたが落ちたのは下位世界に繋がる穴です』と説明された。この世に現れる天才奇才の一部は、今のあなたと同様に上位世界から落ちてきた者達だと。下位世界に転生できる機会を得た男に、どのような世界や環境を希望するのか質問される。男が出した答えとは―― ※この小説の主人公は聖人君子ではありません。正義の味方のつもりもありません。勝つためならどんな手でも使い、売られた喧嘩は買う人物です。他人より仲間を最優先し、面倒な事が嫌いです。これはそんな、少しずるい男の物語。 1~4巻発売中です。

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

処理中です...