大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太

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四章 魔族との和平交渉

第十七話 信じてもらう事の難しさ

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 兜を外し、歩き始めたところから何となく察していたが、本人から事実を叩きつけられると開いた口が塞がらない。手で無理矢理直し、言葉を放った。

「女王・・・という事は騎士団長というのは偽りの肩書きなんですか?」

「いや、偽りではない。私は騎士団長にして、地下王国ジーストを収める女王だ」

 兼任か。俺とほとんど年齢が違わないのに、凄いな。

「隠していてすまない。公共の場で私の素性の明かすのはよろしくないと思ってな。決して面白そうだったわけではない。決して、な?」

 ニヤリと笑うので、真意が分からない。これも話し合いで自分がリードを取る為だろうか?

「女王陛下。お遊びはそこまでにしてください。会議の場ですよ?」

「私がふざけているように見えるか?」

 話し合いを促そうとした大臣らしき老年の男を睨みつける。一睨みだけで人を殺せそうなアメリア女王は、大臣を黙らせる。味方である大臣に対してもこの態度だ。市場や観光名所を歩いている時と同じテンションで話したら首と身体はお別れだr──────。

「勿論ふざけている。ふざけなければ、同志であるそこの者達に失礼だからな」

 年相応に茶目っ気はあるようだ。良かった。

「だが、そうだな。話し合いを始めようか。始める前に同志の名前を教えてくれ。その後に素性も」

 自己紹介はメアリーから始まった。

「私の名前はメアリー・メイウェザーです。フラム王国にある小さな孤児院で育ちました」

 簡潔的に説明を終わらせると、幸助の番がやってくる。自分の番が回ってくるや否や全身からおびただしい程の汗をかき始めた。自分の素性を話したら刃を向けられるのは確実なのだから。

「俺・・・私の名前はコウスケ・イズミです。出身は・・・この世界ではない別の世界です・・・」

「別の世界?・・・ブフッ!」

 風船が破裂するように笑いが起こる。考えてみれば、異世界人はアモーラが地底人を倒す為にこの世界に送り出した存在。つまりは、地底人側には異世界人はいないし、知らない。メルヘンな存在なんだ。

 女王以外の誰もが笑うが、動揺してはいけない。終始真剣な顔を貫く。すると、1分後。女王がドン!と音を立てて円卓を拳で叩く。

「「「「「・・・・・・」」」」」

「・・・黙れ。殺されたいのか?」

 女王は立ち上がり、最初に笑った男の後ろに回り、男の首を手をあてがう。

「貴様は半年の減給だ。反省しろ」

「・・・申し訳ございません」

「他の者は3ヶ月の減給だ。私の客人・・・つまりは私を嘲笑ったのも同然。命を狩られなかっただけでも御の字と思え」

 場が一気に凍りつくが、幸助にとっては最高の場が設けられた。誰にも文句を言われず、笑われない状況だ。堂々と話せる。

「私の部下が大変申し訳ない事をした。どうか許してくれ」

「いえ、気にしていないのでどうか、お気遣いなく」

「感謝する・・・では、別世界から来たというのを詳しく説明してくれないだろうか?私達は別の世界から来た者との交流が無くてな。君から教授して貰いたい」

「私は、魔法も無ければ魔物もいない世界で育ち、若年で死にました。その時に女神アモーラと呼ばれる神と出会い、この世界へと転送されたんです。魔族・・・地底人を倒す為に」

 瞬間、首筋に2つの冷たく硬い感触と、四方八方から殺意を向けられる。調子に乗って馬鹿正直に話しすぎてしまっただろうか?地底人の反応も同然だろう。

「女王様、この者をどうしますか?」

「話を続けさせる。倒す為にこの世界に呼ばれたというのに、平和的な解決をしようとしているのだから何か理由があるはずだ」

「あります」

 首筋の冷たい感触が遠のく。

「私はこの世界に送られる前、地底人は地上を滅ぼそうとする悪だとアモーラに教えられてこの世界へ降り立ちました。しかし、ある日の事、地底人は悪ではなく、私達とほとんど変わらない人間だという事を知りました。元から地底人を攻撃する事はありませんでしたが、アモーラに一矢報いたい私はこうして平和的な解決に乗り出したのです」

「・・・・・・こちらの質問に2つ答えてほしい。アモーラはファイトールの伝記から認知しているが、何故我々を攻撃するんだ?君は何故、アモーラに一矢報いたいんだ?」

「地底人の文明との接触による信仰者の減少を防ぐ為です」

 この世界にとって、現実的な話になってきたお陰でようやっと席に座っている権力者も立っている騎士やメイド達も真剣な顔で話を聞き始めた。

「アモーラに一矢報いたいのは、私はアモーラの都合で元の世界で殺され、この世界に来たからです。私だけじゃありません。大勢います。私は幸いな事にアモーラの支配下から抜けられましたが、異世界人のほとんどはアモーラによって人生を狂わされました。ここに来る為に通る洞窟にいた狂った地上人のようにね」

「ま、待て!あの正気を失った地上人の戦士達は全員お前と同じ異世界人なのか!?」

 1人の大臣が勢い良く立ち上がり、問いただしてくる。俺は首を縦に振った。

「右肩にアモーラ教の信仰者であるアモーラの紋様が刻まれているでしょう?それが証拠の1つです」

「た、確かに狂った戦士達の右肩には全て同じマークが刻まれていた・・・」

「やけに強い上に不思議な力を持っているのも、異世界人だからですか?」

「はい。アモーラは手っ取り早く貴方達を滅ぼす為、異世界人に超能力を与えているんです。ネクロマンサーとか、黄金の鎧とか」

「じ、じゃあ、アンタも凄い力を持っているのか?」

「いや、俺・・・私は持ってない。私はこの世界に来る際に力じゃなくて、『自由』を要求しましたからね」

「クソっ!俺ら地底人は神様の嫌われ者って事かよ!!」

 大声を上げて憤るのも無理はない。彼らは今、とんでもなく理不尽な立ち位置に立たされているのだから。だが、神様の嫌われ者というのは少し違う。

「いいえ、そんな事はありません。貴方達h──────」

「そんなわけないだろう!大馬鹿野郎!!」

 暑苦しい声が幸助の言葉を遮る。この場いない者の声に全員が驚き、警戒するが、声の正体は女王アメリアが座る椅子の後ろに置かれていた闘神ファイトールの像から現れた。

「我が愛しの地底人達よ!事前に話しておらず、すまない!闘神ファイトールだ!!」

 ファイトール、会議室にド派手に参上。姿、声、威厳から一目でファイトールと判断した地底人達は椅子から下り、膝立ちしてこうべを垂れた。

「そういうの今はいらん!話し合いを続けるぞ!!」
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