大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太

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四章 魔族との和平交渉

第五話 魔族の呪い?

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「・・・ファイト―ル様の考えは最もだ。魔族・・・じゃなかった。地底人を納得させなければ、全てアモーラの思惑通りに行ってしまう。だが、どうやって魔界へ行くんだ・・・」

「頼りのフランさんもファイト―ルさんとの用事があるようなので、頼りには出来なさそうですね・・・これはもう、私達で頑張って行き方を探りましょう・・・」

 魔族との因縁はこの国の者なら誰でも知っているが、詳細はあまり知る者はいない。それは何故か?勿論、国が隠しているからである。戦争は国と国との揉め事だ。都合の悪い事があれば当然隠す。戦争の内容を隠すという事は、王国騎士側が残虐な行為を行ったのだろうか?

 ギルドの人に聞いても何も分からないと思った幸助はメアリーをおぶって、王国騎士団の詰所へとやってきた。確か魔族との戦争にピピンを筆頭とした優秀な王国騎士が数人参加していたと聞いた。中にはピピンと共に聖騎士団に入団して、捕まってしまった者もいたが、王国騎士として働いている者がまだいるはずだ。

「魔族との戦争に参加した騎士?確かにいるが、一体どうして・・・」

 騎士団長が不思議がるのも仕方ないだろう。魔族は地下に住んでいるというだけしか情報のない謎の種族だ。余程の物好きでなければ知ろうとはしない。しかし、冒険者の大体は物好きか貧乏人の集まりだ。団長がそれ以上深堀りする事は無かった。

「今、書類を書いているヤツがいる。確かソイツが戦争に参加していた騎士だったはずだ。すぐに連れてくる」

「いつもすみませんね、団長」

「気にするな。俺とお前の仲だろう」

 椅子から立ち上がると、真後ろの部屋の扉を開け、中へと入ってくる。中から少し会話が聴こえてくると、その後すぐに団長ではない騎士の男が俺達の眼の前に現れた。額と口元に傷痕のある厳つい男だ。しかし、表情は穏やかで声のトーンも異様に低くはない言うなれば強面の方だった。

「貴方達は、ピピン団長・・・元団長の時にいた冒険者さんですね。一体私に何の用でしょうか?」

「実は、魔族と魔族が住んでいる魔界に行きたくて・・・でも、色んな人に聞いても、図書館に行っても情報が得られないんです」

 『魔族』『魔界』の言葉が幸助の口から言い放たれた瞬間、仕事で少し疲れていただけの顔が一気に病的に青ざめる。異変に気付いた幸助は騎士の体調を心配しようと、声をかけようとした瞬間──────

「うっぷ・・・・!!」

 騎士は口を抑えて詰所から猛スピードで出て行ってしまったのだ。数秒後、詰所の外から男の嗚咽と、打ち付けるような水音が聴こえてくる。幸助と団長は急いで外に出ると、ドアから少し離れた場所で四つん這いになって、胃の中の胃液、少し前に食べたであろうぐちゃぐちゃになったパンを吐き出していた。

「おい!大丈夫か!?」

「うぅ・・・おぇ・・・す、すみません・・・」

「そんなにトラウマだったのか・・・」

 数分間、騎士の気分が元に戻るまで介抱し、詰所に戻す。水を飲んで口の中をすっきりさせた騎士はゆっくりと話す。

「・・・実は魔族に関しての研究はかなり進んでいます。200ぺージの本に出来る程度には」

「そんなに調べているのに何故、図書館には地底z────魔族に関しての本が無いんですか?」

「作れないんです・・・」

「・・・え?」

「何故か作れないんです・・・学者さんが最初は筆を手に取り、執筆しようとしたらしいのですが、筆を手にした瞬間、泡を吹いて気絶したんです」

 学者は執筆しようとする前に食事はとったが毒などは確認されず、健康面でも特に異常が無かった為、気絶の原因は不明だった。気絶から数分後、目覚めた学者も本当にいきなり意識が遠のいていって気絶したという。

 それから何度も何度も執筆を試みたが、毎回筆を持った瞬間に気絶してしまう。筆を変えても、机を変えても、椅子を変えても、服装を変えても気絶する始末。何度も気絶を繰り返す末、自分が書くからいけないのでは?と考察した学者は、共に調査を行った騎士に代筆を頼む。だが、学者同様に筆を持った瞬間に気絶してしまい、魔族の事を本にしようとしたら気絶するという事が証明された。

「国王にその件を報告して即刻執筆は中止。話題に出すのも危険な可能性があると考えた結果、世に出回っている魔族の情報は少ないんです・・・」

「成程・・・そんな奇妙な理由があったんですか・・・でも、気絶が嘔吐したくなる程のトラウマになったとは考えにくいのですが・・・」

「ああ、そうさ。気絶程度では俺は動じなかった・・・けれども!!気絶した日から悪夢を見るようになったんだ!しかも1つだけじゃない!虫に身体を生きたまま食べられる悪夢!ゆっくりと刃物で身体を削られていく悪夢!それから──────」

「ちょちょちょ!もう大丈夫です!もう大丈夫ですから!!」

 悪夢の内容を話すにつれて顔色が再び悪くなっている事に気付いた幸助は、彼にこれ以上喋らせないように促した。

(魔族の呪いか・・・?いや、もしかしたら魔族の全貌を知られる事で自分の嘘がバレる事を恐れたアモーラの仕業の可能性もあるな)

「研究していた学者が何処に住んでいるのか知っているし、貴方達になら言っても構わないと思っています。ですが、学者や他の騎士達に聞いても魔族についての情報は教えてくれないでしょう・・・」

「魔族に関しての知識はこの際良いです!でも、魔界の行き方だけ教えては貰えないでしょうか?」

 元々はそっちが本命だ。魔族の事については知れたら嬉しい程度だったが、その好奇心が全く悪くない騎士を不幸にしてしまった。

「魔界へ行きたいのですか?・・・それなら、国王に謁見して下さい。近いうちにまた魔界調査を行うと言っていたので・・・貴方達ぐらいこの国に貢献している人なら、きっと参加させてくれるはずです・・・では、俺はここらへんで」

「いや、今日は仕事は良いから家に帰って休め。お前の仕事は俺がやっといてやるから」

「すみません・・・お言葉に甘えさせていただきます」

 騎士は立ち上がると、再び詰所を出ていき、住宅街エリアへと歩いていった。騎士の弱々しい背中と歩き方を見た幸助は、気分を悪くしてしまった騎士に今度お詫びを持っていこうと思うのであった。
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