大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太

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四章 魔族との和平交渉

第十五話 地下帝国へのご招待

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「・・・・・・」

「・・・・・・んん!!」

 覚醒したばかりで全然開かない目を擦りながら上半身を起こす。両手を伸ばし、大きく伸びをすると筋肉が伸びて痛気持ちいい。

 目が開けてきて周りの様子も見えてくる。柔らかい茶色のベッド、石でできた建物に、青い炎が灯る蝋燭。面白い部屋だ。

「ふわぁ・・・良く寝た・・・・・・何処だここ」

 覚醒して2分が経過した所で自分が今、どういう状況なのかを理解し、頭を働かせる。昨日の最後の記憶を見つけなければ何も分からないからだ。

「俺と同じ異世界人を焼いてから、他の異世界人に追いかけられて、メアリーを先に逃がして、戦って・・・そうだ!思い出した!俺はあの後、誰かに助けられたんだ!」

 記憶を辿り、自分が何故知らない場所にいるのか、何処なのかを推測する。恐らくここは地下で、地底人の生活圏。つまりは意識が飛んでいるうちに辿り着いたわけだ。

「やっと着いたのか・・・」

 静かに喜んでいると、金属製の重たそうなドアが開く。ドアの先に立っていたのは角の生えた兜を被った鎧の人物だった。

「起きたか。君が起きるまでに1日が過ぎたぞ」

 兜のせいで声がくぐもっている。俺はくぐもった声を知っていた。意識が飛ぶ前に聞いた聞いた声だ。恐らくは地底人、俺を助けてくれた人で間違いないだろう。

「貴方が助けてくれたんですか?」

「そうだ。言葉が硬いぞ同志よ。もっと、肩の力を落とせ」

「同志?一体何の話です?」

「この得物に刻まれた紋様を見よ」

 目の前に出されたのは俺の愛剣の闘志の剣。今更気づいたが、今の俺は武器も防具も何も付けていない。

「右肩の紋様は残念ながら違ったが、武具にファイト―ル様に認められた証が付いているのであれば同志だ。対立しているが、歓迎しよう」

 そうだ、思い出した。地底人には闘神ファイト―ルの信仰者が多いんだった。だから、武器にファイト―ルの紋様が付いているメアリーは目の前の騎士らしき人物に助けを求める事ができたのだろう。

「他の武器や防具は預からせてもらっている。君は同志で間違いないが、国民全員が同志とは認めなくてね。安心させる為にもこの剣以外の武器は今は返せないが、よろしいかな?」

 それで、警戒を少しでも緩めてくれるのなら、俺は喜んで預けよう。その意を伝える為に、首を縦に振った。

「良し。では、早速で悪いが、私について来てくれ。何故、我々地底人に会いに来たのかを私を含めた地底人に教えて貰いたい」

「それは良いんですけど、メアリーは何処にいるんですか?無事なんですよね?」

「あの小柄な少女なら別の部屋で休ませている。今から行く場所にその少女も向かうからすぐに会えるだろう」

「ああ、なら良いんです」

「あと、私に敬語はやめてくれ。敬語を聞くと、二の腕がかゆくなる」

「わ、分かった」

「それで良い・・・行くぞ」

  闘志の剣を返してもらい、鉄の扉を開き、建物の外に出る。殺風景な内装の建物から出た幸助を迎え入れたのはごった返すような人の群れ。フラム城下町の商業エリアを彷彿とさせる市場だった。市場には見た事のない果物や魚、肉が売られており、フラム城下町と負けず劣らずの賑わいっぷりだ。

 市場で商売する者と買う者は地底人だろう。想像していた額に一対の角が生えた紫肌の黄色い目の人種ではなく、病的に白い肌に黒い髪そして、目はアメジストを連想させるような紫色の俺らと何ら変わらない人間だった。

「興味を示す気持ちも分かるが、あまり見ない方が良い。君は好意的な視線を向けているが、相手がそうとは限らないからな」

 初めて見る光景に目を奪われてしまったが、今の俺は敵国にやってきた者だ。地底人からいつ敵意を向けられてもおかしくはない。地底人の事は目の前にいる騎士に聞く事にしよう。

「地上人と形はほとんど同じだけど、肌とか目の色は全然違うんだね」

「君達とは住んでいる環境が全く違うからな。我々は地下、君達は太陽の下。肌色に違いがあるのは仕方あるまい」

 肌が白いのは、日に焼けていないからというのは納得がいく。目の色が違うのは、暗い洞窟の中でもはっきりと見えるように進化した結果なのだろう。

「そういえば、俺ってどのくらい寝てた?体感的には10時間くらいなんだけど・・・」

「丸1日だ。逆にあの数の敵を相手して1日で目を覚ますのは素晴らしいと感心するよ。体力の回復効率がとても良いんだね」

「まあね・・・あ、ちょっと待って。地底人にとっての1日って、何時間?1時間は何分?1分は何秒?」

「やはりそこは気になるか。安心しろ地上と同じだ。1日は24時間で、1時間は60分そして、1分は60秒だ」

「まじか・・・太陽が見えないのに、どうして同じなんだ?」

「太陽は一応見えるぞ。観光名所になっているが、実に良いところだぞ?見に行くか?」

「でも、今は大事な話し合いの場に向かっているんじゃ──────」

「少しくらいの寄り道なら大丈夫だ。行くぞ」

 黒い籠手に手を引っ張られ、向かっていた方向から右に曲がる。人混みの海を掻き分けて、地底人の騎士が連れてきてくれたのは、人1人がすっぽり入れるくらいの光が差し込む場所だった。天井に穴が開いているらしく、光の指している所だけに草やら花やらが生えている。真ん中に生えている小さな植物は木の苗だろうか?

 観光名所と呼んだのも納得で、光が差している場所の周りには策で囲まれ、周りには老若男女問わず集っており、光と光に照らされた小さな緑を観て楽しんでいる。

「君達地上人からしたらお笑いものかもしれないが、我々地底人にとっては、この場所のみが地上を体験する事が出来る唯一の場所なのさ。私もここに毎日来て、四季や天気というものを知った」

「全然笑う理由が見つからない。無い物に憧れるのは人間として正しいしな」

「ふふっ・・・そうだな」

 兜のせいで顔は見れないが、兜に隠された顔はさぞかし笑みを浮かべているのだろう。周りにいる地底人もそうだ。まるで宝石を見惚れるように光指す小さな自然を見ている。話も当然に聴こえてくる。「綺麗だね」や「今日も平和だね」と言った日常を感じさせる会話達が耳に入ってくる。

 見た目が少し違うだけで地上人と何ら変わらない生活を送っている。アモーラはこんな人々を俺達異世界人に滅ぼそうとさせていたのか?

「因みに地上の時間の概念はどうやって知ったんだ?」

「ん?帝国に侵入してきた地上人を縛り上げて聞き出した。いつか来る地上での生活の為になるべく地上の知識は欲しいからな」

「そうなんだ。因みにその地上人はどうなったの?」

「裸にして捨てた」

「えぇ・・・」

 裸で放り出されてしまった地上人の幸運を心から祈ろう。
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