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四章 魔族との和平交渉
第四十一話 星の血液
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「ふっっっっ!!!!!」
今度は盾で押し出すようにジールの攻撃を防ぐ。すると、盾の力でジールは面白いくらい後方へと飛んでいった。
「ぐぅぅ!!卑怯だぞ!そんな盾使いやがって!」
「ブーメラン刺さってるぞ。お前の能力はどうなんだ」
「俺よりも弱いくせに生意気言ってんじゃねえ!!」
爪攻撃を切り返すように頭に一撃。脳が左右に真っ二つになる。しかし、数秒経つと元に戻ってしまう。普通なら確実に殺せる一撃なのに殺せないのは本当に厄介だ。だが、この厄介さも後少しで終わる事になる。
「はっ!!」
「ぐわぁぁぁ!!」
剣ではなく、盾で殴り衝撃波も加わって派手に吹っ飛んでいく。これを何度も繰り返してどんどん吹き飛ばしていく。
「や、やめっ──────」
「やめない!止めない!お前は考えを改めてくれなさそうだからな!悪い言い方で言うなら、俺の復讐に邪魔だ!!死んで退け!」
吹き飛ばした回数は凡そ25回。ジールもいい加減飽き飽きしている。次こそは盾の力で吹き飛ばされないように地面を足で噛み締めるように踏ん張る。
だが、幸助は盾の構えを解いてしまった。言うなれば無防備状態になった。いきなりなんの前触れもなく構えを解いたのでジールは何が来るのか警戒する。
「俺が何故、今まで吹き飛ばしてきたか分かるか?」
「生憎相手の心を読む力は持っていなくてな!全く検討が付かん!」
「はんっ、きっぱり言うね。嘘ではなさそうだ。じゃあ、答え合わせと行こうか。お前らが進軍する前に下っ端の異世界人を送ってきただろ?理性のない奴ら。あ、1人はしっかりと話はできたな」
「・・・何が言いたい」
「どうやって倒したと思う?あんな数の異世界人、能力者達を。ぱっと見だけど、50人以上はいたよな。あんな数の能力者をどうやって捌いたと思う?正攻法じゃないのは確かだ」
質問する幸助の姿は少し狂気を帯びており、ジールは鎧の中で身震いする。しかし、こちらが答えなくては正解を言ってはくれないと分かっていたので3秒考えた後、答えた。
「罠にかけたのか?」
「正解!・・・と言いたいけど、あまりにも範囲が大きすぎる。罠というのも色々あるだろう?痺れトラップとか、落とし穴とか、バナナトラップとか!」
スポーツ選手で言うところのゾーンに入ってしまったのだろうか?少しふざけを入れて話す。真剣な場でのふざけは激昂して叱るべきだが、今のジールにはそれすらできる気がしなかった。
「答えられなさそうだから、もう俺が答えちゃうぞ!答えはな~・・・マグマトラップだよ」
「・・・は?」
「隙あり!『テレポート』!!」
地面に向かって剣を突き出すと、ジールの足元が刻まれた絵に沿って輝き出す。絵は魔術を使う為に用いられる魔法陣。長年この世界で生きてきたジールにはその魔法陣が一体どんな魔術を発生させるのか知っていた。というより幸助が口にした事で気付かされた。
テレポート、古来より存在する移動魔術。魔法陣の別々の場所に1つずつ書けば、その2つの魔法陣を行き来できるという非常に便利な魔術。恐らく下っ端達はこれでマグマに落とされた!
ならば、俺が向かう先も絶対にマグマだ!マズイ!マグマなんかに浸かったら、再生が間に合わなくなる!再生仕切る前に焼き尽くされてしまう!!
幸助の思惑の全てを理解したジールの動きはとても早かった。魔法陣の外側で魔法陣を起動している幸助を、テレポートが始まる寸前で引き摺り込み、陣の中へと無理矢理入れたのだ。
「お前だけ高みの見物は許さないぞ!!幸助ぇぇ!!」
「クソっ!やっぱりこうなるか・・・でも、やっと名前で呼んだな。俺の事を」
「ひっ・・・!」
今からマグマに落ちると言うのに特に焦る様子はなく冷静沈着。まるで悟りを開いたかのような姿にジールは心の底から恐怖した。
恐怖して間もなく、視界に広がる光景が街から岩石へと変わる。同時に浮遊感に襲われ、足元に地面が無い。更に蒸し風呂の何倍もの暑さが俺を襲ってくる。
足元を見ると、真っ赤に燃えるマグマ。まさに星の血液だ。俺の身体は重力に従って落ちた。
「うぉぉぉぉぉぉわぁぁぁぁぁ!!」
失敗した。もうここから生き残る事はできない。テレポートを覚えていたら話は別だったろうが、難しすぎて覚えるのをやめてしまった。諦める判断を下した自分が悪い。
だが、アモーラ様にとっての不安要素である幸助を道連れにする事に成功した。俺の命の引き換えと考えるとボッタクリにも程があるが、価値は十分にある。きっと、アモーラ様も褒めてくれるだろう。
落ちる最中、右を見るとミスリル鎧を身につけた若い男が俺と一緒に落下しているのが分かる。幸助だ。引き摺り込むのは上手くいったようだ。今から死ぬと言うのに笑みが溢れてしまう。
このまま死ぬのは嫌だ。だからせめて最後は!最後だけは幸助の死に怯える顔を見て死にたい!それで俺の死の元は取れる!!
嬉々として目を凝らすジール。しかし、幸助の顔に貼り付けられていた表情は、ジールの望む表情ではなく、ジールが一番望んでいない表情・・・・・・勝利の笑みだった。勝ちを確信した時に思わず出てしまう笑み。人間の隠れた生理現象と言ってもおかしくない笑み。相手が見たら恐怖する笑みを幸助は浮かべていた。
そんな幸助はマグマへと落下する中、こう口ずさんだ。
「『トルネード』」
風の中級魔術を口にすると、手の平か鎧を纏った身体を持ち上げるほどの力を持った風が生み出され、幸助の身体をマグマの範囲から外してくれた。
「えっ・・・」
思わず出た素の声。その次に思い浮かべたのは後悔。何故、能力に頼り切ってばかりで魔術を更に覚えようとしなかったのだろう、と。
後悔は後の成功の種となるが、ジールの生み出した後悔は発芽する事なく、身体と共にマグマの中へと消えて行った。
今度は盾で押し出すようにジールの攻撃を防ぐ。すると、盾の力でジールは面白いくらい後方へと飛んでいった。
「ぐぅぅ!!卑怯だぞ!そんな盾使いやがって!」
「ブーメラン刺さってるぞ。お前の能力はどうなんだ」
「俺よりも弱いくせに生意気言ってんじゃねえ!!」
爪攻撃を切り返すように頭に一撃。脳が左右に真っ二つになる。しかし、数秒経つと元に戻ってしまう。普通なら確実に殺せる一撃なのに殺せないのは本当に厄介だ。だが、この厄介さも後少しで終わる事になる。
「はっ!!」
「ぐわぁぁぁ!!」
剣ではなく、盾で殴り衝撃波も加わって派手に吹っ飛んでいく。これを何度も繰り返してどんどん吹き飛ばしていく。
「や、やめっ──────」
「やめない!止めない!お前は考えを改めてくれなさそうだからな!悪い言い方で言うなら、俺の復讐に邪魔だ!!死んで退け!」
吹き飛ばした回数は凡そ25回。ジールもいい加減飽き飽きしている。次こそは盾の力で吹き飛ばされないように地面を足で噛み締めるように踏ん張る。
だが、幸助は盾の構えを解いてしまった。言うなれば無防備状態になった。いきなりなんの前触れもなく構えを解いたのでジールは何が来るのか警戒する。
「俺が何故、今まで吹き飛ばしてきたか分かるか?」
「生憎相手の心を読む力は持っていなくてな!全く検討が付かん!」
「はんっ、きっぱり言うね。嘘ではなさそうだ。じゃあ、答え合わせと行こうか。お前らが進軍する前に下っ端の異世界人を送ってきただろ?理性のない奴ら。あ、1人はしっかりと話はできたな」
「・・・何が言いたい」
「どうやって倒したと思う?あんな数の異世界人、能力者達を。ぱっと見だけど、50人以上はいたよな。あんな数の能力者をどうやって捌いたと思う?正攻法じゃないのは確かだ」
質問する幸助の姿は少し狂気を帯びており、ジールは鎧の中で身震いする。しかし、こちらが答えなくては正解を言ってはくれないと分かっていたので3秒考えた後、答えた。
「罠にかけたのか?」
「正解!・・・と言いたいけど、あまりにも範囲が大きすぎる。罠というのも色々あるだろう?痺れトラップとか、落とし穴とか、バナナトラップとか!」
スポーツ選手で言うところのゾーンに入ってしまったのだろうか?少しふざけを入れて話す。真剣な場でのふざけは激昂して叱るべきだが、今のジールにはそれすらできる気がしなかった。
「答えられなさそうだから、もう俺が答えちゃうぞ!答えはな~・・・マグマトラップだよ」
「・・・は?」
「隙あり!『テレポート』!!」
地面に向かって剣を突き出すと、ジールの足元が刻まれた絵に沿って輝き出す。絵は魔術を使う為に用いられる魔法陣。長年この世界で生きてきたジールにはその魔法陣が一体どんな魔術を発生させるのか知っていた。というより幸助が口にした事で気付かされた。
テレポート、古来より存在する移動魔術。魔法陣の別々の場所に1つずつ書けば、その2つの魔法陣を行き来できるという非常に便利な魔術。恐らく下っ端達はこれでマグマに落とされた!
ならば、俺が向かう先も絶対にマグマだ!マズイ!マグマなんかに浸かったら、再生が間に合わなくなる!再生仕切る前に焼き尽くされてしまう!!
幸助の思惑の全てを理解したジールの動きはとても早かった。魔法陣の外側で魔法陣を起動している幸助を、テレポートが始まる寸前で引き摺り込み、陣の中へと無理矢理入れたのだ。
「お前だけ高みの見物は許さないぞ!!幸助ぇぇ!!」
「クソっ!やっぱりこうなるか・・・でも、やっと名前で呼んだな。俺の事を」
「ひっ・・・!」
今からマグマに落ちると言うのに特に焦る様子はなく冷静沈着。まるで悟りを開いたかのような姿にジールは心の底から恐怖した。
恐怖して間もなく、視界に広がる光景が街から岩石へと変わる。同時に浮遊感に襲われ、足元に地面が無い。更に蒸し風呂の何倍もの暑さが俺を襲ってくる。
足元を見ると、真っ赤に燃えるマグマ。まさに星の血液だ。俺の身体は重力に従って落ちた。
「うぉぉぉぉぉぉわぁぁぁぁぁ!!」
失敗した。もうここから生き残る事はできない。テレポートを覚えていたら話は別だったろうが、難しすぎて覚えるのをやめてしまった。諦める判断を下した自分が悪い。
だが、アモーラ様にとっての不安要素である幸助を道連れにする事に成功した。俺の命の引き換えと考えるとボッタクリにも程があるが、価値は十分にある。きっと、アモーラ様も褒めてくれるだろう。
落ちる最中、右を見るとミスリル鎧を身につけた若い男が俺と一緒に落下しているのが分かる。幸助だ。引き摺り込むのは上手くいったようだ。今から死ぬと言うのに笑みが溢れてしまう。
このまま死ぬのは嫌だ。だからせめて最後は!最後だけは幸助の死に怯える顔を見て死にたい!それで俺の死の元は取れる!!
嬉々として目を凝らすジール。しかし、幸助の顔に貼り付けられていた表情は、ジールの望む表情ではなく、ジールが一番望んでいない表情・・・・・・勝利の笑みだった。勝ちを確信した時に思わず出てしまう笑み。人間の隠れた生理現象と言ってもおかしくない笑み。相手が見たら恐怖する笑みを幸助は浮かべていた。
そんな幸助はマグマへと落下する中、こう口ずさんだ。
「『トルネード』」
風の中級魔術を口にすると、手の平か鎧を纏った身体を持ち上げるほどの力を持った風が生み出され、幸助の身体をマグマの範囲から外してくれた。
「えっ・・・」
思わず出た素の声。その次に思い浮かべたのは後悔。何故、能力に頼り切ってばかりで魔術を更に覚えようとしなかったのだろう、と。
後悔は後の成功の種となるが、ジールの生み出した後悔は発芽する事なく、身体と共にマグマの中へと消えて行った。
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